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33分33秒の法則:ユージン・シュワルツの作業スタイル

投稿日:2019年3月11日 更新日:

概要

・集中/専念し、やり遂げるためのライフハックの1つ。集中法というよりは、「専念法」とでも呼んだほうが相応しいだろう。

・最も良い点はルールにあり、これは「やる気」に頼らず着手する方法として確立する。
端的に言えば、「やる気がなくてもできるし、ない時はこれをやればいい」と言える方法。

方法

①タイマーで33分33秒をセットし、席に座る。

②以下の禁止

1:席を離れてはいけない
2:本来の目的意外のことをしてはいけない(スマホなど)

③以下の許可

1:その間飲み物を飲んでもいい
2:よそ見をしても構わないし、壁でも窓でも見つめていてもいい
3:33分33秒まったく、何もしなくていもいい
4:作業をしてもいい

④時間が来たら途中だろうが中断して10~15分程度の休憩。

33分33秒という時間について

  • ゾロ目な事自体は意味はないだろう。一発で覚えられるインパクトがあるのは、彼がコピーライターだからだろうか。ただこの辺り好きにいじったりすると時間設定の意識は甘くなる。調子がいいから長めに、気が散ってるから短めに、なんてやってたらそのうち無意味となる。
  • 一度に集中できる時間は一般で思われているよりも(求められているよりも)少ない。大学が90分なのはそれが集中の限界だからだ、というのはデマである可能性が高い。大学側の都合である説が有力。
  • 集中法は大半が比較的短い時間となっている。知ってる限り、少なくてポモドーロ・テクニックの25分、多くても48:12法の48分。33分33秒の法則はこの範囲内にある。集中が十分に可能な時間設定と言える。
    • ベネッセは15分勉強、5分休憩が勉強効率がいいと発表したが、勉強に限った話であるのでカット。今回はクリエイティブな作業向けの側面が強い。
  • 「時間を設定する」事それ自体にも価値がある。パーキンソンの第一法則は「仕事の量は完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」である。時間を設定しないと無尽蔵にダラダラするか、或いは早く開放されようと雑なことになる可能性が高い。

禁止されている事柄について

・②の部分は総じて「タスクに手を付けるか、何もしないか」の二択を意味する。

これは例えば学校の授業時間に近い環境になる。勉強するか、空想にふけるか。居眠りする者もいるだろう。

やる気について

ところで夏休みの宿題は、7割がギリギリになってから消化していることが明らかになっている。そのくらい自発的かつ計画的に課せられたこと、為すべきことをする者は少ない。

では、テストはどうだったか。例え全くテスト勉強をしてなかったとしても、文字が読めないでもない限りは0点は取らないだろう。それなりに「分かる部分」があったはずだ。

なぜか。それなりには授業を聞いていたからに他ならない。
なぜ授業を聞いていたのか。他にやることないからだ。

つまりは世間の美化された「やる気」に頼らずとも、それなりには「授業の成果」は出ている。この「タスク以外に他にやることがない」状況を作る。

・さてこの時点で「効率が悪い」と感じる。
何もしない時間を許容する? 集中法と言っていいのか? と。

時間効率は悪く見えるが、そう思うことそのものが問題でもある。

人は集中しようとする際「できるのは当たり前」で、「効率的に実力を発揮して最速でやる」つもりでいる。
やる気があろうがなかろうがそのつもりでいるため、やる気が無いかやりたくない場合に苦しむ。

やる気はこの時点ですでに「なきゃいけないもの」であり、それを持っていない自分を責めるか、おかしいと思うか、向いてないと思うか、諦める。端的に言えばやる気が「タダ」だと思っている。実際にはレアなのに。

・やる気が無いのは二種類ある。
やる気が無いか、「やりたくなさ」が「ある」かだ。実際の所は後者のほうが多い。

嫌悪感、苦手意識、プレッシャー、学習性無力感もそうだし、これらは感情を伴う自動的に発生するものだ。また「もっと楽しいことがあるかもしれない」「もっと効率がいい方法があったら、これをやることは無駄になってしまう」という心理もあるとされる。

