- 相手の気持ちを想像している
- 相手の気持ちと同じものを感じている(つもり)
- 相手の気持ちに巻き込まれている
共感の意味
- 他人の意見や感情に「そのとおりだ」と感じること。簡単に言えば「あなたと同じ気持ちだ」「あなたの気持ちがわかる」ということ。
- 「同じ」と「分かる」の2種類があると思っておいたほうが良い。前者は同調しやすい。後者は推論の比重が高いが、客観性がある程度保たれている。
- 共感の言い換えとしては、同感、共鳴などがある。このように大体は「同じ気持ち」を指す事が多い。
- 自動的に共感してしまう、といった形もある。「人の気持ちが分かる人」「人の痛みがわかる人」など。
- ただし「共感する」「気持ちを汲み取る」などと能動的な言い方をされる場合、いくらか自発的に相手の気持をわかろうとし、その結果予測がついたような意味合いが含まれている場合もある。
- 対象は他者の喜怒哀楽、主義主張、悩みや痛みなど多岐にわたる。相手の精神的なもの全てと言って良いかもしれない。
- 共感の場合、同じなのは「気持ち」だけである。言葉の意味としては、言動や手段への賛同とはならない。
- 例えば「気持ちはわかるがその言い方はアウト」というのは、気持ちの理解ではあるが、言動の同意や許容ではない。
- ソシオパス(反社会性人格障害)やサイコパスは共感の欠如があるとされる。
- アスペルガー症候群もそうだが、他人の気持ちが理解できない症状などはある。
共感能力
- 共感「能力」の場合は、単に脳的に共感が可能かどうかくらいの意味しかない。
- 自己愛性人格障害やサディスティック人格障害なども共感能力が低いと言われるが、相手を苦しめるためには共感能力を使っているとの説もある。
- 相手を苦しめる手段を考えたり、苦しんでいることを楽しむためには、「人の気持ちがわかる」必要がある。
- このため、共感能力がある=優しいとは限らない。そう思われがちだが。共感能力の有無と、共感的な人間かどうかは別ということ。
- 相手の意見への共鳴や同調の意味を持つため、内容的に毛ほども同意できないものには当然共感は働かない。
- 自分の意見を持つのが難しいタイプの人間が、過度に共感的、同調的なことがある。他人の顔色を読みすぎ、気にしすぎなど。
共感力とは
- 中身は「共感」とほぼ同じ。他者の意見にそのとおりだと感じること。
- 共感力の場合はさらに、「相手の感情に寄り添うことができる力」が加えられる。
- 大体「○○力」ってのはビジネス本発祥だよな。
- ある種のリーダーシップに必要な2要素の1つとされる。
- もう1つは傾聴。相手の話を聞く力。
共感性の構造
- 学術的には共感性と呼ぶ。認知的側面と情動的側面の2つを統合した、多次元的な構造として捉える見方が多い。
- 認知的側面は、他者の心理状態を正確に理解する側面。
- 情動的側面は、他者の心理状態に対する代理的な情動反応の側面。
- 共感の理性的な面と感情的な面と言ったほうが早いか。
- 人を助けるなどの向社会的行動の動機となる。
- 攻撃行動を含む反社会的行動の抑制に関わる重要な要因とも考えられている。
- 他者理解を深め、円滑な対人関係の基礎となるものとされる。
- まぁ要するにこの場合は世間で言われる「優しさ」に結構近い。
- 多次元共感性尺度が作られている。構成は以下。
- 他者指向的反応
- 他者に焦点づけられた情緒反応を示す傾向
- 「共感」のイメージそのまま。相手の感じたであろうものを感じること。
- 自己指向的反応
- 他者の心理状態について、自己に焦点づけられた情緒反応を示す傾向。
- 他の尺度ではこれは「個人的苦痛」とされる。個人的苦痛は他者の苦痛に対して、動揺などの「自分の苦痛」として感じられる感情。
- 自己指向的反応の場合は、相手を見て「自分はそうなりたくない」「自分の身に起こらなくてよかった」なども含める。
- 被影響性
- 他者の感情や意見に影響されやすい傾向。「他者の心理状態に対する素質的な巻き込まれやすさ」とされている。
- 要は他人の影響を受けやすいことだが、これは裏を返せば自分がない/薄い、あるいは動揺しやすいことでもある。
- 視点取得
- 自発的に他者の心理的観点を取ろうとする傾向
- 相手の立場からその他者を理解しようとすること。
- 想像性
- 架空の人物の感情や行動に自信を投影して想像する認知傾向。
- 他者指向的反応
- これらをざっと眺めると共感性が高すぎる場合は、暗示にかかりやすそうである。詐欺にも会いやすそうである。
- ここから一般に言われる「共感能力」には3タイプあると考えられる。
- 相手の気持ちを想像している
- 相手の気持ちと同じものを感じている(つもり)
