心理・認知・感情・精神

他人の期待によって行動やパフォーマンスが変化するバイアス/心理効果

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 これらは心理効果とされているものだが、ここではバイアスとして扱う。

ホーソン効果

 自分に関心を持つ人、期待をする人に応えようとする心理。一般的なものとされる。意識的なこともあるが、無意識的なこともある。

治療を受ける者が信頼する治療者(医師など)に期待されていると感じることで、行動の変化を起すなどして、結果的に病気が良くなる(良くなったように感じる、良くなったと治療者に告げる)現象をいう。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ホーソン効果

 米国のホーソン工場で、労働者の作業効率向上のための調査により発見された。
工場の改善点を探る調査だったのだが、物理的要因以上に同僚や上司がその労働者に対して関心を高めることが効果があると判明した。

シンプルな「他人の期待/信頼に応えようとする心理」。人は社会的な生き物であり、返報性の心理などから信頼には応えようとする傾向が多い。

詐欺でも使われる心理だけどな。詐欺師は相手を信じたように見せかけるとかなんとか。

ともかくここまでは、良好/スムーズな人間関係により生産性が上がるという話。


 「良くなったと治療者に告げる」ということに注目したい。つまり、良くなってない。やせ我慢してまで期待に応えているふりをしようとしていることになる。これは己を殺す一種の「自己犠牲的な社会性」であり、あまりよろしくない。
社会規定型完璧主義はこの傾向が強い。

ホーソン効果は医者に対しては「正確な申告をしない」点で治療の邪魔であり(統計上のホーソン効果)、プラセボ効果と同様に研究においては排除するべきものとして扱われる。

 日常レベルでは、心配/期待をされたから健康に気を使い実際に健康になることもあれば、空元気に振る舞うことにもつながる。後者は大体悪化する。

ピグマリオン効果

 「教師の期待によって、学習者の成績が向上すること」とされる。

ロバート・ローゼンタールにより実験された。始めに言っておくと、wikiでは「現在も激しい議論がなされている」とされている。


ピグマリオンは、彫刻の女性が本当の人間になったという逸話から。

そのうち彼は自らの彫刻に恋をするようになる。さらに彼は食事を用意したり話しかけたりするようになり、それが人間になることを願った。
その彫像から離れないようになり次第に衰弱していく姿を見かねたアプロディーテーがその願いを容れて彫像に生命を与え、ピュグマリオーンはそれを妻に迎えた。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ピュグマリオーン


 はじめの実験はネズミだった。1963年。ネズミに迷路をクリアさせる実験において、学生たちのグループに、
A:これは訓練された利口なネズミ
B:これはまったくのノロマなネズミ
と言って実際には同レベルのネズミを渡したところ、各グループで違いが出た。

ローゼンタールはこれを、学生たちが利口なネズミは丁寧に、ノロマなネズミは雑に扱った結果ではないかと考え、教師と学生も同様ではないかと考えたらしい。

現代的に解釈すると、観測者バイアスの可能性も考えられる。観測者の思い込み。


 1964年に教育現場での実験が行われた。小学校にて、知能テストを行う。担任にはこれを「今後数ヶ月の間に成績が伸びてくる学習者を割り出す検査だ」と説明した。実際のところはテストに意味はない。

次に「今後成績が伸びる学習者のリスト」としてランダムに選んだ生徒のリストを見せる。

結果、そのリストに名の合った生徒は成績が上がったという。ローゼンタールは原因を「教師が期待のこもった眼差しを向けた」「子供たちはそれを意識し、成績が上がった」としている。

批判だが、教師が贔屓したんじゃないかとか、教師はリスト覚えてなかったよとか、再実験したらそんなことなかったよとか。
後は生徒の自力での学習を視野に入れていないのではないか、とか。

ピグマリオン効果を当てにして「やればできる」なんていうと、実力の伴わないナルシストになるぞという警告もある。

ゴーレム効果

 ピグマリオン効果の対義語。教師が期待しないことにより成績が下がること。こちらもローゼンタール提唱。

由来は、そのままゴーレムから。ユダヤの伝説では泥人形であり、額の護符の文字を一文字取り去ると土に戻る、という所から。

他人の目

これら全て、他人からの「視線」でその者の行動が変化するように思える。

例えば賞賛獲得欲求。「感心されたい」という願望を含める。

もっと露骨に「見られたい自分」を意識して一種の演技を人はしているという自己呈示の概念もある。

一部の人間には大きく該当するのだろう。 見られてると張り切る奴は、大抵見られてないとサボる。

ピグマリオン効果は、一部では危険視されている。「魔法のコトバ」みたいなノリで褒め言葉を使うことなどは、前述の通り悪質なナルシシズム、あるいは期待に応えようとしてしまう結果、自分らしさを見失った「良い子」となる可能性などもある。

どの道相手のことを、見てくれる人、褒めてくれる人がいないと何も出来ない人間にしたいのかどうかだ。

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