理解力:要点をおさえる人、そもそも見つけられない人

「要点」といえば具体的な「ポイント」があるようなイメージが強い。ただそれだけではなく、抽象的な次元での理解を指すこともある。

要点とはなにか

・殆どの場合は要点を「特徴」として捉えると早い。

例えば似顔絵というものがあるが、喧嘩売ってんのかってほどに特徴を際立たせる。特に新聞に見られる似顔絵は出っ歯、デブ、ハゲ、ホクロとか。白人男性だったら高確率でケツアゴとか。

正直あの手の似顔絵は公開処刑というかモラハラ臭がするがまぁ置いといて、それを見て誰の似顔絵かは確かに一発で分る。「特徴」を押さえているからだ。つまりそれを描くためには対象の特徴を見出す必要があり、それは似顔絵の「強調された部分」に他ならない。

反対に似顔絵で一番難しいのは「特徴のない顔」だと聞いたことがある。

・デフォルメもそうだ。簡略化しているのはまず等身、次に特徴のない細部であり、「特徴」は引き継がれる。「記号」と言われることが多いか。目つき、髪型、小物とか。結果、8等身が2等身になったところで誰かはわかる。

結果、それがオリジナルのイメージを閲覧者に想起・連想させることに成功するのなら、描き手は題材の特徴=要点をよく捉えていた、と言える。

「要点をおさえる」という言葉

・【要点・要所・ポイント】を【押さえる・捉える・掴む】などともいう。
類似したところでは「コツを掴む」というのも仲間の内だろう。

押さえるであり、抑えるではない。抑えるは我慢、抑制の意味があり、ここでは不適切となる。

「押さえる」は、対象を動けないようにするニュアンスがあり、捕まえる、確保するなどの意味を持つ。「証拠を押さえる」というのも、犯人が隠しそうなものだという意味では「逃げるモノ」であるのだし。

この狩りのような言い回しからして、要点とは【逃げ回る・見つけづらい・捕まえにくいもの】だという認識が前提としてあるといえる。


「要点をおさえる」の意味

・意味としては、その物事の本質と、そこを中心とした全体像の理解。

本質を見抜くといえば神通力でもありそうな言い回しだが、実際のところは類似した経験の共通点から見出したパターンの適用に近い。

例えば【刑法199条、200条(削除されている)、201条、202条、203条】を丸暗記するよりは、「人を殺したりそうしようとすると罰せられる」と覚えたほうが早いわけだ。

つまり要点とは言うが「ポイントや中心」があるとは限らず、「要するに」みたいな全体の概要やイメージの属性の場合も有る(抽象化)。

・概要やイメージは理解の助けにも説明の助けにもなる。例えば【殺人罪】というものがあり、それは199~203条までであり、という要点を中心にした覚え方のほうが楽だし、聞くにしても滑らかとなる。

・経験を咀嚼することで、あるいは類似した知識を揃え整理することで得られる積み重ねるものでもある(同じグループの物事の共通点や類似点)。

要点の見つけ方

・学習に於いては要点を押さえれば理解は早い。全てはそこに繋がっているから、抜けがなく修めることができる。

ただし要点のベーシックな見つけ方とは、全体を見て要点に当たりをつける感じに近い。最初からわかるとは限らない仮説段階のまま、いつでも捨てられる状態で進むしか無いことも。足場を作る感じで。
時には丸呑みしたほうが早いし、わかるまでは地道に勉強するしか無いかもね。

・「要点」と呼ぶのは微妙なときもある。

簡単な例としては、自分が失敗した点は「要点」だと言える。そこは気をつけた方がいいから。あるいはよく分からなかった部分もまた要点だと言える。それは調べた方がいいから。

つまり「自分の要点」にこだわった方がいい。この考えの場合、課題発見能力は(学習や問題解決において)要点を見つけることにかなり近い
客観的すぎて「自分には要点だが他人は素通りするだろう」ってものをスルーしてしまう人はいる。


 「要点を押さえた話し方」をしたいなら注意が必要だ。要点「だけ」言った所で、相手にイメージは伝わらない。それ以外の重要度は相対的には確かに低いが、切り落として良いわけではない

ただし要点を中心に話すのは、話しやすく、聞きやすくはある。本を買うときだってタイトルや目次を見て決める人は多いだろう。これらで内容をイメージして判断するわけだ。

発信者が要点を押さえていない場合、話が脱線したり、長かったり、まとまりがなかったり、結論が出なかったりする。


要点があるとは限らない

 「何を言ってるのかわからない」というのは、実際に意味のないことを言っているのかもしれない。これには何か意味があるはずだ、要点があるはずだ、とすると、存在しない要点を見出し、わかったつもりになり、なんかまぁ酷いことにもなりかねない。

 時には要点を押さえようとすることが、要点を押さえるために邪魔になるかも知れない。

例えば「自分に非があり相手に責められたくないからとにかく喋りまくって相手が喋れなくしよう」とかする奴は世の中に割といる。こういうの相手に「話の要点」を見出そうとすれば余計に混乱する。中身が元から無いから。

