マインドフルネスの効果と一致する「姿勢を正す効果」
・これだけの数が姿勢を正すことの効果の内で一致する。マインドフルネスで更に、ということもあるかもしれないが。
- 脳が覚醒する
- ワーキングメモリの上昇
- 自己肯定感や自信がつく・前向きになる
- ストレス耐性
- 集中力がつく
・先にバラしてしまうが、ほとんどが「抗重力筋」という筋肉を使うことによる作用だ。
脳が覚醒する
・単純に覚醒するようなホルモンが出る。
・脳の覚醒度。簡単に緊張状態としてもいいが、これは低すぎてもいけないし、高すぎてもいけない。
全体に言えることだが、姿勢を正すことのメリットはほぼ覚醒するような効果に偏っている。脳のスペックの上昇や交感神経が活発になるなど。
ただ、心理的には覚醒度が高い=興奮度が高いと裏目に出ることも在る。
例えば溜め込み症の人間は自分の持ち物を捨てると考えただけでかなり脳波が活発になるなど。また、パニック症がカフェインの摂取をやめたら治ったなど。
とかく、脳が「過剰反応」することによる不具合も多い。
覚醒=積極的、というのは絶対ではない。覚醒度が高いから抵抗感が強まるなどはある。気楽に当たればできることが、緊張したらできないということ。
逆に「やる気がない」というときには、脳の覚醒水準を上げることは効果的だろう。
やる気が無いのかやりたくないのか(こちらはむしろ緊張状態だ)で大きく分かれる話だが。
・ただし、「覚醒」には2種類あるように思える。1つは前述の単純な脳の興奮状態。もう1つは意志が高まっている状態。
「姿勢を正す」という行為が、真剣になにかに向き合う際の「自然な態度」であるならば、おそらく後者としての脳の覚醒だろう。
ワーキングメモリの上昇
・短期記憶、作業記憶とも言われるワーキングメモリ。これは一時的な記憶を保存する能力で、これのおかげで一連のタスクが行えたり、人の話を理解できたりする。これがないと「さっきまで何やってたんだっけ」とかになる。
もちろん、これからやろうとしている「予定」を覚えておくことにも関わっている。「これをやったらどうなるか」という予測にも。
・姿勢を正すことにより、ワーキングメモリの能力が上昇するとされている。
ただ、理由はマインドフルネスと違うかもしれない。
マインドフルネスの方は、脳の可塑性により海馬(ワーキングメモリに関連がある)の体積が増えることがわかっている。簡単に言えば「脳の体質」が変わった、恒常的なものだ。
一方、姿勢を正すことによるワーキングメモリの上昇は、抗重力筋が刺激されたことによる脳内ホルモンによるものだとされている。こちらは一時的なものだと言える。
自己肯定感や自信がつく・前向きになる
・猫背だったり下を向いていたりすると、DMN(デフォルト・モード・ネットワーク/脳のアイドリング状態)が活発になり、自省的な傾向が強まる。
この際過去の出来事を思い返したりもし、後悔することもありえる。なにかアイデアが閃くのもこれのおかげではあるが。
これらは内面と向き合っており、単品で見れば時には必要ではあるが、作業中にやることじゃない。
目の前にやることがあるのに頭の中にトリップするのは、どう考えても場違いだ。
・姿勢を正して視線が上向きにすると、注意喚起のシステムが活発になり、外部情報を積極的に取り込みに行く。
内面ではなく、目の前のことに意識が向くということ。これは脳内一人反省会などを「停止する」ということでもある。
また、ポジティブな要素を記憶したり、考えるようになるという研究結果もある。
・どうも人は元からこの2つのモードを持っていて、どちらが常か、ということのようだ。この上で、割と簡単に切り替えられるということになる。
性格の悩みは、姿勢で解決するかもしれない。しないかもしれない。まぁ今よりも、消極性が減って積極性が増すくらいにはなるだろう。
ストレス耐性
・パワフルなポーズを取ると「安全だから大丈夫」というシグナルとして脳に伝わり、結果脳がアクティブになるための準備をする、という説がある。背筋を伸ばす、胸を張るなど。
この際テストステロンが分泌され、一方で戦うか逃げるか反応(過剰反応/急性ストレス反応とも)と関係するコルチゾールを低下させる。この効果は2分で起こるらしい。
コルチゾールも必要なものではあるのだが、日中に出まくると最終的には海馬を萎縮させるところまで行く。日中に出るのはストレスを感じた時。
こちらはストレス耐性というよりは、ストレスを感じた後の処理に思えるが。逆を言えば予防ではなく、ストレスを感じたと思った後でもコルチゾール低下には間に合うと考えられるか。
・マインドフルネスの場合、自身を客観視する=メタ認知能力を養う面もあり、結果的に「いちいち動揺しない」という形にはなる。簡単に言うと、自分の心の状態を客観視できるようになる。
逆を言えば、普段は人はいちいち過剰反応したり、顔面キャッチしたりでメンタルにダメージを受けるのが常ということ。認知と主観との同化。認知フュージョンと呼ばれる。
