判断力と決断力の違い:決断力がない人

・なんか混同しやすいが。この2つは別物なのか、同じなのか。

判断力

・判断は状況から最適解を選ぶようなものだろう。ただそれができる理由には2つあると考える。

1:答えを知っている/知識がある
・経験、または勉強や練習で補える部分。ルールなどを把握している。「これはこうすればいい」と答えを知っており、それが活かせる状況であると認知した場合。

2:思考からの結論
・状況や事前情報、前例のパターンなどから脳内シミュレートで解を出したケース。「自分なりの判断」というやつ。個人のベストではあるが、状況に対してのベターな解答とは限らない。

・「判断ミス」もまた同様に、

1:出すべき答えを間違えた
問題がAパターンだと思ったらBパターンだったなど。認知的なミス。これは疲労時には発生しやすい。
なお「知らない」場合に「知っている」と勘違いしても判断ミスとなる。そりゃそうだ。
この時「知ってるつもり」ではあるので、一見問題は片付き、当人がミスに気づくまでにタイムラグが生じやすい。大体は他人がそれより先に気づくだろう。

2:思考過程で失敗した
状況認識や情報の間違い、間違った学習のアウトプットなど。タネは元からあり、それが発芽したケース。
などが考えられる。

・判断ができない/判断力がないというのも、

1:どうしたら良いかわからない
問題がどのように解決されるべきなのかがわからない。あるいは知らない。

2:どう考えたら良いかわからない
考え方や材料の探し方などがわからない。

3:判断材料が見つけられない
決め手に欠けた状態。この場合はさらなる調査/確認か「決断」が必要になる。
となるだろう。どちらも他分野に行けば誰でも最初は割とこうなる。

・何れにせよ、認知能力や思考や記憶や、わかりやすく知的な部分を使うもの。

決断力

・これは脳内決定ができるかできないかだろう。もとい、脳内決定と実行決定があるか。
2段階あり、どちらかで詰まったら決断とはならない。
対象は「既にやるべきと判断したもの」とする。

1:脳内決定
頭の中でやると決める。決心する。デメリットやリスクへの懸念はこれを阻害する。このため何も分かってない考えんやつの方が動ける。

2:実行に移す
実際の行動に移す。一見すれば1と同義だが、例えば人前かそうじゃないか、そんな空気かどうか、リスクやデメリットの有無などでもこちらでブレーキが掛かる余地がある。

一見これは実行力と呼んで分けたほうがふさわしいが、決定したのに土壇場でヘタれたらそれは決断力あるとは普通言わないので、別に内包して構わないだろう。

こちらはこちらで思考的活動。思いついたからやりました、じゃただの衝動性だ。衝動性は一見すれば実行力、決断力があるように見えるが、決心も覚悟も責任感もなにもない、「ただ動いただけ」なのが実体だ。

ぶっちゃけ後でどうなるか考えない/考えられないならば、やること成すこと衝動性呼びされてもおかしくない。超肯定的に見て行動力があるとは言えるかも知れないが、決断力とは違う。決断力は分かったあとで決めること、衝動性は分かる前に動いてしまうこと。

脳内決定までは「判断力」と同質に思える。この部分はシミュレートであり、それがOKなら2へ移る。

・実行に移すフェイズで詰まる場合、行動力やら決断力やらがないと称するのが一般的か。ただ、それらが「ない」のではなくて、消極性が「ある」と考えたほうが自然に思う。つまり阻害要因。当人なりの止まるべき懸念や理由。

例えばトラウマなどは、その記憶を呼び覚ますような状況を当人に避けさせる。これを度胸やら思い切りやらがないとは言わないだろう。トラウマが「ある」と呼ぶ。逆に当人にトラウマがあると知らない者や知識がない者、共感能力がないなら、当人を指して積極性や度胸が「ない」と言うだろう。

重要なのは主観だ。阻害要因がでかいのか、モチベが低いのかは見極めたほうが良い。

よくある「もっといいモノ/方法があるかもしれない」との気持ちは決断力の問題だろう。これは FoBO(Fear of a Better Option、より良い選択を逃すことへのおそれ)とも呼ばれる。

あれは一見して判断力の問題に見えるが、答えが出たあとで更に問題を追加している。いつまでも脳内決定ができない。むしろ決断を避けるために考えるべきことを探しているようにすら見える。

もう先延ばしできないくらい考えて初めて(実質タダのネタ切れ)、期日が迫り、渋々決定する。

判断力と決断力の違い

・問題の捉え方が違う。判断力が活かせるのは答えがある問題の時、決断力が活かせるのは答えがなく自分で決める必要がある問題のときだ。判断力は状況に対して、決断力は選択に対して、と言ったほうがいいだろうか。「調査+計算」と「選択」の違いだ、ってのが個人的に一番しっくりくるかな。ついでに言えば判断は合理的であり、決断は私的/主観的だ。

