よく物をなくす人が、しっかりした自分を手に入れるには

・自分がよく物をなくす、という人は何が原因か、どうしたら良いのか。

・頻繁に物をなくす人は、大抵その自覚は持っている。置いた場所を覚えたり、何度も確認したりと、自分なりの工夫や努力を既にしている。そうしているうちは大丈夫だが、慌てているとこのペースが乱される。

昨今では忘れ物について検索すれば、ADHD(注意欠陥多動症)なる発達障害がヒットすることも多い。自分でそれを疑うこともあるだろう。

・陳腐な言い方だが、物が勝手にどこかに行くわけではない。物の置き方や扱い方に問題があることは明白だ。何らかの「良くないクセ」があると疑える。

そのクセは置き場所の考え方かもしれないし、とりあえずそこら辺に物を置く手クセのことかもしれない。

あるいは物への意識などの認知的な物かもしれない。例えば物を手から離す時に、「まだ片付いていない」と思えばそれはまだ意識される。しかし手から離れた時点で「もう終わった」と思うなら、忘れる。

・物をなくすことは「事態が致命的になる可能性」があり、結構厳しい目で見られがちだ。それが貴重品ならば、見当たらない時点で事件扱いのこともある。
同時に「些細な不注意」でもあるため、自責の念に駆られやすい。自分でももっとしっかりしないといけない、と思っていたりもする。

「もっとしっかり」と思うと、多くは常に気を張ろうとする。しかしこれは長続きしない。注意力や精神力と呼ばれるものは、すぐに空っぽになる。空っぽになれば不注意になる。結果「あれだけ気をつけたのにまたやらかした」となりやすい。

・「気をつける」では続かない。工夫と練習の方が効果的だ。なくさないパターンを身につける。

まず物をなくさないためのポイントやコツを抑えて、負担なく長期的に注意できるようにしよう。それが身につけば、「物をなくさない振る舞い」が自然となる。これで余裕が生まれる。

余裕ができれば、広く視野を取れる。さらに落ち着いて行動できる。

よく物をなくす人の性格・特徴

・「自分はよく物をなくす」という問題に対して「記憶力」あるいは「注意力」に依って解決しようとする傾向が強い。端的に言えば気合とか根性。

・集中力がない。気が散りやすい。好きなことにはいくらでも集中できる傾向がある。

・先延ばしグセがある。それこそ「後で片付ければいい」などの。

・気分屋。仕舞う場所を決めても「ここのほうが便利」とか言って変える。優柔不断。

・横着。複数の物事をまとめてやろうとする。逆に一つのことをしっかり「完結」させる意識は薄い。

・常に急いでいる、焦っているような心境。この心理的状態は単純にヒューマンエラーが発生しやすい。

無意識に物を置く:大事に思ってない・してない

・適当に空いてる場所に置く。あるべき場所に戻さない。

無意識で行い、覚えていない可能性は高い。あるいはよそ見しながらなど、始めから見ていない。

・意識してないからなくす。この場合、「どこに置いたのか」からして覚えていない。

例えば財布が「今」、どこにあるか、確認せずに答えられるかどうか。スマホは、カギは、今どこにあるか答えられるかどうか。それが正しいかどうか。

・なくなってもいいと思っているわけではないだろう。なくすと思っていない。なくす可能性に注意を払っていない。警戒心の不足。置き場所をそもそも決めてないことが多い。

気をつけりゃいいとも限らないのだが、最低限の注意力も使っていない状態。何かに気を取られているとこれをやる。

せっかち・慌てやすい

・行動の一つ一つが雑になる。頭の中だけが忙しいこともある。

よく物をなくす人は、変なところに「とりあえず」で物を置き、別のことに手を付ける癖がついているケースが多い。

そのまま忘れる。次にやることに移ってしまい、「あるべき場所に戻す」ことをしないから。

・一時的に置いたつもりだから、偶然できた変なスペースに置いたりする。最悪、他のものに埋もれたり、潰れて壊れたり。

夢中になりやすい・熱中しやすい

・一見するとよろしいことだが、何かに意識が向いている状態とは、別の物事には意識が向いていない状態だ。

この上で人は無意識的にも結構動ける。極端だが、寝ている間に殺人を犯した例もある。そこら辺に適当に物をおいたりくらいは当然できる。

・ほとんど「せっかち・慌てやすい」のパターンと同じ流れで物をなくす。

極度の心配性と裏目に出る丁寧さ

・極度の心配性の場合、自分なりの万全の準備をしようとする。管理や確認の手間が膨大に膨れ上がり、見落としが発生する。

例えばポケットがたくさんあるカバンに、1ポケットに1つずつ物を入れる。この時点で確認がものすごくめんどくさくなる。一目で「全部ある」とわかった方が安心できるはずなのだが、細かいことをやりたがる。

