・日中のストレスを夜ふかしで発散しようとする行為。
・報復性夜ふかし、リベンジ夜ふかし、リベンジリラクゼーションとも。
報復性夜ふかし/リベンジ夜ふかし
・https://www.lifehacker.jp/2021/04/dont-fall-into-the-trap-of-revenge-bedtime-procrastinat.html を参照。
いいネーミングだ。
今日、 “報復性熬夜(revenge bedtime procrastination/リベンジ夜更かし)” という言葉を知りました。日中の生活をコントロールできなかった人が、自由の感覚を取り戻すために夜遅くまで寝ようとしない現象を意味します。
「熬夜( アォ イエ)」は中国語で夜ふかしや徹夜のこと。
・2014年にはオランダのユトレヒト大学の研究者に依って「就寝先延ばし」は提唱されている。これは、「自由時間を楽しむために就寝を先延ばしにすること」と定義され、今回と一致する。
これを元に中国のソーシャルメディアから報復性熬夜という言葉が生まれた。「一日中仕事をしていた腹いせに夜ふかしして自由を楽しむ」との意味で使われたようだ。
中国の若者に多いらしい一方で、これを「明確な自傷行為」とする指摘もある。「愚かな行動」としつつも、私達は時にこのようなことをしてしまう、としている。
自傷行為だとは言うが、悪あがきの無駄な抵抗が裏目に出ているという意味だ。自己破滅願望があるという意味ではない。ただこのように、Aを気にするあまりBで致命的なことになる行動を人間は時にやらかす。
上司がいない、子どももいない、中断も入らない。静寂とは、素晴らしいことなのです。
義務や責任、人目を気にするなどの外的な要素がない=内発的な動機で、自由に動けて、そして没頭できる時間。それが寝る前あたりの時間帯。端的に「自分の時間」と明言できる時間。
やはりこれに対して「自ら終わらせるには惜しい=寝たくない」感情は有るのだろう。寝るのがもったいない。
この上で「寝たらまた明日が来る」となると、尚更に。
もしかしたら、今日のストレス発散の他に、明日の不自由に備えた「自由を充電する」の意味合いもあるのかも知れない。
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プライベートな時間と空間による「自己」の回復
・リベンジ夜ふかしの動機は、日中を有意義に過ごせなかった、満足できなかったなどの不完全燃焼感からだとされる。充実感や達成感の不足。
日中は不自由、不満足を感じるため、人が寝静まった深夜にそれを果たそうとする。
寝る前のプライベートな時間は、同時にプライベートな空間でもある。これは「社会的役割」から、一時的に開放される時間と空間、その中での過ごし方。
この時「個人(あるいは自分)」として在ることができ、「自由」に振る舞うことができる。
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プライベート空間の種類は大まかに3つに分けられ、専有できる空間、共有できる空間、自己開放できる空間がある。「共有」がある点から分かる通り、他者は邪魔とは限らない。相手は選ぶが。
自分が夜ふかししていると自覚するであろう「寝る前の(そろそろ寝るべき)時間」は、専有できる空間、自己解放の空間/時間として機能できる。
この中でも緊張解消や情緒的解放、気分転換の機能が期待できるだろう。
緊張解消と情緒的解放は「被拘束感」が、気分転換は「いらだち」が感じられる時に必要とされる。
ここから考えればリベンジ夜ふかしは、日常の中でストレス(拘束感といらだち)が生まれ、夜ふかし時間の「プライベートな時間と空間」でそれを解消している、とも見える。
取り戻そうとしているもの/奪われたものは何か
・今回における「自由」は、時間が空くこととは違う。「自己コントロール感」に当たる。これは自制心に近いがそれだけではなく、「自分の飼い主は自分である」実感に近い。
これは「本来感」とも呼ばれ、幸福感、充実感を得ることができる。つまりは、やっぱり自分で終わらせたくない=寝たくない。
本来感は「自分の意志に率直に動けること」だとされている。たとえ肯定的なものでも社会的な評価を受けると損なわれるデリケートなものだ。つまり他人の目がない深夜の自室なんて最高だ。やべーな。
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・「自分のことに忙しい」のは、自由の内に入る。自分がやりたいことなら別にご立派じゃなくていい。だから治療的な方面で、小さな自由、小さな意思決定を繰り返すことが推奨されることもある。
