「うつ病は心の風邪」について


「うつ病は心の風邪」という比喩を耳にしたことがある人も多いだろう。その出自は私も知らないが、1990年代の後半には雑誌やメディアでもしばしば取り上げられていたと記憶している。


https://style.nikkei.com/article/DGXMZO97140130Q6A210C1000000?channel=DF260120166530

・「うつ病は心の風邪」、という話は、医療用医薬品の研究開発を行う株式会社:グラクソ・スミスクライン社が使用した「キャッチコピー」とされている。

・本来これは、「誰でもなる可能性がある」ことの示唆だったのだが、風邪のような軽いものだ、寝てりゃ治ると解釈されることもあるようだ。経験者からは特に「そのような軽いものではない」との声は多い。

軽症のうつ病を説明する「心の風邪」というキャッチコピーやキャンペーンは、2000年ごろから、特に抗うつ薬のパキシルを販売するためのグラクソ・スミスクラインによる強力なマーケティングで使用された[12]。

後に、軽症のうつ病に対する抗うつ薬の効果に疑問が呈され、安易な薬物療法は避けるよう推奨された[13]。

しかしながら、日本でのこのキャンペーンにより、抗うつ薬の売り上げは2000年からの8年で10倍となり、市場開拓に協力したアメリカ人医師は、節操などなく下衆な娼婦だった、と明かしている[14]。

精神科の薬における向精神薬は、製薬企業の大きな収入源であるため、特別な問題の原因となっている[15]。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%97%85%E6%B0%97%E5%96%A7%E4%BC%9D

・wikiにグラクソ・スミスクラインの記事があり、そこには「不正」の項目がある。総じて利益のために不都合なことを隠したり、賄賂をバラまいたりといった内容。

・「誰でもうつ病になる可能性がある」と金払ってまで市民に伝えたかった理由は、まぁ新規開拓だろうね。

・ただ、以前は精神的な症状に対しての無理解が、現代と比べて相当酷かったのは忘れてはならないだろう。精神病院に行くのは生まれつき頭がオカシイ奴であり、そこの世話になるなんて恥だ、という考えすらあったようだ。

未だにそれを引きずっているのか、それとも引き継いだのか、例えば家族の誰かがメンタルクリニックに通うことを止めさせようとするなどの例も聞いたことがある。「恥だから」と。

まぁ原因も昔と同じとは限らないが。親子の問題でもそうだが、「自分が原因だと疑われるから嫌がる」例もいくらか。

また、「近所にメンタルクリニックに通っていることを知られたくない」という人もいる。要は病院怖い、ってわけじゃなくて「世間が怖い」ようだ。産婦人科とかもそうらしいね。まぁおっかねぇからな、世間。それと同時にクソ雑魚でもあるけど。

人が口にする「世間」、「社会」、「みんな」とは何か

・現代に於いても、一般にはうつ状態とうつ病の区別がついてるのか怪しい面がある。以前よりは知名度も理解度も上がったのだろうが、それでも一般人が正確に自分の状態を把握できるわけじゃない。うつに依る自殺者は通院していなかったケースが多いという話もある。

だから「相談/通院しやすい環境」になったのはまぁ、良いことだろう。理解度が低いというよりも精神的な病に対しての偏見が酷かった時代には「自分はうつ病だ」とすら口にできなかった可能性がある。元が酷すぎただけだし、今でも根性論振りかざすバカはいるが。

・逆に気にしすぎて具合が悪くなってるんじゃないのってのもいる。

メモ

興味深いことをいくつか引用。

「うつ」が「治る」ことについて、専門医は多くの場合、「治癒」という言葉は使わずに、「寛解(かんかい)」という専門用語を用います。この「寛解」とはremissionの訳語で、症状が緩和され病気の勢いが治まった状態を指す言葉で、身体疾患では白血病などでよく使われる表現です。

 つまり、これは完全に治った状態を指すのではなく、病気の勢いが衰えて症状が出ていない状態を示す言葉です。さらに言えば、再発の危険性が残っていることを視野に入れた概念だということになります。

 巷で一般的に行われている薬物療法と休養主体のスタンダードな治療では、たいていはこの「寛解」が目標地点になっています。それは、どうしても再発が防ぎ切れないという限界があるためです。

https://diamond.jp/articles/-/3420?page=2


・調子が良いからと言って、調子に乗ってはいけない。

・「心の風邪」という言葉を信じた人は「風邪のように(まるでなかったように綺麗に)治る」というイメージを持つことを危惧されている。

・やたら再発する人は、うつ病になる前の生活に戻りたがる傾向が多いそうな。その「前の生活」がその人をうつ病にしていた場合、そこに戻ればそりゃ再発する。

裏を返せば、うつ病は個人的なものとして片付けられがちだが、「社会的な」原因はいくらかあるだろうね。

UTU-NETは、ウェブサイトの訪問者には分からないが、グラクソスミスクラインが出資するウェブサイトである[16]。

しかし、社会的要求が高くなり苦しむのであれば薬は必要なく、内因性うつ病によって脳内物質セロトニンのバランスが崩れているのでもないし、今ではうつ病の原因にセロトニンの枯渇があるという説には、科学的な裏付けが不十分であることが判明している[16]。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%97%85%E6%B0%97%E5%96%A7%E4%BC%9D


・うつ=セロトニン不足みたいなイメージ持ってる人も多いのにこれである。

・表立って薬の名前を宣伝できないルールがあるらしく、えらく婉曲的に、かつ積極的に宣伝している印象。

日本でも2010年に『読売新聞』にて、「医師に相談を」という広告が急増していることを取り上げ、これが病気啓発の広告であること、電通によれば2009年には2008年の1.6倍となり103億円の規模となっており、また製薬会社によれば潜在的な患者を発掘しているとのことだと掲載された[3]。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%97%85%E6%B0%97%E5%96%A7%E4%BC%9D

・ある特徴に対して「これは病気だ」という宣伝をしたら、該当者は不安になり、診察に訪れる。出されるのは宣伝した会社の薬、と。

結構前に数学ができないのが病気、遅刻をするのは病気なんてのがあって、それに対しても言われていた意見だが、「利益のために病気をでっち上げている」とは結構前から声があった。病気喧伝と呼ばれる。

同じくADHDが薬を売るために作られた病気だ、と言われることがある。「ADHDの生みの親」と呼ばれる研究者が死ぬ前にそう言っていたとか。

また、本来は子供にだけある症状とされていたものが、「大人のADHD」などと銘打っている現状は「新規開拓」されたように見えなくもない。

でもまぁ薬飲んだらマシになったって声もあるし、実際ADHDっぽい大人もいるしな。全部プラシーボってわけでもないだろうし、何もかもが嘘ってことはないだろう。事実に乗っかって派手に都合のいい宣伝している感は否めないが。

・ちなみに病気喧伝は「医師に相談を」という言葉で締めくくられるパターンが多いそうな。やったら聞くよなこの言葉。

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