どこに置いたかわからない・どこにしまったかわからない

・所有物の現在地がわからないことを「なくした」と呼ぶ、と定義しても問題ないだろう。逆を言えば物が目の前にあっても、当人が気づかない場合「なくした」ことになる。

・例えば、今持っているカバンにちゃんとあるのに「忘れた」「ない」と即答する人がいる。探しもしない。確認するよりも自分の記憶で判断する傾向がある。

このタイプは探すのも下手で、カバンにそれが入っているのに、探しても見つけ出せないことがある。探し方が雑というか荒い。

・一見記憶力に関係しているように見える。だが別の考え方もできる。

記憶は3段階に分けられる。情報を覚える、保持する、思い出す。

「覚えてないから思い出せない」可能性はある。

つまりこれも、物を手放す時に注意していない。

ただでさえ物がないことに気づくのが遅れるほど、「保持」の失敗=「忘れる」可能性は高くなる。そしてものがないことに気づくのは、大抵それが必要になった時であり、遅い。

片付けた場所が思い出せない

・しっかりしまって、その場所を忘れる。これは通帳や印鑑、パスポートなど「滅多に使わず、重要なもの」で発生し得る。覚えられてない。

あるいはめったに使わない工具など。「物の住所」を決めてないことが原因だが、物に出番がないため気づくのがかなり遅れる。

すぐに片付けない

・これも適当な場所に置くことになる。そのうちどっか行く。後でまとめて片付ける、なんて言が多いか。

片付けてない状態=無くなるかもしれない状態。危険なのだが、その状態を長く保つことになる。

・貯め込む傾向がある。
物を貯め込む。探し物をするには向いてない部屋が出来上がる。
用事を貯め込む。一つ一つの要件は雑になり、忘れやすい。「後で片付けよう」と思ったものがいくつ置きっぱなしになっているか。

「すぐあとでまた使うから」

・死亡フラグです。これもすぐに片付けない理由として言われることが多い。明確に「すぐに片付けると損」と思っている者がいる。

この「すぐあと」は結構人によって違い、5分後だったり半日後だったりする。当然長ければ長いほど事故の可能性は上がる。

・「後で使いそう」なだけで、結局使わないこともある。
これに加えて片付ける習慣がそもそもない場合は、読みどおりに必要になっても既に見失っているかもしれない。

自分で「すぐ後でまた使うから」と思った場合、一番改善は早そうではある。一瞬とはいえ、片付ける必要性自体はちょっと感じたわけだから。

喉元過ぎれば熱さを忘れる

・雑な扱いを普段からしていて、物をなくして、ものすごく困って、必死に探して、なんとか見つかって、一安心して、また雑な扱いに戻る。

楽観主義。時にそれは現実逃避の同義語だ。

よくなくす物

・あまり物のせいにしない方が良いと思う。大抵は当人の判断や行動の結果として必然的になくす。

はっきりといってしまえば、何でもなくす。

・特定の物だけなくしやすいのなら、それにだけ注意すればいいので楽になる。それが毎日使うようなものなら、やっぱり悪いクセを疑ったほうがいい。

・鍵や財布、スマホなど生活に欠かせない頻繁に使うような大切なものが多い。単純に頻度が多いため、扱いに問題がある場合になくなるのがこのあたりになる。

なくしやすいし、なくしたことに気づきやすい。結果として「よくなくす物」になる。

・「大事なものをなくす」じゃなくて「どうでもいいものは探してもいない」「なくしたことに気づいていない」かも知れない。物を見つかるまで探すのはそれが必要な時だ。どうでも良ければ見当たらないってだけで諦めることも可能。

