扁桃体と不安や恐怖感情など

・扁桃体とは、簡単に言えば脳の一部であり、アーモンド(扁桃)っぽい形をしている、主にマイナス感情に関わる部分。

様々な精神疾患で機能異常が確認されている。

大きさは15-20mm程度。

左右に2つ。

好き嫌いの判断もここで行われている。

赤い部分が扁桃体。
※引用:Wikipedia

・扁桃体の過活動は様々な感情的問題の理由となる。この記事作るにあたって色々改めて見て回ったが、脳内的な意味で地獄作成機にはなり得る。

もういっそ扁桃体なんていらない、なんて言う人もいたりする。まぁ気持ちはわかる。

扁桃体と感情

・不安や恐怖といった感情の中枢とされている。これらのマイナス感情を感じている時、扁桃体は活発になっている。

・症状として過度な不安、恐怖感情があるうつ病、不安障害、PTSDでは、扁桃体が過剰に活動していることが確認されている。

・例えば社会不安障害で人前でスピーチしようとした際には、扁桃体の血流がかなり増加する。その血流量は、恐怖度に比例する。このように環境や心理状態に対してかなり鋭敏に反応する。

・他の脳領域に「危険に備えるよう」に警告を発する、とされている。扁桃体が過活動だと、脳全体が疲弊する余地がある。

扁桃体と海馬との関係性

・海馬は主に記憶を司ると周知されている。場所的に扁桃体のすぐ隣りにあり、機能的にも連結している。

・扁桃体は喜怒哀楽、快不快の感情を海馬に送っている。これにより保存された記憶が刺激となり、扁桃体を過剰反応させることがある。

・海馬(記憶)が扁桃体を刺激して不安や恐怖を呼び起こすトリガーとなり得る。
海馬自体はストレスに弱く、不安状態が続けば萎縮/傷つくことがある。

・要するにかなり嫌なサイクルがこの二者間で形成されることが有る。

扁桃体と怒り

・恐怖や不安と怒りは正反対だと思う人は今でもいるのだろうか。怒りは恐怖や不安から発生するものであり、根源が同じである。

・「怒りは二次感情」つまり感情に対して湧く感情だともされる。この場合最初の感情は不安や怖れとなる。

「戦うか逃げるか反応」と呼ばれる緊張状態も、この2つが同列の2択である。逃げることと怒ることは根源は同じ。選択が違うだけ。
頻繁にこの状態になることは、臆病であることと変わりはない。

・怒りが特殊な珍しいことだとしているとピンとこないかもしれないが、要するに認知的不協和、驚いたとか、思ったのと違うとか、その状態の時点で扁桃体は活発になり得るということ。

・怒りを感じる時、扁桃体からはアドレナリンやノルアドレナリンが分泌され、これが恐怖感情を作っている。

原始的な怒りは、恐れから引き起こされます。それが抗議行動に移ることにより、怒りという形で表現されるのです。

https://www.nobetech-mag.jp/column/%E6%BE%A4%E5%8F%A3%E4%BF%8A%E4%B9%8B%E3%80%90%E7%AC%AC1%E5%9B%9E%E3%80%91%E6%80%92%E3%82%8A%E3%81%A8%E3%81%AE%E6%AD%A3%E3%81%97%E3%81%84%E4%BB%98%E3%81%8D%E5%90%88%E3%81%84%E6%96%B9/

