楽観主義と前向きさとポジティブシンキング:ストックデールの逆説

・人によって加減は違うが、特に楽観主義と前向きは別物だと思ったほうがいいという話。

ストックデールの逆説

・アメリカ海軍のジェームズ・ストックデール中将は、ベトナム戦争で捕虜となった。彼は過酷な拷問の中でもできるだけ多くの捕虜が生き残れるように尽力した。

彼が収容所から出る頃には、捕虜になって2,174日が過ぎていた。7年とか8年とか言われてもいるが。

・捕虜たちの中で耐えられずに死んでいった者は、楽観主義者だったという。

彼らは「クリスマスまでには出られる」と信じた。

クリスマスが近づき、終わる。開放されない。次は4月のイースターまでには出られると考える。

イースターが近づき、終わる。開放されない。次は11月の感謝祭には帰れるはずだと思う。

出られない。まだ捕虜の身だ。

次はまたクリスマスに、きっと、今度こそは。

そうやって失望が重なって死んでいった。

・ストックデールには、彼らは現実から目を背け、事態を楽観視することで平静を保っているように見えた。

「長く辛い収容生活になるだろう」と覚悟を決めていたわけではなかった。だから希望が付きた=これ以上自分を騙せなくなった時、死んだ。

・「最後には必ず勝つという確信を失ってはならない。そして同時にそれがどんなものであれ、自分が置かれている現実の中で最も厳しい事実を直視しなければならない」

希望を持ち続けることと現実主義の両立。これはストックデールの逆説と呼ばれている。

・似たような話が、ヴィクトール・フランクルの実体験が元とされている著書「夜と霧」の中にある。

ナチスの強制収容所でも、やっぱり「クリスマスに開放される」との噂が広まった。だがそんなことはなかった。

クリスマスを過ぎてから、急に力尽きる者たちが多かったという。

自暴自棄になり、食料と交換できるタバコを吸い尽くすような者たちも見られた。

・フランクルはストックデールと違い、このことから「生きる目的」を持つことが生き残る道であると見出している。

が、まぁフランクルはちょっとポジティブサイコパスなマッドサイエンティストみたいな逸話もあるし、夜と霧にしても「おまえクリスマスには収容所にいなかっただろが」という意見もあったりでまぁちょっとアレなんだが。

逆説志向と反省除去については賛同するんだけどね。もったいないね。

楽観主義


・やっぱ豆腐メンタルじゃねーか。

・希望的観測。物事を楽観視することは「甘く見る」「軽く見積もる」ことと同義となる。

・これによりリラックスでき、結果実力が発揮できたりもする。

・反対に慎重を要することに対して楽観視すれば裏目に出る。最悪死ぬ。楽観主義者に命を預けるようなことを任せれば、下手すれば冗談抜きで死人が出るだろう。

・「使い方」としては、もう腹くくるしかない/行動あるのみって場面でならまぁ有効だと思われる。「性格」として万事に楽観主義が出しゃばるようなら邪魔だ。

・方略的楽観主義というものがある。方略と言えば意図的に使っているように聞こえるが、実際には性格に近い。性分かな。研究もされているが、やっぱり「怖くなるから見ない」というシュレディンガーの先延ばしみたいな傾向はある。

ネガティブなものを「何かの間違い」みたいにエラー扱いし、課題として直視しない傾向も見られる。

要は意図的に「考えなし」の状態でいようとしている。だから動けるんだが、ミスが許されない場面ではやっぱり弱い。

前向き

・積極的、発展的な考え方を指す。前を向くということであり、「楽」の要素は本来ない。楽観視する意味を含まない。

・「希望を見出す」ことはしても、運の良さを当てにするようなものではない。

・「後ろ向き」との対比で考えれば楽だろう。「あんなことさえなければ」と考えるのと「これからどうするか」と考えるのとの違い。

まぁ、悲嘆に暮れることも前向きになる過程としては必要であり。依って「常に前向き」というのも正気を疑うね。個人的に。

ポジティブシンキング

・これな。口にする奴によって楽観か前向きかのブレがあるよな。一部アレなののせいで評判が悪いと言うか。

大体は「前向き」の方の意味を持っている。「積極的思考」ともされ、やはり前向き系統の解釈が多数派か。

メモ

・思うにストックデールの話の中で死んでいった楽観主義者たちは、希望を持とうとしていたのではない。彼らは明らかに長く耐えるつもりがなかった。

「痛み止め」として事態を楽観視するという、不安の緩和をしていただけだろう。痛み止めの効果がなくなったから希望がそのまま絶望に反転した。

楽観主義はそれが叶わなかった時に、夜と霧のタバコを吸い尽くした者のように「タガが外れる」リスクも有る。これは確実に自分の首を絞める。

・まぁ言うても自分を騙して乗り越えるってのもアリだと思うけど。それが通用するかしないかは状況判断する必要があるし、そんな「冷めたこと」を考えた後で熱狂的に自分を騙せるのかって問題もあるが。それこそその場しのぎなのは間違いない。

・悲観的に準備し、楽観的に行動しろ、というのとは今回はちと違う。本番で緊張とか萎縮すんなよとかそっちの話になる。

ただし悲観的に準備、というのは現実に則した思考であり、ストックデールの逆説の内の現実主義とは多少重なるか。

・まぁ、ここで言う楽観主義と前向きさとを取り違えるのは、最悪の物事の一つだろう。

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