睡眠

眠いけど寝たくない心理

投稿日:2018年9月28日 更新日:

・寝るべき時に寝たくない、ベッドに入りたくない、あるいは入っても眠れない。サイトを流し見たり、ゲームをやりだしたり、本を読んでみたりする。

まるで楽しいこと、価値あることを探すかのように。それが癖になって夜更かし大好きだとか。

「眠れない」ではなく、「まだ寝たくない」という気持ち。

「寝る決断」ができない

・「寝る」という意思決定ができない状態。

このニュース記事では、眠いのに寝たくない心理状態を「夜更し強迫性障害」、または「睡眠相後退症候群」と呼ぶとしている。

オランダの心理学者Kroese教授は、大量の社会階層群調査とデータ分析の結果、

「一般的に、引き延ばし行為と夜更しは、非常に深い正の相関関係にあり、自己コントロール力と夜更しする時間とは、顕著な負の相関関係にある」ことを発見した。

http://j.people.com.cn/n3/2019/0920/c94475-9616330.html

「寝る」というタスクの「引き伸ばし」、という解釈のようだ。
逆に自制心が強いと夜更しの傾向が低い。

・ただ、この引き伸ばしは性格の問題とも限らない。ストレスのせいで自己コントロール能力が低下することはある。睡眠不足でもそうだ。

夜型クロノタイプ

・夜型人間ってこと。日本人は3割ほどは夜型。50%程度は遺伝で決まっているとのこと。

夜型と言っても昼夜逆転というわけではない。昼行性なのは変わらないが、起きる時間や眠くなる時間は朝方と比べ後ろにずれている。これは脳内物質の話。

睡眠の観点からは指摘されているが、世界規模で朝が早いため問題が出ているという指摘はある。高校生の登校時間を遅らせろとか、その通りにしたら成績が良くなったとか。

逆にサマータイムに切り替えることによるスケジュールの前倒しで、交通事故や自殺などは増えるという話も。

・この上で、睡眠の必要性などの話を聞いて怖くなって多めに寝ておこうとしても、夜型だからそもそも早寝に向いてない。

更に言うと人間の体内時計は24時間より長いわけだが、夜型の方がその余剰分は多いらしい。寝ないと夜ふかしし始めるリスクもまたある。更に夜ふかしは、寝たくない気持ちを強化させるかも知れない余地が考えられる。

割と詰んでるなこの話。

・以上から夜型は、「眠いから寝る」というよりも、「寝る時間だから寝る」という意思決定が特に必要になるだろう。

逆を言えば「まだ眠くないから起きていよう」とするのは、翌朝がすごいことになりそうでおすすめできない。

ただ、それ以前に「早く寝ようとしすぎている」という可能性は再考した方がいいのではないか。

寝てる時間がもったいない

休むことができない性格と時間不安

・寝たくない理由が「もったいないから」という場合、「タイプA」という性格かもしれない。タイプAは不眠になりやすい。

活動的で、せっかちで、じっとしているの嫌いなタイプ。

性格的にはそうじゃなくても、時間を気にするとこのような状態になる。

・「時間不安」という概念がある。時間がないだとか、時間に追われている感覚だとか、そういった焦りの感覚。これが強いとリラックス能力が低下するとされる。
要は常に緊張し、気が休まらない。寝る気にはなれないだろう。

時間不安は3因子が見いだされているが、長いので今回に関係があるところだけ。

・第一因子 経過意識

  • このまま年をとっていくのかと思った時
  • 自分の人生が過ぎるのが早いと感じる時
  • 時間が過ぎるともう戻れないのではないかと感じた時
  • 休日を過ごしていてすぐ終わる感じがする時
  • 休日の夜、明日から学校だと思った時
  • 過去を振り返ってみた時

・第二因子 予期懸念は今回該当しない。

・第三因子 目的未達成

  • やらなくてはならないことがまだ手つかずで、何もできずに一日過ごしてしまった時
  • 予定をうまくこなせていない時
  • 課題の締切が迫っているのに、それがまだ完成していない時
  • 試験があるのに勉強していない時

この中で、「経過意識」は強迫性とタイプA行動を強化する。せっかちに「●●をやらないと!」って気分になるということ。これは眠るつもりなさそうだろう。

第三因子はそうでもないのだが、「寝たくない」という気持ちになるには充分だろう。経過意識ほどではないにせよ、「本当にこのまま寝て良いのか?」とは思いそうだ。

第三因子による不安はFOMO(Fear Of Missing Out:機会損失や取り残されることへの恐れ)に近いかもしれない。

充実して一日を終えなければならない

・通勤から帰宅までを「不自由な時間」とすれば、8~19時だとしても11時間は拘束されることになる。

この上で7時間眠りたいとすれば、残りはもう6。当然食事や入浴と言った予約済みの時間もある。

自由な時間は少ない。寝るまでの時間はまるでタイムリミットのようだ。時間制限は焦りを産む。

まだ時間はある。まだ楽しいことを探す時間がある。まだ「今日は楽しかった」と思いながら眠れるかもしれない余地はある、とかなんとか思って色々やろうとするのは、「急いでいる」状態であり、興奮状態だ。

