自己志向型完璧主義/完全主義

→完璧主義関連のメインページへ

自己志向型完璧主義/完全主義

・完璧主義とは完全性を過度に求めること。

完璧にこだわれば完璧主義者と呼んで差し支えもないだろうが、完璧主義/完全主義は3つに分けられる。

これはその方向性がどこへ向かっているかで分けられる。

自分に向かっている自己志向型
他者/世間から求められていると感じている社会規定型
他人に向かっている他者志向型

この内、周囲の期待に過度に答えようとする社会規定型は過敏型の自己愛や強迫観念に近い。

他人が自分の思い通りじゃないと責める他者志向型に至ってはダークトライアド(性格がサイコパス+ナルシシズム+マキャベリズム)とも言われ、一般に言われる所の人格障害に近い。ちなみにこれにサディストが加わるとダークテトラッドとなる。

結果的に「本当に『完璧主義』と言えるのは自己志向型だけではないか」とする意見もある。

・つまり自己志向型の完璧主義の説明は簡単だ。「イメージ通りの完璧主義者」。

高い(時には無理な)理想を持ち、それをやり抜きたがる傾向。これは良い面と悪い面があるとされる。

自己志向型完璧主義について

以下の要素があるとされる。

  • 完全欲求:完全を求める。他の3つに共通する特徴。
  • 高目標設定:目標設定を高くしがち
  • 失敗過敏:失敗に対して敏感であり、些細なことでも「失敗」と捉える
  • 行動疑念:自分の行動を漠然と疑っている

行動疑念は恐らく、「問題があったらすぐに気づけるように」という用心/警戒だろう。

・意外なことに、抑うつや絶望感に「陥りにくい」とされている。

さらなる調査で、

  • 高目標設定の傾向が強いと抑うつ、絶望になりにくい
  • 失敗過敏、行動疑念の傾向が高いと抑うつ、絶望になりやすい

と示された。

これにより、高目標+完全欲求、つまり「高い理想を追い求める」だけでは精神衛生に悪影響が少ないとされる。

参照:http://syasin.hus.osaka-u.ac.jp/013/1303.pdf(現在アクセス不可)

その動機が自発的だからだろうか?

これについては指摘が為されており、以下の理由からとなる。
目標として完璧を求めることに悪影響はない
不完全を認められないことが精神に悪影響を及ぼす

不完全を認められないというのは、ミスを出した自分を許せないってことにもなるだろう。「自己批難」が完璧主義者が精神を止む原因だとされている。また、このような状況を避けるために「先延ばし」をしたがる傾向がでてくるともされる。

さらにこのようなマイナス面、失敗過敏と行動疑念が強い状態は、「理想は高いが、実現可能とは思っておらず、理想のハードルを下げることもできない」とされ、慢性的な絶望感を抱いているとされる。

・では「健全な完璧主義者」を考えるとしたら、

  • その理想は自分の理想であり、それを「自分が叶えること」を求めている(社会の求める完璧では社会規定型になる。他人が叶えることを期待するなら他者志向型になる。)
  • その理想は実現可能であるとの認知を持っている
  • その理想の実現を求めている
  • その理想が叶っていない現状を受容できる

といった要素になるだろうか。
自分を知ることとアクセプタンスは必須か。

ただ、人は現状に対して不満やストレスを「わざと」意識してモチベーションにつなげる方略を取ることが多い。違う方略=理想に対してモチベーションを持ち続けるにはどうするかが課題となる。

・ちなみに1つめの条件だが、アンダーマイニング効果、つまり自発的に動いている人間に報酬をちらつかせると逆にやる気が無くなることの説明にもなる。

→完璧主義関連のメインページへ

タイトルとURLをコピーしました