直観像記憶/映像記憶とは
・眼に映った物を、みたままその通りに記憶すること。視覚的な記憶。また視覚的な記憶能力も含まれる場合がある。
・具体的な例としては、サヴァン症候群の様な一瞬見た映像を緻密にスケッチするなどが挙げられる。俗に言う「人の顔は一度見たら忘れない」ってのが、現実にあるということ。
・「写真記憶」とも呼ばれるようだ。
・人間の場合、幼少期にはこの能力はあるが、思春期以前に失われるとされる。
(失われると言うより、別の覚え方=言語による抽象的な記憶にシフトしていると思う。)
・三島由紀夫、山下清などがこの能力が高かったとされる。(山下清はサヴァン症候群だと考えられている)彼らの作品は微に入り細に入り正確に表現されてあり、それを実物を見ただけで記憶した、とされる。
海外ではダヴィンチ、テスラ、ゲーテ、ノイマンなど。ノイマンは規格外だからほっとこう。どれも噂程度であることには注意。
・「フォトリーディング」と呼ばれる、直観像記憶を意図的にトレーニング、使用する試みもある。
・同様にフラッシュ記憶と呼ばれるものがある。「理解が伴う記憶ではない」と言われたりする。映像をそのまままるごと覚えるのだから、その通りだろう。
チンパンジーのほうが直観像記憶に優れる
・チンパンジーの子供は大人の人間よりも直観像記憶に優れているため、ある意味では原始的な記憶能力だと考えられている。
京都大学霊長類研究所の研究。
https://langint.pri.kyoto-u.ac.jp/ai/ja/k/074.html
子供チンパンジーVS大人チンパンジーVS大人ヒューマンで同じ環境下でテストを行った。制限時間付き(一秒に満たない)で数字を見せる、場所を答えさせるというシンプルなもの。
大人はチンパンジーもヒューマンも制限時間が短いほど正答率が低下。
子供チンパンジーだけは制限時間が成績に一切影響を与えず、好成績を出し続けた。
子供チンパンジーのテスト中トラブルがあったらしく、10秒後に答えを聞く形になったらしい。それでも正解したそうだ。
子供チンパンジーには全て直観像記憶があるとされている。これについてこのような考察がなされている。
第1の例。チンパンジーがイチジクの木に到着したとしよう。緑でなく赤く熟した実を見つけ出し,そこに到る枝を見つけなくてはならない。
イチジクは大木なので,目的の枝を見誤ると,中央の幹までいったん戻ってかなりの遠回りを強いられる。
それだけではない。先着のチンパンジーがいるとしよう。どの枝にだれがいるか,それを見分けることもたいせつだ。なぜなら,順位の高いおとなの男性の近くでは,おちおち実を食べてなどいられない。
イチジクの木を見上げて,実の熟れ具合とその位置,先着者がだれで,どこにいるか,それらを一瞬で知ることは重要だろう。
第2の例。群れの男性たちが,いつものようになわばりの境界領域をパトロールしていたとしよう。すると突然,隣接する群れのメンバーに遭遇した。
動く気配や声がする。茂みのどこに,だれが,何人潜んでいるのか。敵なのか味方なのか。そうした瞬時の判断を誤ると,ふくろだたきにされて,半殺しの目にあいかねない。
つまりどちらも「一瞬だけ見たことを後から分析する」ことに使われている、ということになるだろう。
(だとするならフラッシュ記憶は使い方としては理にかなっているのかもしれない。)
・また、人間にこの能力がない(と引用先ではされている)理由として、「知性のトレードオフ仮説」が提唱されている。
簡単に言えば、「言語機能」の獲得と引き換えに失ったのではないか、ということ。言語は表層機能(心に思い浮かべること)と関連している。まぁ名前聞いたらその人の顔が浮かぶ、とか。
こちらのほうが人間にとっては必要であり、脳の容量は有限であり、直観像記憶を手放して、言語機能を獲得したのではないか、という仮説。
読みやすいから上記引用先のリンクを読むことを勧めておく。
直観像記憶を身につけられるか