つまりは探している時点で主観的には「大事な物が見つからない」という印象にほぼ必ずなる。大事なものをなくすのではなく、「大事になったから探してる」という可能性。安いボールペン無くしたところで、適当に次を調達することもできるわけで。

・重要書類などの頻繁には使わない大切なものも、特有の理由でなくす人もいる。ヒネった所にしまって、自分でもわからなくなるとか。この場合は扱いに慣れていないからであり、頻繁に物をなくすタイプじゃなくても可能性はある。

カギをなくす

・代表格。毎日使うからなくしやすく、そしてなくしたことに気づきやすい。単に使用頻度が高く、要所以外には全く使わないので、なくしやすいというよりも、無いことに気づいて慌てる機会が多い。

・鍵穴に刺さりっぱなしで回収していないなども見られる。用が済んだ(鍵を開けた)時点で、回収や片付けは頭にないことが見て取れる。

ベタなパターンだと、

  1. 両手に荷物を持って自宅に着いた
  2. 荷物をおろして鍵を開ける
    (荷物を家の中に入れてから鍵を回収しようとする)
  3. 家の中に入ったら忘れる

最悪の場合、鍵を開けた時点で鍵のことを忘れている。
そうでないなら用済みの鍵を回収しない時点で「先延ばし」が見て取れる。「用済み」のものは忘れやすいため、その場で回収したほうがいい。

財布をなくす

・代表格その2。これはなくした場所によっては周囲に嫌われやすい。

鍵やスマホなら当人は困るが他人には無縁でいられる。財布の場合は周囲の人は「自分は疑われているのではないか」と思わせる余地もある。要は「なくした」じゃなくて「盗まれた→疑われている」という発想が浮かぶ「巻き込み」の余地がある。

実際真っ先に他人を疑う者は居るし、一説によると人間の脳が「他人のせいにする」という目的で働いた場合、15秒で犯人をでっち上げられるらしい。まぁそのくらい人のせいにするのはいるので、疑われるかもと思う者もいるのはしょうがない。

結果変なところにしまってただけでした、となってもトラブルメーカーの印象は持たれるだろう。

・余談だが、ソフトバンクコマース&サービスが、20~40代の男女500人を対象にしたアンケートでは(落とし物に関する調査)、「30歳までに一度でも財布を落としたことがある人」は、92.1%に及ぶ。まぁそんなもんである。

30歳までに5回以上財布を落とした人は5.6%。案外いる。屋外の話だけど。自室で財布が見当たらない、というのとはまた別の話。

あまり使わない重要な物をなくす

・案外ハンコとか見つからないって話は多いね。「どこかにあるはず」だが、それがわからない。

・その物は「使用する」わけだが、その手順の中に「回収」が入っていないとなくすことになる。

・結構多くがこれを苦手としているようだ。

給付金で国民全員が10万受け取れる時、身分証明が必要だった。
この時コンビニのコピー機が多く使われたが、そこにキャッシュカードや免許証を忘れることが多発した。

これも「用が済んだら忘れる」例の一つだろう。印刷されたコピー用紙が吐き出されれば「終わった」と思い、紙を回収し、免許を忘れる。

同時にこれは「大事なものなんだから自分は気をつけるだろう」との期待は間違っているということでもある。

・慣れない物を扱う時には「最後に忘れ物がないか確認する」という「手順」を意識していないと、危険はある。
ここが省略されがちなのは、その前段階で「用事」の方は済んでいるからだ。

ゴール直前で失速するような現象が人はある。もうちょっとで終わりだ、と思うと油断することは多い。

物をなくす人の思考パターンを、多くの人が持っていると言える。

物をなくすタイミング

・なくすタイミングは、物の使用後と使用前との2パターンがある。「用済み」としてノーマークになり見失うか、準備(移動)した結果現在地を見失うか。

・そのタイミングだけ注意を払えばいい。逆を言えば、それ以外で気を張ってても疲れるだけだ。

・必要な場面で使用し、片付けや回収が未完了(片付けてない場合もあるが、適当な場所に置く、違う場所に仕舞うなども含める)、ないと気づくのは再び必要になってから、あるいは片付けようと思ってからというパターンが多い。

