脳の2つのモード。
タスク・ポジティブ・ネットワーク
タスクポジティブネットワーク。TPN。「課題陽性ネットワーク」とも。「中央実行系」を指す。
機能としては、
※
Baddeley (1996)[6] は中央実行系の機能を細分化し、
注意の焦点化
注意の分割
課題のスイッチング
長期記憶とのインタフェース
の4点を挙げた。https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E5%AE%9F%E8%A1%8C%E7%B3%BB
※
近年では単に「実行機能」と表現されたり、他の分野でも使用されたりしているらしい。
はっきりとした目的に向かって行動している時、連動して活性化している脳の部分。逆に特にやることのない、例えば休憩中などには非活性になる。前回の「休憩中に気をつけるべきことは」の答えの一つとして「集中しないならなんでもいい」とは言えるだろう。
反対はタスクネガティブネットワーク。またの名を「デフォルトモードネットワーク(DMN)」。何もしてない時に活発になり、雑念の元であり、うつ病の反芻思考の原因であり、アイデアの源泉でもある。
DMNはあまりよろしくないものとされがちだが、「リラックスしているときにも優位になる」、と言えば心象は変わるだろうか。例えば好きな音楽を聴いている時、DMNは活性化している。逆を言えば、「リラックス状態すら脳の休息ではない」。
加えて言えば、認知症ではDMNは非活動的になる。素直に考えれば「認知能力(これにはバイアスも含めるのだが)」を発揮するために関わっている可能性がある。
TPNとDMNは今の所同時に作動しないものとされているようだ。片方が活発なら、もう片方は静かな状態。
DMNの機能ははっきりしていない。しかしこのネットワークの活動は、注意や遂行機能に使用される領域の活動と負の相関関係がある。ヒトにおいてはこのDMNは心が散漫としている(mind-wandering)時の自発的な思考を創出すると仮説付けられ、また想像力に関連する可能性がある。
http://humansandcomputers.blogspot.com/2015/07/default-mode-network.html
この二つの状態は、外界への意識の集中(TPN)と内面への意識の集中(DMN)と考えることができます。
負の相関関係にあるのなら、DMNが抑制されること=TPNが活発になることとも言える。集中状態やマインドフルネスなどが該当する。
・TPNとDMNのスイッチは島皮質で行われる。島皮質は飢餓/渇望状態を作り、食べ物や薬物への欲望を生み出すとされる。
語感がろくでもないが、要するに「目的」と「意欲」の発生源と捉えることができる。この部分が考え事をするか、行動をするかを司るのは自然だろう。
他にも精神活動にかなり関わっている部分。
ちなみにこの部分が脳卒中を起こした喫煙者が、最大136倍以上中毒症状が消えたとのこと。まぁ他の所で不都合が出てると思うが。
参照:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B3%B6%E7%9A%AE%E8%B3%AA
・ちなみにワーキングメモリネットワーク(WMN)なんてのもある。これはDMNと負の相関関係にあるとされる。確かにぼーっと考え事をしていて、変なことをやって、それに気づかない/覚えてないって状態は特別なものではないだろう。
精神活動≠意志
・目標志向的な活動中、作業に取り組んでいる際に活発になる。反対にDMNが内省的なタスク、他者視点の推測や記憶の想起、未来予測などを行う際には活発になっている。
前述した両立できないという話が真ならば、「意志/行動/感情」と「精神/思考」が相剋関係にあるとも考えられる。別に珍しい話でもないか。
衝動的な人間は「考えなし」だと称される。
考えすぎな人間は「消極的」だと称される。
問題は、行動するつもりの「意志」は、大抵の場合「精神」に属すると認知されている点だ。だから思考による「説得」だとか、感情による「脅迫/励まし」だとかを他人や、時に自分に対して人は試みるわけだが、スムーズに行くことは珍しい。「衝突」が起きるからだろう。
似たような話としてはインナーゲームのセルフ1とセルフ2。頭の中の命令者の自分が、実行者である自分をああしろこうしろと恫喝/脅迫して結果、スポーツなどの本番では緊張し、萎縮し、実力が出せなくなるという話がある。
これは「思考」で「意志」の役割を果たそうとした成れの果てではないだろうか。加えてこのような「しっかりやろう」という思考そのものがDMN由来のものならば、TPNを「抑制」していることになる。
簡単に言ってしまえば、内界がうるさければ外界に意識を向けられない。
情報フィルター機能
TPN=中央実行系には「フィルタリング機能」があるとされる。課題や目的とは無関係な不要な情報の遮断。これが十分に働いているならば、それは集中状態と一致する。
逆を言えば「別のことが気になって集中できない」という状態は、その原因が内外関わらずに中央実行系の活性化が不十分な状態だとも取れる。
また、現代社会では情報量が増えすぎて無意識的に情報の取捨選択を行っているとされる。このため、集中に必要なこの機能は「日常的に消費され、既に疲れ果てている」可能性がある。
例えば一日に使える「決断力」には限りが有り、些細な選択でも消耗するという話があるが、このことと一致する。
他にも集中力、注意力、判断力などにも当てはまるだろう。そしてこれらが不足している場合、注意力散漫になる。気が散り、一所にとどまれず、今やっていることよりも今やってないことを気にする。
明らかにフィルタリングするべき対象に気を取られている状態であり、即ちフィルタリングするエネルギーがなくなった状態。