これは時間が経つと「潮のように引く」。単純に嫌だと思えばそんなホルモンが出るが、いつまでも出っぱなしってわけじゃないため。

感情的なものには大抵使える話だ。例えばアンガーマネジメント(怒りの管理)に於いては「6秒我慢しろ」とある。6秒でアドレナリン分泌のピークを迎え、後は落ち着いてくるからだ。

潮が引くまで他のことをしてはならないのは、それをやったら「やりたくなさ」の勝利であり、次もまぁ、そうなるからだ。

潮が引いたら退屈が来る。タスク以外にやることがない。

そして、人は根本的に退屈に耐えられない。外向だろうが内向だろうが暇があったら何かやる。ある実験では何もない部屋に被験者を配置し、「考え事をするか、自分に電気ショックを与えるか」という状況を作った。自分に電気ショック選ぶやつ続出したそうな。予めかなり痛いと知っていてこれだ。

・総じて「何もしなくてもいいが、何もしないままのほうが難しい」。どうせ退屈を持て余して、作業のほうがマシだとそのうち思うだろう。

許可されていることについて

・ドリンクOK、よそ見OK、何もしないのもOK、タスクOK、で作業とその他の扱いが同列である。学校よりは快適だね。

私達は「集中」に過剰なストイックさを連想しているように思うが、それがない。こう言った気楽さは大きいだろう。

また、タスクをやらなければならないではなく「やってもいい」としていることは、肯定的ダブルバインドに近い。どちらを選んでも問題ない選択肢。

「君はそれをやってもいいし、やらなくてもいい」という形の。ゲームブックに多い言い回しらしいな。

加えて「何もしなくていい」ことを「許可」している。恐らくあなたが最も納得がいかない点だろう。これは前述したとおり、集中に対してのイメージが「実力の発揮+最大効率+最速」であるからだ。

何もしないことは、効率的に見ればアウトだろう。ただ、スタート地点、集中しようとしている、集中しなきゃいけないその心理的状況は「思った以上に酷い」ことがとても多くある。気分にはムラがあることだし。

今回の方法はどちらかと言えばそのような集中ではなく、「自然と実力を発揮できる状態」という意味での集中であり、それを作るために機能している。

総じて、相当に「プレッシャーやストレスを感じさせない」ことを重視しているように見える。他の作家もそうなんだが、長丁場を意識しているので短期的な「やる気」を全く当てにしていない印象がある。つまり意志力ではなく、自然体で「取り組み続ける」事を狙った環境づくり。

