明日が来るのが怖いから寝たくない人

 「眠ったら、また明日が来てしまう」と思って寝たくない、というケースも有る。

「就寝」の場合、寝ることは明日になることと近い意味を持つ。寝たくないのではなく、明日になってほしくない。このため、眠くても無理して起きてる場合がある。

明日が来るのが怖い

明日が怖いとは言うが、明日特別に何かあるのではなく、「日常」に対してそう思っているケースも多い。何かしら不快感がある日常の、繰り返しに対しての感情。時に「繰り返し」そのものが、嫌悪感を抱く対象にもなる。

彼/彼女たちの話には、「恐怖を感じる対象」が出てこないことがある。それなのに人によっては、「このまま目が覚めなければいい」とまで思う。

寝る時に明日のことを考えてしまう

人間関係が原因の場合も多い。「明日会うだろう人」が嫌。
嫌な上司、嫌な教師、嫌なクラスメイト。家族って可能性もある。

まぁ嫌な奴が消えてなくなるということも滅多に無いので、人間関係の悩みとは基本「解決しない耐え続けなければならないストレス」と捉えられやすい。それが明日、また始まると考えればそりゃ嫌だろう。

そうではない場合、日中の活動、仕事、勉強に辛さを感じているなど。労働環境がブラックなケースがわかりやすい例か。今回の「明日が嫌で寝たくない」というのも、大体は仕事を指していることは多い。

明日が休日や祝日の場合のみ、このブログ内でこのページのアクセス数だけが半減するのも良い証拠だ。



 これらは「日常」に分類されるもので、次第に麻痺していくことがある。「慣れる」ではなく「麻痺」。

感情鈍麻などと呼ばる。また、燃え尽き症候群でも脱人格化と呼ばれる機械的な仕事ぶりになることがある。

つまり、ストレスはたまり続けるが、心当たりが自分でわからなくなることもある。

関連:
_燃え尽き症候群/バーンアウトシンドローム

ブルーマンデー症候群

・日常(平日)の何かに対してストレスを感じる人というのは多く、日曜の夜に「明日からまた仕事だ」と思うと憂鬱になるという話は多い。この症例をブルーマンデー症候群と呼ぶ。

サザエさん症候群との呼び方のほうが広まっているかもしれない。大体あのアニメが流れる頃が日曜の夕方で、その頃が「明日を気にして憂鬱になりやすい」タイミングのようだ。

日本の江崎グリコによるアンケート調査(2018年2月に働く男女と専業主婦の各400人に実施)では、「憂鬱に感じる曜日」は月曜日が各層とも最多だった。

また労働者健康安全機構の旭労災病院(愛知県尾張旭市)の研究によると、心臓への負荷(収縮期血圧×脈拍数)は月曜午前が他の曜日・時間帯より高い。

早稲田大学准教授の上田路子らによる人口動態調査票の分析では、男性の自殺が最多なのは月曜午前であった。

https://ja.wikipedia.org/wiki/サザエさん症候群


・厚生労働省の『自殺死亡統計の概況』によれば、男の一日の平均自殺数が月曜日が80.7人でトップ。次いで火曜日の70.8人。それ以外は55~65人くらい。
女は20~27人だが、それでもやはり月曜日がトップ。

時間帯は、男女ともに5~6時が多い。他に男は0時台、女は12時台が同じくらいに多い。

男に絞って見てみれば、この2つのタイミングは「日付が変わる」、「平日としての活動がそろそろ始まる」時間とも取れる。女の12時台はなんだろね。

・人によっては、元から月曜日は「それくらい嫌」という側面もあるのかもしれない。とりあえず全員7時まで寝てろ。
半分冗談、半分本気なのだろうが、うつ病の最大の原因は労働で、特効薬は現金だなんて言もある。