その時充実している。特に意味もないし生産性も皆無かも知れないが、義務も責任もない紛れもなく「ただなんとなく」という(しょうもないが)自らの意思での行動だから。明確に「邪魔する人がいない時間が好き」との意見もある。
このような自由な時間は、ただ自由というだけで相対的に「とても価値ある時間」となっている。日中が拘束感高すぎて。自分ですらしょうもない時間の使い方をしていると感じていても。
不自由を強いる日常(「寝なくてはならない」という念を含む)への反発心、とも呼べるかも知れない。リベンジ=復讐と言う名は正しいのではないか。
・ただ、反発心からくる行動はたいてい自己破滅的であり(やけっぱちに近いので)、今回もそのうちに入る。
寝るの遅れる→朝つらい→日中だるい→夜もったいない、と悪循環となるリスクは大きい。
明らかにこの「もったいない」気持ちが、睡魔に勝ってしまっている。限界が来たら流石に自分は寝ようと思うだろう、と考えていると、いつの間にか朝、もあり得るかも知れない。
時間不足とやりたいこと
・リベンジ夜ふかしは発達障害に多い、とする指摘がある。
https://diamond.jp/articles/-/285417
・元々世間に合わせて無理をしている=過剰適応な所があるため、ストレスは多い。
この上で彼らは「やりたいことを減らす」ことが元からできないため、不自由から開放され自由な時間を手に入れたら、まぁそう動く、と。
「やるべきこと」があった分だけ、憂さ晴らしとして「やりたいこと」をやる傾向もあり、その分睡眠を削るという。ついでに日常的なことも削るという。
「やりたいこと」の優先度が「寝ること」よりも高い。つまり「なんとなく起きている」とかではなく、時間がないのにやりたいことをやることによる結果的な夜ふかし。
・上記記事ではそもそも生活リズムを整えようとすることがストレスであるともしている。これは定型(非発達障害)にもある。
例えば8時間睡眠が良いと聞いた。無理にでも8時間寝ようとして眠れず、むしろ睡眠へのストレスや苦手意識が増し不眠、などの話は散見される。
・やりたいことを削るのではなく、やるべきことの中からやらなくて良いことを見つけて時間を確保することを考えたらどうか、とされている。
・「時間がない」という問題は大きい。理由の一つは「やるべきこと」に枠を取られるからだが、工夫の余地は残っている可能性はある。
その内の一つは、「今じゃなくて良いこと」を見出すことだ。元から「良い先延ばし」は存在し、それこそ世間の「先延ばしは悪いこと」という無思考により評判が悪くなっている。
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「明日できることは今日やらない」という方法論も存在する。
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もっと露骨に、やらない(目指さない/狙いもしない)ことを予め決めることで、達成したいことに専念する考えもある。
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理性vs本能
そもそもこれは、「寝なくてはならない」超自我(規範的な無意識)に属した動機と、「自由を満喫したい/自ら終わらせるには惜しい」イド(本能・直感)に属した動機との対立だ。
かなり雑に言えば頭の中の親のコピーが「もう寝なさい」って言ってて、頭の中の子供の部分がやだーってなってる状態。
これだけならまだいい勝負ができるかも知れんが、その戦闘の場は「自分の自由な時間」なので、「寝なくてはならない」は結構不利とは成り得る。
超自我は度が過ぎると精神病む理由ともなり得るので、たまの夜ふかしくらい自分で自分を多めに見たほうが良いと思うけどね。
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・ゲシュタルト心理学ではトップドッグ(理性/勝ち犬)とアンダードッグ(本能/負け犬)と表されるものに当てはまる。こちらは「最終的には負け犬が勝つことが多い」と元からされている。
また、アンダードッグの「賛成するフリ=引き伸ばし」により、やるつもりだったが結果的にできなかった、結果的に間に合わなかった、もっといい方法があるかもしれないからそれはやらなくていい、などの形で物事が終わり、当人に自覚がない可能性。
