一般には男は解決/分析脳で、女は共感脳、と言われている。それは本当に男女差なのか、それとも。
男性脳:解決脳・分析脳・論理脳
・他にも目的脳、システム脳なんて呼ばれることも。まぁ頭良さげな印象だ。知能とは関係ないが。
・俗に言われている特徴としては以下
- 論理的である
- 直接的である
- マイペース/自己中心的である
- 人は人、自分は自分
- 個人主義で集団行動は苦手
- ストレスの対処が苦手
- 挑戦的・好戦的
- シングルタスクが得意
・まぁ普通にぜんぜん違う男とかわんさかいるが。
・全体的に何かに集中し、成果を手に入れることに長けているように見える。まぁ素養だけで見たらだけど。当然ながら周囲との調和は疎かになるね。
・自閉症を研究しているイギリスの発達心理学者:サイモン・バロン=コーエンは、アスペルガーを含む自閉症スペクトラムの男性の脳は「究極の男性脳」と述べているa)Wikipedia:カサンドラ症候群。
女性脳:共感脳
・俗に言われている特徴は以下
- マルチタスクが得意
- 直感的である
- 共感的である
- 婉曲的(はっきりと言わない遠回しな物言い)である
- 安定を好む
- 平和を好む
- 相手の表情を読む
・まぁ普通にぜんぜん違う女とかわんさかいるが。
・全体的に、広範囲に注意を向け、何事も起こらないようにする要素のまとまりに見える。平和主義というか。その分自己主張は苦手かもしれない。
・表情を読むことについて。これはこれで「分析」だろう。相手の表情を分析し、気持ちを推測している。共感するにはこれができなければ無理だ。
まぁ共感してるつもりで思いっきり滑ってるのとかもそりゃ居るが、少なくともやってるつもり、やろうとはしているだろう。前述の男性脳の特徴を見ればそもそもやろうとしていないように見えるし、その点は違う。
バーナム効果の可能性
・バーナム効果とは、誰にでも当てはまることを「これは自分のことを指し示している」と捉える心理的な効果。認知バイアスとも言える。
今回の場合、「男性」「女性」と人間が必ず持っているだろう属性が名称に入っている。この時点でまず「自分に当てはまる要素」が過度に注目される。
例えばあなたが、マルチタスクが得意で、婉曲的な物言いを好み、平和主義者だった場合、自分は女性脳だと思うだろう。それ以外はそれほどでもなかったとしても。
・端的に言ってしまえば「男性脳・女性脳」という言葉は定義がガバい。これほとんど「理系・文系」に置き換えても話通るだろう。じゃあ理系の女はいないのか、文系の男はいないのか、と問えばもちろんそんなことはない。
隠れたカリキュラムの可能性
・隠れたカリキュラムという概念がある。特に女性において幼少期から無形の「かくあるべき」という教育・プレッシャー・あるいは差別/区別を受けており、「自然と」それが身についている、という考え。
要は男女に違いがあったとして「そうなるべく育てられた」可能性。
それぞれの考え方の違い
ゴールが違う
・どちらの脳だろうが、問題はもう片方側の思考がほとんど行われていないことのほうが問題に見える。共感しか求めず解決する気がない、解決しか求めず冷酷なアドバイスしかできない。
問題そのものを「どういったつもりで見るか」が違うため、同じ状況で違うことを考えていることは大いにある。
コミュニケーションの齟齬
「論理脳」を持つASは、感情的な話になると、非論理的・無秩序・無構造な情報を解読処理しようとして、脳が負荷過剰(オーバーロード;メルトダウン)になってしまう。他の情報を処理する余裕がなくなり、記憶や解釈の違いがコミュニケーションに支障をきたす[82]。
これは前述の「究極の男性脳」たるアスペルガー障害についての話から。AS=アスペルガー。
程度の差こそあれ、これを男性脳の傾向(つまり分析→解決のつもりで話を聞くのがデフォルト)として見れば、例えば「共感してもらいたくて愚痴を言う女」を嫌がるのもわかるだろう。
相手は感情的であり、解決するつもりがないし、話す順番バラバラな上に、その上で共感を期待しており、リアクションを求められる。男性にしてみれば苦行だろう。
もしもカウンセラーのように相手の気持ちを汲み取って「共感」したところで、「問題は解決してない」ため自分はスッキリせずに今度は自分がストレスを貯め込むことになる。前述の男性脳はストレス解消が下手という話と繋げれば、まぁ嫌がるのも道理だろう。
何よりも、問題を解決する気がないというのなら、また似たような愚痴を言われる可能性は高いわけだ。
例えば相談するとしたら
・では男同士ならいいのかと言えば、別にそのようにも見えない。というか男同士の場合はそもそも相談しない傾向の方が高い気もする。
男が男に相談したら、まぁ大抵説教になるか、自分だったらこうするb)=ネガティブな心理状態だったら「でもお前はやらなかったな」くらいに聞こえるだろうとか、「こうするべきだ」とその者の答えを押し付けられるか、お決まりの「頑張れ」だとか、論理的故に何言われるか「予測」が立つのでそれを受ける覚悟がなきゃしないだろう。
そのまま誰にも言えずに抱え込むのが多いのは、男性の方が自殺率が高いことから見てもあり得ると思うc)厚生労働省の自殺対策白書によれば、2015年の自殺者数は男性16681、女性7344。
・では女同士で相談したとしたら。解決せず、話すだけ話して、相手は共感してくれて、まぁ少なくとも「スッキリする」可能性は高いだろう。で、大体それで良かったりはする。それだけで。
