継続させる学習法として: バラス・スキナーの「プログラム学習の5つの原理」

プログラミング学習は、プログラミング言語の学習ではないよ。教育プログラムとか更生プログラムとか、そっちのプログラム。細分化され、順序付けられた学習内容を進捗度を確認しつつ進めていく学習指導方法。

プログラム学習はスキナー型とクラウダー型に大別されるが、今回は前者。

個別指導方式の教師と生徒の形。家庭教師をイメージすれば早いかもしれない。教える側のあれこれだけど、まぁ別にソロでも使えるだろ。

これは、モチベーションや自発性を重視している印象を受ける。

学習者=教わる人=生徒ポジション。

 

 

>スモールステップの原理

教材の小刻み提示。ベイビーステップとも。小さな一歩。

最終目標を細分化し、段階化して一つずつ取り組み、クリアしていくこと。最小単位を「フレーム」と呼ぶ。フレームを1つずつ学習していけば、効果的で永続的な学習ができる、という視点。

段階や順番に於いては、前後のフレーム間で大きな飛躍がないことが基本となる。繋がりを意識しておこう。

面白いのが「学習者がなるべく失敗しないように」とされている点だ。失敗するとそれが定着することを懸念して。

メリットとしては学ぶ側の負担が少ない、小さな「成功a)(ところで成功なんていうと大喜びするレベルのものを連想する人にとっては、些細なことにこの言葉を使うのも抵抗あるっぽいな。別に「クリア経験」とでも良い変えていいが。)」の体験を積めること、確実に歩を進めることが出来ること。これらの結果、学習に対しての積極性が増す。

苦手意識の理由は「ちゃんとできないかもしれない」というのが大きい。逆を言えば初めてだろうがやるからにはちゃんとやらなきゃいけないというイメージは人によっては根深い。

出来ないかもしれない可能性の根拠は「失敗体験」がいくらか関与する。また、ゴールが遠ければ遠いほど意欲はなくなるし、努力の結果が確認できなければ努力が無価値に感じられてくる。

スモールステップは苦手意識が培われることそのものを抑制するだろう。すでにある場合には、その緩和にも。

スモールステップはタスクや、やりたくないことの着手のためのライフハックなどでも語られることがある。要は単品で使える。別の所から発生したんだろうが、「些細なことでも自分を褒める」みたいなのも同様の効果があるだろう。

フレームと順序を考えるのは結構手間かもしれないけどね。まぁ最初は雑にフレーム=マイルストーンとでも思ってとりあえず区切ってみたらどうかな。

>積極的反応の原理

フレームには質問を含め、学習者がそれについて考え、答えるようにすること。積極的反応とは、学習者が授業に「参加」することと見ていいだろう。椅子に座って聞いてるだけじゃこの条件は満たしているとは言えない。

学習内容について考えたり、アウトプットの場を設けること。小テストとか。

バラス・スキナーはオペラント条件づけの人だからね。自発的な行動の誘発と強化はそりゃ意識するね。

>即時確認の原理(応答の正誤の即時確認と強化)

正誤がすぐに確認できる場合が最も学習効果があるとされる。ちなみにマウスを使った実験によると二秒。流石に二秒以内は非現実的だろうが、正誤の確認は早ければ早いほど良いとは言えるだろう。

すぐにわかったかどうかを確認すること。といっても、

「わかった?」

「うんわかった!」

とかじゃいけない。これ分かってない奴も大体はわかったって言うから意味がない。

加えて「わかったつもり」も多い。本人が本当にわかった/理解したつもりでもすっぽ抜けてることは普通にある。

「すぐに理解度を確認する」ことが、即時確認となる。やること自体は積極的反応の原理とかぶるだろう。正解に対してはちょっと褒めて成功感を与える、ともされる。この点も「強化」になるね。

また、丸暗記するタイプは「答えられるけど分かってない」状態になりやすい。確認に一手間増えるだろうね。応用問題じゃないと確認できないかもしれない。模擬テスト100点満点で、応用問題だと半分しかわからないってタイプが現実にいる。

>自己ペースの原理

学習者本人のペースで学習すること。自分がわからなきゃ意味がないから、自分がわかるペースでやるべき。他と比べても意味はないね。

「適切なペースは個人個人で異なると思え」、とされている。

割と「比較」も本能じみてるから、頭でわかっててもなかなか難しいだろうがね。勝手に比べてくる邪魔な奴もいるだろうし。

大きな問題は、学習者は多分自分のペース分かってないよねという点。教える側もしばらく付き合わないとわからんよねというのもある。「次に進む条件」としては1フレームクリアしたらで十分だと思うが、自己評価などには比較グセは関わるだろう。

つまり学習者が勝手に周りや平均値と比べて勝手に自分はペース遅いと思って、しょぼくれるか、わかったふりをしだすかなど。独習でもこういうことは結構あるな。

この5つの原理は本来はプログラムを組み立てる/実行する側の話で、それにこれがあるってことは要するに「他と比べて急かすな、叱るな」みたいな心得の話だろう。逆に理解があるならさっさとスキップしろともあるんだが。これらはそのまま「学習者が自分のペースに対しても」意識するべきだと思う。

>学習者検証の原理

これは端折られて4つだったりすることもある。ただ、自分が自分に対してやってみるんだったらコレも抑えといたほうがいいだろう。

その学習プログラムが成功したかどうかは、実際に学習者が学習できたかどうかが成否判定となること。

学習者が主体であり、その人に合わないならば修正する。

一部の人はこっちが正しい、出来ないのが悪いってなりがちだが(相手が自分自身でもだ)、役に立たなきゃそのやり方は役立たずなんだから、さっさと改造するか諦めたほうが早いな。

>フェーディング

これは5つの原理には含まれないが、関連して語られることがある。これを含めて6つの原理とする場合もある。めんどくさいなもう。

最初はヒントを出すなどの補助を行い、段々とその頻度を減少させ(フェードアウト)、最終的には一人でやってる状態に持っていくこと。

>メモ

なんというか、結構多いんだが、教える側に全部責任があるみたいな匂いがちょっとアレだな。教わる側がアレなことももちろんあるからな。

まぁやる気のレベルで面倒見るプログラムだから致し方ないのかな。他人に応用するなら、そこから面倒見る義理があるかどうかも考えるべきかもしれないけどね。

>参考
http://www.gsis.kumamoto-u.ac.jp/opencourses/pf/3Block/07/07-2_text.html

http://yakulab.org/hichart/keyaki/keyaki-cai/kouseware2.htm

脚注

脚注
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