多くの被害妄想で「誰もが自分の悪口を言っているように感じる」系の話があるのは偶然じゃないだろう。これらは認知の歪みと言われるもので、「事実ではないが事実にしか思えない」という非常にめんどくさい代物だ。病んだ人には顕著に出るが、種は誰でも持っている。
認知の歪みとまでは行かなくとも「推論のはしご」、要するに認知や思考のショートカットを人は頻繁に行う。時に、
近道した挙げ句、
道を間違え、
あまつさえそれに気づかず、
まだ進もうとする、
なんてことは、普通にあるわけだ。
これに同化するというか、こんな流れに乗ってしまう前に自力で気付けるようになる。
流石にこれは姿勢だけでは得られないと思う。
(余談だが、テストステロンはテストステロンで高すぎると身内びいきをしたり、他人を罰したいという願望が強くなるらしい)
集中力がつく
・ベタだが、姿勢を正したことによる脳の血流UPやら、猫背で圧迫されていた肺が酸素を十分取り込めるようになるなどで、集中力は増す、という話は多い。
・「楽な姿勢」と「良い姿勢」でそれぞれ計算問題を行わせた実験がある。
この時の「良い姿勢」は、「背筋を伸ばして椅子に深く座り、書きやすい位置に椅子を机の方へ引いてください」というもの。
僅差ではあるが、解答率、正解率ともに「良い姿勢」で成績が上がっている。
http://www.j-s-c.jp/mailsample3.pdf
・姿勢、マインドフルネスともにワーキングメモリの容量を増やす効果はある。つまり何かに気を取られた挙げ句、元のタスクに戻らない(一時的に忘れる)というようなことは減る。結果として集中力も増すだろう。
抗重力筋
・慣れていない人がきれいな姿勢を続けていると、疲れる。反対に楽な姿勢というのは、場に依っては「だらしない姿勢」と評されるような、だる~っとした感じだ。
きれいな姿勢をとっている時に使われている筋肉が、抗重力筋と呼ばれるグループ。「重力に抗って姿勢を保つために働く筋肉」を指す。
厚生労働省では以下のように説明されている。
下腿・大腿・腹部・胸部・首の各部前後に張り巡らされ、前後互いに伸び縮みをしながらバランスを取っています。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-093.html
・ここが働くと脳の覚醒水準が上がり、脳からそのためのホルモンが出る。
このため素早い決断と行動が可能になる。交感神経がオンになる、という方がわかりやすいだろうか。
逆に抗重力筋の働きが弱まっている場合は覚醒水準が下がる。これは休息モードであり、必ずしも悪いとは言えない。
ただ、それが「場違い」だったら困るわけだ。集中が必要な時に、無関係なことを思い出すなどは。
・「筋肉の話」であるため、継続して筋肉が付けば、それは「体質/性格」が変わったように感じるだろう。自然ときれいな姿勢でいられるということは、上記のような精神状態が常であるということだ。
逆を言えば、マインドフルネスと、抗重力筋が働いた結果との区別は、一部の効果は難しい。
マインドフルネスの効果として挙げられている中で、マインドフルネスでなくてもいいのであれば、作業中に姿勢を心がけるだけで良いことになる。
・人間的な意味を持たせるとするならば、姿勢を正すこと(抗重力筋を使うこと)は脳に対しての「これから動くぞ」というシグナルになるようだ。姿勢を正したときから、そのように捉えられる変化が始まる。
・総じて姿勢を正すことによる効果は一時的であることは否めない。ただ、マインドフルネスとは違い即効性は在る。
加えてきれいな姿勢に慣れ、それが自然体となるならば、継続的な効果となる。
関連リンク
[blogcard url=”https://embryo-nemo.com/1297/”]
参照:
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO27549580R00C18A3000000/
https://www.kaonavi.jp/dictionary/mindfulness/
https://diamond.jp/articles/-/156485
http://mindfulness-project.jp/2018/09/03/%E3%80%8C%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%A0vol-3%E3%80%8D%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%81%A8%E8%84%B3%E7%A7%91%E5%AD%A6%EF%BC%88%E6%B5%B7%E9%A6%AC%E7%B7%A8/
https://re-sta.jp/mindfulness-meditation-1700
https://www.jnss.org/180205-02/
https://www.lifehacker.jp/2017/08/170805_straighten-your-back-to-be-happy.html