先延ばしの心理と3つの因子

・先延ばしの研究は海外でも行われており、個人の特性や能力と関連付けられているものもある。
連携して研究してるわけじゃないのでバラバラだったりする。おそらくは将来的にもっとまとめられることだろう。

今回は課題を前にしての心理や認知について。

分かりやすい先延ばしの因子としては、『大学生における先延ばし行動とその原因について』という論文にある3つがある。1

  • 興味の低さによる他事優先
  • 先延ばし肯定・容認
  • 課題困難性の認知

これらは個人の特性(性格や気質)とは違う。「先延ばしをする時の気持ちや考え」が3タイプある、って認識で良いだろう。

他のことやりたい:興味の低さによる他事優先

・つまらない。やりたくない。めんどくさい。やる気が出ない。おうち帰りたい。

一般にイメージされる先延ばしだと思われる。
実際に、先延ばしをする個人の性格的原因として「怠惰」が挙げられている論文もある。

・研究で使われた調査項目でこの属性に該当するものは、

  • 「まだ時間がある」と思うと他のことをしてしまう
  • 楽しいことを先にやってしまう
  • やりたくない気持ちが強い
  • 取り組むのがめんどくさい
  • 目先のことに気が向いてしまう
  • 締切はまだ先だから油断する
  • 嫌なことからは逃げたい
  • 他にやりたいことを優先してしまう
  • 嫌なことはやる気が出ない

などがある。

後で本気だす:先延ばし肯定・容認

・「先延ばしすること」に対しての認知が特殊。毎回そのパターンで先延ばしして失敗しているのなら、自覚のないヤベータイプと言える。

・先延ばししてなんとか間に合った経験があったりする。ダメな成功体験とも言えるが、それを「良し」とする認知の方に問題がある気がする。

・先延ばしによる罪悪感や不安感そのものへの慣れもある。平気になったと言うよりは「それが普通」と覚えてしまったような状態。

・悪い自信を持っている。「ピンチの時ほど力が発揮できる」とか。

・研究で使われた調査項目でこの属性に該当するものは、

  • 焦ったほうが短時間で良いひらめきが起きる
  • 一度先延ばしをして、間際でもなんとかできることを覚えた
  • 短時間で集中して課題をやるほうが、効率がいい2
  • 慣れると、先延ばししても負担にならない

などがある。

なんというか、治らなそうだ。3

難しくてすぐにやれない:課題困難性の認知

・緊張や苦手意識、不安による先延ばし。気合よりも工夫や勉強が有効なタイプ。

・課題に対してやり方がわからない、内容がはっきりしないなど、何らかの不明瞭さがある。

・課題を「難しい」と認知していて、すぐにできないと感じていることもある。

・研究で使われた調査項目でこの属性に該当するものは、

  • やる内容は決まっていても、やり方に迷う
  • やる内容が定まらず、なかなか取り組むことができない
  • 課題の内容が難しすぎて、すぐできない

などがある。

・不安感は、当人の気分を焦燥に駆る。軽率に動くこともあるが、萎縮させることも多い。先延ばしの理由としては大きい。4

このタイプの先延ばしは、「次のアクションをしっかり考え、実行することを繰り返す」などが対策として挙げられている。裏を返せば自分で思ってるよりもはっきりとは分かってないことは多い。

もう一つ、このタイプの先延ばしは計画や予定を意識するほど強くなる。不安感と先延ばし癖は正比例する。このため、「次のアクション」までしか意識しない=課題全体の不安やプレッシャーを意識しないことが有効となる。

・マインドフルネスは不安を軽減するため、先延ばしを減らすとの研究もある。

先延ばし癖がマインドフルネスで改善するという話
・まず初めに言っておきたいのは、先延ばしの原因は複数あるということだ。先延ばしの因子とされているのは、興味の低さによる他事優先先延ばし肯定・容認課題困難性の認知がある。今回は、課題困難性の認知、つまりやろうとしてい...

メモ

・先延ばしの心理は他にもある。

完璧主義が原因とされることもあるが、完璧主義単体で見ると先延ばしを逆にしない(むしろ先取りする)傾向も見られて意見がまとまっていない。

楽観主義が原因のタイプもある。先延ばしの肯定・容認と楽観主義が関連があるとされている。
計画がそもそも甘いため、予定通りに動いても他人から見たら先延ばしに他ならないこともあるようだ。

計画の甘さは計画錯誤と呼ばれ、楽観バイアスの一種である。
これは人間の殆どが、例えばプロが自分の得意分野においてでもやらかす。

楽観バイアスの例
・予測が甘いもんで責任感もない感じ。それで良いのか、それじゃ悪いのかは環境次第か。命がかかってても普通に発生するので、総評としてはよろしくない。・物事を楽観的に予測し、失敗や事故につながる楽観バイアス。客観的に見ると甘く見たツケで...

・課題困難性の認知は、実際に難しい場合もあるが、不安やリスクが強いために十分にできることでも難しいと思う場合もある。

・「後でまとめてやる」ってのは確かに効率がいいんだが、積み重なって量が増え、興味の無さや課題困難性に繋がりかねない。

落とし所としては、2分ルールがある。その名の通り、2分で片付くなら先延ばしせずにその場で片付けるというルール。

先延ばしは良くないとされるが、「明日できることを今日やるな」なんてことわざもある。
急いては事を仕損じる。良い先延ばしについての考察。結論としては、「明日できることを今日やるな」にも正しさがある。やっぱ考えて動かないとアホなことになるなという感じ。盲信はよろしくないね。やる気の問題ならさっさと手を付ける、...
先延ばしにせずにさっさと片付けるライフハック:デビッド・アレンの2分ルール
2分ルールとは5秒ルール同様、先延ばし対策になるルール。シンプルな、「そのタスクが2分以内に終わるなら、今すぐ片付けろ」というルール。2分ルールは前提として、そのタスクがやるべきことだと当人が認識している所...

・先延ばし関係のまとめ

先延ばしについて 目次
先延ばしの理解多くの大学生が先延ばし傾向がある75%がギリギリまでやらないタイプ効率性重視の方略の一種だとされるこの上で期限に間に合わない場合は、自己調整能力が必要とされるここでは期限に間に合えばとりあえずセーフ扱...
  1. 大学生における先延ばし行動とその原因について
  2. 時間制限があったほうが集中力が増すというライフハックもあるが、ギリギリまで放っておくこととは関係ない
  3. 一方で、別の論文では確かにそれでちゃんとやれるタイプも確認されている。この場合は気分の切り替えが上手いという特質を持っている。
  4. ただし大学生を調査した論文(大体対象が大学生だが)では「学生は課題の出来がヘボくても割りとオッケーなんだから怠け癖の方が強いだろ」みたいなことが言われている。裏を返せば社会人は不安による先延ばしは比較的多くなるだろう。セルフ完璧主義も多いだろうから、大学生でも不安による先延ばしは多いと個人的には思うが。
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