わかりやすい例だと、昔から忘れ物としてよくあるカサ。

これは雨が降っているのなら、忘れることはほとんどない。

行きに雨が降っていて、帰りに雨が止んでいると、忘れる可能性がかなり高くなる。必要じゃないから、気づかない。

・早々に「あるべき場所」に戻せば、あとは忘れて構わない。引き出しの中か、かばんの中か、ポケットの中かは場面によっても変化するが。

なので片付ける必要性自体は感じている「後で片付ければいい」と思うタイプは、一番なんとかなりそうである。

よく物をなくす病気・障害

ADHD/ADDの忘れ物と対策

・ADHDやADDと呼ばれる発達障害は、定型発達者(=発達障害じゃない人)もやるようなミスの頻度がより高い傾向にある。遅刻とか、物をなくすとか。

このあたりの工夫については、彼らの方が一日の長があるだろう。本当に死活問題のようだから。

・注意欠陥多動障害とも呼ばれる通り、不注意により忘れ物が多い。どこでなくしたかを思い出そうとしても、そもそも記憶が頭の中にないなんてこともある。多動(衝動的、思いつきで行動する)によりさっきまで何やってたか自分でも把握していないことも。

・話を見ていると「まとめて管理することをしない」傾向があるようだ。今日一日でプリントが3枚配られました。全部しまった場所が違います、みたいな。つまり「はっきりとは覚えてないが、アレならココを探せばあるだろう」みたいな場所すら作ってない。

クシャクシャになってポケットに入っていたなんて話も。これはコンビニのレシートの扱いだろう。保管する気がないとすら言える。

逆にプリントは全部クリアファイルに入れとく、と決めたら無くさないようになったという話ならある。

・カギなどのいつも使うものをなくす場合は、いつもと違う場所や違うカバンに入れたから、という理由が多いようだ。つまり「いつもの場所」から外れると見失う。これは一般的な人間でも同じことが言える。

物をなくしたければ、「いつもの場所」を決めない、あるいは守らなければいいわけだ。

・ADHDは「過集中」と呼ばれる極度の集中状態になることがある。他が全く目にはらないほどの集中状態。これは集中の対象以外は雑な扱いになる。物をなくすような扱いや行動もそのような扱いに見える。常に何かに気を取られているのかもしれない。

・彼らのものをなくさない工夫の一つに「貴重品は一つにまとめる」というものがある。他にはなるべくものの数を減らすこと。これらは意識や管理の手間を減らす工夫といえる。「気をつける」ではなくて、気をつけるべき対象を減らす工夫。

・物に番号を振り確認をしやすくすることで、なくすことを防いでいる人もいるようだ。

ASD

・自閉症スペクトラム。いわゆるアスペルガー症候群のことだが、こちらは「物忘れ」が多いとされている。夢中になりやすく他を忘れやすい、同時作業や並行作業が苦手という傾向がある。

興味関心を持つ範囲が狭い傾向がある。当然他は適当になる。

・自分のやり方やルールに拘る傾向もあり、物をなくす失敗パターンを繰り返す可能性もあるかもしれない。逆を言えば、ものをなくさないルールを身につければ、この問題はクリアできるか。反復行動は得意らしい。

・こちらも生活上の工夫として、「一つにまとめる」というものがある。複雑すぎて混乱する場合には簡略化も有効とされる。

認知症

・しまい忘れ、置き忘れは多い。「物をなくす」だけに収まらないことが多いが。

ちなみに若くてもなるタイプの認知症は存在する。

・短期記憶が衰えるため、さっきやっていたことを忘れることは増える。認知能力の低下により、注意するべき場面でそうしないこともある。

・寝不足やストレス、水分不足などでも認知能力は落ちるため、認知症じゃなくてもやらかしかねない。


・なお、ADHD、ASD、認知症に共通して「先を見通す能力」に不安を感じており、その分用心深くあろうとする。「何が起きるかわからない」という用心であり、結果としてモノや注意するべきことが増える悪循環となり得る。

置いた時手元を見てない可能性

・よく何かを手に取ろうとして、掴みそこねたりしないだろうか?

