人格適応論:性格分類

人格適応論:性格分類

・ポール・ウエアー、テービー・ケーラー、バン・ジョインズによって開発された理論。

・全部で6つ。生き延びるための適応と行動上の適応で3つずつに分かれており、人間はそれぞれ最低1つずつ持つ。

・名前を見ればわかるが、これらはポール・ウエアーが人格障害/パーソナリティ障害の分類名から取っている。ただしこれ自体に良し悪しはなく、正常か異常か、どちらにもなり得るとされる。

後にヴァンジョインズがそれぞれに新しい名前をつけた。

・要素が濃ゆいが、繰り返すが「普通の人間」がこれらを生き延びるためと行動上とで「最低1つずつ」身につけているとされる。

・また、それぞれのタイプにエリック・バーンの交流分析の拮抗禁止令と絡めて「どう思うことが自分にとってのアクセルか」とされているものを見つけたので併記する。

拮抗禁止令は以下

  • 「完璧にしろ」
  • 「満足させろ」
  • 「努力しろ」
  • 「強くなれ」
  • 「急げ」

これは幼少期、親の態度/評価から子供が学んだものだとされる。

・加えて「心のブレーキ」として禁止令と結び付けられている。禁止令は表記ゆれが多く、大別すれば13だが細かく分ければ更に増えるだろう。いくつか併記する。

禁止令もまた親の態度/評価から子供が学んだものとされる。以下。

  • 「何もするな」
  • 「お前であるな」
  • 「子供であるな」
  • 「自立するな」
  • 「感情を表に出すな」
  • 「自分で考えるな」
  • 「近寄るな」
  • 「成功するな」
  • 「欲しがるな」
  • 「健康でいるな」
  • 「誰かにとって重要であるな」
  • 「所属するな/親しくするな」
  • 「存在するな」

見りゃわかるが酷いだろう。ただ、面と向かって親が子供にこう言った、のではなく、親の態度から子供がそう汲み取った、という点は注意。

例えば「お前であるな」は、女の子に向かって「本当は男の子が良かった」と言うだけで該当する。

つまり子供は繊細で、親は相対的にデリカシーがない。
親は子供を抱き上げる力は加減するが、心の耐久力はあまり気にしないね。そもそも言葉があまりわかっていないと思いこんでいたり、どんな受け取り方をするのかとかの問題が多いか。

・また、必ずしも悪いとは言えない(言い方は最悪だが)。これらの「するな」に依って子供ではなく大人として振る舞える面はある。ただあるだけでは悪いとは言えないだろう。時と場所を選べないくらいに強制力が強くなると問題だが。

加えてこれはブレーキとなる心の命令であり、行動としてその通りにしているとは限らない。

・表記はポール・ウェア命名/ヴァン・ジョインズ命名

生き延びるための適応

3歳ぐらいまでに発達させる。

ヴァン・ジョインズによれば「親の教養スタイル」で生後18ヶ月ほどで決まる。

想像型:スキゾイド型/創造的夢想家

・親の「当てにならない教養スタイル」でなる。

・引きこもり、白昼夢。哲学者タイプ。

・一人の時間、空間を大切にする。安定志向。
他者に対しては優しく、思いやりがあり、自分の意見・欲求は後回しにする傾向がある。
これは自分の内面を守るためだろう。

・物静か、控えめ、仕事に対しては黙々と取り掛かる。

・クレッチマーの性格分類の「S型:分裂質タイプ」にかなり似ている。
というかこの「S」はスキゾイドのSらしい。

クレッチマーの方で言われていることだが、この性格は他のどれよりも内面が豊かであるが、「他人からはよくわからない性格」とされやすい。彼/彼女の他者への対応は「無難」の一言で済むからだ。他が濃すぎるだけな気もするが。

