・https://embryo-nemo.com/20/について調べていく内に、冷水シャワーは健康面、メンタル面での効能が謳われていることを知った。
・現状では「冷水シャワーの効果」とされているものの中には凍結療法や温冷療法、サウナと水風呂の効果などが混同されているものが多い。冷水シャワーの話で「初めは辛くてもそのうち温度の羽衣が」とか書いちゃってる所があった。シャワーではありえないだろう。
・冷水シャワーに関しての情報は、全体的に根拠は(ないわけではないが)乏しい印象は否めない。信憑性があると言えるレベルなのはスタンフォードが温冷浴を採用していること、バージュ博士が行った実験くらいか。これからの分野かもね。
その分巷で言われている冷水シャワーについての話は語り手の個人的経験であること、
民間療法的な信仰(プラセボ効果)、
サウナ、温冷浴、凍結療法、水泳選手の調査結果などと混同されていること、
或いは「これらで効果があるから冷水シャワーでもあるはずだ」などの推測もある点に注意したほうが良いだろう。
病欠が減る
・「朝に30秒の冷水シャワーを浴びると病欠が減る」との結果が出ている。
アムステルダム大学学術医療センターのバージュ博士は、3000人のボランティアに冷水シャワーを浴びるように指示。その後勤怠状況を調査。
その結果、冷水シャワーを浴びたグループは病欠が29%減少していることが確認された。
・朝のシャワーを浴びた時の「終わる間際」に30,60,90秒の間「できるだけ冷たい水(10度~12度と言われている)」を浴びるという指示だった。時間による違いは確認されていないため、この件では30秒で構わないことになる。
・免疫系への正確な影響は明らかになっていない。
・身体の不調を訴えた数だけを見れば、冷水シャワーの有無で違いはなかった。
・ついでに運動もした場合は病欠は54%減少。
・生産性には影響なし。
・最初は阿鼻叫喚だったらしいが、一ヶ月後に「あなたは冷水シャワーを今後も続けるか」と聞いたところ、91%が「続ける」と回答したそうだ。
実際に続けたのはそのうち三分の二だったらしいが。それでも多い方だろう。
どこに魅力があるのか、という話だが、一度慣れてくると朝の活力を得るための習慣として採用したくなったらしい。
というか、バージュ博士がそう言って自分でもとっくにやってたという。ジェームズ・ボンドが本の中でやってたからとかなんとか。
・バージュ博士は、冷水シャワーに慣れたとしても効果は残るのでは、と考えているようだ。
プラセボ効果の可能性について
・プラセボ効果の可能性は完全には否定されていない。要は「思い込みの力」で変化が現れただけではないかという疑いは残っている。
まぁ効果が出てるならなんでもいいんじゃないか。健康になりたくて健康になる。心を強くしたくて心が強くなる。そこに問題はないだろう。
アトピー アレルギーに効くという話
・現代人は割と空調が効いた環境に生きている。小耳に挟んだ話では、この辺りの文明の利器がなかったら今生きている人間の内半分以上は死ぬとかなんとか。特に夏と冬は死にやすいとされていた。今でもそうだが、それ以上に。
現代に於いて死者数がそれほどではないのは空調のおかげなのだが、今度はそのせいで身体本来の体温調節やそれに纏わる機能は出番がなくなってきた。
・その一つが副腎と呼ばれる臓器で、これは免疫機能も司る。本来は温度差に鋭く反応するものなのだが、温度差という「刺激」は上記の理由から昔ほどにはない。拠って現代人は副腎機能が鈍く、アトピーやアレルギーに弱い、とする説がある。
非常に簡単な話にしてしまえば、例えば本来高カロリーな食料は生物に歓迎されるものだった。現代人はむしろ敬遠するだろう。体重や健康を気にして自分で量を調節しようとする。
それと同じで、快適な環境は本来歓迎されるものだが、身体本来の働きを損なわないためには自分から刺激を与える必要が現代では出てきた。
かと言って空調を切ったら前述の通り命にかかわるかもしれない。環境的なストレスは自覚はされないが大きい。それよりは自身の制御下で適量の刺激を与えられる冷水シャワーは悪くないと思われる。
これらの理由から試している人々は結構いる。曰くアトピーに効果がある、或いは花粉症が今年はそれほど辛くない、などの「個人的体験」はされているようだ。