休憩について

・これもほぼ義務に近い。ユージン・シュワルツはタイマーが切れれば文章の途中でも中断し、10分から15分好きなことをやり、そして戻って再びタイマーをセットした。

拡大解釈なのかなんなのか、「席は立たなければならない」とされていることも多い。まぁ単純に座りっぱなしは寿命を縮めると言うし、その方がいいだろう。

中断するとモチベや効率が気になるところだろうが、ツァイガルニク効果に挙げられる「未完の記憶は残りやすい」点などからそれほど問題はない。

また、前述の通り集中力が持続する時間を意識した時間設定になっているため、脳を休ませることは重要だろう。

先程はカットしたが、ベネッセの発表した実験では15分勉強+5分休憩を3セットの方が、60分連続で勉強をしたグループよりも記憶定着率が良かった。

これは簡単に言ってしまえば、休憩をはさみながら45分勉強しただけのほうが60分勉強するより効率がいいことになる。

この様な「本当の効率」はまだまだ未発見のことも多く、私達が認知している「効率」は最悪の場合オカルトである可能性すらある。

ともかく、休憩をしたほうが恐らくは「効率」が良いだろう。

・総じてユージン・シュワルツの集中法は「枠の中の自由」が多く、「余計なプレッシャーが殆どかからない」点で秀逸だと言える。

休憩したくない気持ちは飲み込むべきだ

  • 33分33秒の法則に限らず、ポモドーロテクニックでも「休憩したくない」との声は多い。せっかくやる気になってきたのに、という気持ちもあるのだろう。この様な「減速」への懸念は一見すると正しく思える。ただ、気にすることを間違えているようにも思える。
  • ユージン・シュワルツは物書きで、コピーライターとしてもそうだが、9つの本を書き上げている。つまり「その日一日で終る仕事ではない」ことが前提としてある。長丁場。持久力勝負。
  • 反面、やる気に従い休憩をしないことの最大のリスクは、燃え尽きてしまうことだ。今回は感情的資源は使わないだろうが、単純に脳の同じ場所使ってるとそこだけ疲れてくる。「ポモドーロテクニックで疲れる」というのもこれが大きい。同じことを続けているとほぼ確実に発生する「飽きた」という感情は、そのシグナルともされる。
  • 作家であるアーネスト・ヘミングウェイもユージン・シュワルツと同様に仕事ルールは独特だ。この内「やる気がある内にその日の仕事を終わりとする」「次が分かる所でやめることを心がける」などの点は、「長丁場を意識しているから」だろう。
  • 逆にやる気で作業ペースがブレることは、全力疾走する→横っ腹痛くなってヘロヘロに歩くことを繰り返すような、だいぶ情けない感じになる。全力疾走は基本的にリスキーで、ゴールまでに体力が持たない限りはマイナスの結果をもたらす。
  • 何よりもこんな事を続けていたら、その内着手すること自体が嫌になるだろう。「手を付けない」というのはかなり致命的になる。
  • 恐らくはやる気に対して吝嗇な心理が働く。要するにケチ。もったいない精神。せっかくやる気が出てきたのだから、とそれを活かそうと過剰に続け、裏目に出る。別にケチなのはいいが、方針が今回は適切ではないだろう。翌日に持ち越すのが最も効果的なケチり方ではないのか。

33分33秒が最も優れている点

  • やればやるほど気楽に「その時間」を初められるようになる。まぁ人間は退屈を死ぬほど嫌うのだが、少なくともタスクに対して苦手意識が湧くことは、既存のスタイルよりは圧倒的に抑えられる。
  • 人は「やる気を用いて劇的に進む」ことを夢想すると、やる気が出るのを待つ=それまでやらないとなる。これもハンマー釘病だろう。それ以外の事をやるつもりがなくなっている。
  • 33分33秒の法則なら、授業をなんとなく聞いてるだけでもテストで0点は取らないように、「やらないよりはマシ」な状態は確実にキープできる。
  • この上で、他にやること無いので自然と集中/専念する形になり、結果捗ることが大きく期待できる。
  • 言い方を変えれば、「やる気を待たなくても始められるようになる」。
    • ユージンシュワルツは、大抵開始してしばらくはぼーっとしていたらしい。

退屈の価値

 33分33秒の法則について、このサイトでは「キーは退屈だった」とされている。たしかに振り返ればこのルールは「退屈するために環境を整えている」と見ることが出来る。

一方で我々が日常的にやる気がないとか思うのは着手の直前、あるいは直後であり、退屈はしていない。退屈を感じる前にあの手この手を考えたり、諦めたり、別のこと初めたりしている。

やる気なんぞ無くていいのではないのか。作業興奮の話のようにやる気は後から出てくることもある。そうじゃなくてもやる気がなくてもできる。

ユージン・シュワルツとは

Eugene Schwartz(ユージン・シュワルツ)。アメリカのコピーライター。「伝説のコピーライター」などと言われることもある実力者。
美術品コレクターでもあり、聖書学者でもある。

・彼の仕事スタイルは、「週5日、一日3時間」だった。まぁ正確には33分33秒×6回。

彼自身が、週に5日一日3時間をライティングに費やすことで9つの著書、数々の成功させた広告などを達成したのだ、と語っている。

・彼自身は自分のデスク以外で書くことはなかったとされる。

・ユージン・シュワルツ自身はこの33分33秒を、大抵飽きるまで数分間何もせずに座ったままで、それからゆっくりと仕事に手を付け始めていたそうだ。

参照:
http://www.seojapan.com/blog/eugene-schwartz-copy-writing

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