完了恐怖症

そんなものはない。私が勝手に名付けた。

完璧主義もどき。「完了したくない」気持ち。

まだ完璧じゃないからこだわるのではなく、完了させたくないからいじり続ける。

XX JUDGEMENT

・完了したら? 提出しないといけないね。
提出したら? 評価されることになるね。
評価は大げさに言ってしまえば、称賛か批判かだ。

・恐れているのは批判とも限らない。極端に目立つことを恐れるケースも有り、この場合称賛も遠慮したいらしい。

批評・評価されることそのものへの恐れ。成果物を根拠に、他人に勝手に「あなたがどんな能力・人格か」が決められてしまうことへの恐れ。まぁ実際バカ丸出しで妄想したり決めつける奴いるけどな。

だから個人の心理的要因、というよりは経験的なものも理由としてあるかもしれない。恐れと言うよりも不快感・嫌悪感の方が近いかもしれないし。

・対応バイアス/根本的な帰属の誤りもあるし、まぁ他人は基本勝手に決めつける。決めつけられることで、自分がそうなってしまう、あるいは自分がその様に扱われてしまう恐怖。過敏型かもしれない。

与えられた時間を食い潰す心理

・終わっても終わらないのは別に珍しい話でもなく、身近なものだ。経験があるだろう。例えば期末テストや入学試験に於いて、10分位時間が余ったら。まず間違いなく、「何か見落としはないか」とチェックする。この状況で時間が余ったからと言って暇を持て余す、ということはまずない。

このように、まず時間が割り振られており、加えてクオリティが求められる/ミスが許されない状況だと、それより先に終わっても「終えない」。

ただしこの場合、時間が余ったらチェックするように教育を受けているはずだし、それが模範的行動でもあるだろう。見直しが重要であること自体は賛成だ。

・少し極端な例をシミュレートしてみよう。30分時間残してテストが終わりました、と。すごいね。

見直しをしよう。見直し終わった。まだ時間がある。
二回目の見直しをしよう。見直し終わった。まだ時間がある。
三回目の見直しをしよう。見直し終わった。まだ時間がある。
以下時間がなくなるまで繰り返し。

その場で許された行動の内、時間を有効に使うのは、テストの時間が終わるまで見直し続けることだけだ。

1度や2度のチェックでは見落としが見つかるかもしれない。3度、4度のチェックで見落としが見つかることがそれほど期待できるだろうか。確実に時間に対しての効率は落ちていくが、他にやること/やれることがない。

余った時間があればあるほど、その作業は希薄になっていく。

・学生に限らず仕事でも結構ある。割り振られた時間/期限をフルに使おうとする現象は既に指摘されている。作業時間が予定時間に合わせて「引き伸ばされる」。確認や、新しく湧くアイデアなどによって。逆に割り振る時間を絞った結果、クオリティは落ちず、残業もなくなったとする会社もあった。

・例えば、「絶対に100点を取らなければならない。ただし時間は無限で、好きなだけ見直していい」という状況だったら、簡単なものでも何度も見直すだろう。緊張すればするほど、不安があればあるほど、何度も何度も確認するはずだ。

・一定の価値はある。一定の価値はあるのだが、限度がある。それを超えて時間と手間を注いで同じことを続けても、報われない。

ロスタイム

・「評価」のフェイズに移行したくないことと、評価されることに備えて完璧であるよう努めるならば、見直しては直し、見直しては直し、見直しては直すことにもなるだろう。そして僅かばかりそれがやりやすい文化的下地がこの国には有る。

・外国人労働者からの「日本人は時間を守らない」という指摘がある。スタートの時間は馬鹿みたいに守る、というか馬鹿みたいに早く来たりするが、「終わる時間」は守らない、ってね。完了したくないのか、中断したくないのかよくわからんし人それぞれかもしれないが。

早く始める、ってのも居るだろう。これも時間は守ってないな。

・で、人によっては「それの何が悪いのか」と本気でわからなかったりする。良いことじゃないか。真面目で結構、ってな感じで。

私達は「真面目」が一種の免罪符になると思っている所がある。だが真面目とされるものの中には、化けの皮を剥がせば不安や無能や虚栄心や攻撃性であることも多い。

・とまぁ、ここまで言っておいてなんだが、基本好きにすりゃいいんじゃないかね。時間内に終わるなら。私としては個人の領分に於いてのこだわりなら口出す筋合いはないだろうと判断するし、スケジュールに間に合うなら、外野に文句を言われる筋合いも無かろうよ。

ただ、時間を過ぎても終われない、誰かが割り込んでくれない限り止まれない、薄々これ以上良くはならないことは自分でもわかっているのに気になる、というのなら問題はあるだろう。

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