予定がないと不安な人

  • 元から人間は自分に電気ショックを流したくなるくらいに退屈が嫌いだよ
  • 予定がない自分は価値がないと感じるタイプがいるよ
  • 何かしてなきゃ時間がもったいないと思うタイプがいるよ

予定がないと不安

・不安を感じる対象やその理由などには少し違いがある。

「予定」が何を指すかも微妙で、「今からやることがない」のが嫌だったり、「スケジュールが空白」が嫌だったりがある。

・不安の質は大体2つ。

  • やることのない自分は無価値なのではないか
  • 何かしなくてはならないのではないか

・スケジュールが埋まってないと不安なのは、他者に存在価値などを認められたい心理があったりする。

・元から常に何かしていたい、じっとしていられないタイプもいる。このタイプは「暇」に慣れていないため、時間を持て余す。

・忙しくないと不安。締切間近の「覚醒」みたいなのは現実にある。あの感覚が好きな人。

・この焦りは年を経るごとに治っていく傾向がある。

・自分で予定を埋めておいて、実行する頃になるとストレスに感じるめんどくさいタイプもいるようだ。

予定がないと不安な人を表す言葉

・割とそこら中にいるため、その表現も複数ある。

傾向としては、

  • 予定がないと不安であり、
  • 反応として予定を埋めようとする
    • それがやりすぎなこともあり、ちょっと悪目立ちしている場合もある

そんな感じ。

・ただ、マインドフルネスの分野では散々言われていることだが、人間は元から常になんかやろうとしている。問題を探し、解決し、また何か問題を探すとか。「することモード」と呼ばれるこの状態が基本形だったりする。

マインドフルネスの「今ここ」あることモード:普段の意識のすることモード
・マインドフルネス認知療法(MBCT)のシーガル、ウィリアムズ、ティーズデールによれば、意識は2つのモードがあるとされる。 doing mode(することモード)とbeing mode(あることモード)。・することモードは実行を意識して...

隙間不安シンドローム

・シンドロームとは症候群のこと。症候群は原因が特定できず、複数の病因が想定される病態を指す。

これらの言葉は結構軽く使われることも多く、ただの「名前」に過ぎないこともある。今回も別に精神病などとはされていない。

・一見すると活動的で、休日は習い事をしたり遊びに行ったりと充実しているように見える。

・スケジュールが埋まっているとうっとり。キャンセルされたりで隙間ができてしまうと、代わりの人を必死に探すなどしてまた埋める。


・実際の所は「一人でいたくない」という心理が強く、無理をしてでもスケジュールを埋めている。

結果として活動的になるが、元気で動いているというよりは不安から逃れるために動いているため、疲れていたりもする。
予定が埋まることが目的になっていて、当日はめんどくさいと思っていたりもあるようだ。

・予定の中身は割と何でもいいため、他人からは「集まって騒ぎたいだけの人」「じっとしてられない人」みたいな感じになる。一般的にもそんな気分はたまにはあるが、いつでもじゃない。

・一人でいると、自分が「不要な人間」に思えてくる人もいるらしい。このため他人と関わりがある予定を入れたがる。

その姿を大勢に見せたいという願望もある。このため「予定がびっしりの手帳を見せてくる」なんてこともあるようだが、質的にはスカスカだったなんて話もある。

・単に「普通はわざわざ書かない細かいこと」まで書いてるだけじゃないかなんて指摘もあるが。それをやる動機としては「隙間があると不安」である可能性は結構高いだろう。


空白恐怖症

・スケジュールに「空白」があると不安を感じる。この感情を指す。隙間不安シンドロームと大した違いはない。
ただし表現が不安から「恐怖」症にランクアップしてる感じはある。

第3回大辞泉が選ぶ新語大賞2018」で大賞に選ばれた、比較的新しい言葉。病名になぞらえた表現だが、病気ではない。まぁ今のところは。

・一例としては、予定の空白が「何より怖い」として、常にそれをどうやって埋めるか考えている。

どうしても埋まらなければ無意味に出歩いたり、別に仲良くない相手と遊んだり、無理にバイトの予定を入れたりする。


・心理学的には、不安と恐怖は区別される。
具体的な対象がないのが不安。具体的な対象があるのが恐怖。

言葉遊びにしかならないが今回の場合、予定が空白であることに「不安」があるのなら、そこから連想される何らかの存在を忌避していると考えられる。

空白が「恐怖」であるのなら、空白そのものが対象になっている。この場合自分が本当は何を恐れているのか、自覚がないかもしれない。

予定詰め込み症候群

・こちらも他と似たようなもんだが、やや神経質さが増している。

・やってることは空白恐怖症と同じく、予定を詰め込むこと。「予定入れなきゃ症候群」とも。

・大きな理由としては「一人でいるよりはマシだから」というのがある。このためどうでもいい予定や相手でスケジュールを埋める。

恋人いないと思われたくないから適当な相手と付き合うみたいな感じ。世の中結婚までそんなノリなのもあるけれど。


・一人でいるとどうなっちゃうのかは人それぞれだが、例えば自分と向き合った結果、自殺するタイプの人間はいる。

なにかしてないと色々と考えてしまう、というのもまた多い。それが普通と言えるかもしれない。例えば眠くないのに無理にベッドに入るとそうなることは、不眠の分野では散々言われている。

