在宅でやる気でない理由と休日にやる気でない理由

ノマドや在宅業務に限らず、コロナ禍での巣ごもり生活やリモートワークの必要性から家で時間を過ごす人も増えている。

一見比較的自由だから捗りそうなものだが、自宅だと作業時間が間延びして効率が悪いという声もある。
職場ならよかったが家だと自制が必要でやる気を出すのに苦労する、という話も多い。

そうでなくても休日にあれをやろう、これをやろうと希望に満ちているが、いざ実際に休日になると全く意欲はでない、などの現象はある。

在宅でやる気でない理由

他人の目/外圧が少ないから

 他人の目がないことが非常に大きい。リラックスしすぎる。緊張感が足りない。

労働安全衛生総合研究所の岩切一幸氏らの研究(2007)によれば、オフィス勤務時と自宅勤務時を比べた場合、自宅勤務時のほうが「心拍数」「交感神経活動」が低下することから、精神的緊張が弱くなるのだそう。

https://studyhacker.net/remote-work-motivation

 

人間元からそんなもんだ。人間の生産性と真面目さはほとんど「社会性」に依存している。そのスイッチたる「他人」を取り除けば、そんなもん。

ある意味では実力ではない(自発的な生産性では元からない)ので、原動力から切り離されるとそうなっても不思議はない。


 例えば、「見られていると生産性が向上する」という現象がある(ホーソン効果)。
これは期待に応える、よく見られたいという、なんかアレな心理からだとされる。

類似したもので教師が期待している生徒は成績が伸びるというのもある(ピグマリオン効果)。期待に応えよう、というよりは、自分の知らない自分の素質を信じられるからとかそのような心理もあるが。

面白い例としては、「募金箱に目玉のシールを張ったら募金が増えた」という話がある。アニメ調のやつね。とかく人は、他人の目を意識して本来の自分以上の背伸びをしようとするのが常だということ。

反面、期待されないことにより実際に成績が落ちる現象もある(ゴーレム効果)。「期待されない=応える対象がない」ことによりこうなるのだとしたら、元々自前の動機は少ないということにならないか。安直で白々しくすら聞こえる、「自分のために頑張る」ということが、人はおそらくかなり苦手なのだろう。

 このように人は、他人が自分をどう思うかに影響を受けまくるし、他人にどう見えるかを無意識レベルで気にしている。これは「社会的活動」だ。集団内での振る舞いとしてのモード。

他人を気にして見栄を張る事こそが「勤務中の真面目さ」の根拠の一つであり、逆を言えば1人じゃ真面目になりきれないところはある。

「他人の目」は本能レベルで人は意識する。これがない分、業務内容や責任が同じでも、在宅の方が気が緩む要素は大きい。それでリラックスできるタイプも、集中できるタイプも、無いと駄目なタイプもいる。

わかりやすい例だと、受験勉強が在る。わざわざ図書館や喫茶店で勉強するタイプは、大抵家で一人で勉強するのは自分に向いていない自覚がある。彼らは人目があったほうが「捗る」わけだ。

他者の存在を意識することは過度の緊張やストレスの原因でもあるが、それがないと今度は緊張感が足りないという面も確かにある。

人によってこれは緊張しすぎて萎縮するというデバフにもなる。

ストレスの是非とコンフォートゾーン/ストレッチゾーン

 コンフォートゾーン(居心地のいい領域/安定してできる楽な難易度のタスク)は失敗の余地を最小に抑えるがパフォーマンスは低い。

ストレッチゾーン(ちょっと背伸びしないと出来ないような難易度)は、最もパフォーマンスを発揮すると言われている。つまり適度な緊張は、自分が生産的であるためには必要となる。
この適度な緊張は、認知心理学では「望ましい困難」と呼ばれる。最も学習率/成長率が高い難易度。

過度な難易度であるパニックゾーンはテンパった状態であり、これは最も駄目である。在宅は、職場よりこうなる可能性は低いと思われる。

 ストレスは元からイメージ通りの悪いストレス(ディストレス)の他に、良いストレス(ユーストレス)がある。適度な負担というか、緊張というか。これは望ましい困難や、ストレッチゾーンに当たる。

この3つの領域をストレス度で考えてみると、
コンフォートゾーンはストレスがないが生産性が低い。
ストレッチゾーンはユーストレス(適度な緊張感/良いストレス)であり、生産性が高い。
パニックゾーンはディストレス(悪いストレス)であり、生産性が落ちる。

となる。

 厳密に言えば、ストレッチゾーンは学習や練習における「挑戦」なども含める。一方で「仕事」は基本的には安定した成果、かつ反復するという内容になりやすい。
つまりストレッチゾーンのパフォーマンスで、かつコンフォートゾーンの安定性や持続可能性(サステナビリティ)が求められるという、元から結構矛盾がある構図になっている。だからまぁ、無理して継続性を演出して、うつ病になったりもある。