 「明日が嫌で寝たくない」という人の場合、明日が平日である限り毎日ブルーマンデーのような状態かもしれない。

「一週間単位」で一日を見ると、月曜日は憂鬱になる。ゴールが休日になり、そこまで最も遠い一日からだ。

その日の仕事が終わったところで「あと4回これを繰り返すのか」と思えば絶対嬉しくない。「今日一日は終わった」という開放感は忘れられる。

人に依っては「あと5回」だったり休日潰れてたりしてもっと酷い。


参照:厚生労働省 自殺死亡統計の概況 人口動態統計特殊報告

予期に依る「痛み」

 ただ、「この後のことを心配している状態が一番苦痛を感じる」ということは忘れないほうが良いだろう。実際の日常よりも、夜そのことを心配している状態のほうが「つらい状態である」可能性を。

数学嫌いが「これから数学のテストがある」と思った時に、脳が痛みを感じているのと同じシグナルを発していた。心理学者曰く「燃えてるストーブに手を乗せたときと同じくらい」だそうだ。

また物理的な危険、身体的な危害が予測できる状況で活性化する脳の部分と、同じ場所が活性化していた。

明日が来るのが嫌だと思うとき、脳が実際に「痛み」と同等のストレスを感じている可能性がある。

 重要なのは、「実際に数学の問題を解いているときにはほとんど反応を示さなかった」ことだ。「不安」が現実以上のストレスを与えていたことになる。

また、この痛みは主観的には恐らく「痛み」として認識されない。数学嫌いがテスト前に痛い痛い言ってるわけじゃないだろう。

その痛みと同等のシグナルは、恐怖や悲観などのネガティブな「感情として」知覚されていると考えることができる。

もちろん「嫌な明日」自体は存在するのかもしれないが、下手をするとその実体験以上に今現在苦痛を味わっている可能性すらある。

関連ページ
 精神と痛みについて

予定がストレスになる:予測がストレスを生む

関連ページ
 予定/約束があると落ち着かない/ストレスになる人

 「予定」である限り、それが楽しかろうが辛かろうが時間が近づいてくるにつれストレスになるなんて例もある。予定に対してうまくやろう、しっかりやろうと意識し過ぎであり、それがプレッシャーになっている面が大きい。

また、「予定」という不自由な状態自体がストレスなどもある。心理的には「仕事」の状態に近くなる。遊ぶ約束でも。
先程このページが休日前からアクセスが減ると言う話をしたが、入れ替わるように「予定がストレスになる」というページのアクセスが上がる。恐らく休日の予定がストレスだということだろう。遊ぶ約束とか、自分で決めたこととか。もちろん「付き合い」ってのもあるが。

予定自体が割とこんな面があり、今回は更に「明日が嫌だ」と思う点に心当たりがある。嫌悪感と言うよりは緊張や不安感に近い。

 厄介なことに、人は不安を覚えるものに対して無防備でいたくない。
このような心配や不安という形でそれに対して思いを巡らせることは、対策を練っている、心の準備をしているようなつもりになっていることが多い。問題は、それをどこまでも続けている時だ。


 人がなにか過去を思い出している時、それを「追体験/再体験」しているという説がある。反対に未来を予測や想像していても。

メンタルタイムトラベルというのだが、実際の碌でもない時間+それについて考えている時間=それについて悩まされる時間だとするならば、やりすぎは損だろう。

程々のところで思考を切り上げるということができないと、思考に囚われるかもしれない。
「案ずるより産むが易し」なんて言うが、産むのが容易いのではなく、時に「案ずる」ことが非常に苦痛をもたらすことのではないか。

 「自分が寝たくないと思うことが問題」ならば、日常をなんとかする必要は必ずしもあるとは言えない。日常がなんとかなったらぐっすり眠れそうでもあるのだけれど。大体はそっちのほうが難しい。

「嫌なことに対して無防備でいたくない」という気持ちが、時に裏目に出る。あと、気に病むだけなのは備えになってないってのもある。言葉通り「寝たほうがマシ」なのだが、当事者はとてもそんな気になれない。不安から目を離すことができない。

 ついでにいうと、夜は嫌なこと思い出しやすい。根本的な部分で悩むのに向いていない時間帯だ。明日が気になる前にさっさと寝て早起きしたほうがマシかもね。いや早起きするな7時まで寝てろ。

