睡眠

睡眠薬を使用して眠っても疲れが取れない、というのは本当か

投稿日:2018年12月10日 更新日:

睡眠薬で眠れても疲れが取れないという話


薬に頼って眠っても疲れが取れない、という話は耳にするが、それは本当か。
睡眠薬には種類が多く、一概には言えない。また、処方箋なしで買える睡眠導入剤はどうか。

睡眠薬


成人の20人に1人は3ヶ月に一回ほどのペースで睡眠薬を処方されているという話もある。

睡眠薬は市販されていないため、手持ちの睡眠薬については「医者に聞け」の一言で事足りるのだが。

不眠の種類


「不眠」と言えば、「寝付きが悪い」「眠れない」というイメージがあるが、それだけではない。
不眠は4つに分類される。
入眠障害(眠れない)、
中途覚醒(何度も途中で起きる)、
早期覚醒(早く起きすぎて、その後眠れない)、
熟眠障害/熟眠感欠如(寝たのに眠った気がしない)、
の4つ。

睡眠薬の種類


従って、処方される睡眠薬も種類がある。

効果時間で区別される場合、超短時間/短時間作用型、中等時間作用型、長時間作用型がある。状況によっては向精神薬や抗うつ薬が処方されることも。睡眠薬だと思ってたら睡眠薬じゃなかった、ってこともあるかもね。中等時間作用型の時点で、連用するようなら翌日まで眠気が長引くこともありえるらしい。

基本的にはまず短時間作用型が処方される。寝付きの問題は短時間作用型、それ以外は中等~長時間作用型が処方されるとのこと。http://www.takeda-hp.jp/t-time190101.html

問題発生のタイミングが眠ってから数時間後になるわけだから、それまで薬効が残っていないいけないだろうし。

睡眠薬の成分


代表的なのはベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系の2つ。他にもあるが、抗うつ薬や高齢者の熟眠障害向けだったり、他の薬が効かない時に使用するなどでありあまり身近ではないだろう。拠って除外。

ベンゾジアゼピン


色々あるが、一般的にはベンゾジアゼピン(BDZ)系が処方されるとされる。精神安定剤としても使用され、BDZ系の抗不安薬なども存在する。向精神薬として扱われている。

ベンゾジアゼピンはbenzodiazepine、ベンゾ、ジア、ゼピンでBDZ。

BDZ受容体を刺激する。これにより脳の活動が抑制され、眠気が起きる。

有名?なハルシオンはベンゾジアゼピン系に属する。短期間(wikiによれば2~4週間ほど)であれば依存症状や耐性が付くことはない、とされている。

レム睡眠を減少させる。


浅い眠りを増やし深い睡眠を減らすことによって睡眠の質を悪化させる。ベンゾジアゼピンを含む睡眠薬の他の欠点として、その作用に対する耐性が予想される


https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%B3%E3%82%BE%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%82%BC%E3%83%94%E3%83%B3

つまり、長く眠れはするが、眠りが浅くなり、薬が効かなくなってくる。また、筋弛緩作用があり、力が入らない、転びやすいなどの副作用がある。

常用するものではなく、断続的に、適量を使用することが推奨される。これでも先代の同じような効用を持つバルビツール酸系睡眠薬よりはマシらしい。

ともかく、「睡眠薬を飲んで寝ても眠りの質が悪くなる」というのはBDZ系に於いては「その通り」だと言える。

このため、熟眠感欠如(眠った気がしない)の症状に対しては医師がBDZ系睡眠薬から後述する非BDZに切り替える事がある。

非ベンゾジアゼピン

ベンゾジアゼピンではなく、なおかつベンゾジアゼピンと似ている効果を持つ向精神薬を非ベンゾジアゼピン系(非BDZ)と呼ぶ。これもBDZ受容体を刺激して眠気を起こす。BDZと比べて筋弛緩作用が少ない。

BDZと比べると耐性がつきにくい。それでも習慣的に使用できるわけではないようだ。習慣的に使用した場合、日中に離脱症状による不安を生じさせるとされる。

こちらは深い眠りを増加させるとされる。言い方を変えれば熟睡できる。睡眠の質は良くなるといえる。ただ、ベンゾジアゼピンと「同じ働きをする」成分を非BDZと呼ぶのであり、一口に非BDZと言っても種類がある。