このため「適度なストレス量」はかなり繊細だと予想される。職場だって誰も適度なストレス量だなんて思ってないだろう。大体ストレスフルに感じられてるわけで。

 なおこのストレス量は、当人の責任感や展望の悲観/楽観によりかなりの個人差がある。

ちなみにリラックスしつつ適度な緊張感を持った状態(=副交感神経と交感神経両方が活発になっている状態)がフロー状態。理想的な集中状態、没頭した状態。

在宅でやる気を出す方法


 環境を整える必要がある。元から自宅は「巣」であり、快適空間である。くつろいでなんぼ。生活や子育てが可能なように、本能的にそうなるだろう。誘惑も多い。

一方で、やるべきことに向けるやる気や集中することはある意味「緊張」に属する。ここで仕事しようってのも割とジレンマが生まれる。

自宅は世間からのある意味「避難所」であり、仕事とは正反対のことをする場所だ。

職場では、他にも大勢が自分の仕事をしているだろう。家だとそうじゃない。これは同調するべき基準が無い=なんか気が抜ける要素として大きい。


結果として休日と平日が混ざった良くわからん時間と空間に成り果てる。

問題は時間と空間とやることにメリハリがないことであり、オンとオフの区別をすることにより緊張感と安心感を適宜用意する必要がある。

やる気を出すトリガー

 人間が元から「場所」とやる気を関連付けてるような説がある。場所を変える=頭のスイッチが切り替わる。

なので専門の場所、それしかやらない場所というのが用意できないと、脳的には何するかよく決まっていない場所となる。自宅が作業場の場合は特にリラックスするのか緊張するのか混ざりやすい。

場所に限らず「今はこれをやる時間」として運用することで克服している人もいる。

本来は職場に向かうための準備、移動、決まった場所で作業を開始する、というなんか字面だけでうんざりするこれらが、嫌々ながらでも「やる気を出すための儀式」ではあったとも考えられる。
ちょうど入眠儀式みたいな立ち位置。


端的に言えば、やる気を出すトリガー・スイッチのようなものがない。きっかけがない。だから切り替えが出来ないまま取り組むことになる。結果、やる気でない。

緊張感が必要


 普段は嫌われているが、「時間に追われている感覚」は、人を間延びさせずに目標に向かわせる力がある。それも比較的働いていない。自前で用意しないとならない。
というか「余計なことをやる時間はない」という認識を持たないと、脱線するだろう。自宅なら余計にだ。

 他人の目を意識するのが手っ取り早い。募金箱に目玉のシール貼ったら募金額が増えたくらいだし、他人の目をちょっと気にする/想像するくらいで十分だ。通話しながら絵を描いてる人達もいるな。なんか捗るらしい。

とりあえず窓でも開けとこうか。カーテンも。

 平気ならの話だが、行動記録用のアプリが無料で結構ある。PCやスマホに常駐し、何をやったか逐一ログを取る。無駄な行動や脱線などを見つけるにはいいし、これを「他人の目」と想定して意識するのもいいだろう。

これらは一長一短で、パーティションのないオフィスだとパフォーマンス落ちるみたいな説もある。具体的な実態ある「他人」ではなくて、やはり「雰囲気」的な緊張感が望ましいだろう。


 意外と休日や自宅作業のほうが、5秒ルールなどは必要かもしれない。


 人目がないから単純に、多分姿勢は普段より悪くなるだろう。

きれいな姿勢をするための筋肉を抗重力筋と呼ぶんだが、これを使っていると頭がはっきりしてくる。逆だとお察し。

専用スペース 無理なら仕事中だけ雰囲気を変える

 大抵の場合無理があるが、仕事専用の部屋を用意できるならそれが一番いい。

それが無理でもパーティションでエリアを区切る、PCで専用のアカウントを作る、などいくらかは工夫できる。なんならスタバでmac広げてドヤってても良いかも知れんが、このご時世だから外出自体が歓迎されないとこあるな。アレは効率悪いとも言われてるが、人によっては捗るのかも知れん。

まぁ在宅を念頭に置いて。服装もちゃんとしたほうが良い。私服から制服(スーツ等)に着替えることによりスイッチが変わるなどはある(制服効果)。なんなら仕事の時だけ伊達メガネでもするなりなんなり。ブルーライトカットとか。

BGMは雰囲気を変えるためには効果的だが(イメージ誘導効果)、趣味全開なんじゃなくて、主張の少ないものの方がいいだろう。マスキング効果と言って、雑音がそれ程気にならなくなる効果はある。

