ストレス解消法とされる「書くこと」
・書くことによりストレス解消になる、不安の緩和になるというカウンセリングのような効果は、それほど珍しいものではない。
曰く、愚痴をいうよりもスッキリする、気持ちの整理になる、自分を客観視できるようになるなど。
テクニックとして比較的有名なものを紹介しておこう。
エクスプレッシブ・ライティング(筆記開示法)
・自分の感情を紙に書き出す。社会心理学者ジェームス・ペネベーカー考案。
・1日20分、自分の感じている悩みや不安を紙に書き出す。
毎日続けることによるストレスから開放される効果が期待されている。
ポイントは、
- 誰にも見せないものなので正直に書くこと
- 日時を記録すること
- 継続すること
まぁ、毎日20分はお手軽とは言えないが。
ジャーナリング
・一定時間、頭に浮かぶことを紙に向かってひたすら書く。それだけ。
いわゆる「心のもやもや」が晴れ、前向きな行動につながるのだとか。
・ジェームズ・ペネベイカーが調査したところ、ジャーナリングによりストレス指数の改善が証明された。これにより積極性も増したようだ。
具体的には失業者を対象にジャーナリングをやらせた(20分を5日間)。
八ヶ月後に追跡調査をしたところ、他の失業者よりも就職率が40%高かったという。
「感情を書くこと」の重要性
・なんかペネベイカーさん、自分の離婚の危機を「書くこと」で乗り越えたとかなんとか。
実体験をきっかけに「書くこと」の研究を始めたそうな。
・さて書くのはわかったが、何を書けば良いのか。そこら辺をはっきりさせようとペネベイカーが行った実験がある。
・人を2グループ用意し、書く内容をそれぞれ分けた。
- 感情的に大きな影響を受けた出来事を書く
- 虐待
- 最悪の失敗
- 破局
- 死による別れ
中には自分のせいで誰かが死んだ話もある。かなり重い。
- 日常的なことを書く(恐らく対照群(比較用)のグループ)
- 自分の靴のこと
- 通りを行き交う車のこと
クッソどうでもいいね。
・2グループそれぞれ、毎回約20分、3日間書いてもらった。感情グループはかなり辛そうに思える。
・確認された結果としては、感情的に大きな影響を受けた出来事を書くグループの方に心身の健康の向上が見られた。
- 幸福感が高まった
- 憂鬱な気分や不安が和らいだ
数ヶ月経過した時点でも、
- 血圧が下がった
- 免疫機能が高まった
- 通院回数が少なくなった
- 人間関係が豊かになった
- 記憶力が高まり仕事の成果が上がった
などが見られた。
メモ
・全部ジェームスさんとは思わんかったが。
最後の実験の例は、いささか刺激が強すぎる。平時はジャーナリング程度に「思いついたことを全部書く」くらいで良いと思われる。
・数日程度の継続で、数ヶ月に渡る効果がでている。また色々健康になっている。
ただこれは、むしろ今までが本調子じゃなかったとも取れる。悩み、不安、恐れやトラウマなど、「今」を邪魔するものはそこそこ多い。これらが解消された場合、全体的な向上はたしかに期待できるだろう。
・やってみればわかるだろうが、頭がパンク寸前に感じていてもわずか数項目、数行で、もう言葉としては出て来ないということはザラにある。まだ何か残ってるのに、言葉としては出て来ない。
そこから先、まだ時間があるので何か書かなきゃいけない状態になった時(無理にひねり出そうとしている時)、微細な、普段は目もくれない捉えどころのないはっきりしない感情に目が行く。
これの言語化を試みることには、カウンセリングを受けた様な効果が別件で確認されている。
捉えどころのないはっきりしない感情をフェルトセンス、そこに焦点を当てることをフォーカシングと呼ぶ。
・同じく全部思いついたこと書き出すことにはブレインダンプと呼ばれるものがある。こちらは思考の整理の属性が強い。
まぁやり方調べてもライフハックの分野特有の「全部亜種」みたいな状態で(みんな改造しまくる)、提唱者すらこっちにはわからんが。
ゆるく「頭の中を全部紙に書き出す」くらいの意図で良いだろう。何か引っかかるような時は、結構使える。