会社に行きたくない:出社拒否症:うつ病と完璧主義

・まぁ、登校拒否があるんだから出社拒否もあらぁな。
出勤困難症、出社困難症などとも。

昇進により出社拒否

・会社に行きたくない理由が「嫌なこと」、つまりわかりやすいネガティブなイベントがあったからとは限らない。

・生来気の弱い頑張り屋で、昇進して係長になった。思ったよりも成績が上がらなかった。次第にうつになり、全身の倦怠感と不眠の症状が出た。

そのうち出勤途中が頭痛がするようになった。会社に近づくほどに酷くなる。これが毎日続き、休息を取りながらじゃないと会社にたどり着けない。

検査を受けても異常なし。

ある日、いつもどおり出社し、そのまま行方不明になった。

4日後に1000km離れた別の県で発見される。海岸でぼーっとしていたらしい。

当人はそのことをよく覚えていない。

「会社に行かなくてはと思ったらいつもどおり頭痛が激しくなった。その時なんとなく遠くへ行ってみたくなった。そう思ったら頭痛も吐き気もなくなった」

「とにかく現実から逃げ出したかった」

その後1ヶ月休職すると症状はなくなった。だが本人と相談の上で倉庫管理に配置換えをすると、その後症状は出ていない。

https://kokoro.mhlw.go.jp/case/671/

会社の玄関に来ると体が動かない


・その人は妻に車で会社まで送ってもらっていた。ある日、会社の玄関まで来ると、体がびくともしなくなった。それ以来、玄関まではこれるが、玄関をくぐることが出来ず、自宅へ引き返す日々が続いた。

以前、会議の場で上司に激しく叱責されたことがある。それをきっかけに眠れない日々が続いていた。
こちらも検査では異常なし。ただし4~5年前からうつ病を発症していた。

半年ほど玄関前で硬直することが続き出社が出来ず、有給も使い果たして引きこもりの状態に。

・当人の仕事ぶりは「非常に優秀」だったとのこと。

・産業医とは違う医者に見てもらい、薬も改めて処方され、症状が緩和した頃にこうアドバイスされた。

「会社にはとにかく行くだけでもいいし、座っているだけでもいい。途中で早退してもいい。」

もう一つ、「いつもの3分の1くらいの力で働きなさい」とも。

初めはかなり渋っていたらしいが、やってみると次第に玄関前でも顔が強張らなくなってきた。

https://diamond.jp/articles/-/8316

メランコリー親和型性格

・この2例はどちらも元々の性格が生真面目で、責任感が強い。知ってる人は知っているが、これはうつ病になりやすいメランコリー親和型性格と呼ばれているものに該当する。

詳しく言うと、

 ・35から50歳ごろに多い
 ・仕事熱心
 ・他人のために尽くす
 ・規則を重んじる
 ・真面目
 ・几帳面

など。ひっくるめると「燃え尽きやすい」+「細かい」性格と言っても過言ではないだろう。

逆にこれらの要素が全くないと反社会的と言ってもいいくらいになるので、まぁ加減の話だが。だからこそ「やればやるほどいいはずだ」という狂信的努力家は、やっぱり燃え尽きやすくはある。

・ただし今回は、症状が出る場面がかなり限定的になっている。「会社に行こうと思ったらこうなる」という形で。このような場合、うつ病というよりも適応障害と呼ばれることが多い。

適応障害は「ストレスで悪化し、そのストレスから離れると改善する」。つまり「会社がストレスだから調子が悪くなる」。

前述の例の「なんとなく遠くへ行ってみたくなった。そう思ったら頭痛も吐き気もなくなった」というのはまさしくこれだろう。

不調の理由

・出社拒否症も真面目な完璧主義が多いとされる。
「立派に仕事をしなくてはならない」が、「立派に仕事ができる自信がない」ため、苦しむ。このジレンマがストレスを生む。

・しっかりやろうとすればするほど、不安感が強くなる。ビッグファイブという性格分析の「神経症的傾向(ネガティブへの反応性)」がまさにこれで、強ければネガティブな予測が強くそれに対処しようとする。結果、仕事の精度は高いが、うつ病にもなりやすい。

反対に神経症的傾向が低すぎると、トラブルメーカーになる。ストレスには強いが、リスクを軽視するため、事故や事件を起こしやすい。

まぁ「繊細すぎる人」と「繊細さが欠片もない人」との比較だからこういう構図にはなる。

同様に悲観主義は悪い予測を立て、それに対応しようとする傾向が見られる。要するに慎重で用心深い。真面目なところには向いているわけだ。

・真面目にやろうとすると不安感が強くなる。この不安感のおかげで真面目にやれる。
度が過ぎると常に気分が落ち込んで、不安を感じる余力すらなくなる。このため「会社に行きたくないが自分で理由がわからない」ことはあり得る。体だけが反応しているんじゃなくて、自分の気持がわからないほどに疲弊していると言える。

「しっかりやらなければならない」という気持ちが強いほど、同じだけ不安感も強くなる。会社に行かなくてはならないと思えば思うほど、身体の不調も強くなるだろう。

・余談となるが、「やる前のやる気」が出ないのはこれが理由なことが多い。

さっさと手を動かせばその内終わるものに手を付けられず、かといって気にはし続けるかのようなことは多くに共通する話であって。

出社拒否症ならぬ「着手拒否症」とでも言えようか。これが目立つのが完璧主義で、「完璧にできないからやらない」となる。部屋汚いとか。どうも厳密には「完璧じゃないならやってはいけない」あるいは今回同様にもう「できない」って感じだが。

つまるところ、「しっかりやろう」とするのが裏目に出る。それが過度なら緊張を生み、硬直させる。先延ばしもこの緊張感から来ることがある。

メモ

・「会社に行きたくない」という気持ちとセットで検索されるキーワードには、なんとなく会社に行きたくない、死ぬほど会社に行きたくない、朝会社に行きたくない、どうしても会社に行きたくない、会社に行きたくないが理由がわからない、などがある。

もちろん「嫌なことがあったから」というケースもあるが、特定のタイミングや理由不明で異様に強く会社に行きたくないと思うことも多いようだ。

・今回の話は、ヴィクトール・フランクルの逆説志向がかなり当てはまるな。構造がかなり似ている。

例えば書痙。字を綺麗に書こうとすると手が強張りまともにかけない。これを「俺の書き殴りを見ろ」みたいな下手くそな字を見せつけてやんよってノリで書くよう指導したらとっとと治ったなんて話がある。で、やっぱり「人前で綺麗な字を書きたい」と思いすぎだったようだ。

・似たような話で発汗恐怖の例もある。汗っかきで「人前で汗をかいたらどうしよう」と不安に思うあまり、想像しただけで汗が吹き出る。

これまた「今度は人前でどれだけ汗をかけるか見せてやろうと挑戦してみて下さい」なんつってたら治ったという。

素直に信じた患者は毎度「発汗の新記録」に挑戦してみた。結果、4年続いた発汗恐怖が4週間で治ったそうな。

・これらも「緊張」が身体的症状に現れている。だがそもそもその「緊張」は「しっかりしたいから」発生したという皮肉な形となっている。

このような状態を「過度の自己反省」や「過度の自己観察」と呼ぶ。この状態になると以上のような「逆説」の状態になる。

・ちな、全くの正反対に「家に帰りたくない」という帰宅拒否症もある。こっちはこっちでそこそこいる。

気になることがある場合、サイト内検索をしてみてください。

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