https://embryo-nemo.com/472/
そろそろ寝ないとまずいな。よし、これが終わってから寝よう。ああ、もうちょっと続けよう。これもやっておいたほうがいいな。みたいな。
脳的には大脳辺縁系(衝動や欲求)vs前頭前皮質(理性的な部分)とされる。
リベンジ夜ふかしの解決策について
・身体は寝不足状態の可能性が高く、ただ寝るだけで良いと言えば良い。それをする気がサラサラ無いのが問題であり、これは一日に対しての充実感や達成感の不足の念に対しての、感情処理の話となる。
件の記事では解決策として、
- 夜ではなく昼間に少しでも自分の時間を保つこと(まとまった時間じゃなくて数分単位でもいい)
- あるいはこのリベンジ夜ふかしを自覚し、時間制限を設けること
1に関連して、早く欲求を満たすべきだ、とする話もある。
朝早く、あるいは昼間、夕方の早くや帰宅してすぐにやりたいことをやるなど。
日中に対して「不自由しかなかった」と思わなければいいのだろう。
2は、せめても通常の就寝時間の1時間ほどを限度とするべきだ、との話がある。
このあたりから寝たくない心理でやった「寝る決断ができない」こととその意思の必要性に通じる。寝るという意思決定の「先延ばし」により、夜ふかしをしてしまう話。
今回よりも惰性的な状態ではあるが、どの道「寝る決断」ができない・しないことにより寝ないのは共通している。
裏を返せば寝ることには元から意思決定が必要である。寝落ちや居眠りじゃない限りは自発的な行動として「寝る」という行動が必要。
・if-thenルールや5秒ルールなど、無駄に悩まず決めたことを実行するテクニックは使えるだろう。
日中は数分でも無理という人は、少なくともリベンジ夜更かしという概念を認識し、時間制限を設けてください。
たとえば、ドラマを1本だけ見たら必ず寝るといった具合です。
そうすることで、自分時間が1日のスケジュールに組み込まれることになり、一件落着というわけです。
言ってることはif-thenルールに近く、内容には同意なんだが、「スケジュールに組み込まれる」点に警戒心が働いてしまう。
スケジュールに組み込んだ時点で、ストレッサーとなるパターンはある。
元から「予定があるとストレスを感じる」心理はある。
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特に寝る前に憂さ晴らしが必要な人は、日中は生真面目で、寝るスケジュールに「義務感」を感じるかも知れない。これだと逆効果になる気がする。
寝る時間だから寝る、これが終わったら寝る、5秒数えて寝るなど、せめてもそれまで気にしないでいられ、その時が来たら考えずに動けるような形がいいのではないだろうか。
でもスケジュールにしないとどうなるかわかったもんじゃないのも現実だしな。
こう、寝る時間の手前に「そろそろ寝る時間」を作って、それを過ぎたらif-thenや5秒ルールで寝る方向に切り替えるとかどうだろうか。
まぁ、自由な時間が足りないのは事実だよな。
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メモ
わかっててやってる人
・人によっては、夜更かしが一日のスケジュールとして組み込まれている場合もあるようだ。
例えば「全てが終わってあとは寝るだけ」のリラックスできる状態として、夜更かしの時間がある。これを早寝早起きして同じだけの時間を朝に持ってきた場合、「これからやることが色々ある」状態で過ごすことになる。
「これは幸せにならない」として、早寝早起きなんぞ絶対にしない、としている意見も見たことがある。
・この場合、睡眠時間を削る夜更かしではないため問題も出ない。これは一つの結論だろう。報復性夜更かしの問題は「寝なきゃいけない」のに夜更かししているからであり、夜更かしそのものが悪いことというわけでもない。
空き時間を作るつもりで積極的に動き、憂いのない「あとは寝るだけ」の時間として過ごすのはまったく問題ない。
・充実感とは疲労感の肯定的評価だと考える。要するに筋肉痛が「頑張った証拠」と捉えられてなんか嬉しいのと同じ。空き時間を作るつもりで積極的に動くのは当然疲れるが、それは充実感として評価されるだろう(職場でこれやると仕事押し付けられるせいで、時間いっぱいダラダラ動く癖が付いてる人は多い)。
充実感を抱えたまま「規定の夜更かし時間」を過ごした場合、すんなり寝るつもりになれるのではないか。
・先延ばし関係のまとめ
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