たまにいるんだが、例えば何かテーブルの上にあるものを取る時、手を伸ばすまではそれを見ているが、手に取る頃には別の所を見ていたりする人。それは関心を引く無関係なものだったり、次にやることに関連したものだったりする。

目標達成の直前に油断する心理自体は人にあるため、誰でも当てはまるかもしれない。

物をなくす件で言えば、置こうとするまではその予定地を見ているが、置く頃には別の所を見ている可能性。この場合は映像記憶としては「置いた」記憶は元から存在していない。見てないから。

印象が薄い。「置こうと思った記憶」とか、置いた時の感触とか、情報としてその程度しか残らない。印象が薄いと忘れやすいし、思い出しにくい。

・何か思い出そうとする時、私達は「画像検索」のようなことをしないだろうか。その光景の記憶があるかないかを探るかのような。

そして思い出した時というのは、この様な「画像」或いは「動画」の形で記憶が浮かぶだろう。

映像記憶はある種の「原始的な記憶方法」だが、それ故に認知レベルでは恐らくかなり使われている。置いた時に見ていないということは、これが機能する余地が全くない。

先延ばしぐせがあると慌て者になる

・後天的な思考・判断の癖で「衝動性」に似たような症状になることはある。
「先延ばし癖」のある人間の症状として以下のものが挙げられている。

  • ヒューマンエラーの増加
  • 視野が狭い
  • 目先のことを優先して他が疎かになる

つまりはそそっかしくなる。この上で熟考方略(よく考えること)をしなくなることが更に挙げられる。十分な時間があっても軽率な判断を下す傾向が高い。

言い方を変えれば「あとで困るのにちゃんとやらない」。忙しくもないのに手元に持ってるものはそこら辺に放り投げるだとか。

先延ばしと自己志向型完璧主義
→完璧主義関連のメインページへ先延ばしと自己志向型完璧主義・完璧主義者が先延ばし行動をする、というのは別に珍しい話ではない。人によっては意外と感じるかも知れないが。例えば完璧主義者の部屋が汚い、という話。「完璧にできないからやらない...

この原因の1つが完璧主義であること。完璧であるためにはやることが多い。つまり忙しい。その果てにせっかちになってしまった結果。

完璧主義にもいろいろ種類があるが、中でも「理想は高い、しかし実現可能とは思っていない、かと言って理想を下げることもできない」状態に多い。

物をなくさないための対策

  • 悪癖を改める
  • 置く場所を決めること
  • 「気をつければいい」とは思わないこと

・「物をなくす」というのは、細かいことを言えばアクションスリップに該当する。先程述べたヒューマンエラーのこと。

これは分類がされており、物をなくすのは「ラプス=記憶違いや物忘れ」。

・「後で片付けよう」と適当なところに一時的に置いて忘れるのは一見ラプスだが、そう考えた事自体が間違いでさっさと片付けるべきであるため「ミステイク=判断・行動そのものが間違っている」に近い。

つまり「物をなくさないようにする」ことは、自分の判断や行動を改めることが必要となる。

・根本的な話、気合や根性や記憶力でものの場所を覚えていようとするのは非常に無理がある。「気をつければいい」という解決法は、「気をつけなきゃいけない状況」を自分が作っていることを見失わせる。

人間は意識していない部分はロボットのように自動的に動く。「自分が自動的にどう動くか」を気にする必要がある。

「ちゃんと片付けたつもり」を処置する

・認知の悪癖。「ちゃんとやったはずだ」で確認しないのなら、既に何かなくなってるかもしれない。

・「やったつもり」のことを再度確認することでミスに気づける。
それ以上に自分の「やったつもり」が信用できないことに気づける。これでどこに気をつければ良いかも見えてくる。

・「ちゃんとやったつもり」で確認しないのは、悪い意味で自分に自信があるタイプが多い。
自分を疑うことができないか、したくない。不安がある時は無理にでも自分を信じようとする。

これは問題を履き違えている。自信があろうがなかろうがないものはない。「今」あるべき場所に「ある」か「ない」かだ。

置く場所を決める

・他の場所には置かない。それ以外の場所に物をおいた時点で「忘れたらおしまい」の状況を自分で作っている。

そこが規定の位置でない場合は「片付いていない」と捉えるのが妥当だが、よく物をなくす人は手放した時点で「終わった」と安心し、忘れる。

・ツァイガルニク効果と言って、中断したり未完了のタスクは頭が勝手に覚えている事が多い。「気になる」という感覚。
ただし「終わった」と思ってしまうならこれは働かない。

