先延ばしを戦略的に行うマニャーナの法則:「今日発生した仕事は明日やる」というライフハック

マニャーナの法則

良い先延ばしをするためのパターン。
マニャーナとはスペイン語で「明日」という意味。明日やることを基本とする。ただし必ず明日やるという意味でもある。マーク・フォスターが提唱

概要としては、「今日一日で発生したタスクをまとめる」「整理して明日まとめて処理する」という形。

・やりたいこと全部やるには時間が足りず、効率的計画的に動く必要が出てくる。しかし人の衝動性が自分の計画を邪魔をする。
衝動的に動かない=仕事と距離を置いて判断することを念頭に入れ、計画的に動く。
距離とってる時に仕事の整理もしようねというお話。

なので別にスローライフ的な要素はない。一切ないね。

ルールは2つ。
 1:新しく発生した仕事は明日やることを基本とする。
 2:WILL DOリスト(クローズドリスト)を使う。

マニャーナの法則においてのタスクの優先度

・マニャーナの法則ではその仕事が発生した時点で、緊急レベルに基づき3つに分類する。
 1:今すぐ
 2:今日中に
 3:明日やる

この上で、基本的には明日まで待てないほど緊急な仕事はあんまりないとの考えが念頭にあるため、大体は 3:明日やる に入る。

TODOリストの問題点と、WILL DOリストを使うメリット

・マーク・フォスターはタスクリストを二分する。

 ・オープンリスト:いくらでも後から追加できるタスクリスト。このためゴールが遠のくことがある。

 ・クローズドリスト:タスクの追加を禁止したリスト。このためゴールは逃げない。

タスクリストのルールの話。構造的な話ではなく。

・クローズドリストに分類されるWILL DOリストは、やると決めたタスクだけがあるリスト。今日やるべきことが揃ってる。
マニャーナの法則では、前日にこのリストが作ることになる。

ただし、母体はオープンリストであり、そこからのピックアップやフィルタリングに依って作成される。


・TODOリストはオープンリストであるとされ、思いつきのタスクを書いたり、備忘録的な意味もあり、クローズド・リストの対義語とされる。
こちらはリストの項目が増える余地がある。オープンだから。これが忙しさの一因となる。

・TODOリストはうまくいかないとの声も多い。
使い方に個人差があり、イメージも結構異なるが、TODOリストは基本的には思いつく限りのタスクが書かれたものとされる。

すぐ動けるのかそれとも考えなきゃいけないのか、優先度と緊急度などがごっちゃになってる上に、追加ができてしまうためさらに増える一方になる。

これは混沌とした頭の中を混沌としたまま映し出した鏡のようなもので、もはや存在自体がプレッシャーを醸す存在になりやすい。

これが、タスクが未整理な状態で、言わば全部が忙しい仕事となる。TODOじゃなくても頭の中がこうなったりはある。こうなると更に衝動的場当たり的になり、悪循環の余地も。

TODOではなくWILL DOを使うということは、今日やる仕事を増やすなと言うことである。

・思考には拡散思考と収束思考がある。色々連想したり関連付けたりで拡散する思考と、結論に向かってまとめていく思考と。
オープンリストとクローズドリストも同様に、拡散と収束の関係にある。


マニャーナの法則の流れ

・実行に於いては3ステップ。
 1:今日新たに発生した仕事を集めておく(=やらない)
 2:仕事を類別する
 3:類別した方針に従い、翌日まとめて処理する。

今日一日分のタスクをまとめて類別することで、明日に一定量の仕事としてまとめて処理できる。これにより効率化につながる。

例えばメールチェックは自己申告が1時間に1度の者が、実際には5分に1回行っていたなんて話がある。割と情けない話だが、このような思った以上に時間を無駄遣いしていることは多い。
これを「明日返信する」フォルダにでも入れて明日処理するなら、一度のチェック、一度の返信作業で済む。そういう考え。

同様に書類も、今日届いたものは一箇所に集め、明日まとめて処理する。
もちろん、どちらの場合も緊急のものがないかというチェックは必要

考える時間を作るために明日に回す

・マニャーナの法則は、実行フェイズと思考フェイズを分けるタイプのライフハックだと言える。まぁ大体全部そんなんだが。

衝動性が人の計画の邪魔をするため、降って湧いたタスクから距離を置き、計画的に処理するための時間を作る。この領域をマニャーナの法則ではバッファゾーンと呼んでいる。単に考える時間を作るとの認識で良い。それが明日まで、ということ。