「時間が流れること」自体に不安を感じることがある

心理学で「時間不安」という概念が有る。時間がない、時間が迫っている、時間に追われている、時間が足りないなど、時間に対して感じる焦りと不安。

時間不安が強いと常に焦りを感じるし、神経質な生活態度になるとされている。寝たくはなくなるだろう。

時間不安には3因子が見いだされているが、今回の話と重複する点が多い。

・第一因子 経過意識

 ・このまま年をとっていくのかと思った時
 ・自分の人生が過ぎるのが早いと感じる時
 ・時間が過ぎるともう戻れないのではないかと感じた時
 ・休日を過ごしていてすぐ終わる感じがする時
 ・休日の夜、明日から学校だと思った時
 ・過去を振り返ってみた時

・第二因子 予期懸念

 ・これから嫌なことに立ち向かわなければならない時
 ・周りに取り残されているように感じる時
 ・授業などで自分が発表する順番を待っている時

・第三因子 目的未達成

 ・やらなくてはならないことがまだ手つかずで、何もできずに一日過ごしてしまった時
 ・予定をうまくこなせていない時
 ・課題の締切が迫っているのに、それがまだ完成していない時
 ・試験があるのに勉強していない時

https://embryo-nemo.com/388/

明日が来る=時間が経つだと考えればそりゃそうなんだが。
ただここから見ると、明日が怖い理由の内訳が、時間の経つ早さ自体が怖い、自分は今日何かしなくてはならなかった、なども考えられる。

うつ病の可能性について

 うつ病では、朝の新聞配達員が出す音を聞くと気が重くなる、なんて話がある。また、「職場や人が怖くなる」ことがあるとされる。

うつ病による不眠の症状はあるとされるし、「不安」はうつ病の代表格でもある。悪夢も多いとされ、どれも寝たくないという心境は発生しうるだろう。どちらが先なのかは微妙なところだが。

 うつ病は大きく分けて2種類あり、上記は「定型うつ病」や「メランコリー型うつ病」と呼ばれるタイプの話。従来のイメージ通りのうつ病という認識で良い。

これとは別に、非定型うつ病/ディスチミア型うつ病というものがある(10~30代を中心とした世代に多い)。こちらの症状は従来のうつ病のイメージといくつか違う点がある。今回に関連していそうな要素だけ並べれば、

  • 楽しいことは楽しめる(会社では死んだ目をしていてもプライベートでは元気など。メランコリー型は好きなことも楽しめなくなる)
  • 夕方から夜にかけて具合が悪化する(メランコリー型は朝が具合が悪く、夕方から夜にかけて軽くなる)

この2点、楽しいことは楽しめる上に夕方から夜にかけて具合が悪化するということは、つまりは平日が大分苦痛なことになる。つまらない時だけ元気で、自由な時間に具合が悪くなるのが毎日なのだから。

 ただ、非定型の方は過眠の傾向もあり、寝たくないという気持ちとは一見一致しない。早合点もよろしくないだろう。

抑うつと不安や焦燥

 不安が焦燥感に繋がり、じっとしていられなくなるという話はある。

うつ病の場合の「焦燥」とは、静かに座っていられない、足踏みをする、手首を回す、皮膚や服その他のものを引っ張ったりこすったりする、といった症状が含まれます。

https://utsu.ne.jp/depression/mind/

この仕草はタイプAとも酷似している。

うつ/抑うつによる不安→焦燥感→上記の行動傾向→寝るつもりねぇなコレ、というのは言える。

これだと結局「明日が嫌だと眠れなくなる」ということの証明にしかならないが。

なお、うつ病に限らず「抑うつ」とすれば、これは心理的な状態であり、うつ病じゃなくてもなる。


 不安というのは必ずしも悪いばかりでもなく、「しっかりやるため」に機能している側面が有る。侵入思考などの「悪いことが思い浮かぶ」のも、そうならないための行動を本人に取らせるための機能だともされる。それが焦燥となってしまうと、むしろ失敗の原因ともなるだろうが。

