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即時フィードバックとトークンとノルマ

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・そのタスクを自主的に行う、そのタスクに対してやる気を出すなどを考えるなら、即時フィードバックは有効だ。

ただし、いつでもそれを得るのは難しいし、当人がタスクをどう認識するかでも結果は分かれる。

 

即時フィードバック

 

即時フィードバックとは

・「即時確認」と呼ばれることもある。そのまま、行動に対しての成果や確認が即座に行なわれること。

 

・スキナー箱やオペラント条件付けで知られる、行動分析学のバラス・スキナー。彼による「プログラム学習」の1要素。

基本的に「学習」、つまりあまり楽しくはないようなことに対しての積極性/自主性を培うにはという話になる。

 

・「反応」「手応え」というイメージで構わない。「行動に対しての結果が即座に確認できること」

 

即時フィードバックの効果

・簡単に言えば、自主的な行動量の増減とモチベーションに関わる。

 

・即時フィードバックは「自分がやったこと」への評価となる。

それがポジティブならその行動は「強化」される。

それがネガティブならその行動は「弱化」される。

俗に言う褒めて伸ばすとは、ここで言う強化を狙ったものとなる。

また、努力のよくある落とし穴だが、間違えたまま突き進むということも起こりにくい。フィードバックによる修正が行えるから。

 

・やる気と関連がある。フィードバックが遅いものは基本的にやる気は出ない(別のやる気の出方もあるが)。

Googleにしても「速さ」にかなりこだわっている。ゲームのUIがシナリオやグラフィック、BGMに並んで重要なのもそうだ。

ハマりやすい作りになっているのがゲームだけではない証拠としては、ソフトウェア開発者を始めとしたデスクワーク(VDT作業:Visual Display Terminals)を行うものが、体感時間が短く、疲弊性のうつ病になりやすいという話がある。

この理由が、デジタルによる即時フィードバック過剰な状態(自分が行なったことがモニターに即座に反映されるから)が延々と続くからだと考えられている。

参照:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy1926/65/2/65_2_87/_pdf/-char/ja

VDTそれ自体にハマり、燃え尽き症候群になったように見える。

 

即時フィードバックの弱点

・脳が自分がやったこととその評価とを関連付けて認識できる受付時間がものすごく短い。ネズミを使った実験では6秒だった。人ではもうちょっと長いと考えられるが。

犬でも人間の子供でもそうだがその場で「すぐに褒める」「すぐに叱る」というのは、後からだと何が良かったのかわからないため。

 

・フィードバックは事前の行動に帰属される。反応を認識した時に「こうなったのは、あれをしたからだ」と記憶する一種の学習。

これは無意識的なものであり、「何が良かったのか」を間違えることもある。褒める場所を間違えると芳しい結果にならないのはそのためだ。

 

・単純に誰かが「評価係」になろうとすると、つきっきりで見てないといけなくなる。一般には教育熱心な親でもない限りは現実的じゃない。あるいはそれが仕事の場合か。

 

・即時フィードバックの内容は行動に関連したものでないと効果は薄いと言われている。

今回はここは軽視する。それは「学習」寄りの話であり、モチベーションとしては「正答によりご褒美が与えられる」程度で構わないだろう。

 

即時フィードバックとトークン

 

トークンとは

・トークンなる言葉はいろいろな分野で、いろいろな意味で使われている。

今回はオペラント条件付けでのトークン。

「象徴」を意味する。それそのものではないが、等価となるもの。何かと交換できるポイントや引換券など。

 

・トークンを与えられることは即時フィードバックとして機能する。

たとえば、課題の動作を重ねて行なうと手に入る引換券によってエサが得られるようにしておくと、チンパンジーはこの課題を遂行するようになる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/オペラント条件づけ

 

 

 

身近にあるトークン

・カネだよ。

金は実際に価値があるからトークンじゃない、と思うかもしれない。そうでもない。金に価値があるのは「」であるとされている。要するに、誰もが価値を認めているから価値があるものとして機能する。誰も価値を認めないなら、多くの人間がベタベタ触った世界一汚い紙切れになる。

 

・硬貨も同様で、素材の価値以上の価値があるとして取引に利用されている。

それ以上の価値を与えているのは? 人々の共通の認識だね。

 

・まぁそもそも、金が手に入らないなら労働はしないだろう。金が手に入らないならパワハラ上司とかキチクレーマーなんて無事では済むまいよ。

これは金という(即時ではないが)フィードバックにより、労働者としての属性が強化されていると言える。

 

トークンをフィードバックとして利用する

・要するに、私達は金というトークンに既に馴染んでいる。時に人に嫌われてでも、犯罪を犯してでも求めるほどに、「それに価値がある」という認知を持っている。だからトークンを利用してのモチベーション管理は思った以上に馴染むのが早いかもしれない。

 

・トークンがフィードバックの代理足り得るとすると、利点は「自分で自分にくれてやれる」ということだ。常に自分の行動を見ている「自分」が、即時フィードバックを与えることが可能になる。

 

・別に自分を褒めるとかでも良いっちゃ良いと思うが、めんどくさいしうざい。何より実利がない限り空虚さがある。モチベーションを上げるために自分を褒めるモチベーションが必要というループ。