色々先延ばしにして、その分何を優先するのか

・マニャーナの法則に於いて仕事は二分され、忙しいだけの仕事本当の仕事がある。着手するべきは本当の仕事だとされている。


・忙しいだけの仕事とは作業的な仕事であり、計画や思考が不要なものとされる。
予定や計画を前進させない、誰にでもできる簡単な仕事とも。

また、本当の仕事に取り組まない言い訳にもなるとされる。この点は前回完了バイアスなどが該当する。「達成感を味わうのが目的」だから、手だけ動かすタスクや簡単なタスクばかりやりたがる可能性。

忙しいだけの仕事は、その内容ではなく当人のレベルや立ち位置によって決まる。
忙しい仕事が増える理由が、場当たり的に対応すること。何も考えずに仕事に取り掛かること。
加えてやっぱりというか、何でも引き受けずに断る時は断れとも言われている。

瞬時の見極めは難しい。このためのバッファゾーン。


・本当の仕事とは、予定や計画を進展させる仕事となる。計画性と熟考が必要。こちらも内容ではなくて当人の立ち位置で変化する。

要するに、本当の意味でやるべきこと

・思うに人が「やるべきと何となく思うこと」は、自分が片付けたいと感じたことであり、ここでいう本当の仕事とはちょっと違う。それほど計画的じゃないし、あんま考えてもないよねという意味で。

どちらかと言えばフィーリングとかインスピレーションで、これらは正しいこともあるが、派手に狂ってることもある。
加えてなんぞ思いついた瞬間とは一種の興奮状態であり、とてもよろしく、とても正しいように感じてしまう事がある。そのまま行動に移る様を客観的に見れば、これは衝動性に近い。

達成感を味わうとか、片付けてスッキリしたいとか、個人的にはそのような動機もありだとは思う。ただ、本当にやるべきことがある状態でそっち行っちゃうとまぁ後で困る。

これらのためにもタスクの整理、分類、何よりも自分にとっての本当の仕事は何かを考えるための時間は必要となる。このためのバッファゾーン。


総じてマニャーナの法則は重要度に依ってタスクを分類するのが主目的と言える。
緊急度に対しての警戒が、今か今日か明日かしかないので、締め切りがあるようなものはちゃんとスケジュールに入れたほうが良いだろう。

やることを見出す:マニャーナの法則においてのタスクの分解:二等分法

・いま、何をすれば良いのかの答えがタスクとなるわけで、それを割り出すのが重要となる。

二等分法はこれ以上分解できないという所まで分け続ける。抽象的な青写真を分解し、具体的な行動タスクになるまで砕く。

・一部ではタスクの大きさを「粒度」と表現する。粒度を揃えるとか、小さくするなんて使われ方。

粒度が大きいタスクとは、何やったら良いかわからんタスクと言える。どちらかと言えばタスクではなくて達成目標とか、やらなきゃいけないと思っただとか、一連の計画とか、そのような立ち位置であることが多い。

逆に粒度が小さいタスクとは、何をやったら良いか分かる、比較的直ぐにできるタスクであり、行動や実行のタスクと言える。

・二等分法はタスクに対して二等分できるカテゴリ(きっちりじゃなくていい)を考えていく。以下は、結構抽象的なので、言葉通りに捉えずイメージを捕まえるつもりで読んだほうがいい。

例として挙げられている「ビジネス知識の習得」というタスクでは、その「半分の仕事」を考えて、その下に「製品知識の習得」が書き加えられる。

製品知識の習得のための「半分」として、「製品カタログを読む」というタスクを加える。

(正直この後で半分読む、その半分読む、と最終的に1ページ読むタスクになりそうなもんだが、それはない。
これ以上分解できなくなるまで二等分する、というのは言い過ぎで、何やったら良いか具体的な行動タスクが見いだせるまで分解すればいいだろう。
マニャーナの法則では、抵抗感が問題にならない程度になるまで分解するのが理想とされる。 )

ここで切り上げると、以下のようになる。

・ビジネス知識の習得
・製品知識の習得
・製品カタログを読む

これで完成、下から手を付ける。終わったら取り消し線を引く。
ここで、「他にやることがないか」を下から考え、見つけたら追加。

以上を俯瞰すると、二等分というよりはズームアップに近い。初手の「ビジネス知識の習得」は、コミュニケーションスキルの上達なども考えられるが、この段階で追記しない。実際に二等分するのは最下段。これはやることを(視覚的に)無駄に増やさない効果はある。

