安息日
・金曜の夕暮れから土曜の夕暮れまで、「一切の仕事をしてはいけない日」。あるいは「何もしてはならない日」とされる。
神が6日で天地創造して7日目に休んだという旧約聖書の話を由来としている説がある。
・wikiによれば、安息日に出動した救急車に、厳格な信者が石を投げることもあるそうだ。こういう話は嫌いだな。
・調べたらトーラーの一つ、出エジプト記には「安息日に働くものは必ず殺されるであろう」と書いてあるそうな。日本で広めようか。
・ユダヤ教にも宗派があり、厳格にこれを守ったり、そうでもなかったりがあるらしい。火の使用が禁じられているが、厳格な解釈をすると電化製品全部使っちゃいけないことになるらしい。まぁ流石に現代的ではないね。でもやってる人々はいるようだ。
ともかく、基本的には週一で家で大人しくしている文化がある。
・疑問を持つこと、考えること、議論すること、読書、学習を習慣化している。これらを安息日に行うらしい。
・このときも親子でハブルータするらしい。題材はトーラーやタルムードだが。
どうも経典漬けなのも引っかかる。テーマが絞れているから、真っすぐ進みやすいってのはあるかもね。逆を言えば、私達がユダヤ人の風習を模倣しようとする際はなんでもかんでもこんな姿勢、ってのは良くないとも思う。
・内省、自分と向き合う時間ともされる。タルムードには「自分が自分にとって最も良い教師。これほど生徒のことをわかっていて、同情し、励ます教師は他にいない」とあるそうだ。そしてここでインナーゲームの話を持ち出すような奴が私だ。
・インナーゲーム(心の中の試合)では自分の中の二人の自分、セルフ1=批判者が、セルフ2=実行者にプレッシャーを掛け続け、萎縮させることが問題とされている。多くの場合、こちらが常だろう。特に自責の念が強い人や、よく緊張する人。
だが見方を変えれば、このタルムードの言葉のような、理解し、同情し、励ますセルフ1になれれば、まぁまるごと解決するかもな。
・週一で何もしない(してはいけない)日があって、他に支障はないのだろうか。一見すると作業量が七分の一が減るわけで、その分他に影響はありそうには見える。
日本人で保守派のユダヤ人になった、弁護士の石角完爾氏のブログにその点についてがある。
氏の著書を読んだ新聞記者の質問、「仕事が趣味と言っていたあなたが、安息日に対して抵抗を感じなかったのか」に対しての回答。
私はユダヤ人になってむしろ逆にユダヤ人としてのこういった儀式と行事が非常に忙しくある、つまり仕事が出来ない時間が増えることにより、逆にそれ以外の時間でいかに効率良く仕事をするかということを考え、実行するようになった。
結果として、今までの1.5倍ぐらいの仕事が出来るようになったうえ、成果も1.5倍ぐらい上がるようになった。
いかに効率良く仕事をするかということは、いかに時間をかけて仕事をするかということではないということがユダヤ人になって初めて分かった。
つまり効率良く仕事をする為には時間がたっぷりない方がいい、というのが逆説的な真理である。
そしてもう一つ分かったことがある。
たっぷり時間をかけられるとなると、かえって良い仕事が出来ない、成果が上がらない。
それよりもたっぷり時間がかけられない、時間が限られている、時間がたっぷりない、という状態の方が良い仕事が出来る、内容のある仕事が出来る、成果が上がる、ということもユダヤ人になって分かった。
これは身体の健康にも全く同様のことが当てはまる。
http://www.kanjiishizumi.com/?eid=844
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要するに、「実際忙しくなったが、そのおかげで効率が上がった」と答えている。
・時間がある限りそれを使ってしまう傾向が人間にはあるらしい。簡単に言えば締切まで作業時間が「引き伸ばされる」現象。しかもそれを真面目、熱心と取り違える。例えば「何度も確認するのは良いことだ」だとか。個人で何度も確認してもだめなもんはだめな時もあるんだがね。個人的には二人が一回ずつチェックするくらいが落としどころだと思うが。
単に「余裕があるとガバくなる」と言っても良いだろう。時間に限らず、各種リソース。財布が重ければ、気が大きくなるものだ。
・時間を減らしたら効率が上がった、という話は探せばある。例えばロイヤルホスト。24時間営業をやめた。当時の社長がお忍びで来店した時、ヘロヘロになったスタッフを見てやばいと思ったそうな。全店舗平均で営業時間は3時間減ることになったが、売上は逆に7%上昇したとのこと。
私達は基本、仕事に対しては全部やろうとする。いくつかタスクがあって、「取捨選択はしない」。どうせ全部やるから、順番も別に重視しない。つまり非効率的なことをやっていても自覚がないし、非効率的かどうかを疑いもしない。やる必要があるかないかは、まぁ疑問に思っても提案しないだろう。
・この辺りに本気を出した会社が岐阜県の未来工業。「残業したら罰金」と制度を作ってまで残業をゼロにした。
始業時間も8時だったのが「もうちょっと遅いほうが良い」との声を聞き入れて30分遅らせた。影響はなかったらしい。
終業時間も同様に15分早めた。影響はなかったらしい。
これらは単に今まで無駄に時間を使っていた、という話でもなく、スタッフたちが協力するように自然となったともされる。会社全体で「スムーズに事を運ぶ」ことを意識するようになった結果とのこと。
・また、いつぞやの完了恐怖症の話のような、「不安だからいつまでも確認していたい」かのような状態も強制的に終わらせられる。人によるのかも知れないが、私はこういった「適切に終わらせること」は重要だと考える。