相手の「目的」あるいは「狙い」を主眼にすれば、こちらに何かを期待している、ただの自己満足、あるいは操作しようとしているなどがわかってくる。俯瞰的、文脈的に見るということ。この場合は強いて言えば要点はそこにある。「喋らせたくない」と。

テストの問題文もそうだ。たまに聞くが、「この問題は、どの知識を試そうとしているのか」などがここでの要点であったりする。


・総じてこちらの目的によっても「要点とは何か」は変動する余地がある。

「目的を持って勉強しろ」などの言葉は、一応は真となる。これは大学合格や資格取得などの「ゴール」の話ではない。

ダラダラとテキスト読んだりもっさりと問題解くのではなく、何を知るつもりなのか決めて読む、何を試し確認するつもりなのか決めて解く。それ自体が行動の「目的=要点」となり、効果的だという話。

けっこう大変なんだけどね。いちいち小規模な目的決めるのは。まぁそれだけの効果はある。


関連ページ:
 要領が悪い人
 理解力がある人、飲み込みが早い人。

理解力がある人=初めから大体わかってるから要点だけ覚える
理解力がない人=全部わからないから全部覚えようとする
というパターンについて。やってる事自体が違うのは否めない。

要点をおさえるために必要なこと

ベースと要点

・結論から言えば、基本ができてなきゃ無理だろう、と。じゃなきゃ何が特徴なのかわからない。全部特徴に見える。

「要点」だけおさえれば済むのは、裏を返せばベース部分は頭の中にあるってことだ。似顔絵の例では特徴だけあればいい感じになったが、ケツアゴやホクロだけ描いても誰かわからんだろ流石に。ケツアゴだけ描いてもケツにしか見えんし、ホクロだけ描いても点にしか見えない。

全体像として理解や再現をするためには、要点以外の部分もまた必要になる。

基礎の重要性

・要点の押さえ方を強く求めるのは効率厨というか、コスパやタイパを気にするタイプが多い。このため基本を押さえることを地味で時間がかかると感じ、要点だけを求める傾向がある。それは最悪の場合、余計に時間を無駄にする。

・当然ベースを把握してない(=基本ができていない)のなら、要点をおさえること自体が難しくなるだろう。

これは全ての情報の重要度が均一で「高」となっている状態で、特徴を「見つけられない」。主観的には全部が「特徴」に見えてる感じ。あるいは全体的に見てしまい、「部分」として見れない。あるいは逆に細部しか見ずに、全部わかったつもりになる可能性もある。これが一番危険。実力なくて自信がある状態。

丸暗記をしたがるタイプは「わからないから全部覚えよう」というよりは、「全部重要に見える」「情報の群体ではなく、つなぎ目のない一つの情報に見える」と言ったほうが近いのではないだろうか。理解のための分析、把握のための選別ができない。

これは「基礎がないと見る目が大雑把になる」ということでもある。

・基礎力は要点を押さえる際にも必要になる。基本ができていない場合、基本的な部分が要点に見えてしまう。タコ型の宇宙人が初めて見た地球人をスケッチするとしたら、腕が2本とか脚が2本とか、それが「特徴」になる。顔の区別なんてつかないし、ホクロなんて細かすぎて特徴にならない。

これは「自分にとっての要点」という意味では問題はない。ただし既存ルートたる地道な勉強よりも遅れた状態でそんなことやってる理解度なら、初めから地道に勉強してたほうが良かったねとはなる。

なお、他者との比較に由来する劣等感や焦燥感が強いと、発想が「一発逆転」になりやすく、これをやりやすい。逆に中高レベルの問題を徹底的にやったら成績が勝手に伸びるようになったなんて話も割りと聞く。

ある意味で、基礎もまた要点だと言える。それがなければ以降の学習が空回りする。特に整備された道の場合、基礎=要点であることは多い


 基本があって特徴があるというのは、ゲームで言うMOD(ファンが作った改造データ)に似ている。バニラ(本体)なくてMODだけあっても意味ないからな。

本体がバニラと呼ばれるのは、アイスクリームに見立てているからだ。MODなどの追加部分は、アイスクリームのフレーバーやトッピングに当たる。

縁日のかき氷は、イチゴもメロンもレモンも果汁入ってないらしいが、気分的になんかそれっぽいのは「名前に応じた色」と「甘さ」という要点は抑えているからだ。赤、青、緑、黄色。

ベースとしてかき氷とシロップの甘さがあり、各々の「味」としての特徴は「色」である、と言える。


ベース+追加要素(特徴)=全体像であり、ここで頭の中には一式揃うことになる。そして要点を求めるのは、「全体を理解するため」であるので、要点だけ教えてもらっても基礎が欠落していれば意味がないこともある。

要領良すぎてベースできてないのに特徴おさえるだけでなんとかなってしまう例もあるが、それはもう天才かマグレか過学習かなんかなので、凡人たる我々は諦めたほうが建設的かと思われる。

・ここでいう情報の重要度は、自分が注目するべき/これから学ぼう覚えようという優先度のことであり、情報自体の価値じゃない。

例えば「完全に身に付けた重要な知識」は自分にとっては改めて学習する重要度は「低」になる。知ってるからその分カットできる。

ベース部分ができているなら、その分「学習ノルマ」を消せる。無意識的にそこにはあまり注目しなくなる。結果、際立って目に入るのは「特徴」だけとなり、特徴を見出す目を習得する。その物事に関しては。