・正直めんどくさいしマインドマップで思いつく限り書いてから整理したほうが早くないかと思うんだが、マニャーナの法則の著者が定義したとされるタスク関係の言葉が多いのと関連が考えられる。
その中のクローズドリストとオープンリスト、忙しいだけの仕事と本当の仕事などは、二分割されている。
二等分法はタスクを見極めるための思考法や認知的訓練としては効果あるのかもしれない。

とても良いと思う点は、完成形が何のためにそれをやるのか一目瞭然である点。
 何のためになるのか=一番上を見ればいい
 何をやるのか=一番下を見たらいい
この状態を作れる。これは「本当の仕事」を見失わないためには役立つ。

人のモチベーションに意義は必要になる。逆にそれがないと辛い。ヘミングウェイ曰く、意味なく穴掘って意味なくそれを埋める作業が一番つらい。意味がわからなければ、主観的には無いのと同じなわけで。

ダッシュ法:マニャーナの法則の実践時のライフハック

・実際の作業においてはダッシュ法が提示されている。5~40分と時間を決め、その間走り続けるように集中する方法。ポモドーロテクニックもこの一種とされる。

マニャーナの法則では、基本5分。その後数分休憩を取り、再びスタート。別に一度で終わる時間を見繕う必要はない。

・なお、タスクの属性に依って集中できる時間は変化すると思ったほうが良い。

マニャーナの法則でもこの辺りは示唆されており、タスクに依ってダッシュの時間は柔軟に調整するべきだとしている。

 固定:時間を変更せず、そのまま繰り返す
 変更:ダッシュ時間を変更する
 延長:1ダッシュずつ、時間を増やしていく。
 リセット:増えた時間を元に戻す。
 限界:限度を決める。マニャーナの法則の場合は40が最大。

延長はありそうでなかった概念だな。作業興奮なんかを考えると、確かに始めは少なめ、だんだん伸ばしていくのは良いと思われる。

・注意点がいくつか。
 ・設定した時間は守ること。
 ・タスクは十分に小さくしてあること。
 ・切り替え時間は短く取り、集中力が途切れないようにすること。
 ・ちゃんと休憩は取ること。連続した場合には少し長めの休憩を取ること。
  (この点はポモドーロ・テクニックも同じことが言われている)
 ・タスクが終わっても休憩しないこと。休憩はタイマーが終わった時に取ること。


メモ

・今日じゃなきゃいけない、というのはアイゼンハワーマトリクスで言えば「緊急かつ重要」であり、これはそもそも「無いほうが良い」または「本来はあってはならない」なんて言われている。

マニャーナの法則は明日で良いことと今日じゃなきゃいけないことを分類し、大体明日でいいわこれとするので、落ち着いて処理できる。今日やることは「今日じゃなきゃいけない」とは違うわけだ。

そして当日舞い込んだ仕事も同様の処理をするため、この状態をキープできる。この状態をキープするから、本当に緊急性がある仕事にも冷静に対応できる余裕を持っている。

逆を見れば、なんでも引き受けるとか、今日できるからって今日やろうとするとか、そのあたりが「忙しいだけの仕事」を増やしている所はやっぱりある。

・「2分で済むなら今すぐやる」という2分ルールはこれと対立する。ただ、あちらは元となった理念が「集中するために頭の中を整理する」ことに重きを置いているので、目的が違う。そのために2分で片付けられるなら片付けちまえって方針。

正直「2分って積み重なるとでかいだろ」と思うことはある。2分は1時間の内の約3%に当たる。数個あるだけで結構痛い。3つやったらほぼ10%だ。当然そのタスクの前後は分断されるわけだし。やるにしたって、まとまってた方が良い気がする。仮にこれを湧いたらすぐに対応、なんてしてたらグダグダになるのは明白に思える。

やる気や集中力の問題なら、動くために2分ルールは効果的だろう。出番が違うってだけの話。

マニャーナの法則 完全版


・先延ばし関係のまとめ

先延ばしについて 目次
先延ばしの理解多くの大学生が先延ばし傾向がある75%がギリギリまでやらないタイプ効率性重視の方略の一種だとされるこの上で期限に間に合わない場合は、自己調整能力が必要とされるここでは期限に間に合えばとりあえずセーフ扱...
タイトルとURLをコピーしました