つまり決断は正答はない問か、あるいはまだその段階ではないが答えなくてはならないもの(時間切れ)。正答がない問いなら決断するしかない。

人が苦手なのはやはり決断の方で、決断できないから「判断材料を探す」ということをよくやるね。
反対側から見れば、決め手に欠ける/判断材料不足の状態では決断するしかないし、いつでもその辺りの準備が万端ということはないので、決断力は割と出番が多い。
総じて人は、決断力をよく使う上であまり使いたくないと言える。決断力を使う状況=正答がない状況だから当然だが。

俗に言う「優柔不断」もまた、そう言われた/思った状況の文脈で原因は違うだろう。

・別物である以上、間違えてはならなくなる。判断が必要なことに対して思い切った「決断」なんぞしようものなら、それはもう暴走だ。
決断が必要なことに対して判断をするのなら、今度は自分らしくない、打算的/合理的な解となるだろう。まぁ当人が決断だと言ってても実質判断だよねってのも多い。

損得勘定が強く働く性格をしてるなら、判断力は高いかも知れない。傍目には決断力があるように見えるかも知れないが。どのみち当人がその答えを出さなければならない状況をどのように見ているのか=判断力と決断力どちらを使うのかはそれぞれだし。

・そもそもなんで混同されやすいかを考えてみると、多分「答えを出す」って見方をすれば同じに見えるからだろうね。判断は一概に「選択肢の中から何かを選ぶ」的な意味で使われることも多いし。

また、実際にはこの2つのハイブリッドを人は行なっているだろう。わかるとこまで考えて、あとはこれかこれかのどちらかだ、という思考パターン。判断→決断。「初手決断」ってのは平時はやらないんじゃないかな。博打好きなら知らんけど。つまりこの2つは大体の場面では繋がっている。

・なお厄介なことに、人は自分では常にそれなりに頭を使っているつもりである。やりたいからやったという動機でも、それなりに理由やら材料やらを用意してからの決断をしたはずだと。

主観的にも客観的にも見分けは難しいが、方針自体は違う。合理性か、自分らしさか。まぁあんま自分らしさの出る幕ってないけど。不要に自分らしさ出しちゃう面の方が多いかね。

決断力のない人

・決断力がある者はチャンスをものにできる。少なくとも「挑戦」まではできる。ないと頭の中はどうあれ結果的にスルーすることになる。

判断にしても、最終的にやるかやらないか決断の問題となることは多い。夜ふかしグセも、寝る決断ができない状態とされることがある。

意思表示ができない/自分からスタートできない

・自分で選ぶ、自分から動く、ということができないタイプ。

・きっかけ待ちの状態。消極的。

・一旦始めれば問題はないが、自分から始めることができない。

・特に日本人は文化的に、意思表示に対してネガティブな感情を持ちやすい。
自分がやりたいことに対してでしゃばりかな、自己顕示欲だと思われるかな、承認欲求かなと思ったりする。

まぁ実際そうである可能性もあるが、そこら辺はやり方や力加減の工夫で解決する問題だろう。

逆に失敗した所でやり方を工夫したり、塩梅を学んだりするべき話なんだが、なんか「選択自体が間違ってた」って帰属をしてしまう人はいるね。

・あとは、時間に余裕があると思い続けて機を逸すること。

後述するが、他の用事の優先順位に埋もれ、埋もれっぱなしでこうなる。

人間は時間に追われるのが常だが、逆に時間に追われてないと動きが鈍い傾向がある。自分から締切作ってくのもありだろう。

考え過ぎて決められない

・考えすぎて「選ばないほうがいい理由」を全部の選択肢に見つけるタイプ。

「決断」のイメージ

・決断力のない人は、優柔不断、臆病、ネガティブ思考、目立ちたくない、責任を取りたくないなどの素質が強いとされている。

総じて悪い方面にいろいろ考えすぎなのがあるが、「決断」という行為に対してのイメージも違うかも知れない。

・目立ちたくないと責任を取りたくないはそれに対して消極的な態度を取るって「決断」しているわけだから、別にいいんじゃないか、今回の件では。

目立ちたくない、は失敗して恥をかきたくないからが多いが、インポスター症候群などの「成功したくない」って望んでるパターンもある。

・決断力は「正解を選ぶ力」ではない。「やると決めて実行する力」だ。
逆説的に決断力の「ゴール」は「始めること」であり、「正解を選んで幸せになる」ことじゃない。やり遂げるのはGRITの話になるので別件。

ここからして人によって定まっていない。人によっては選択に対して「答え」を選んで「正解」するイメージを持ってる。一種の運命論というか、「選択」した時点ですべて決まってしまうと思っていると言うか。