・案外、寝たくないのはネガティブな不安ではなく、ポジティブな意気込みなのかもしれない。どちらにせよ気にしすぎなのは確かだろう。


関連:
_タイプA:A型行動
_抑うつリアリズム
_精神不安定性 Neuroticism
_嫌な考えが頭から離れない 侵入思考について


周りに合わせることに疲れてきた

 過剰適応と言って、「周りに合わせすぎる」という心理はある。他者に合わせる分、自己は抑制される。その分疲れるし、そのうち嫌になる。

表面上周囲と適応できているが、心理的に納得いっていない、自分らしさがない、やりたくないことをやっている感がするなどを内的不適応と呼ぶ。さらに「そんなことを思ってはいけない」と感情を否認する傾向も有り、これをやると病みやすいし、更に周りに合わせようと頑張り過ぎることもある。

これらの性格的特性はメランコリー親和型と似ている。真面目で責任感が強く、自己犠牲的。これは個人的な意見だが、うつ病の前兆として恐らく過剰適応は見られるのではないだろうか。

これらは大抵「自覚がない」とされる。つまり無理をして自分を殺してまで周りに合わせていることへの自覚がない。ただストレス自体は蓄積する。「いつストレスが溜まっているのか」くらいは身体がわかるだろう。
明日が何の変哲もない平日で、なおかつ寝たくない、寝るのが惜しいほど嫌なのならば、日常的に過剰適応しているのかもしれない。


環境が問題の場合

 「明日が嫌」というキーワード、「学校」や「会社」とセットで検索されていることが多い。労働環境や人間関係など、内訳は様々だと思うが。

これらの問題に対して、「気の持ちようだ」なんてアドバイスが飛び、そして炎上するなんて光景もまぁだいぶ見慣れたが、あながち的外れでもない。それで解決する場合もあるし、気にしないで済むなら気にしない方がいいのは確か。ただし程度による話で、「しちゃいけない我慢」もあるのは確かだ。


「その仕事に向いてないから明日が怖いと思うのだ」との声もある。そうかも知れないが、「向いてない」と一口に言っても色々ある。

職種が自分に向いてない。例えば体力がないのに肉体労働に就いた場合など。

会社が自分に向いてない。例えば個人主義が、「会社は家族」がスローガンで週末飲み会が義務化してる会社に入ったらストレスフルになる。

そして職場での人間関係の問題。

この3つは、一口に「職場と合わない」なんて一括して言われたりする。確かに職場を変えれば内訳がどう有れクリアできるかもしれないが。
しかし向いてない職種・会社にまた入ったり、同じような対人トラブルに巻き込まれないためにも、理解は深めたほうがいいのではないか。自分に問題があるとは限らないのだが、「問題がある奴を引き寄せる特性」を持っている場合もある。


 環境から距離を置くことを「逃げる」と称し「恥」と繋げる向きも多いが、関わるだけ損な相手や環境に対して時間を浪費するのも好ましくないし、何より好転の展望が見えないままに有害な環境にただ耐えるのは最悪な事態になりかねない。
ちなみに自己愛性人格障害の人間と縁を切った人に「何が一番損害だったか」と聞いたら、「関わった時間全て」と返ってきた、なんて話もある。

 環境が強いストレスを与えるようだと、冷静に物事が考えられなくなってくる。
行動経済学に「トンネリング」と「ジャグリング」という概念がある。トンネルの中にいるように周囲が見えず、それ故に突発的(に感じる)トラブルに対してジャグリングをするように場当たり的な対処を繰り返す、そして自分がそういう状態だと気づかない。

中室さんが実例で説明するのは、ご自身の、スラムの調査研究での体験。その日暮らしのスラムの人々は、毎日小さな一回分の梱包されたシャンプーを買う。ほんのすこしお金を貯めればボトルが買え、節約にもなるのに、その行動ができない。

先を見通して、合理的な判断をくだすという思考経路が働かないのです。

https://news.line.me/articles/oa-mainichigahakken/de2ac1d2aefc

この状態になると、いくら方法があっても当人的にはそれに気づけず、絶望してしまったりもする。
過労による自殺で「そうなる前に会社をやめればよかったのに」と後出し孔明されたりするわけだが、こう言った心理的な状態も一因ではある。

