やり遂げる力と自信にまつわる心理:ローカスオブコントロール

 これは、一種の「信念」とされ、「物事の見え方」に影響を与える。

・ローカスオブコントロール(Locus of Control: LOC) 、あるいは統制の所在。学習理論、或いは教育心理学の用語とされる。内的統制と外的統制がある。

その人が自分の行動とその結果の原因がどこにあると認知するかという概念。1950年台にジュリアン・ロッターが提唱。

簡単に言えば、何か結果の原因を「自力」と捉えるか(内的)、「他力」と捉えるか(外的)の傾向。

何かが上手くできた時、練習したからだ(内的)とか、たまたま運が良かったんだ(外的)など。

これは「成果」だけではない。
例えば部屋が散らかっているのは自分がだらしないからだ、とするなら「自力」の問題なので内的となる。
こんな狭い部屋で整理整頓なんてしてられるかとか時間がないんだよとかだと「他力(自分以外のすべてを指し、他人である必要はない)」なので外的となる。

なお実際のテストでは、ビッグファイブの内向-外向と同様に、100%の内的や外的は非常にレアだとされる。大抵はこの2つの間に位置する。ある意味両方の素質がある。

ダイエットや禁酒などの健康行動に対してはヘルスローカスオブコントロールと呼ぶ。


 原因をどこに/何に求めるかという帰属の概念に似ている。正直同じモノの別の切り口に思える。

 注意が必要な点が一つ。この概念はどうも2つの見られ方をしている。学問的な、昔からある分野だと比較的フラットな扱いを受けている。最近のものは外的のネガティブな面、内的のポジティブな面が強調されている印象を受ける。

成功の要素ともされるが、少なくともローカスオブコントロールだけのおかげというのはないだろう。

 後述するが内的統制型は自己責任論を含める。世の中他人を責める時だけ自己責任を持ち出す輩もいるがそれとは違う。誠実な自己責任論とでも言おうか、つまりは思ったとおりじゃない時に、自分を過度に責める傾向がある。「必ずよろしいもの」ではないと個人的に思う。

内的なローカスオブコントロール/内的統制型

・インターナルや自己統制型とも呼ばれる。

・内部に原因を求める。自分の思考、性格。

・頭が硬い傾向。

・結果を「実力」と捉える(良くも悪くも)。自己責任と言ったほうが適切かもしれない。

・基本、自分でなんとかしようとする。

・自信が育ちやすい、と言われているが。

・一方で、不幸な出来事に対しても「自分のせい」とする。

外的なローカスオブコントロール/外的統制型

・エクスターナルや他者依存型とも呼ばれる。

・外部に原因を求める。他者、社会、世界、時代、運命。

・従順な傾向。

・結果を「実力」だとは捉えない。

・自信が育ちにくい。

状況次第ではエクスターナルのほうが良い。

状況によってはエクスターナルに考えるほうが、自分のためになります。

たとえば、リサイクルするゴミを出したのに、ゴミの収集が行われないとき、それは自分のせいではありません。

このとき、インターナルすぎると、自分を責めてしまいます。

https://minimalist-fudeko.com/can-you-change-your-perception-in-four-minutes/

やり遂げる力はどちらが高いか

 一般的にはインターナルの方が高いとされる。インターナルは、頑張ればできる、気をつければできる、やる気になればできる、と考えやすく、実際それでなんとかする。

この上で、「やり遂げる」という項目は、かなり「自分の問題」の要素が大きい。自分が諦めず、そして進むのなら、まぁ大抵はやり遂げることにはなる。成果となると知らんけど。インターナルのような「自分の問題」だと初めから心得ている場合、課題との相性が良い。

インターナルは自分で細かな目標を立て、それを次々にクリアしていく形が良いとされる。

 エクスターナルは、外部に影響を受け易い。誘惑に対して避ける、緩和する、為すべきことに対して取り組むように機会を設ける、時間を作るなどの「工夫」の余地がある。

こちらは自分が「自然と」目標達成できるようなプランを立てるのが良いとされる。新しい習慣にしたり、既存の日課に取り入れたり。

・各分野の成功者で、運が良かった、人に恵まれた、と語る人は多い。彼/彼女たちは謙虚なのではなく、本気でそういう認知なのかもしれない。だとすると、彼らはインターナルではなくエクスターナル寄りだと考えることも出来る。

割と簡単にエクスターナルからインターナルにはなるらしい

 多分一時的にだけどね。

TEDでローカスオブコントロールについてのトークがあるが、それを抄訳してくれているサイトが有る。4分でものの見方を変えられるか?(TED)

ある実験が紹介されている。予め被験者たちが内的か外的か調べておき、特定のビデオを見せ、その後また計測した。

働きかけるビデオは、ポジティブな言葉と映像があるものと、ネガティブな言葉と映像のあるものを選びました。

ポジティブなビデオはワークアウトをする気にさせるものです。

人が早起きして、ジムに行ったり、山登りしたり、重量挙げをしたりします。

ネガティブなビデオは、気候の変化に対して、なすすべがない様子、人々が泣いているところ、洪水が家を押し流すところ、政治家たちが、いい法案を思いつかないところなど見せるものです。

https://minimalist-fudeko.com/can-you-change-your-perception-in-four-minutes/

人が努力をしている様を見せたらインターナルに傾いて、人が途方に暮れているところを見せればエクスターナルになるのではないか、という仮説だった。

結果、努力をしているさまを見たらインターナルには傾いたが、逆はその半分ほどしか傾いていない。

これに限ればポジティブな影響のほうがより強く受けている。

まぁ結構聞く話であるよね。なんか大事な時にロッキーとかなんかそんな映画みて自分を盛り上げるみたいな話。ロッキー良くしらんけど。

当人が努力が好きか嫌いかは問わずに、「人が努力をしている様」は結構な数がだいたい好きってのもこれかもな。

所詮は帰属のクセではないのか

 個人的に思うのが、例えば明日晴れてほしいと思ったら本当に晴れた、これは自分の実力だ、と思ったら頭おかしいだろう。反対に100%自分のせいなのに他人が悪いと言ってるやつは、まぁ沢山いるが、やっぱりこれも頭おかしい。

帰属、そしてローカスオブコントロールは、「原因特定が不明瞭」な時に強く働く傾向はあるだろう。運も実力の内、なんてのもそうだ。わからない時の当て推量。

結局の所、インターナルだろうがエクスターナルだろうが、無意識レベルで決め打ちのつもりで居るから、時々間違いも起きる。「正しく分析する」ことには劣ると考える。

まぁ割り切れないこともあるし、そういう時にどうするかの問題もあるが。

だったら別に、原因分析に使えるフレームワークや、心理的テクなどで補えるし、必ずしもローカスオブコントロールに拘ることもないような。切り口は他にもあると思われる。

なので、さっきのビデオを見せたという研究の話、アレは使える。ローカスオブコントロールと言わず、一種のマインドセット(心構えを作る)としてなら十分に使えるだろう。

 こっちの「インターナル」だと自力という括りは大きすぎるのではないだろうか。帰属の方なら内的-外的に加え変化するかしないかの要素があるので、「努力」と「才能」は分けられるが、こっちだと一緒くたになる。

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