例えば、玄関に見慣れない靴があったらすぐに気づくだろう。

自分にとっての要点

・裏を返せば、「何が特徴となるか」は個人差がある。「見慣れないもの」は特徴であり、そして話の本題に沿っているならそれが「自分にとっての要点」となる。話の本題に沿っていなければ、「自分にとっての異物」となる。

新鮮味や珍しさ、違和感やアンバランスを感じるかどうか。同じカリキュラムに沿って勉強した者同士なら、見出す点も似たようなものになるが。

なので理解するためには、「自分にとっての要点」でいい理解するのは自分なのだから、自分が要点だと思うものを足がかりにした方が早い。話す際には「相手にとっての要点」を意識したほうが良くなる。つまり主観的、客観的、俯瞰的なそれぞれの要点が有る。

全体との対比も影響を与える。例えば日本語で書かれたこのページに英文があったら、それは特徴と言える。英語で書かれた同じ内容のページに同じ英文があったとしても、特徴にはならず「一部」として埋もれる。

・別件として、基本ができているのに自分を信じられず、基本からまた押さえようとするタイプが居る。復習を繰り返し、新しいことを覚える暇はない。実力があるのに要領が悪い形になる。

要点のおさえ方

リバースエンジニアリング

 リバースエンジニアリングしてみよう。要点見つけたいのは、効率的に理解したいからだ。これを与える立場、すなわち「わかりやすい話」をするための注意点は、そのまま「理解するための聞き方」にも繋がる。

話は短く⇒長い話は短く区切る

 単純に長いと頭に入らない。短く、簡潔にというのはある。トピック全体の長さもそうだが、パラグラフや一文の長さなどでもそうだ。

今回逆の立場の視点なので、自分にとって長い話と思ったら、いくらかに区切り、それぞれ理解し、統合すると言う手は使える。

どこでどう区切るかは大事だけどね。

結論から話す⇒目的を持って聞く

目的を持つと、どこに注目するべきかが決まる。

要点がつかめない理由は、「どこに注目したら良いかわからない」という状態であることも結構ある。推理小説で言えば、誰が犯人かわからない状態では、登場人物全員に注意を向ける必要がある。結果としての見落としや、時間切れはあるだろう。

犯人が誰かを知っているとしたら、その人物の言動に注意が向くだろう。どのタイミングでボロを出したかまでよく分かる。二周目の楽しみ方やね。

要するに、テキストでもトークでも「目的」をこちら側が意識していると、それに関連した情報は見つかりやすくなる。話から抜き出すと言われることもある。

これにより抽出される情報は無目的な時とは違う。つまらない小説は「面白いかどうか」としてみれば確かにつまらないが、文章の書き方を学ぶつもりで読む者にとっては、つまらないとは限らない。

余計な話はしない⇒余計な話はカットする

 話し手にとってはユーモアでも、聞き手には重要情報か与太話かの区別がつかずに混乱する。緊張している聞き手には、ゆっくり話してやるだけで良かったりする。

 間違ってもゲームのMODやらかき氷やらの話など脈絡もなく出さないほうがいいし、刑法200条が削除されていることもこのページのお題とは一切関係ないわけだ。

話者には話者の都合や目的、欲がある。思いついたこと話してるだけかもしれない。それらが聞き手の目的と一致しない場合はノイズとなる。聞き手が自分の目的を理解していない場合は、この区別はつかない。何が余計かわからないから。

初めから目的を持って聞けば脳内フィルタが機能し、与太話にはそれほど振り回されない。

カタカナ言葉を多用しない⇒分かる言葉・似たイメージに置き換える

 要点を押さえれば大きなイシューでもアグリーされるアジェンダを、みたいに言ってもまぁめんどくせぇだけであって。

そもそも言葉自体が暗号に近く、この「音」はこういう意味だ、というイメージを共有していなければ成り立たない。当然知らない言葉がでてきた時点で破綻する余地がある。

WEB上ではググればいいだけだからこっちは気楽にやってるが、会話などではやはり気を使う。

間違っても「パラグラフ」や「リバーンスエンジニアリング」などの言葉を使わないほうがいい。まぁ想定する相手に依るんだが。

 言葉の役目は「イメージの送受」だ。言葉はそのための(本来は)副次的なものになる。

理解する側の目的も、話や文章が表しているイメージを脳内に「再現」することだ。逆を言えば、「言葉通り」である必要は無いことが多い。さっきのMODの話も、いきなりアイスクリームの話からでよかったわけで。


なお このぶろぐでは いっさい まもって いない

できれば元情報を形にして取得する

 「要点がわからない」とか「察しが悪い」なんて言っても、いきなり言われてその場ですぐわからなかったから程度の話も多い。

上記のリバースエンジニアリングは、情報の分解と整理が必須になる。これには結構時間と手間はかかる。録音でもテキストでも、何かしら勉強用として持ち帰れた方がいい

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