このような時、自力で全て対処するというのは無理がある。というか、ひどくナチュラルに「自力で全てやらなきゃいけない」と思ってたりするわけで、既にトンネリングが始まっているように見えるケースも多々ある。

相談相手を作っておきましょう、というコミュ力の話に限らず、普通に金払って退職代行を使うなどもあるわけで。ちゃんと弁護士がやってるとこじゃないと違法や無効になったりするが。

法的には雇用者と被雇用者は対等なんだが、まぁ実際にはアレなことも多い。中小企業の場合はそもそも雇用者が労働基準法をろくに知らないケースがかなりあるという話もあったしで、弁護士が間に入ったほうが安全だろう。

 人間関係ではなく、労働環境そのものが当人にとって問題だ、というのも多いようだ。

これらはきつい仕事だと言われている。人手不足、というか「求人誌の常連の業種」というイメージもあるな。

こういった退職代行の利用者が若い世代であることも「最近の若い者は」なんて言を誘発するが、業種や会社が時代に対応できていない面も多々ある。
2019年4月から従業員の有給消化は会社の義務となったわけだが(罰則あり)、中小企業の一部は「タスケテ!会社潰れる!」とか言ってる状態だし。



明日が嫌で寝たくないことの対策

不安と不眠の悪循環の危険性

・脳的に言えば、不安や恐怖は扁桃体が過剰に働いている状態となる。
これを抑えるのは前頭前野と呼ばれる領域だが、睡眠不足が続くとこの場所の働きが弱まってしまう

・睡眠不足により、感情のコントロール能力が減るということ。その分感情に「飲まれる」ことが増える。次はさらに不安感が増す。繰り返せば更に感情のコントロール能力が失われる。

・今はまだ「寝たくない気持ち」で済んでいるのなら、寝たほうが良い。「眠れなくなる」前に。

・そもそもその「初めの不安感」自体が、蓄積された睡眠不足(睡眠負債)のせいではないかと疑うことも出来る。

全く同じものが、2人の人間には全く別物に見えるということは心理的には有る。「無表情な人の写真」を見て怯えている、怖いなどの印象を受ける状態になる。

これは扁桃体がその様なイメージを作り、それをフィルターとして見るためだとされている。

・一方で睡眠はストレス解消にはかなり良質な行動だとされている。本当に、眠れるならば寝たほうが良い。寝たいかどうかという「気分」での判断ではなく、寝る時間かどうか、眠れるかどうかだけで決めてしまった方が。

恐怖と不安について

・恐怖と不安は別物とされる。恐怖は具体的な対象がある。不安は精神医学的には「対象のない恐れの感情」とされる。今回の「怖い」がどちらになるのかはそれぞれだろう。


 恐怖(=原因が具体的なもの)に対しては、準備をすることは有効になる。調べてみると仕事が忙しい、難しい、だから明日が辛いという言は多かったが、対処法は予習復習が有効だったという声もある。

明日というより仕事とかが嫌すぎて、反対に自由な時間には仕事のことは一切考えないようにしようなどの、「避ける意識」は多いように見える。

ただ、「安心」をするためには、準備や予習復習などのほうが良い。気にしないでいることが無理なのは、身に染みてわかっているだろう。


 不安に対してだが、具体性がないのが難点だ。対策のしようもない。裏を返せばただの「気分」、もっと言えば「気のせい」かもしれない余地もある。

例えば友人と遊びに行く予定がストレスだ、という人も多いが、多くは「行ったら楽しい」との感想もまた多い。この上でまた予定が決まるとストレスだったりする。不安感が全く役に立っていない。このような、気にしないに越したことはない可能性はある。

夜はネガティブな事は考えやすいという話は在る。そうじゃなくても前述の自殺の話などの例から考えて、あまり深く考え事をするような時間ではない。不安を抱える時間帯そのものを、その前に寝ることでとりあえず避けてみるというのはアリかもしれない。