非BDZ系の睡眠薬に於いては、「睡眠の質は悪くならないと言われている」くらいは言えるか。

また、超短時間作用型でも長時間作用型でもBDZ/非BDZ両方があるようだ。
超短時間作用型:マイスリー(非BDZ)/ハルラック(BDZ)
長時間作用型:クアゼパム(非BDZ)/ダルメート(BDZ)
など。結構種類があるようだし、医者には医者の考えで出す薬決めるわけだから、まずは相談ですかね。

睡眠改善薬/睡眠導入剤


ドラッグストアや通販などで市販されているもの。代表的なのはドリエル。

こちらはそもそも「一時的な」不眠に対して使用する物。精神疾患などの病気ではない不眠を指し、「いつもはそんなことないんだけど今日は眠れない」とかそういう時用。明日重要なイベントが有って、緊張して眠れない、とか。

「不眠症」への使用は推奨されないとされる。

睡眠薬より効果は弱く、自然な眠りに比較的近いとされる。

有効成分として塩酸ジフェンヒドラミン。これは抗ヒスタミン、つまり花粉症などのアレルギーに対しての薬で、今まで「副作用」として眠気を起こすという扱いをされていたもの。風邪薬とかにも入ってる。その副作用をメインの作用に転用したもの。

塩酸ジフェンヒドラミンの睡眠の質に対しての効果は、エスエス製薬株式会社が行った試験の記録がある。


結果、ジフェンヒドラミン塩酸塩は徐波睡眠(Stage3+4)及びREM睡眠の出現量を抑制せず、Stage2を有意に増加させることがわかり、また、実睡眠時間(就寝時間-覚醒時間)および睡眠効率(実睡眠時間/観察時間×100)を有意に改善することで、翌日の身体的疲労及び集中力をも改善し、日中のQOLの改善にも有用であることが示唆されたという。

https://www.carenet.com/news/general/carenet/7433

用語の解説。徐波睡眠はノンレム睡眠のうちのステージ3~4(ノンレム睡眠は4つのステージに分かれる)。wikiではノンレム自体を徐波睡眠と呼ぶとあるのだが、日本薬学会の用語解説のページにはステージ3~4を指すとある。今回は単純に「深い眠りの状態」と捉えればいいだろう。

一応これも説明しておくと、眠りの深さは、
レム睡眠 < ノンレム睡眠のステージ1 < 2 < 3 < 4 となる。

極稀に勘違いしている人がいるが、レム睡眠は最も浅い眠り。深いのはノンレム、とされていたのだが、そのうちの1と2は浅い方なので、一般のレム/ノンレムの知識は結構ガバいと言えるだろう。

引用先で言えば、「深い眠りの時間は減らなかった」ということ。この上でステージ2(レム睡眠や、ノンレムのステージ1と比べれば深い眠り)が増えている、となる。

QOLはクオリティ・オブ・ライフ=生活の質。睡眠不足でフラフラじゃ生活の質が高いとは言えないだろう。これの向上ってのは要するに「ぐっすり眠れてスッキリできる」という話。

また、wikiのジフェンヒドラミンからは、


睡眠のステージ3や4あるいはREM睡眠を変化させることはない[10]。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%92%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%83%B3


とある。

睡眠導入剤については「睡眠の質に対しては悪影響はない」と言えるだろう。

メモ

王立オーストラリア総合医学会では不眠に対しても第一選択では薬ではなく、認知行動療法とするとしているらしい。日本でも睡眠薬の常用は問題視されている。脱睡眠薬までが治療だ、みたいな話もある。

睡眠薬は思っていたよりも副作用も依存性も「強い」薬なようで、出来るなら飲みたくない人たちも多く見かけるが、正解なのだろう。

製薬会社自身が行う、あるいは関連している研究について。

業界が出資した試験は、業界以外が出資した研究の3.6倍も、業界にとって好ましい結果を見出しているというオッズ比と、また24%の執筆者が、出版された論文において製薬会社に出資されていたことを明かしていないことを見出した。論文は、製薬業者から独立している睡眠薬に関する研究がほとんどないことを明らかにした。同様の懸念は、業界が自ら出資した試験の結果自体において、睡眠薬の使用がうつ病に相関していることを示していることへの関心の欠如である。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%9E%E3%83%99%E3%83%B3%E3%82%BE%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%82%BC%E3%83%94%E3%83%B3%E7%B3%BB

これは睡眠薬に限らない。

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