・頭のアクセルは「強くあれ」。

・ブレーキは「欲しがるな」「何もするな」「所属するな」。

信念型:パラノイド型/才気ある懐疑者

・親の「一貫性欠如の教養スタイル」でなる。

・誇大、嫉妬、猜疑心、警戒心が強いとされる。

・自分のこだわる理念、信念を第一とする。これらに対しては保守的である。自己管理を好む。

・緻密で、注意深い。思考に対しても。

・反面、注意深すぎて消極的になったり、疑い深かったり、自分の理念/信念に関わるならば誇張的であったりする。

・頭のアクセルは「完全であれ/強くあれ」。

・ブレーキは「信頼するな」「感謝するな」「正気であるな」「恐れを感じるな」とある。

所属するな、感情を表に出すな、そして拮抗禁止令の強くあれ、が該当するか。

行動型:反社会型/魅力的操作者

・親の「先取りする教養スタイル」でなる。

・社会規範との葛藤、自分本位、無責任、操作的。

・「操作」はもちろん「他人を操ろうとする」こと。

・刺激を求める傾向がある。自分の利になる時には力を発揮する。挑戦心もある。

・行動力があり、リーダーシップが強い。

・優位に立とうとする、他者を見下す、目先のことしか見えていない傾向がある。

・他人の目や社会的な評価を第一としているように見える。誇大型の自己愛に類似している。

・頭のアクセルは「強くあれ」「満足させろ」

・ブレーキは「信頼するな」「欲しがるな」「所属するな」。

行動上の適応

6歳ぐらいまでに発達させる。

ヴァン・ジョインズによれば親の「養育スタイル」で決まる。

反応型:受動攻撃型/おどけた反抗者

・親の「過度に支配的な養育スタイル」でなる。

・憤慨、過剰依存、妨害、自己中心。

・「受動攻撃」については聞き慣れないかも知れない。ベースとなったと思われる受動攻撃性パーソナリティ障害は、「消極的反抗」を繰り返すパーソナリティ障害とされる。

・パーソナリティ障害としての受動攻撃性は、例えば指示は聞くが、わざともたもたしたり、わざと失敗したり、そういった行動を取る。

或いは権威ある人間に対して非合理的的に批判、軽蔑する。

或いは自分は正当に評価されていないと憤っており、自分より恵まれた人間に対しては嫉妬と怒りを顕にする。

総じて他人によく喧嘩腰で絡む。

・ここでの受動攻撃型は「ここまでではない」ことには注意。これは6つのタイプ全てに言えるが、「普通」の範疇に収まっている上でこういった傾向がある、と捉えたほうがいいだろう。

・内面は過敏型の自己愛に類似している。行動はそれより積極的か。

・自分の好き嫌いを重視する。加えてそれらを活かせる自由さも。支配的・指示的な環境でこの傾向が発達しやすいとされる。

・頭のアクセルは「努力しろ」

・ブレーキは「嫌だと感じるな」「満足するな」「感謝するな」「何もするな(決めるな)」。

思考型:強迫観念型/責任感ある仕事中毒者

・親の「目的達成重視の養育スタイル」でなる。

・完璧主義、抑圧的。真面目。

・論理的な、事実に基づく判断を第一とする。計画通りの人生を生きたい。

・すべての物事に責任を持とうとする。相手に認められるために完璧にやろうとする。

・責任感があり、良心的で、思考も明晰。

・裏返ればそれはこだわりが強すぎる、言い訳がましい、他者批判的となる。

・幼少期に「成果」を強調した褒め方をされると発達する、とされる。

・頭のアクセルは「完璧にしろ」

・ブレーキは「くつろぐな」「健康であるな」「成功を感じるな」「楽しむな」。

感情型:演技型/熱狂的過剰反応者

・親の「人を喜ばすことを強要する養育スタイル」でなる。

・興奮しやすい、過剰反応する。感情的に不安定。

・人に喜んでもらうことを重視する。

・優しい、思いやりがあるなどわかりやすい「良い人」ではあるが、すぐ泣く、すぐ人を責める、気を使いすぎなどにもなりやすい。
共感能力が高い傾向がある、とすればわかりやすいか。

・活かすならコンシェルジュなどの接待関係。

・頭のアクセルは「満足させろ」

・ブレーキは「考えるな」「成長するな」「子供であるな(我慢しろ)」
自分で考えるな、(本当の)感情を表にだすな、そして成長するなは「自立するな」に当たるか。

メモ

・多分、好き嫌いがはっきり分かれるだろう。全部濃ゆいし。正直全員こっち来んなという気分になることは否めない。やっぱり人間性ってこれらを無難なレベルに薄めることができるツラの皮のことだと思うんだが。

・興味深いのは、これらは「適応」であること。何に対して? 環境、周囲の人々。人格、性格、個性ではあるが、それは持って生まれたオリジナリティではなく、「適応」であること。

人間社会に命の危険は野生動物ほどはないが、それでもある意味「サバイバル」の様な、こういった適応が必要であること。

・生き延びるための適応が物事の価値観、認知に関わり、行動上の適応が「社会的な立場」の確保、或いは自分としての芯を通すために見える。社会的な立場って言っても肩書ではなく、「キャラクター」と言ったほうがいいか。

・スキゾイド+演技型の場合、胃に穴が開くと思う。

幼少期の親の対応が~ってのは昔から言われてることだし、事実でもある。大人の対応の影響力はかなり大きい。それに「適応」するから。

特に拮抗禁止令の「満足させろ」、各種禁止令は、アダルトチルドレンを強く想起させる。

関連ページ:
_アダルトチルドレンの6つのタイプ

参照:
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E6%A0%BC%E9%81%A9%E5%BF%9C%E8%AB%96

http://www.venturmanagement.com/up-personal/jinkaku.html

http://solvour.jp/adaptasions/

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