「動いていれば気が紛れる」のは事実であるため、これらの拮抗として何かしらの用事が常にあってほしいという心理はあるだろう。

・問題は、どうでもいい予定で隙間を埋める傾向がやたら高いことだ。
自分のためになることをしたいとかじゃなく、「ヒマじゃなければ何でも良い」なので、金銭的にも時間的にも浪費するだけで終わりやすい。

金が貯まらんという声はいくつか見かけた。


他人を意識している傾向がちょっと高い。暇な自分がどう見られるか。あるいは誰かに相手にされていないと不安とか。

他人にどう見られるか不安、他人が構ってくれてないと不安、というのは誰でも考えることがあるかもしれない。

ただしこれらは「自分の時間」で考えることではないだろう。自分の時間で考えるのは自分のことだ。自分の欲求、自分の予定、自分の都合。
まぁ部屋掃除しないととか勉強しないととか人類滅びろとか玉石混交だが。

「明日に支障があると分かっているのに、自分の時間がもったいなくて夜ふかししてしまう」なんて心理もあるくらいなのに、自分から自分の時間を捨てているのはかなり目立つ特徴だ。

・「自分の時間が苦痛」なのではないかと思えてきた。

「常に」他人を意識する、というのは些か病んでいるかもしれない。個人性は社会性と拮抗する。
順番が逆で、「人の目を気にしすぎていて自分のことを考えられない状態」かもしれない。

予定がないと不安になる心理

・まず、人間は暇が嫌いな生き物なのは確かなようだ。

2014年にハーバード大学のダニエル・ギルバートらが行った実験では、被験者達になにもない部屋で6~15分考え事をしてもらった。
これはほとんどの人にとってはクソつまらんかったという感想だった。

次に「退屈しのぎに電気ショックを受けることができます」という提案をして同じ実験をした。

被験者たちには電気ショックの強さを事前に経験させてある。事前での感想は「これを受けるくらいならカネ(5ドル)を払った方がマシだ」という痛さだった。

で、実際に何もない部屋に電気ショックの装置だけ置かれた部屋に被験者は15分放置されたわけだが、男の場合18名中12名が自分に電気を流した。中には190回流した猛者がいたため、これはカウントから除外されている。
女は24名中6名流している。


・これが共通の心理だとしたら、暇になるくらいならくだらない予定を入れたい気持ちもわからなくもない。

問題は、自分の時間なんだから自分がやること/やりたいことをやろうとする方が自然だろうということ。この場面で「暇つぶし」をやっている。

遊びたくて遊ぶなら「自分のこと」となるだろうが、仲良くない相手と遊んだり用もないのに知り合いの所に出向いたりと、明らかに暇つぶしになっている。

「自分のこと」がない、あるいはそこから逃げたい可能性はある。

無趣味、あるいはじっくり取り組むような趣味は持っていない可能性は高いか。これがある場合は時間がいくらあっても足りなくなるし。

じっとしていられない/動き続けていたい

・サメとかマグロがそうなんだが、止まったら酸欠で死ぬタイプの魚がいる。人間でもそんなノリなのがいる。動いてる方が自然体な人。

尤も、人間は歩いてる時の方が脳が活発だったりして、そっちの方が基本状態なのかもしれないなんて説もあるのだが。

・フリードマンとローゼンマンによれば、特定の性格は他と比べて2.2倍ほど心筋梗塞や狭心症などになりやすい。

その性格がタイプAと呼ばれるもので、「じっとしていられないタイプ」だった。Aはaggressive(積極的/攻撃的)のA。

・せっかち、短気、大声で早口、動きが早いなど、見て分かる性急さがある。

タイプAが発見されたきっかけは、待合室で彼らが座っていたイスばかりが擦り切れるのが早かったからだ。立ったり座ったりでじっとしていなかったため。

承認欲求が強めだとされ、一部は他人がいる所で動きたがる傾向はある。気にしないタイプもいるが。

・通常は野心的で出世欲が強いため、勤勉にすら見られることもある。そのような目的(いくらでも時間を食うような「自分のこと」)がなければ、そのエネルギーの発散としてどうでもいい予定でスケジュールを埋めるかもしれない。

特定の病気になりやすい性格の分類 タイプA B C D
フリードマンとローゼンマンによる性格分類 ・アメリカの医師、心臓専門医のメイヤー・フリードマンとその同僚のローゼンマンにより定義された性格分類。 それまでも特定の性格が虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)になりやすい傾向にあるとされてい...