・一応直観像記憶を測るテストはある。
直観像記憶テスト:https://www.hatsuratsu.me/photographic-memory/
・記憶術や速読術の一部は直感映像記憶を使おうと試みるものもある。
記憶術なら「フラッシュ記憶」なるもの、これは視覚映像を「解読」せず、全くそのままに写真のように記憶しようと試みる。
速読術も視野を広げ、文字を読むのではなく「見る」ことに専念するタイプは見たことがある。どちらも効果があるかどうかは知らんが。
・wikiイメージ訓練や瞑想で訓練が可能、とされている。内容は不明。瞑想は瞑想で色々あるし。
・https://tocana.jp/2016/03/post_9182_entry_4htmlでは直観像記憶力のテストを行い、高い正答率=直感映像記憶能力が高いとの成績を出した人の話が少し載っている。曰く、日頃の瞑想の習慣のおかげではないか、とのこと。
・直観像記憶の鍛え方
見かけたものをいくつか。
・単調なシンボルなどのわかりやすいものを見る→目を閉じてそれを思い描く、を繰り返す。
・写生。1~2分の観察、その後書く、を繰り返す。観察の際は言葉による分析をなるべく行わないようにする。まぁ直観像記憶鍛えようってんなら言葉使っちゃ意味ないね。多分この2つの機能は排他的な関係になる。
・瞑想。
直観像記憶がある人達
・https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12179406962:こちらでは、直観像記憶があるという人がその様子を書いている。曰く、人と話していても見るつもりもなく周りの様子まで見てしまうとのこと。
これは一般には自動的に行われる無意識的な「分析(のフリした解釈)」を行っていないとも取れる。目に入ったまま、そのまま覚えるのが「基本」となっているかのような。
また、トラウマのような出来事のフラッシュバック、相手の表情他細部に渡るまで思い出せてしまうとのこと。
・http://blog.livedoor.jp/vip2ch_quality/archives/50098302.html:こちらでは、直感画像記憶のみがあるとする人がその様子を書いている。まぁ掲示板のまとめだからちょっと用心したほうがいいかも知れないが。
曰く、
- 覚えようとしない限りはそのような覚え方はしない。
- 覚えても忘れることはある。
- 世界史の受験が楽だった。
- 麻雀で便利(麻雀知らないからどういう風に便利なのかわからん)。
- 細部まで思い出せる。
- 医者には先天的なもので、三万人に一人だと言われた。
- 同じく医者が言うには後天的には技術として学べるが、基本機能として働くのは生まれつき。
- 一度見ただけだと一晩持つかどうか。
- デメリットとして「嫌な長期記憶をなかなか忘れられない」とある。ただこれは直観像記憶に限らないと思う。陳腐な言い方だが、「大体は誰だってそうだ」と。ここが大多数と違う点があるなら、詳しく知りたい所だね。
- 動画を再生するように網膜に再現できる。
- 本の内容を覚える感覚としては「眺める」ような、マンが読むのと同じ感じとのこと。
- 教科書のページをまるごと記憶、後で思い出してそれを読む、というようなこともできる。
- 高確率でその日覚えたことが鮮明に夢に出る。
- 嫌なことがあった場所、相手と同じ名前などをトリガーとして鮮明にその時のことを思い出してしまう。
- 思考をしている時にはそれに関連したイメージが複数思い浮かぶ。クリエイティブなことは苦手。
このスレで最終的に彼の能力は「ノット東大」と名付けられた。
・生来のものの割には結構難儀せずに便利に使えてる印象。神経衰弱やったら周りにガチで引かれたらしいが。
・気になるのは、他と違って数字の羅列などの暗記は苦手としていること。「意味」がないと覚えづらいらしい。直観像記憶と言語機能のハイブリッドかもしれない。