置き場所が決まっていないと、手放しただけで「終わった」と思いやすい。手放す動機が「他のことをやりたい」であるため、目的を果たしたことになってしまう。

・定位置がないなら「置き場所の正解」を今まで作ってこなかったとも言える。この状態ならどこに置いても「間違い」になる。

・出先の場合、毎回ポケットなりカバンなりにしまったほうがいい。つまり手放さないほうがいい。「出しっぱなし」で回収し忘れることが多い。

「そこら辺に置く」ことのリスクを知る

・アクションスリップが発生しやすい原因の一つに「危険軽視」がある。そのままリスクの軽視。

他には「近道・省略行動本能」。これは「この方が早い」「この方が楽」という動機でいい加減なことをやること。動機が「次のことをやりたい」の場合、適当にそこら辺に物を置くことはこのような「手抜き」に該当する。

・適当にそこら辺に置くことは、リスクしかない。

第一に、改めて片付けるなら「あるべき場所」に再び置き直すことになる。この時点で二度手間だ。

第二に、次に使うか片付けるまでは「適当においた場所」を覚えている必要がある。この時点で「覚えてなきゃならない」という別のタスクが発生している。忘れたならば、それは「なくした」ということだ。

定位置ならば忘れても問題がない。そこを見ればいいから。逆を言えば適当な場所に置くことは、「忘れたら問題になる」状況をわざわざ作っている。

つまりそこら辺に適当に置くことは、手間を増やし、覚えなきゃいけないことを作り、そして「忘れる=無くす」と言うリスクをわざわざ発生させている。楽をするつもりで、高く付いているわけだ。

「物の定位置」=「置いたことを忘れてもいい場所」

・逆を言えば、「有るべき場所」を設定し、そこに置くことさえすれば、手間は正当な一回分、そしてそこに置いたことは「忘れてもいい」わけだ。有るべき場所を見ればそれがあるんだから。手間として見ても、注意力として見ても、最もコストパフォーマンスがいい。

・この「あるべき場所」へ「すぐに置く」ことが無意識的に行われるようになれば、そのアイテムはまず無くすことはない。

・気分で置き場所を変える行為は、この努力をリセットする行為だ。よく物をなくす人は後で使うから、こっちの方が便利そうだから、でやたらと置き場所を変更することが、やっぱり多い。

グループでまとめる

・管理の手間を減らす。

財布、スマホ、腕時計、鍵などの、毎日必要になるこの辺りはひとまとめにしたほうが楽だろう。

ひとまとめにしておけば「一つ」を気にするだけで済む。

・わかりやすい例が「財布」だろう。カネ、免許証、各種カード、今日の買い物のレシートも、そこにまとめられている。仮にこれを家に変える度にバラバラに「片付けて」、出かける度に毎回セットしていたら、その内なんかなくなる。

これと比べれば出かける時に「財布を持っていく」とだけで済む現状がどれだけ効率的かは、体験としてわかるだろう。便利なんだから他にも流用すればいい。筆箱とかもそうだね。

・ただし最初はうまく行かないだろう。長年物をなくす経験をしているからか、この手の人は中身を全部出して全部あることを確認したがる。
この時に片付けそこねて見失うことも多い。

・分類が細かすぎると混乱する。物をなくす人の方が、コートやカバンのポケットをフルに使う傾向が強い。全部に何かしら入っていて、物を探す時全部引っ張り出す感じの。

物をなくす行動が条件反射として身についている可能性

・アクションスリップの種類に「場面行動本能」というものがある。こういう時にはこうする、という行動パターンが思考や意思決定などをすり抜けて本能的反射的に実行として出てしまうこと。

なかなか克服できるものではなく、例えば何か落としたらすかさず拾うだろう。これが出てしまい、高所作業員がうっかり落としたものを反射的に拾おうとしてそのまま自分も落ちたなんて話があるくらいだ。

基本的に「適切な行動」とは「場面と合致していること」であると言える。場面行動本能と言っても、「場面」ではなく「出来事」しか見ていない。ここでの「落としたから拾う」みたいな。