考えないようにする努力は逆効果になるかもしれない

 明日を気にしているのか、気になってしまうのか。自ら気にしているなら良いんだが(眠れないからよかないが)、明日が「気になってしまう」なら、これは侵入思考として扱って問題ないと思われる。

勝手に嫌なことを思い出したり、思い浮かんだりすること。しつこいので「反芻思考」とも呼ばれる。


 侵入思考に対して、「考えないようにする」という方略は恐らく逆効果になる。このことについて論文にも書いてある有名所だと、シロクマ実験がある。

聞いたことあるかもしれないが、「何考えてもいいがシロクマについて絶対考えるな」と言われるとシロクマのこと考えるという話。


 この現象の解説として有効なのが皮肉過程理論であり、簡単な話、「シロクマについて考えてはならない」ということを「覚えていなくてはならない」時点で割と矛盾が発生しているからだ。

要はシロクマのイメージは頭の「ブラックリスト」に入るわけだが、ブラックリストの中を見なきゃわからないから。

この上で常に脳内をチェックするならそれだけ警戒の範囲は広がり、結果として「他の動物見てもシロクマを連想しやすい」というところまであり得るとされる。

この「皮肉」がどれだけ強いかと言えば、シロクマのことを「覚えておくように」と指示したグループよりも「絶対に考えないでください」と指示したグループのほうがバッチリ覚えていた、という結果が物語っているだろう。


 別の研究では厄介なことに、思考の「抑制」は一時的には効果があるが、その後もっと酷くなる傾向が観測されている。

それよりも代替思考、つまり「何か他のこと考える」ことのほうが害なく考えずにいられる。

代替思考の内容次第では、もっと酷いことになる。うつ病の人間は、日頃からネガティブな代替思考を行っていると示唆されている。


ある研究で良い効果が出やすい代替思考の内容は、

  1. そのことに関連している方が効果がある
  2. ポジティブな方が効果がある


この2点。

関連:
_侵入/反芻思考への対策
 
 似たような境遇かつポジティブな結末を迎えるような本を読んでも、代替思考の代わりになると思われる。読書がストレス解消効果があることは昔から話に登るが、読書が代替思考として機能し、侵入思考を湧かせないからとも考えられる。
 

系統的脱感作法

 不安を感じることをイメージしながら体をリラックスさせる。要は不安を感じるようなことに対して身体が反応しないようにする訓練。

イメージ対象は、軽く嫌なものからすごく嫌なものまで予め階層化しておき、軽いものから慣らしていく。

弛緩法(リラックス法)としては、身体に10秒程力を込める→20秒ほど力を抜く筋弛緩法などがある。論文などではシュルツの自律訓練法が使われる例が多いが、あれは独学でやるのは少し危険かもしれない。

系統的脱感作法は、パブロフの犬などの古典的条件づけがベースとなっている。

「ベルを鳴らす+エサをやる」→「ベルが鳴るだけでヨダレが出る」という条件付けばかりが有名だが、この状態から「ベルでヨダレが出るが、エサは出てこない」ということを繰り返すと、条件反射は観測されなくなる。

これは「消去」と呼ばれている。個人的には「なにもない」ということを新たに学習した「上書き」だと思うが。

系統的脱感作は、想起と反応(今回の明日のことを思う+眠れない)を、ここで言う「消去」を狙って慣らすことになる。

後の暴露療法(暴露反応妨害法)へと発展するが、あちら系は専門家以外がやると酷いことにしかならないだろう。

関連:
_第一世代(行動療法)

マインドフルネス

・マインドフルネスで扁桃体を沈静化出来るとされている。系統的脱感作よりは副作用の心配はないだろう。

脳の可塑性や認知の仕組みなども知っておいて損はないだろう。あとアクセプタンスも。
なお認知療法としては、系統的脱感作法は第1世代(行動療法)、マインドフルネスの一部は第3世代の治療法に位置づけられる。

関連:
_マインドフルネス認知療法(MBCT)
_アクセプタンス(受容)とマインドフルネス
_可塑性とは

関連ページ

眠いけど寝たくない心理

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