・なお、怒れば怒るほど脳細胞が死ぬとされている。老人の場合は認知症の進みも早くなる。

経営者が認知症になりやすいというデータが有り、これが「怒りをぶちまけやすい環境にいるから」だとされている。

扁桃体と感情コントロール

・扁桃体は恐れ、不安、怒りなど、人を理性的でなくす感情を作る。生物として必要な機能、必要なシグナルではあるのだが、過剰であれば害をもたらす。

・前頭葉の一部である前頭前野が、感情を制御する。これは成人後も成長を続ける。老人が怒りっぽくなるのは、この部分が萎縮するからだともされる。

扁桃体と発達障害


ADHDの扁桃体

・定型発達者(発達障害じゃない人類)と比較すると、扁桃体が小さい傾向がある。

調査の結果、ADHD患者は脳全体の体積、特に尾状核・被殻・側坐核・扁桃体・海馬という5つの領域が通常よりも小さくなっていることが明らかになりました。

https://gigazine.net/news/20170217-brain-difference-adhd/

この5箇所はどれもが脳の中央部にある。

ただし、大規模研究でようやくそういい切れるくらいデータが揃う程度の小さな差とのこと。

この結果は、投薬の影響とは無関係だとされている。つまり薬のせいではないし、良くもなっていない。

・一方でその小さな差は、実態としては大きく現れるのかもしれない。

ホーグマン博士は「ADHD患者と健常者の間で見られたような脳のサイズの差は、他の精神障害、特に大うつ病性障害の患者でも見られます」と語っています。

・幼少期にはこの差は大きい。成人後はこの差は埋まってくる。

ASDの扁桃体

・他者の目を見ると活発になる傾向がある。

ASDでは他者の目をみる時間が長くなるほど扁桃体がより強く活性化されることを報告した4)。

https://repo.lib.tokushima-u.ac.jp/files/public/10/109750/2017092914353329335/LID201607152003.pdf

まぁ視線恐怖症ってあるし、ASDじゃなくてもそんなんな気がするが。

・ASDは共感能力がない、人の気持ちがわからないと言われるが、扁桃体の活動が低いとの話。

異なる課題が用いられたものの多くの研究に共通する所見は,ASDにおける「心の理論」の獲得障害は,内側前頭前野,上側頭溝および扁桃体の活動低下と関連している,ということである6‐9)。

脳の中心部は学習機能に関わっている事が多い。これらを活発にさせるドーパミン自体がそう見られて研究されていたりもする。

・ADHDとは逆に、幼少期には扁桃体が大きい傾向がある。やはり成人になるに連れこの差は埋まってくる。

幼児期のASDでは扁桃体体積は増大しているとする報告17)が多い。思春期以降,正常対照と差がみられなくなり,ASD成人ではむしろ減少しているとの報告18,19)がある。

サイコパスの扁桃体

・サイコパスは人格障害とも精神障害ともされることがあるが、ジェームスファロンによれば遺伝的、脳的な先天的な要素もある

・彼らもまた共感能力ない、恐怖を感じない、罰を理解しないとされている。

サイコパスと判定された犯罪者は、扁桃体の活動が通常の犯罪者よりも弱いことがわかった。
また、彼らが道徳的な判断をどのように下しているのか調べるために、暴力的な写真を次々と見せたところ、それらに道徳的な問題があることは認識するが、道徳的な判断を助ける脳の領域の活動が弱い傾向にあることがわかった。

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/020600055/?P=2

ASDと同じくこの辺りの働きは弱いとされている。そしてこの機能不足を補うため、他の「論理的な部分」を使っているとも。このため冷血な合理性を見せる傾向。

通常は善悪は「感じる」ものだが、サイコパスは考えて判断しているとの話。

・ただし同情心、共感能力は鍛えることが出来るらしく、2~3日のトレーニングでも他者に手を差し伸べることが増えたとのこと。

扁桃体と性格や精神状態

扁桃体と内向型

・赤ん坊の頃に、些細な刺激に反応するか無反応かの違いは、その後の内向型、外向型どちらになるかに関連がある。発達心理学者のジェローム・ケーガンによる研究。

鈍いと外向型、敏感だと内向型になりやすい。この敏感さに扁桃体が関わっているのでは、なんて話もあるが、詳しいものは見当たらない。

同様に前頭前野も発達している傾向がある。肯定的に言えば内向型は、用心深さと自制心/理性が発達している。なので考える仕事に向いているとされる。

前頭前野はストレス耐性と関わっている。扁桃体とともにこれが発達しているということは、ストレスを感じやすいが、処理能力も強いと言える。

・「度が過ぎた内向型」みたいなHSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)では、扁桃体は過敏だと言われている。

これらは刺激への「感度」の問題だとされる。

扁桃体と精神疾患

扁桃体と恐怖症

・扁桃体自体が恐怖心を扱うため、恐怖症全般と関わりは深い。

・社会不安症(対人恐怖症)では扁桃体の過活動が見られる。
扁桃体が「病態生理の中心的役割を果たす」とされている。

扁桃体がセロトニンが受け取りにくくなっているらしく、投薬として選択的セロトニン再取り込み阻害薬(セロトニンが消費されないようにして、セロトニンの働きを強くする)などがある。

・恐怖症は様々ある。その対象は呆れるほど多い。wikiによれば、クモ恐怖症にピエロ恐怖症、色恐怖症に音楽恐怖症、片栗粉恐怖症なんてのもある。感触が怖いんだそうな。

どう考えても対象自体は中立だ、というものにも恐怖症の人がいる。これはモノ自体に原因が有るのではなく、脳内にそのようなシステムが構築されていると考えるほうが自然だろう。

