TED:プレッシャー下で冷静でいるには

TED-ED:How to stay calm under pressure

focus concentrate 

・動画内では集中のことを「focus」と呼んでいる。他に集中を指す言葉はconcentrateがある。

どちらも同じような意味として通じるが、ニュアンスは微妙に違うとのこと。

focusは焦点を合わせる、それを中心に据えるような意味。

concentrateは一箇所にエネルギーを集中させる、注ぎ込むような意味。

個人的にはゾーンやフローはfocus、過集中はconcentrate(のやりすぎ)に近いと思う。

・私達は「集中」と聞くと大抵は真っ先にconcentrateのような集中をイメージするが、その集中は動画のような「あがり」につながるのではないか。動画の例で言えば、アガった際、体の動かし方についての思考に集中はしている。そのせいでガッチガチになってできることできなくなってるわけだが。

つまり、「不適切な集中状態」が緊張/あがりではないだろうか。集中の対象、強さ、認識/思考の範囲、それらの要素の配分の不適切さ。

・lock in も集中の意味として使われることがあるらしい。

気が散る

・脳には集中するべき対象のピックアップと、それ以外を「気にさせない」機能がある。このシステムが働く限りは集中できるが、割と疲れやすい。回復もしやすいようだが。ADHDだかアスペルガーだかは無関係なものを気にしない部分がうまく働いておらず、このような選択的注意が難しいって話もどこかで読んだな。

ともかく、この機能が働いていない、あるいは足りない場合はキャパオーバーか疲労が疑わしいだろう。緊張は大抵「シチュエーション」がトリガーであるため、キャパオーバーの方か。他人の目、自身の裡からの不安などの処理で。

作業記憶

・「作業記憶を用いる課題はプレッシャーに弱い」というのも面白い。作業記憶、つまり何かを思い浮かべ、先のことをシミュレートしたり、或いは過去の出来事から関連した物事を連想したり、それらを頭の中に並べたり、計算したりするスペースは有限だ。

プレッシャーとは切迫した心理状況であり、悪い可能性を特に予測しやすい。
ネガティブなイメージへの説得と、ポジティブな結果を出すための正確な動きの実践と、両方やらなくてはならない。要するに、緊張するだけで頭の中の仕事が増える。

ただ、前述の通りそういった「雑念」に注意を払わない効果が脳にはある。カクテルパーティー効果(賑やかなパーティー会場でも自分の名前を呼ばれたらそれに気づけるのは、脳が元から自分に関連した情報だけに気づくよう機能しているからだという話)などがわかり易い例だろう。緊張をしている時点で、このような集中環境を整えるシステムが疲弊しているか、働いていないとも考えられる。


或いは自ら望むのかもしれない。課題を発見し、解決すれば安心できる。安心したいがために不安材料を探すことは普通にある。ただこの場合、目的がタスクの実行から不安の処理にズレている。

・このことから考えれば、人前でだけイージーミスをしやすい人はあがり症の可能性もあるかもしれない。どう考えてもそうだろって気がしてきたが。

・フォン・ノイマンは頭の中のスペースがテニスコート一枚分あったとか言われてるが、どういう根拠なんだか。IQ300ってのも当時どうやって計測したんだか。

インナーゲーム

・インナーゲームと言われる概念は、自分の中の批判者(セルフ1)が実行者(セルフ2)に口を出しまくり、緊張させ、結果上手くいかなくなるというものだ。このインナー(内面)の試合に勝つことが、アウター(実際の試合など)で勝つ近道だとする。

提唱したのはテニスコーチであるティモシーガルウェイだが、ビジネスの分野でもこの理論は活用されている。

・この動画では上がる理由の1つ、「意識的なモニタリングの問題」として、「目の前の作業を過度に分析する可能性」を上げている。

この中の「意識せずにできるまでに身についたスキルは細かな動きを意識することで邪魔されてしまう」なども、インナーゲームに類似する。

単純に「論理的思考」は言葉に依存しているため、言葉で表現できない場合そこで詰まる。で、体験知や暗黙知などと呼ばれる身についていて、実践できて、言葉にできない/するのが難しい知識がある。「習得したスキル」はこのカテゴリに入る。また、一部の細かい要素は元から言葉にできないものがある。

超簡単に言ってしまえば、「今から箸を見たことがない奴を相手に、電話越しに使い方を完璧に教えろ」とか言われたら頭痛くなるだろうと。相手にしたってわかるかよと。だがやって見せることはできるだろう。見て真似て、習得することはできるだろう。そういう話。人間気を抜くと言葉万能、理屈万能って成りがちだね。これもハンマー釘病なんだろうね。

全くの素人に自分ができることを説明していた際、逆に自分がわからなくなってきた、という話があるが、まぁこういうことなのだろう。

本番で、つまり最高のパフォーマンスを発揮したいときに「しっかりやろうとして」、セルフ1というか、論理的思考というか、解決脳というか、することモードが言葉で注意をした場合、まぁトチるね。

セルフ2は実行できるんだけど説明できない。セルフ1は説明できないんだから実行できないはずだ、これは問題だ、とまた騒ぐ。

コンフォートゾーン

・上がらないためにはストレス下で練習すると良い、という話。

・そも「実力」という言葉に「実力を発揮できること」を含めるならば、あがらないことは確実に「実力」の内に入るだろう。また、ストレスに「慣れる」ことが重要であること。

・コンフォートゾーン(居心地のいい領域)、パフォーマンスゾーン(適度な緊張を齎す領域)という概念がある。更にパニックゾーンが追加されることもある。これはそのまま緊張してパニックを起こす領域/状況。コンフォートゾーンよりもパフォーマンスゾーンのほうがクオリティが高いとされている。

緊張/上がってしまうということは、その場はパニックゾーンだったと言えるだろう。

ストレスや緊張に慣れることは、平時にコンフォートゾーンから自ら抜け出し、パフォーマンスゾーンの拡充を試みるとも言える。「本番」がパフォーマンスゾーンの範疇にあれば、実力を発揮できることになる。

・まぁ張り切りすぎて苦手意識が育ったら笑えないので、少しずつステップアップしていく方がいいだろう。

試合前のルーティン

・昔はアンカリングとか言われてた気がするが。今ではアンカリングといえばバイアスの方になるようだ。NLPはルーティンとしての意味でアンカリングと呼んでいるようだが。

イチローとかのあれ。まぁ見たほうが早いだろう。人間は見て学ぶ機能があるし。ああ、音量注意。

・これ見て思ったんだが、TEDの方で上がりやすい人は人目や評価を気にする人ってあっただろう。そういう人はわかっててもこう言ったルーティンとかやれないかもしれないな。

・ルーティンは否定派は見当たらないが、依存したくないからやらない、という選手もいるようだ。ルーティンをできなかったときにパフォーマンスが落ちたら困る、と。

確かにブランケット症候群/ライナスの毛布のような、これがあれば実力が発揮でき、なければ実力以下になる、みたいなそういった見方もできる。何か設定するとしたら、どこでやっても不自然じゃないもの/どこでもできるものにしておいたほうが、無難だろうね。

・就寝前にやること決めておくとすんなり眠れるっていう「入眠儀式」もこれに類似するだろう。

ゴールを意識する

遠くを見ていれば、近くはぼやける。一長一短だが。緊張している状態は自分をガン見している(しかも批判的に)状態なので、これは有効だろう。

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