例えばスコア制にしてスコアで商品を買う(自由時間とかコーヒーとかの許可を出す)、とかの方がまだマシだろう。一種のゲーミフィケーション。

 

即時フィードバックとトークンとノルマ

 

ノルマの語源と現代の使われ方

・そうなると次は目標設定の話になる。何やったらトークンもらえるか。スコア稼げるか。

何れにせよ、「即時」フィードバックが今回の主眼なため、サイクルは短めに設定したい。テンポを気にする。

 

・目標=ノルマみたいなイメージも強いが、ノルマは本来ロシア語で、当時のソビエト連邦に抑留されて強制労働させられていた日本人が帰還したタイミングで広がった。

 

・現状、かなり強制的/強迫的な意味合いが強く、なんというか殺伐とした言葉ではある。

 

 

ノルマの功罪

・ノルマは逆説的に目標を達成できなくする要素がある。ノルマは「割り当てられた作業」だが、上記の通り強制/強迫的な側面が強く、「ノルマさえ果たせればいい」という考えに流れ着きやすい。

 

Wikipediaのノルマの項目だけでもこれだけある。

 

東芝では「チャレンジ」と称した、過大なノルマによる経営戦略を据えたことが、粉飾決算の原因となり、東芝の株主から株主代表訴訟を起こされる事態となった。

 

旧郵政公社時代から続いているとされる記念切手やカタログ商品などの「自爆営業」、「年賀状の販売個人ノルマ達成の為に自分で使用する分以上を購入し余剰分を遠方の金券ショップで売却」という行為が横行し管理者もその行為を強要していた。

 

2019年にかんぽ生命保険とその個人チャネルである日本郵便の高齢者を狙った不正な契約の付け替え行為。

またゆうちょ銀行や同様に日本郵便でもリスクの高い投資信託を貯金と錯覚させるような不正な営業行為を行なっていたことも判明。

いずれも社員や部署でノルマ達成のために違法な契約や営業行為に走らざるを得なくなったという。

 

日本の警察では、交通取り締まり(道路交通法による交通反則通告制度)や職務質問や軽犯罪法等での被疑者検挙の総数に『ノルマ』があり、検挙実績を上げて見せる為の不正が、しばしば問題となる(警察不祥事を参照)。

 

アメリカ軍では「リクルーター」(募兵官)が、ノルマ達成のため貧困層、落ちこぼれの青少年ばかりを「狙い撃ち」にする採用姿勢が、以前から社会問題化しており、この様子はリクルーター本人の同意も得た上で、マイケル・ムーア監督作品「華氏911」で取上げられた。

イラク戦争中の2005年には、高等学校中退者に「卒業証明など偽造で十分、分かりゃしない」と吹き込んで、軍隊に志願させていたことが明らかになっている(のちに18歳以上で同等の学力があれば、学歴不問で志願が可能になった)。

自衛隊でも広報官には目標数ノルマがあり、入隊志望者が少なかった時代には様々な手段で募集活動を行っていた。

 

また日本の自治体においてふるさと納税がノルマ化されている自治体あり、市長や幹部職員に「ノルマ」を設け幹部職員や末端の職員が「自爆営業」のような納税を強制しているところもあるという。

 

宗教、思想(主に政党・政治団体)といった特殊な思考で形作られた組織ではその性質上常に量的拡大を志向し新人活動家獲得、自派宣伝などの活動に一種のノルマを課す例が多い。

また、1990年代に猛威を振るった自己啓発セミナーにおいても、受講生に「モチベート実習」「エンロール実習」と称して勧誘をさせ、当然ノルマも存在する。

 

(昔読んだときより増えてるなぁ……)

 

・というか、ソ連崩壊の一因ですらあったとされている。

ロシアではノルマに関連した言葉として、「意図的なノルマのごまかし」という意味の「トゥフター」というロシア語の単語がある。

ソビエト社会主義政権下ではノルマに対するトゥフターが日常的に行なわれていた。それが計画経済運営の見通しを誤らせ、ソビエトが崩壊する原因の一つにもなっている。

 

トークンが目的にならないために目的を意識する

・どう考えても「無理でもやれ」って扱いになっているな。作業割り当ての時点で間違ってるように見えるため、指揮者が馬鹿であることが大抵なのだろう。

作業員がノルマをごまかすなら指揮者はフィードバックが得られないため、自分が馬鹿だとわからない(どの道認めないかもしれないが)。悪循環になる。

まぁ「ノルマ」って言葉を使わずとも、当人が「ノルマさえ果たせばいい」と考えてしまえばこの様になる余地は生まれる。

 

・繰り返すが、ノルマは割り当てられた作業だ。全体じゃない。強迫性のせいでなんとか切り抜けようと考えてしまえば、計画は崩壊する。あくまでも計画達成自体が目的であることは心に留めておくべきだろう。

 

・プレッシャーをかければしっかりやるはずだ、というのは短期的には正解だが、長期的には間違いとなる。プレッシャーを掛けなければしっかりやらなくなるし、そのうち「ノルマさえ果たせばいい」となるから。

特に自分を奮い立たせる方法をそれしか知らなければ、自分で自分にこれをやることになる。

 

 

 







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