ある日突然できるようになる現象 2

習得に於ける睡眠と夢

https://embryo-nemo.com/643/の考察。

・前回言ったとおり、スキルと言えるようなことを中心に書いている。即ち技術や、能力的な部分について。

・「夢」の話が複数あるのは気になるな。夢はわけわからんのからリアルなものまで色々あるが、日中のことが夢に出るってのは、個人的な経験上はかなり忙しく、一生懸命だったり、集中していたりした日であることが多い。

人は睡眠中に記憶の処理をしている、とはよく聞く話だ。睡眠をまたぐと、忘れたことと覚えていることがはっきり分かれるらしい。つまり取捨選択をしている。保存か、削除か。

・これとは別に、見聞きしたもの、或いは勉強したものの「消化/吸収」が行われているような気がする。


最近の研究では技能練習後に睡眠を取ると成績が飛躍的に向上すると報告されている。
その一例がテンキー操作。


できるだけ正確にキーをたたく課題に取り組み、
その後起きていた場合と睡眠を取った場合で成績を比べた研究で、
Aグループは午前十時に練習、
午後十時にテストを行ったが有意な成績向上は認められなかった。
しかし、一晩寝た翌朝十時のテストでは成績が20%以上アップした。


Bグループは午後十時に練習しただけで眠り、
翌朝十時に課題に臨んだ。
すると、Aグループと同様に成績が向上していた。

運動技能の修得には十分な長さの睡眠が必要で、
六時間以下では向上しないと分かっている。
学習後に眠ると、記憶の向上はさらに四日間続くとの報告もある。

http://sleep-col.com/%E7%B7%B4%E7%BF%92%E5%BE%8C%E3%81%AE%E7%9D%A1%E7%9C%A0%E3%80%80%E9%A3%9B%E8%BA%8D%E7%9A%84%E3%81%AB%E6%8A%80%E8%A1%93%E3%81%8C%E5%90%91%E4%B8%8A/

うん。推測は大体合ってると見ていいだろう。

・「ある時」できるようになる、というのは数日単位の規模での話が多いと推測できる。当然睡眠を挟んでいるだろう。この要素は大きいのではないか。

脳の可塑性

・脳は形を変える。これを可塑性(かそせい)という。弾性の逆。

脳というか大抵はシナプス可塑性を指す。

これには時間はかからないが、すぐに戻ってしまう。定着するには時間がかかる。


新たな事の学習や経験で忙しい時、脳は神経のネットワークの接続を確立します。これらの経路または神経回路は、ニューロン間の通信の為の経路として構成されています。

これらのルートは、学習と実践を通して脳内に作成されます、それは同じルートを毎日使用して羊飼いが群れによって、山道を形成するのと同じです。

https://www.cognifit.com/ja/brain-plasticity-and-cognition

・可塑性には短期と長期があるとされる。二時間のピアノの練習をすると脳の指を操作する部分が肥大化する。翌日にはこれは戻っている。

これを4週間繰り返した場合、脳は元に戻らなくなったそうだ。つまりは身につけた、と言えるだろう。2日練習を休んでも元に戻ることはなかったそうだ。

ちなみにイメージトレーニングでも脳の可塑性は起きたそうだ。実力的には下手だったらしいが、素質的には向上したんじゃないだろうか。

・短期的には翌日戻ってるというのも面白い。「元の形」への復元機能が脳にはある程度はあり、それを繰り返し練習することで上書きできる、ということだろうか。

・今回の件に当てはめれば、長期の可塑性が起こったタイミングで「脳が出来上がった」と言えるだろう。或いは「そういう脳になった」とも。そして「定着」するまでが、「成果がなくて辛い」という段階となる。できるようになれば、それを足場あるいはツールとして更に上に行けるため、「突然覚醒した」感覚になるだろう。

阻害要因の消失

・興味深いのは、このような「覚醒」が起きた後は「なんで今までだめだったのかがわからない」との声が多いことだ。つまりはこれは論理的解決ではない。成長できなかった理由である「何か」が、わからん内に解決したということだ。

・殆どに於いて、直接的な「原因」が殆ど見当たらない。できるようになった理由もそうだが、それまで伸び悩んでいた理由もだ。
環境的・状況的に必死にならざるを得ないなどはある。テスト前日だとか。言わば必要な時に、必要なパフォーマンスを「突然」発揮できた。

また覚醒以降、苦手意識が消えた、成績が伸び始めたなどの話も散見される。まるで枷が外れたかのように。

・できるようになったのが不思議なんじゃなく、できなかったことがおかしかったケースもある可能性。つまりは認知的な、「これは自分にはできないこと」といった苦手意識と、その解消。何度も練習するのはそれ自体が認知に対しての「説得」になるだろう。克服しようとしているのだから。

・うまくいくことに対しての阻害要因、要は下手な原因が解消された場合、「突然うまくなった」は擬似的に再現が可能だろう。それが勘違いや思い込みに属するものなら、突然消えることもまたありえる。

・これはそのまま「ある時自分はこれができると気づいた」ことの説明にもなるだろう。認知が変われば視点も変わる。

・「本来は」、努力により右肩上がりの成長が可能なのかも知れない。だが現実には大抵そうじゃない。思った以上に「勘違いのせいで下手/苦手であり続けている状態」は多いのかもしれない。

まぁこの上で「なぜできないのか」よりも「どうやったらできるようになるか」を気にしたほうが精神衛生上良いと思うが。

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