「明日が来るのが嫌だ」:明日への恐怖と自由への未練

・日曜の夜が最たるものだろうが、明日が来るのが憂鬱である。

相対的に「今」が自由/楽しいからでもあるだろう。自由であるこの時間を「睡眠」という形で自ら終わらせるのが惜しい。

単純に嫌だからとも限らず、前向きな「明日に備えて何かやっておくことはないか」のような時間を有効活用しようとする心理や、焦燥、不安探しも興奮状態にする。

興味深いのは、寝なきゃいけない時間になった時に「もうこんな時間か」と言ったり思ったりする点。

この言葉って大体は、楽しい時間が終わる時に使う言葉だよなと。あるいは何かやらなきゃいけない時間になった時。

今への未練か、睡眠への義務感。

・寝たら明日が来る、明日が嫌だから寝たくない、朝が来るのが怖い、というのは割とある考えのようだ。学校でも、仕事でも。

ブルーマンデーとかサザエさん症候群とか言われる。休日が終わることを考えただけで憂鬱になる気持ち。

明日が見えるくらいに近づいてきてから。

関連:明日が来るのが怖いから寝たくない人

・主観的には、眠ったら数時間吹っ飛んですぐに「明日」が始まる形になるだろう。

眠るのなら、その日は「もうおしまい」なわけだ。

眠ることは「今日を終えて、明日へシーンが移動する」スイッチ/トリガーとして認知されている。

嫌なことが始まるスイッチなんて、誰も押したくはないな。

寝ることへのイメージに問題がある

・眠りに対してどう思っているか、という点は大きく影響があるだろう。

思い込みで人は体調を崩すこともある。

「睡眠」に対するマイナスイメージ

・睡眠に対しての認識が、「何もしていない時間」「何もできない時間」のようなマイナスイメージを持たれていることは多い。

今ではそれほどでもないが、徹夜したことが自慢だとか、睡眠時間が短いと働き者で、長いと怠け者のようなイメージがあるとか、現代の睡眠への知識から見れば「古い」価値観とかもあったわけだ。

・マザーグースにもこうある。

かねもちになりたいひとは
5じにおきなきゃなりません

もうかねもちになっているひとは
7じまでねてていい

かねもちなんかガラじゃなければ
11じまでねてられる

もちろんこれは、早起きするのは良いことだ的な意味で捉えられている。一方、現代の「成功者」たちは7時間ほどしっかり眠るタイプも結構いる。

今でこそ7時間ほど眠らないと自分はだめだ、とカミングアウトできているが、彼らは以前はそこそこ寝ているとは「言いづらかった」らしい。

それほど「眠らないのは良いことだ」、相対的に「長く眠るのはだめな奴だ」というイメージは強かった。

・今でも睡眠が「時間を捨てること」という認識を持っている者は多いはずだ。ショートスリーパーへの憧れなんてのがいい例だろう。

意識的活動はできなくなるから、そのとおりと言えばそのとおりなんだけど。

「睡眠」に纏わる条件反射的な要素

・寝たくないのに無理にベッドに入ると、嫌なことを思い出し始める、という話は結構多い。

これを繰り返すうちに「寝ようとすると嫌なことを思い出して眠れない」という条件反射が出来上がる。

これに対しての認知行動療法があるくらいだ。影響は大きいと見ていいだろう。

・環境や状況に対しての条件反射。「ベッドは寝るための場所」と体に改めて「学習させる」必要は、人によってはあるかもしれない。

よく言われてはいるが、「ベッドに入って起きている時間」が長ければ長いほど寝付きは悪くなる。

人間が行動や精神状態を切り替えるには、トリガーが必要だ。それが「意志」だけでは、結構足りない事が多い。

入眠儀式なんて言われているが、寝る前の一連の行動に一貫性をもたせるなどは有効となる。これをやるとその一連の行動がトリガーとなり、そのまま「流れ」で眠気は来る。

・もちろんこれはベッドに入ってからの話だが、「寝なくてはいけない」と思う「」に対しても同じことが言えるだろう。

時計を見る、

寝なくてはいけないと思う、

布団に入る、

眠れない、

焦る、

余計に目が冴える、

時間がもったいない、

起きて何か始める、

ようやく眠れる、

朝は辛い、

日中は眠い、

夜は寝たくない。

これを繰り返す内に、睡眠自体に苦手意識が生まれても不思議はない。

結果として、寝る時間が来ただけで「寝たくない」と思ったり、目が冴えたりはあり得るだろう。

「寝るべき時間」に対してプレッシャーを感じているのなら、これかもしれない。

精神生理不眠症

・こういった、身体的環境的には問題がないのに条件反射的な理由で眠れないことを「精神生理性不眠症」と呼ぶことがある。れっきとした病名だが、中身はただの不眠症のこと。