ストレス解消とアンチエイジング
ストレスを文字通り洗い流してくれるのが、冷水シャワーです。
具体的には、冷水を浴びることによってストレスに関係する尿酸値が下がります。
そして体が老いるのを食い止める抗酸化作用をもつグルタチオンが増加します。
抗うつ作用
・「冷たさ」に人は敏感にできている。簡単に言うと、皮膚には冷たさの「センサー」が多くある。
冷水シャワーにより全身が「冷たい」という情報をキャッチし、それを脳に送ることは、気分が良くなり(今まで自前で発生させていたネガティブな思考を刺激で押し流せる)、抗うつ作用にも繋がるとされる。
・鎮痛効果があり、それが気分を落ち着けさせる。鎮痛についてはアスリートが冷却スプレーを使ったりなどで見慣れているかもしれない。
意志が強くなる
・意志力は筋肉のようなものだとも言われる。即ち使えば鍛えられ、使わなければ衰えると。これは決断力でも同じことが言われている。
過去記事の時にもやったが、自分の意思決定で辛い目に合う、という行為そのものがメンタルを鍛える手段となる。要は意志力のトレーニング。
・男性ホルモンであるテストステロンが増加するとされている。一般には筋肉関係で周知されているか。女性でも男性の5-10%程度は分泌される。
心理的にはテストステロンは「闘争本能や干渉されたくない欲求を高める」とされる。
一方、女性にテストステロンを投与し金銭の交渉をさせる実験では、「公正な申し出」と「断られるリスクを最小限に抑えようとする」傾向があったとされる。このため闘争本能を高めることを疑問視する声も。
・干渉されたくない欲求とは、自己目的的、自己肯定感とも取れる。
これは不思議なことなんですが、以前は一日一食とか言っても、昼食にスープとか頻繁に食べていたんです。
理由といえば、単に腹がへって我慢ができなくなったからですが。
それが、冷水シャワーを浴びるようになってから、不思議と空腹を我慢できるようになったんです。
我慢っていうか、そもそも日中に腹があんまり空かなくなったんです。
何か自分の体が自身の欲望を上手く乗りこなしている感覚ですね。
この効果が不変のものだとしたら、本能的欲求よりも理想や目的達成への意志の方が勝るようになるかもしれない。
冷水シャワーを浴びた時、身体はどうなっているのか
アドレナリン・コルチゾールの分泌
・ストレスを感知した際に分泌されるアドレナリンとコルチゾールにより、闘争・逃走反応(FIGHT OR FLIGHT)を引き起こす。
これは急性ストレス反応とも呼ばれ、俗にいう「火事場の馬鹿力」を発揮させる。
褐色脂肪細胞の活性化
・代謝を上げて体温を保とうとする機能が働く。
・血糖の調節。
・褐色脂肪細胞は乳幼児や冬眠動物に特に多く、運動を伴わずに熱を発生させることができる。
・肥満、糖尿病のリスク低下の可能性。
・冷水シャワーにより褐色脂肪の代謝率が15倍になるとのこと。
・鎖骨、首周りにあるとされる。このため褐色脂肪細胞を活性化させたいのならそこにシャワーを当てるべきだろう。
ハードニング
・厳しい環境にいることで神経システムの耐性が高まる「ハードニング」が起こるとされている。
・こちらはシャワーではないが、寒中水泳の健康効果としても免疫力は上がるようだ。
寒中水泳の健康効果は世界で認められており、ロシア以外にも世界各地で行われている。ロシアの寒中水泳愛好クラブ代表者(78)は、こう話している。
「氷のような水に入ると人体の免疫力が3~5倍に高まるという実験結果があるのです」
冷水シャワーの方法
・冷水シャワーと言っても、入浴時に行い湯船にも入るつもりなのか、起床時に行い冷水シャワーだけのつもりなのかで色々と違ってくる。
冷水シャワー
・おそらく「正式なやり方」なんてものがそもそもまだ確立されていない。冷水シャワーの研究にしたってバージュ博士がやったものしか見つからなかった。
・パターンとしては初めから冷水、温水から冷水に切り替えるの2つ。後述の温浴でもそうなのだが、温水を使うにしても最後は冷水で終わることが共通して推奨されている。
・経験上だが、冷水は足、腕などから徐々に浴びていったほうが良い。いきなり身体、いきなり頭からが一番つらく、一番やりそうなこと。心臓から遠い場所から冷やしていくつもりで。