・タイプAの性格は生真面目なため、病気になっても真面目に治そうとする事が多いとされる。

一方で空白恐怖症も、「休む」という予定を入れてそのとおり守ったらなんとかやっていけるようになったという人がいる。やっぱり生真面目っぽい。

予定として「休む」と入れる、というのは自分の特質とうまく付き合ってていいんじゃないだろうか。
人によっては、「予定通りに自分をコントロールできる」という強みに昇華できるのかもしれない。

時間は止まらない:時間不安

・これは「ヒマじゃなければ何でも良い」というタイプには当てはまらない。
「意義のある「何か」を常にしていなくてはならない」というのなら当てはまる。

・何をどうあがいても一日は24時間で、1440分しかない。

これを「有効活用」しようと考えると、雑に「止まらずに動く」ことが思いつくだろう。

・「時間」に対して人は不安やストレスを感じやすい。
これに纏わる不安を時間不安と呼ぶ。

大きく分けて3つある。

  • 経過意識:時の流れに感じる不安。時間が失われることへの恐怖。
  • 予期懸念:このまま時間が立つと良くないことになる。何かしなければならないという焦り。
  • 目的未達成:時間切れへの恐怖。

大抵が焦燥感をつのらせ、「何かしなければ」という気持ちにさせる。

時間不安が強い人は、以下の強迫的な行動が見られる。

  • リラックス能力の低さ
  • 時間の自己制御感を好む
  • 作業が遅れることへの嫌悪

時間の自己制御感は、スケジュールが埋まればうっとりする辺りに通じる。これで時間を無駄なく使うことができると思えるからね。

・個人的な意見として言っておくと、無駄に終わる可能性が高い。

第一に休息は必須だが、これを外して「動き続ける」とするならまず間違いなく裏目に出る。空白恐怖症も体力的精神的金銭的にしんどいという話は聞く。

第二にスキマ時間ができるのが怖いあまりに「引き伸ばし」をするのもいる。加えて散見される「どうでもいい予定でとりあえず埋める」ことをやるなら「忙しい暇人」になる。疲れて、何も残らない感じの。

効果的ではないため、、「時間の有効活用」が目的ならこれらは失敗しやすいだろう。

ヒマな時間があると自分は無価値だと感じる、あるいは他人にそう見られそうだから

・これの拮抗としてなのか、「リア充に見られたい願望」を持っていることは多い。充実している自分を演出し、かつ他人にそれを見てもらいたいなら当てはまる。

・タイプAもそうだが、「周りにどう見られているか」を気にする傾向は他より高い。

ヒマがある=誰にも必要とされていない みたいな認知を持っていることも多い。

・「自分はこうだ」というイメージは、そのまま「人は自分をこう思うだろう」と考えるための材料に再利用される説がある。

「暇だとバカにされる」というのは、自分が暇な人間を馬鹿にしてきた加害者だからという可能性はある。
単に被害者の経験がある場合でもこの発想を持つため断言はできないが、事実として見栄を張りすぎて後戻りできないようなのはいる。

取り残される 置いていかれる

・今回の「予定」は、例えば自分の目的のための忙しさなどではなく、外で遊ぶ、何かで活躍するなど他人を意識した物が多い。

通常「空いた時間」は「自分の時間」であり、その存在はむしろ喜ばしいことである。
次の予定に備えるためにそれほど自由じゃない(スキマ時間を持て余す)事は考えられるが、不安を感じるというのは本来は不自然だ。

これは「仕事中」に「自分だけ仕事がない」、または「自営業」で「客が来ない」みたいな心境じゃないだろうか。そのシチュエーションなら「予定がないこと」に危機意識を持ってもおかしくない。

・プライベート時間にこの気分になるのも、実は珍しい話じゃない。

例えばFOMO(Fear Of Missing Out:取り残される恐怖)がある。何かしないと取り残されるかもしれない。でも何をしたら良いかわからない。

あるいはMOMO(Mystery of Missing Out:取り残される謎)。
友人がSNSで急に発言しなくなった時などに、自分が知らない何か楽しいことをやっているのではないかと不安になる心理。

つまり他者との比較が常だったり、必死に「追いついていよう」としているとありえる。やたらと一緒に居たがるのも、「監視」の意味があるかもしれない。

「自分のやりたいこと」があるのならそもそもヒマにならない。常に時間が足りないと嘆くことにもなるが、そっちの方が多い。

予定があると落ち着かない人もいる

・予定があることは、むしろストレスに感じられやすい。「仕事」を連想させるためだとされている。

・また、責任感もあるため、無闇矢鱈と「やらなきゃいけないこと」なんて増やしたくないという方が一般的といえる。

空白恐怖症も別にドタキャンするような話は聞かないが、その分本人が疲弊している話は多い。

予定があると落ち着かない/予定を立てるのが苦手な人
・予定が決まった瞬間にストレスになるタイプや、その期日が近づくに連れプレッシャーになるタイプもいる。一見、その予定が嫌なだけかと思える。しかし楽しみな予定でもストレスらしい。「人との約束」が対象の場合が多い。例えば遊ぶ約束をした前日に憂...

・予定がストレスになるタイプは、責任感はあるが自由を愛する気持ちも強い。大体は一人の方が気楽と感じる。

空白恐怖症と正反対なため、友人づきあいは難しいかもしれない。逆にどちらも似た者同士ならニーズを満たせる。

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