心の安全基地について

・セキュアベースとも呼ばれる。愛着行動の話。子供に限らず大人にもこの概念はあるとして扱われている。

心の安全基地とは

・主だった養育者、例えば母親と愛着が形成されている状態だと、子供は母親を「安全基地」として、周囲の探索をする。

何かしら危険や不安を感じるとすぐに安全基地に戻る。危機が去れば再び探索に戻る。

探索範囲は円形の形を取り、拠点から一定以上は離れないとされる。

・「安心」できる何かがあるなら、関心は「外」へ向く、とも取れる。

愛着理論の中核的観点ともされるa)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhas/12/2/12_65/_pdf

安全基地について

・「安全基地」は発達に伴って複数になる。愛着理論でも第3段階の頃には主だった養育者(大体母親)以外にも愛着を示す対象ができ始める。

愛着対象が無生物の場合もある。タオルとか、毛布とか。

・これはペットでも見られるb)http://karapaia.com/archives/52282884.html
猫も犬と同様、このような行動が見られたらしい。
これにより犬と同様、飼い主に愛着を持っていると判明した。ツンデレ。
。飼い主の姿が見えている時と、見えないときのペットの挙動は異なる。

・1982年、発達心理学者のメアリー・D・エインスワースc)愛着理論の提唱者であるボウルビィの研究チームに参加していたこともある。が提唱。

・これを応用しようというのか、「上司が部下のセキュアベースになろう」みたいなサイトもあったりする。まぁ部下に安心感と自信を与える上司になろう、ってことだね。

・総じて、安全基地があるなら「安心して外に向かえる」と言える。では、安全基地がなかったら?

安全基地がない/歪む

・虐待、ネグレクトなどを受けた場合、愛着に問題がでる可能性は高い。これらに於いて「最重症例」として愛着の対象が存在しないということはあるらしい。

この状態はDSM5では「反応性アタッチメント(愛着)障害」としている。
無感情、無反応、攻撃的など。

感情表現が苦手、辛い時に人を頼れない、優しくされると嫌がるなどもあるというd)https://www.hosp.u-fukui.ac.jp/specialty/8006/

人との接触行動が過度に抑制されるため、「抑制型」と呼ばれることもあるe)https://kotobank.jp/word/反応性アタッチメント障害-1692752

・これよりも軽度の場合でも「安全基地の歪み」と呼ばれる状態になる。

どちらも「社会的機能が低下している」とされる。

この反応性アタッチメント障害は自閉症スペクトラムと間違われることがある。

・これとは正反対に、距離感がわからずやりすぎフレンドリーになったり、怖いもの知らずになったりする「脱抑制型対人交流障害」はADHDと間違われることがある。

要するに、愛着障害は発達障害と間違われることがある。カテゴリーとしては別物。

メモ

・人間を動物としてみた場合、このイキモノは「群れ」で子育てをする。縄文時代は平均余命が30歳くらいf)実際にはこれよりも少ないだろうという見積もりもある。
http://www.city.toyama.toyama.jp/etc/maibun/kitadai/j_kouza/kouza-21.htm
、当然ながら事故や病気での死亡率が高い。まぁ群れで育てるようになるね。

要するに、人間が親以外にも愛着持つように「できてる」としても不思議ではない。じゃないと親が死んだら自動的に他になつかず子供も死ぬイキモノってことになる。すぐ絶滅するだろう。

・心の安全基地にまつわる、安全基地、それを中心とした探索範囲、そこを超えてしまった「危険地帯」は、そのままコンフォートゾーン、パフォーマンスゾーン、パニックゾーンとイメージがダブる。

コンフォートゾーンは実力/能力にまつわる話だが、構造としてはかなりにているように思う。

・大人でも、例えば野球で「ホーム」「アウェイ」の概念はある。地元の方が戦績がいい、相手の地元だと戦績が悪いなど。

これは施設などの環境に慣れているのが大きいが、他にも地元ファンの声援などが有利に働くから、とされているg)https://ja.wikipedia.org/wiki/ホーム・アンド・アウェー

振り返って安全基地がない状態、というのは、心境的に「いつでもアウェイ」であるような不信や緊張感、「いつでもパニックゾーン」のような切迫感になるかもしれない。当人はそれに慣れちゃってるかもしれないけど。

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ブランケット症候群/タオルケット症候群/ライナス症候群
主に幼児が毛布やタオル、ぬいぐるみなどを手放したがらないこと。そのまま卒業せずに大人でも手放せないケースも割とある。それがあれば安心、なければ不安になる。成人でも寝る時だけは手放せないとの例もある。呼び方のバリエーションが多い。...

特に子供がお気に入りの毛布やタオルを手放さない状態。スヌーピーの漫画に出てくるキャラクターにちなんでライナス症候群とも呼ばれる。または「安心毛布」。

大人でもある。特に寝る時だけはこれがないと辛い、というような形が多い。

正常な発達の過程で、依存対象が親からそれ以外の存在に移る(移行対象)。これは「親がいない時の不安を和らげる、安心感をもたらすもの」として機能する。なので幼少期の自立の一過程とも言える。

持ち歩ける心の安全基地のようなもの。あまり問題はない。洗濯させてくれないという衛生面の問題があるが。

脚注

脚注
本文へ戻るa https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhas/12/2/12_65/_pdf
本文へ戻るb http://karapaia.com/archives/52282884.html
猫も犬と同様、このような行動が見られたらしい。
これにより犬と同様、飼い主に愛着を持っていると判明した。ツンデレ。
本文へ戻るc 愛着理論の提唱者であるボウルビィの研究チームに参加していたこともある。
本文へ戻るd https://www.hosp.u-fukui.ac.jp/specialty/8006/
本文へ戻るe https://kotobank.jp/word/反応性アタッチメント障害-1692752
本文へ戻るf 実際にはこれよりも少ないだろうという見積もりもある。
http://www.city.toyama.toyama.jp/etc/maibun/kitadai/j_kouza/kouza-21.htm
本文へ戻るg https://ja.wikipedia.org/wiki/ホーム・アンド・アウェー
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