・学習された睡眠妨害連想

・身体化された緊張

の、2つを特徴とする。この場合の学習とは無意識的な物を含める。「癖がついた」と言ったほうがわかりやすいかもしれない。前述の条件反射のこと。

・これを防ぐために、眠くなるまで布団に入るな、寝る時間そのものを遅らせろ、なんてのもある。起きる時間は固定だ。

布団で寝たくない、それ以外の場所だと寝落ちできる、なんてケースも結構あるようだ。ソファなどで。

この場合はベッドで眠れないのは「場所・状況」による古典的条件付けのような症状だと思えばいい。

個人的な経験だが、仮眠のつもりで横になった方が寝付きは良いことが多い。寝る際の「プレッシャー」というものは、影響が大きいのかもしれない。

夢恐怖症

・実際にある。本人の自覚としては気にしていないつもりでも、本能的な部分で嫌がっている可能性。

ただ、悪夢は体の不調が原因であることが多い。例えば風邪をひいて熱にうなされている時には悪夢は見やすいだろう。疲労も原因になる。この場合は睡眠が必要であり、寝ないのは悪循環を生む。

また、悪夢は悪夢で価値がある可能性もある。

参照:悪夢の役割について

日中の充実感との関連について

 

充実感とドーパミン

・旧ブログでも書いたが、日中に充実感を感じられないと夜「寝たくない」と思うという話はある。

これはNASAが発表した、と言われているが、こちらでは出典を確認できていない。

内容としては、

  • 起きてる時間の30%を好きなことをするか、思い通りの時間を過ごすと充実感を得られる
  • 睡眠時間7時間だとして計算すると(24-7)✕0.3=5.1
  • 現実に平日の一日にそれだけ好きなことやれるなんてことあるのか

という話。

過去記事:つい夜更かしをしてしまう:「夜眠れない」ではなくて「寝たくない」理由

・別の切り口で調べてみたことをいくつか書いておく。

充実感と眠気

・充実感や達成感を感じた時にはドーパミンが出る。このドーパミンは行動制御、学習機能などに関わっているが、睡眠にも関わっているらしい。

ドーパミンは意欲を作る/感じることに作用する。充実感を感じても出るんだが、頑張っても出る。つまりタスクが好きである必要は必ずしもない。

「充実感がある一日」から考えると、まぁ当然頑張りはするだろう。棚ぼたのラッキーで充実感は感じないはずだ。

裏を返せば、必ずしも充実感という言葉で連想するような「恵まれた環境で、楽しく、意義ある仕事をする」必要もそれほどない。真剣に集中できればいいことになる。

・充実感がある一日と、そうでない一日ではドーパミンの総量がかなり変わってくるのではないだろうか。

そうなると当然、寝るべき時間に眠気を感じるかどうかも変わってくるだろう。

ドーパミンはアドレナリンとノルアドレナリンの前駆体(要は材料)である。この内ノルアドレナリンが「睡眠ー覚醒」に関わっていると見られている。

むずむず脚症候群

・ドーパミンに関連して「むずむず脚症候群」というわかりやすい症候群がある。
脚とか肩とかが眠れないレベルでムズムズして気持ち悪くて眠れない症状。女性に比較的多いが、男性でもある。

原因は明らかではないとされているが、仮説のうちの1つはドーパミンの機能阻害。実際にドーパミン系の薬で症状は緩和する。

充実感と体内時計

・体内時計の一種にウルトラディアンリズムと呼ばれるものがある。簡単に言えば、概日リズムと呼ばれる一般的なイメージの体内時計の中にある、個別の体内時計。

まぁ砂時計のようなイメージを持ってくれると助かる。

睡眠と体内時計は関連をよく挙げられるが、どちらかと言えばこのウルトラディアンリズムの方が関わっている。

・また、ウルトラディアンリズムの周期が90~120分であり、眠気もこの周期だと言われている。つまり「眠気の波」が引いてしまうと、しばらく眠気を感じなくなるということはある。

参照:さっきまで眠かったのに寝ようと思ったら眠れない

・このウルトラディアンリズムを調整しているのが、。どうやら睡眠に限らず、健康的に過ごすには充実感が必要そうだ。







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