扁桃体とうつ

・うつにも見られる、「人が怖い」という感覚に説明がされている。

ネガティブな身体信号が脳に送られることで、扁桃体は「不安や恐怖」「嫌悪感」のマイナス感情を感じさせる「嫌悪系顔表情イメージ」が作られます。
このフィルターを通して周囲の人の顔を見るので、うつ・メンタル不調をかかえる人は、周りの人がすべて自分にとって「怖い存在」に見えたり、「敵」に見えたりするのです。

https://president.jp/articles/-/22878?page=2

一部の恐怖症での研究でも、無表情な顔が「怯えている」ように見えるなど、バイアスがかかっている。

・うつ病が再発する理由として、環境的に扁桃体が安定できるものではないから、とする考えがある。

・うつ病患者の扁桃体の大きさについては、報告が一致していない。小さい、大きい、変わらないなどバラバラとなっている。
参照:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsbp/20/3/20_3_171/_article/-char/ja/

扁桃体とトラウマ/PTSD

・ストレスホルモン(コルチゾールなど)により扁桃体が障害を受けているとされている。

・一見するとPTSDも扁桃体の過活動に見える。実際にそのような研究報告も有る。ただし一方で、活動が弱くなっているとする報告も有るとのこと。

これらは共に事実と考えられ、前頭前野などからの抑制の司令を受け取り弱まる、前頭前野などが弱まることにより過活動になる、とされている。

参照:https://kokoro-hino.tokyo/?p=548

扁桃体と統合失調症

・扁桃体は左右に一対あるが、統合失調症の扁桃体は特に左側が萎縮している。

多くの研究者の間で一致している意見としては、対照群に比べ脳室(脳の中心にあって脳脊髄液という液体で満ちている空間)が拡大していること(逆にいうと脳の実質が小さくなっているということ)、
前頭葉や側頭葉が小さいこと、
大脳辺縁系の海馬や扁桃体がとくに左側で小さいことなどです(ただし、小さいといっても統計的に対照群と比較して小さいということで、脳の画像を見て診断ができるほど大きく違うということはありません。 それでもこのような所見が研究者の間で注目されるのは、これが統合失調症の本質的な病因を探るための手がかりになるのではないかと考えられているからです)。

https://www.smilenavigator.jp/tougou/about/science/

扁桃体と認知症

・認知症では、扁桃体と海馬は共に萎縮する。

・学習能力/記憶力も落ちるとされる一方で、感情と結びついた記憶は認知症でも新しく覚えることができるとされている。

これは扁桃体(感情)と海馬(記憶)が隣接しているからともされる。珍しく扁桃体が活躍しているという話。本来の仕様とも言えるが。

扁桃体を摘出したらどうなるか

・位置的に脳みそほじくらないと取れないためえらい大掛かりなことになる。

一応「てんかん」の手術として「選択的海馬扁桃体摘出術」というものはある。が、相応の覚悟が必要とのこと。

・ただ、この様なキーワードが出てくるくらいには、扁桃体がもたらすと考えられている感情/情動には煩わしさが感じられている。

「虫歯があまりにも痛いから」って理由で、銃で虫歯をぶち抜いた事件が海外であるが、そんなレベルの人もいるのかもしれない。

調べてみると、冗談抜きで扁桃体とセットで検索されている言葉に「破壊」とか「摘出」とか「除去」とかあるので、煮詰まってる人は煮詰まってるかもしれない。

あ、露骨に「ぶっ壊す」ってのがあったわ。

・遺伝病のせいで扁桃体が機能しない女性の話がある。
どうも恐怖心が機能しないため、好奇心のほうが勝ってしまい、危険な行動が増えるようだ。

実験を通じてS.M.さんは「恐怖」を感じる様子をまったく見せず、事前に「クモやヘビは嫌いでいつも避けるようにしている」と語っていたにもかかわらずペットショップを訪れるとすぐにヘビやクモを触りはじめ、研究者らを驚かせたそうです。
なぜ嫌いな生き物を触ったのかと聞かれると、「好奇心に勝てなかった」と答えたとのこと。
3児の母であるS.M.さんは、自宅近くで大きなヘビを見かけると怖がることなく近づいていって持ち上げる様子を子どもたちに目撃されてもいます。

https://gigazine.net/news/20101225_fearless_without_amygdala/

ちなみにポジティブ感情は普通にあるらしい。脳的には別の場所だし。

気になることがある場合、サイト内検索をしてみてください。

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