・10分以上だと低体温症の恐れがある。3~5分が推奨されている。
・特に水温は気にするが、水量は気にされないようだ。平気だという人も居るようだが、
冷水シャワー+温浴
・交互浴:https://newspicks.com/news/3126918/body/
スタンフォードが行っている方法とされている。トレーニングルームにバスタブが2つあり、それぞれ温浴(36℃)、冷浴(10℃)ができるようになっている。
これを2~3分冷浴してから、後は一分ずつ交互に入ることを4~5回繰り返す。最後にまた冷浴を2~3分。
この繰り返しは12分までは効果有りとされる。
参照先では家庭版として、バスタブで温浴、冷水浴の代わりに冷水シャワーの方法が記載されている。
冷水シャワーのタイミング
・実際にやればわかるが、割ととんでもないことになり、アドレナリンが大量に出る。コルチゾールも出る。テストステロンも出る。これらは緊急事態に備えてのものであり、端的に言えば興奮状態になったということだ。
・FIGHT OR FLIGHT反応は消化機能を低下・停止させる。このため食後はやめたほうが良いだろう。
また「膀胱を弛緩させる」とあるので、まぁなんつーか、トイレは済ませておきましょう。
・これから寝ようという時には向いていないだろう。一部よく眠れるなんて意見もあるのだが。
・以上から確実に効果的なのは朝。あるいは気合を入れたい時か。
「カフェインを摂取するようなタイミングで」と考えておくのが一番適切な気がする。カフェイン断ちの一助にもなるかもしれない。
・「冷水浴」での話だが、トレーニング直後の冷水浴による疲労回復効果は、同時に筋肉の成長を妨げるという調査結果がある。トレーニング関係では避けたほうがいいかもしれない。http://kawamorinaoki.jp/post-175794696/
メモ
・冷水を浴びさせるのは拷問や虐待でも使われる手法である。おっかなびっくり様子見しながら始めたほうがいいだろう。
・余談だが、ガス通ってないor料金滞納して止められたなどで止む無く冷水シャワーを浴びて悲鳴を上げてる人々もいた。生きろ。
・他にも寒さに強くなる(根性論ではなく、身体の寒冷耐性が上がる)などが挙げられている。
・まぁなんというか、良すぎて怪しいと言うか。温泉の効能書き程度に捉えたほうが良いのかもしれないが。
身体的には割と危機感与える異常事態を作ることになるので、効果が大きくても不思議ではないかもしれない。
・少なくとも冷水シャワーにハマっている人、というのはいるようだ。数年毎日のようにやっている、なんて人もいた。
・「凍結療法」なんてのも世の中にはある。
・冷水シャワーによるメンタル面の強化は、闘争・逃走反応に「慣れる」事によって果たされるのではないか。神経配置云々みたいな物理的な話ではなく、経験的な慣れ。
闘争・逃走反応は基本イメージが悪い。言い方変えれば怒るか泣くか、短気かヘタレかだから。人が後悔をすることをしてしまうのも、このような精神状態の時が多い。
そしてこのような状態を「避ける」習性を持つため、基本的に人はこれに対する耐性がない。ならないように気をつけはするが、だからこそなったらおしまい。そういった状態にある。アンガーマネジメント(怒りの管理)などに見られる、感情を「避ける」ことから「受け入れて飼いならす」ような方向への流れもでてきたが。
冷水シャワーの場合では、まず自らの意思で行うため状況そのものはコントロール下にあることがプラスに働くだろう。始めるのも、終わるのも、自分の手で行える。冷たい水そのものは身体的ストレスだが、そこにはある種の「保証」がある。
これが他人がその場の気分で水を出し、いつ終わるかわかりませんだったら途端にイジメか拷問になる。言い方を変えればストレスは冷たい水「だけ」である保証。
自らがレバーをひねるだけで初め、終わらせることができる状況。ただ水が出るだけじゃない。冷水によって精神状態が確実に変化し、そしてまた元に戻すことができる。
人間が普段振り回されている、感情などを含めた「精神状態」を自らの手でコントロールする滅多にない機会だ。この点の効果は、認知療法に近いのではないか。