・これは対策として「事例を知る」こと、そして「人間はこの様な反射的行動を取ることがあること」を知ることが有効だとされている。

物を無くすという点で見れば、大きな原因は適当なところに置くからだというのは間違いない。よく考えた熟考の果てに適当な場所においているわけもないだろう。

頻繁にこうなるということは、状態としてはこの様な場面行動本能的に適当に持ってるものをそこら辺に置いていると思われる。

「持ってる物をとりあえずそこら辺においてアレをやろう」。

体に覚えさせる

・物をなくすような、行動や考えの「クセ」が付いていると思ったほうがいい。これは別のクセで上書きするのが一番早く潰せる。

クセとは「自動化」とも言える。これは意識が向いていない時に発動する。つまり意識のスキを突いて行われるため、長期的に見ればまず敗北する。気をつければいい、というのが通用しないのはこのためだ。

悪癖が発動しないようにすればいい。それを上回る優先順位で、よろしいクセが出ればいい。定位置に置こうとする思考のクセや、無意識に定位置に置く手クセを。

・アメリカ空軍が行っている行動の習慣付け方法がある。鍵や財布など日常的に持ち歩くものには有効だろう。

空軍では基礎トレーニングを徹底させるために、以下の方法を取ります。

・司令官が照明を点けたらベッドから飛び降りて、ベッドメイキングを数秒で行う。
・ベッドに戻るように伝えられて照明が消される。

これを繰り返します。
重要なのは10~20回ほど連続で繰り返すこと。すると体が覚えます。

これを利用して、家に帰ってきたらコートをかける癖をつけるために次の行動をとります。
・家に入る。
・洋服ダンスまで歩く。
・コートをハンガーにかける。
・そしてまたコートをつかんで外に出る。

これを10回ほど繰り返します。すると今まで帰宅したらコートを投げていた反射行動が、すっかり入れ替わるというわけです。

http://labaq.com/archives/51906139.html

とてもわかり易く「身体で覚える」という方法。「ちゃんと片付ける癖」を身につければいい。そのためには「置き場所」はちゃんと決めておく必要があるが。

スタート地点に手を抜いてはならない。カギならそれこそ玄関からリスタートしないと身につかない。「一連の流れ」を身につけること。このため「どこから始まるか」は重要になる。

諦める

・モノにもよるが、諦める選択肢もある。

子供がADHDで消しゴムをよく無くす。母親が取った解決策は、消しゴムを箱買いすることだった。そんな話を見たことがある。

局所的な解決法では有るが、頻度が高い場合には一考の余地はあるかもしれない。

・忘れ物では、サイフやカギに並んで「カサ」も多い。だがこれを悩む人はそんなにいない。ビニール傘を忘れたところで、対して痛手にはならない。替えがきくから。それで済むならそれでいい気もするな。忘れ傘処理する人も大変そうだけど。

・この場合「大事なものは普段持ち歩かない」としなくてはならない。替えが効くもので身を固める。全てをそうするとはいかないだろうが、注意するべき物が減れば減るだけ失敗は減る。

まとめ

・今回はトラブルというよりも、同じ状況が作られ同じ現象が発生するというシステム的なエラーに近い。
この場合デバッグというか、原因を潰さないと再び発生する。

・気をつけていてもその内やらかすのは、

  • 自分で事故が起こりやすい状況を作るクセがある
  • クセは無意識に出る(気をつけていない時に出る)から
  • 気を張っていれば疲れるのも早くなり、疲れればクセが出る

「気をつけよう」最悪裏目に出る余地すらある。物の回収とはその工程の一番最後だからだ。その時に疲れていては忘れたり飛ばしたりはあり得る。

そもそも注意力という「その場限りの力」を毎回使おうと試みているのが原因として大きい。
「いつ気をつければ良いのか」と「その時に気付けるのか」の2つの問題をクリアしていない。

・対処法は

  • 気をつけなくていい状況をゴールとすること
  • あるべき場所を決める(それを守る)
  • あるべき場所に物を置くクセを付ける(新しいクセで上書きする)

陳腐なオチだが、単に「気をつける」よりは実用的だろう。まぁ結局気をつけるんだが、ポイントだけ押さえて長続きさせる。
このための努力は積み重なる。昨日よりも今日が、今日よりも明日が楽になる。

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