だからこそ、
1:すべてわかった上で
2:正確に比較し
3:綿密に予測し
4:最適な物を選ばなければならない

見たいなノリになる。

文字だけでめんどくさいオーラ放ってる。すべて、正確、綿密、最適とか完璧主義的な言葉。

無責任に決断力不足が多いって話もあるが、この場合はむしろ責任感強すぎるとも言える。

これでは「選択」に対してのプレッシャーが違う。勝手に増やしているとも取れるが。

これだと決断できるわけがない。そんなことわかるわけないんだし。予知能力に目覚めない限り無理だろう。

・「正解」を選ぼうとすれば、どうでもいいことでも迷うことになる。理解し、分析し、それらを比較し、どの選択肢が「正解」なのか。

考える範囲がかなり広くなり、「選ばないほうがいい理由」もその分見つかる。選択肢が3つあった所で、全部に「選ばないほうがいい理由」が見つかるだろう。

こう言った優柔不断のメタとして自尊心が挙げられているのも、正解を選べるからではなく、「正解に後からできる」という自己認識を持てるからだろう。

・私は勝手に修行癖と呼んでるが、トレーニングかなんかのつもりなのか、何かを想定してどうでもいいことに縛りプレイしている人はいるね。まぁそれが無駄なのか役に立ったのかは本人のみぞ知る。

・整理する。

1:やりたいことがある。或いは選択肢がある。
2:リスク/デメリットを考える。まず間違いなく見つかる。考えれば考えるほど見つかる。これは「やらない理由」になる。
3:やる理由とやらない理由が頭の中でせめぎ合う。あるいはこの時点でやらない理由が勝つ(リスク潔癖症)。
4A:時間切れ。チャンスを逃す。
4B:制限時間がない場合、永久に「保留」(きっかけ待ち)。

4Bはまぁ、別にどうでもいいことなら永遠に保留でもどうでもいいが。無理して「義務」にしても詰まらんし。ただ、他の物事は大抵制限時間がある。旬とか、時期とか、流行とかも含めれば。

相対的に優先順位はかなり下がるため、やりたいけどほったらかし、なんてこともある。積みゲーとか。

4A=「時間切れ」は自動的に決めることになるということだ。意思決定ではない上で消極的な選択をした扱いになる。なんかこう、流されている感じで嫌だね。

リスクに対しての潔癖症

・ぶっちゃけ何も考えてない奴の方が行動力があるだろう実際。それで失敗もするが。

決断力があるとされる人物にしたって、バカになることを勧めてたりもする。難しく考えんなとか、思い切ってやってみろとか。それで失敗もするが。

ここから見るに、決断力がない人は、決断力がないんじゃなくて、思考から発生する「阻害要因」がある、とも言える。

・リスクはないか、デメリットはないかを考えると、まぁだいたい見つかる。保証なんてまずない。

リスクが有り、デメリットがあるからやりたくないけど、やらなきゃいけなかったり、諦めきれないものがある。状態としてはこの時点で優柔不断っぽくなる。

・別に皮肉で決断力がある人間を指して「それで失敗もするが」なんて言ってるわけじゃない。

失敗をしたくない、つまり「安全」を気にするなら、いくらか考えて備える必要はある。

ただ、想定が「無傷で成功したい」みたいなことになってると、これは過剰になるだろう。リスクに対しての潔癖症。

・要するに理想が高いと決断できるハードルが高くなる。更に考えすぎることに拠ってリスク/デメリットはやたらと見つかり、選択肢の魅力はどんどん下がる。そのハードルを超える物はめったに現れない。

「やっぱやめとこう」という結論によくなるのなら、少々怪しいのではないか。

できれば気楽に

・悩むべきことは悩み、用心するべきことは用心するべきなのは前提として。

・逆を言えば、どうでもいい問題に対しても、すべてをわかった上で御大層な「決断」しなくてはならない、と思うような「大きな事」に見えているのが問題とも言える。

・そこまででっかいことじゃないのなら、気楽に適当に決めれるようなトレーニングもしといたほうがいいだろう。人によってはこれは「できない」ため、そういった人にはこれは重要になる。

居酒屋での「とりあえずビール」の「とりあえず」ってなんだよ! って発狂してる奴とかたまにいるが、こだわりないから「とりあえず」なんだよ、と。他の注文はビール飲みながら決めるわ、と。

・或いは、これがおすすめだが、「暫定」の決断のつもりでいること。とりえあず、しばらくは、ということ。或いは方針だけ決める感じ。

前述の完璧主義的な優柔不断は、選んだら責任を持って最後までかかわらなきゃいけない/やり遂げなきゃいけないというような感覚を持っていることが多い。この重大決心みたいなスキーマが、「どのゲームやるか」とかにまで侵食していることがある。

気楽にできることは、気楽に。

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