逆に女同士で「相談に乗ったら嫌われた」みたいな女性は「解決する気満々だった」ことが凄い多い。これはそのまま女性が男性に対して「気持ちをわかってくれない」と責めるのと同じ理由だ。
・生産性で語るなら、もちろん問題を解決するのが一番だ。ただ、「相談したい」という「気持ち」は、その問題を一人で抱えている現状に対しての混乱、不安、恐怖などがある。
これらに対しての「解決」は、と考えれば、答えとなるのは「安心させること」になる。論理思考だとこの答えにはたどり着けない。「問題」を見るから「原因の排除/課題のクリア」になる。
それで解決すれば結果的には論理的思考による対応は正しい、となるにはなるが、厄介なことに相談者側も状況をよくわかっていないことはままあるわけで。
相談する理由や動機は、一般的な考えで言えば「解決したいから/してほしいから」と捉えるのが自然だ。だが現実にはもっとあやふやな、上記のような「混乱」状態からの「話を聞いてもらいたい」という動機のことは、確かにある。男でも女でもね。
これはまぁ、簡単だろう。一人でカラオケやら焼き肉屋やら行けるかって言ったら、かなり難しいと言われてる。焼き肉は一人で遊ぶ「ソロ活」の中でも上位の難易度だとか。大抵は友人を誘う。「一人じゃ行きづらいから」と。
群れてるとなんか安心するのは人の本能なわけで、「一人だと不安」と言う気持ちになる素質は誰にでもある。困った事態になったのなら尚更に。話したい、話を聞いてもらいたい=自分の状況を知ってもらいたい「だけのつもりで相談する」ことは、思った以上に存在している。
のだけど、「相談」つっといて愚痴聞かせるのは流石に詐欺だと思うんだが。
神経回路網
・端的に言うと、神経回路としては共感・分析的思考をする部分は実在する。
加えて共感の部分が活発になっているときには分析部分を、分析部分が活発になるときには共感の部分を「抑圧する」。つまり、両立というか、同時に使用することはできない部分だという研究がある。
・これだけで把握は出来るだろう。つまりは今まで男性脳女性脳と散々言ってたこれらは男女問わずに「どちらも持っており」「同時に使用はできない」。
そして恐らくだが普段よく使うのは男性は分析的思考、女性は共感能力の方であり、それらが男性脳・女性脳というものがあるように「見える」と。
男性なのに女性脳・女性なのに男性脳
・自分は男性なのに女性脳だ、女性なのに男性脳だなんて話もある。まぁ別にあってもおかしな話じゃない。
・「脳」と言うから話がややこしくなってるだけだろう。「思考回路」だと思えば話は早い。
・「デフォルトの物の見方」に共感・分析の2つのテンプレがあり、人はそのどちらかであり、男は分析で女は共感であることが多く、そうじゃない人もいる。ただそれだけの話しで。
そうじゃないと言ったところで、神経回路そのものはあるし、切り替えることもできる。どちらかしかできず、もう片方は完全にゼロだというのなら世の中サイコパスと共依存しか居ないことになる。
95%程の人間はバランスが取れた状態である、と言われている。2%は極端に偏っているともd)http://wpmu.hidezumi.com/?p=191。
・前述のサイモン・バロン=コーエンは男性と男性脳、女性と女性脳は「イコールではない」と繰り返し強調している。
・少なくとも男性と女性で物理的に脳は違う。これは確かだ。
赤ん坊の頃は男は物に対して、女は人に対しての関心が強い。e)狩猟採集時代の遺伝子を理由として、男は狩りしてる間に喋ってる暇なんてない、女は身を護るために連携を重視するため、との意見がある。https://www.ctale.jp/blog/archives/1577
コミュニケーションに限らず物事に対して男は体系的に、女は共感を主とした物の見方をするとされている。
大きさや重さも男女で違う。女性の方が小サイズ。だが知能に直結してるとは言えない。アインシュタインは「天才」と呼ばれているが、脳の重さは女性と同じくらいだったとされる。グリア細胞が多かったらしい。量より質ってところか。
メモ
・解決脳は問題の解決、共感脳は分かり合うこと。
ゴール(目的)が違うということは、方針も当然違う。「同じ問題を見て」「違う目的を立て」「違う行動をする」。
だがこの違いは脳その物の違いではなく、使っている「回路」の違いだ。理解も共感もお互いにできる余地はある。その気になれば。
だいたいこういう時って無条件に自分は正しい、相手は間違ってるって思ってる状態だからなかなか難しいだろうけれどね。
脚注
本文へ戻るa | Wikipedia:カサンドラ症候群 |
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本文へ戻るb | =ネガティブな心理状態だったら「でもお前はやらなかったな」くらいに聞こえるだろう |
本文へ戻るc | 厚生労働省の自殺対策白書によれば、2015年の自殺者数は男性16681、女性7344 |
本文へ戻るd | http://wpmu.hidezumi.com/?p=191 |
本文へ戻るe | 狩猟採集時代の遺伝子を理由として、男は狩りしてる間に喋ってる暇なんてない、女は身を護るために連携を重視するため、との意見がある。https://www.ctale.jp/blog/archives/1577 |