- 相手の気持ちに巻き込まれている
共感の種類
・想像あるいは推論して相手の気持を理解するのは認知的共感と呼ばれる。
・相手と同じ気持ちになることは情動的(感情的)共感と呼ばれる。
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・相手の感情に巻き込まれることは、そのまま情緒的巻き込まれ、感情的巻き込まれと呼ばれる。
それ自体も問題視されるが、その後で当人が取る行動も問題となる。自分がなく過剰に相手に尽くす、合わせる感じ。
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巻き込まれやすい性格的/認知的要因もあるが、相手との関係性が深い場合などには一般成人にも観測される。
メモ
共感能力とサイコパス
・サイコパスは、通常人間のブレーキとなるような感情がないと言われることが多い。罰を理解しない、恐怖心がない、そして共感能力がないと。
少なくとも共感能力は、あるにはあるが、普段働いていないらしい。
・サイコパスは共感能力がないのではなく、存在はするが基本的にオフになっているとの説がある。
脳波を測りつつ痛そうな動画を見せても反応のない彼らだが、単純に「相手の気持になって見て」と指示してから計測した。
結果、彼らの脳は共感の反応を示した。
例えば手が叩かれている動画を見て、自分も痛みの反応を示すなど。
・むしろ共感能力は、一般的な人間がサイコパスや自己愛性人格障害などの「表面的な魅力」があるとされる者たちに騙される原因となる。
彼らに対してそう感じるのが、「受け手の共感能力が彼らを見てるとバグるからだ」という意見もある。
いわゆる「人の気持ちがわからない人」の振る舞いは、他人には共感できない。共感能力が無い相手には共感できない。
こうなると目の前によくわからない物体がいることになる。
これがストレスなので合理化(つじつま合わせ)を脳がやろうとする。
自分に知らない何かを知っているのだろう、自分よりも正しいのだろう、実力があるのだろう、など。
「ストレスだから攻撃しよう」となる可能性もあるが。
合理化はDV被害者、共依存、モラハラ被害者、ストックホルム症候群などにも見られる。
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オキシトシンと共感能力
・オキシトシンは愛情ホルモンとも呼ばれるが、愛着ホルモンともされる。愛着という言葉は多少イメージが悪いが、実際その通りに身内びいきやイジメをするような傾向も増やす。過剰に敵味方の区別をしたがる感じ。
このため「味方」判定をした相手には過剰な肩入れをすることもある。一見すると共感的だが、これは同一化や一体化と呼んだ方がいい同調タイプの共感であることが多い。
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心の理論と共感能力
・理解型の共感能力としては「心の理論」がある。他者の心を類推し、理解する能力とされる。
これのテストは状況への答えではなく、「登場人物がどのような間違いをするか」の推論となっている。
一部の発達障害者はこれが弱く、自分の視点での「答え」を言ってしまう。空気を読まない、人の気持ちがわからないなんて言われる視点。
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・心の理論のメカニズムはまだ解明されていない。仮説としては2つある。
一つは理論説。他者に当てはまる一般的な知識や理論を学習し、それを元にした推論をしている。パターン的な解釈。
もう一つはシミュレーション説。「自分を相手の立場において模倣する」とする仮説。想像力。
これが正しく機能するには、相手のことを知っているか、自分と相手の見方や考え方が似ていなくてはならない。
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共感性羞恥
・他人を見て、自分が恥ずかしいと思う気持ち。親しい相手や、自分と共通項を持っている相手だと特に感じやすい。
・「感情移入」にかなり近いため、対象との同一化となる情動的共感とは共通点がある。
・研究ではこれが共感能力によるものであるとの証明されていない。
反対に、「自分の恥ずかしさの基準(自分だったら恥ずかしい)」で羞恥心が湧くことが示唆されている。
このため「人見て勝手に恥ずかしがってる」という状態だと言える。相手が恥ずかしがってるかどうかはあんまり関係ない。
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