映画館効果とは
・部屋の明るさよりもデスクの明るさが5倍あると最も集中しやすいという話。当然ながら部屋の照明を落とし、デスクライトで作業をする形になる。この状態が映画館に似ていることから映画館効果。
・特に誰が発表した、とかははっきりしない。根拠となるような論文などは発見できなかった。集中法として伝聞で広まっている印象。
・やり方については上記の通り、部屋を暗く、机を明るく、それだけ。流石にもうちょっと掘り下げる。
他の感覚が鋭くなる
・映画館と言えば、視覚は確かに映画に集中するが、後ろの席の人が身じろぎしたのがわかるとか、おっさんの咳払いとか、誰かのスマホの振動音だとかが気になる人がいる。視覚が不十分な状態だと、「聴覚」は鋭くなる傾向がある。五感は相互に補う。
ちなみに、後ろの人の気配がわかるのは反響定位=エコーロケーションと言って、無意識に音の反響の変化を察知しているため。簡単に言えばコウモリやイルカと同じことを、拙いながら人間もやっている。第六感ではなく聴覚。視覚障害者の中にはこれが日常生活が可能なレベルに発達させた人もいる。
・閑話休題。せっかく視覚は集中してるのに、他の感覚が鋭くなって積極的に雑念になりそうなもの探したら困るわけだ。人間の五感の優先順位は目、耳、鼻、の順番であることが多い。
位置が把握でき、より遠くがわかるものほど優先度が高いように思える。加えてサーチの方針が基本「何か問題はないか、危険はないか」みたいな方向なので、いらん事に気を散らすのは人間の常とも言える。野生なら重要なんだけど。
鼻はまぁ、置いといて(対策なんて芳香剤かファブリーズくらいか)。耳はホワイトノイズ/ピンクノイズや雨や雑踏などの環境音(いずれもネットで探せるだろう)、或いは邪魔にならない作業用BGMなどで塞いでおいたほうがいいだろう。まぁ耳栓でも良いと思う。
私はミニマルテクノ聴くが。
明るい部屋は集中力を落とす
明るすぎる部屋の集中力に与える影響としては、
・余計なものが目に入り、脳が処理する情報量が増える
・目が疲れる
などが言われている。
明るいと余計なものが目に入り、脳が処理する情報量が増える
・極端な話として、机よりも強い光源で真横のマグカップかなんか照らされてたら気が散るだろう。一見それほどでもないと思うものだが、脳は一瞬で、
マグカップを認知
→今のタスクと無関係と判断し、タスクを優先することを決める
→情報をカット(それ以上考えない)して「気にしない状態」を作る
と、やるから、目に入った時点で無駄に頭を使うことは避けようが無い。ノイズキャンセリングの仕組みに少し似ているかもね。
逆を言えば集中できない/気が散ると言った状態はこのカットする機能が疲れ果ててる状態。
細かいことを言えば、この「気にしない/ならない」状態は物理的には情報処理はする、意味的には情報処理はしない、ということらしい。つまり物理的な情報処理=電気信号的な処理はどの道行われるため、「気にならなくても集中力は削がれる」とも言える。
照明が暗く認知から難しい場合には、元からよくわからん(=情報量が少ない)のだから物理的な情報処理も低コストで完了する。「よく見えないし、多分タスクに関係ないし、害もない。じゃあスルーで。」、みたいな。「脳の無駄遣い」は、減る。
・同じ理由で部屋や机が散らかっている時、やっぱり集中力は削がれていると言える。
・図書館や喫茶店のほうが勉強できる、というのは、程よい雑踏と、邪魔なものがない机のおかげかも知れない。次の話につながるが、照明も落ち着いた物であることも多いな。
日本の照明と集中力
・厄介なことに、日本人は強めの照明が好みだと言われている。
一見すると覚醒=集中力増えそう、って感じだが、言い方変えれば「興奮」だからな。ずっと興奮状態が続くから疲れやすい。つまり集中力が続かなくなる。集中力が続くのは、緊張と弛緩(ストレスとリラックス)のバランスが取れている状態とされる。
フロー状態でも交感神経と副交感神経両方が活発になっていることが確認されている。「明るすぎる照明」では緊張しかしないため、よろしくはない。
この上で強い照明に慣れているため、これが原因で集中力が発揮できなくても「明るすぎて集中できない」とは恐らく思い当たらないだろう。
・また、色温度という概念がある。真っ白な光ではなく、「寒々しい光」や「温かみのある光」などの温度を感じさせる光の色。高いほど青っぽく(寒そう)、低いほど赤っぽい(暖かそう)。そのまま高いと緊張、低いとリラックス効果があるともされる。
テレビやモニターなんかの設定にある「色温度」って概念で言えば、高い色温度(寒色系)が日本人には好まれている傾向がある。寒色系って言ったら代表格は「青」で、ブルーライトのせいで眠れなくなるって話を知っていれば早いが、脳は覚醒しやすい。
ちなみに色温度は蛍光灯で言えば、昼光色(オフィスなどの青みがかった明るさ、目が疲れる)が最も高く、続いて昼白色(太陽光に最も近い)、電球色(暗めだが温かみがある色)が最も低い。
懸念材料
暗いと目に悪い?
・暗い所で物を見ると眼が悪くなる、というのは科学的根拠がないという話。
近くのものを見るというのが視力が悪くなる原因とされる。
・「明るいところと暗いところを交互に見た場合、調整機能が酷使されて、視力が悪くなる可能性がある」という話ならある。
・ただ、意識して目を休ませる時間は必要だと考えられる。眼精疲労で肩や首が凝る場合もある。
眠くなる可能性
・今まで日常化していた「刺激」を減らすわけだから、その分リラックスできる。眠気を感じることも増えるかも知れない。多くの人間が睡眠不足気味だから、尚更に。まぁ睡眠不足解消したほうが多分スペック上がるけど。