兎にも角にも「仕事中は使うがそれ以外では使わない」という要素があるといい。特別感があればあるほど気持ちは切り替えられる。環境作りと言うより雰囲気作り。


 ライフハックとしては、タイムボクシング/タイムブロッキングというテクニックがある。なんてことはない、時間割みたいなものだ。この時間には、これをやると決めて実行すること。こんな感じ。タイムボクシングは細かく、タイムブロッキングは大まか。タスクの粒度(どの程度細分化するか)の適切さは、属性によって変わる。創造的なものなら大まかな方がいいだろう。

せめても作業開始と終了時間は安定させたほうが良い。習慣=クセとなれば自然と気が向くようになるのは大きい。

休日にやる気でない理由

 ひたすら寝てる。何かしたい気持ちはあるがやる気はない。何か思いついても気が進まないなど。

まぁ「休」日だからね。休みたいね。身体はそんなモードなのだろう。

実際には人は休日を「休む日」と認識することは少ない。「自由な時間」と認識し、やりたいことややるべきことをやりたいと思う。頭では。

このため夜に「有意義に使えなかった」と嘆く者もいたりするわけで。

時間が流れることへの恐怖

 重要なことだが、疲労がある場合には大人しく休んだ方が良い。よく一日中何もしなかったとか寝てたとかで後悔している声もあるが、案外そのおかげで次の1週間なんとかなってるのかもしれない。

休日にやる気が出ないのではなく、単に疲れていて休みたい可能性。「自由を満喫しよう」という焦りに近い思いは、時に疲労を無視させる。

「時間を無駄にしている」という強迫観念のような心理が人にはある。時間不安。3つの因子があるが、時間が流れることへの不安である「経過意識」、成果がない/やることが残っている状態で一日が終わることに感じる「目的未達成」などはストレスになる。

 FOMO(機会を見逃す/取り残されることへの恐怖)やMOMO(友人は自分の知らない所で休日を満喫しているのではないかなどの取り残され感)などは、「何かしないと」と思わせるには十分かもしれない。

まぁJOMO(他人を気にしたり比べるのをやめて自由になる)というのもあるんだが。

時には罪悪感すら感じる。この場合「何かしたい」「何かしなきゃならない」という思いの方が偽物ってことになる。やりたいことがないがなんかやらなきゃいけない気がするなどもある。

つまるところ、自由な休日に於いて「有意義/効果的/効率的に過ごさねばならない」という曖昧でクソつまらない「仕事/義務」が自発的に発生しやすい。やる気出るわけ無いだろう。

フラストレーション

 ストレスと言ってもいいけど。

よくある話が、仕事中に「帰ったらあれをやろう」「休みになったら絶対あれをやる」と思って心の支えにしているが、いざその時間になるとなんもやる気せん、というパターン。

フラストレーションは感情的なエネルギーでもある。要はやる気の一種。頭ごなしに否定されがちだが、昇華という形で方向を与えれば原動力ともなる。

仕事中に「やりたいこと」が思い浮かぶのは、「仕事中」のフラストレーション(反発心に近い)由来のものかも知れない。この場合、休日には湧かないか、弱まる。ストレッサーがないから。

自発的な動機では足りない可能性

 根本的な話、平日と同じように動けると思うのが間違いだろう。動ける追い風があっちにはあるが、こっちにはない。それを失えばこのザマだ、ってのはある。

結構自分の活動量を平日基準で考えやすい。一週間で見れば、単純に比率は多いから。休日の活動量は外圧が相対的に少ない上に休みたさもあり、ゼロサムゲームのラットレースやってる平日とはペースが違う。

この上で、予定がストレスって人もいる。事実として「スケジュール」という概念は仕事を連想させるとする研究もある。ストレスは仕事並みに感じるがやる気は休日相応という残念なことになる余地はある。

対象が自分が好きで熱中できるようなのなら良いのだけど。自己都合と言っても腐れ縁や義務的要素があったりでそれもなかなか難しかったりするね。

割と体力の有無は影響が大きい。


時間感覚・時間を意識する必要性

パーキンソンの第一法則。作業時間は「使える時間いっぱいまで」「広がる」。

自分で設定しない限り時間制限が無限にある場合、いつまでもやらない。積み本、積みゲーなどの大きな理由は「いつでもできるから」だと思う。この場合優先度は最下位になる。緊急性がないから。だからいつまでもやらない。別にそれでも良いと思うが。

やる気や集中のよくある悩みは、スタート時点での「着火」と、それを「維持」できるかどうかだ。前者でやる気が出ないという話になり、後者で「集中が続かない」となる。

締切のプレッシャーが比較的少ない。タイムブロッキング(自主的な時間割)など、自ら時間制限を設定することで気を引き締める手法があるほどには、これは必要なものだ。



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