フロー状態

フロー状態に日常的になるには?

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人が死を前にして後悔することの一つが、「自分を幸せにしてやるべきだった」だそうだ。

 

フロー状態に日常的になるには?

・フロー状態は1つの活動に没頭している状態。生産性を高め、集中し、充実という一つの幸福の形でもある。

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まぁとにかく良いことだ(雑)。何よりも、マーティン・セリグマンが定義する幸福の5つの指標の内、フローだけが「今までの日常生活の中で」実行可能な余地がある。

他には達成、快楽(ポジティブな感情)、良好な人間関係、意味(自分よりも大きなことのために貢献しているという感覚)があるが、これらは万人が毎日味わえるかというと難しい。

良好な人間関係もアリではあるが、それを望まない者もいるし、苦手なものもいる。スキゾイドとか、消極的だとか。

フローだけが「汎用的な幸福」として多くの人に受け入れられる余地があるだろう。

 

この上で、フローは比較的に活動対象を選ばない。それ以外の指標は個人の好き嫌いや価値観がかなり影響を与える(快楽に至っては遺伝子による。日本人はこの遺伝子を持っている者は少ない)が、フローは嫌いな仕事でも、難易度が高くても、入れる余地はある。

逆を言えば、殆どの幸福には「気持ちの問題」が大きく影響を与えることも否めないのだが。

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マイクロフローなら楽

・まず、フロー状態を日常で感じること自体は稀ではない。フローの大きな特徴として体感時間の歪みがある。
簡単に言えば、何かに熱中していてふと気づいたらすごく時間が経っていた、というのがフロー状態だった証拠だ。そしてこれは珍しい話ではないだろう。

 

・ちょっとしたフロー状態をマイクロフローと呼ぶ。マイクロフローの研究として、音ゲーやパズルゲームをやらせてみた論文がある。ゲームを嗜んでいるならこのタイプのゲームはフローに入りやすい事がわかるだろう。
早稲田大学、徳洲会病院、バンナムなどが行った。

被験者たちの覚醒度や、自覚症状としての疲労や眠気などを、ゲームをやらせる(マイクロフローを経験する)前と後とで比較した。
なお、プレイは疲れたりやめたくなったらやめても良い、という条件だった。

結果としては、覚醒水準の上昇は共通、後はゲームごとに結果が違っているが、概ね心理的にはポジティブな影響が出た。

 

・このテーマでこの論文の注目したい点は簡単で、「マイクロフローを体験させるために研究者がやったのがゲームさせただけ」という所だ。つまり過大な集中力とか必要ない。

ただ、「やめたくなったらやめても良い」というのは大きい。
フローに入りやすい条件の一つに「自らが積極的に行動する」というのがある。自主性など。やるやらないという根本的な主導権を当人の手に持たせたことは大きいだろう。

また、プレイは長くても30分の時間制限があったが、このような時間を制限することもフローに入りやすくなる条件としては挙げられている。ちなみに全くやらないのも困るからか、最低でも3分はやってねってことになってたようだ。

加えて被験者たちがプレイをやめる時のタイミングだが、音ゲーの方はステージクリアのタイミングで、パズルゲームはゲームオーバー時が目立ったという(こちらは時間いっぱい続けたケースも多かった)。

これら「キリのいいところまでやる」というのは、それ自体が小さな目標(そこまではやり切る)として機能しており、集中やフローに入りやすくなる行為でもある。

少目標を次々とこなしていくこと。途中でやめたくない心理もあるから、時間制限も結果的にキリの良いところを意識させる効果もあるだろう。これは当人の頭の中で具体的な「目標」が立つことになる。

 

一生懸命になること

・もっと直接的に言うなら、「一生懸命になる」ことが挙げられる。これでドーパミンが出る。

 

・フローに入りやすいタスクの傾向で、簡単よりも難しいもの、チャレンジ性があるものという要素がある。どちらも意識を向けざるを得なく、結果気を散らす余裕をなくす。

スポーツの方の話でも「セルフ1」という自分にねちっこく脅迫的にダメ出しをする「自分」がいる。

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これを黙らせるために、例えばテニスならボールの縫い目を見ようとするなど、無害なタスクで脳の空き容量を潰す(余計なこと考える暇を与えない)かのような方法が挙げられている。

 

・没頭の心理状態で言われるのは、心の中が不思議なほど静かである、というもの。だが再現は難しい。

脳は空き容量があると勝手に他の仕事を始める傾向があるし、人は退屈を嫌う。暇な作業をしていると別のことをやりたくてしょうがなくなったりだとか。

効果的な方法は上記のような「過負荷」を加え、無関係なことをさせないということにはなるだろう。

 

集中の力加減について

・マイクロフローもフローの一つとして認める必要がある。どうも多くの人はフロー状態と聞くとアスリートが時折見せる極度の集中状態(ゾーン)の方を連想してしまうようだ。マイクロフローのような弱い状態を認めないというか、スルーしている所がある。

スポーツでの極度の集中状態であるゾーンとフロー状態は混同されることがよくある。実際似たようなもんだが、ルールにより不確定要素がかなり排除され、やることがはっきり決まっているスポーツの方が、一点に対しての集中力が強いようだ。

 

ゾーンの方は日常とは違うステージでの話だ、と思ったほうがいいだろう。そこまでの集中をするのは難しいし、できても危険かも知れない。

例えば車の運転にて、信号だけ見てるなら、信号を守らない車と事故を起こす。普段はそれよりも「広く」見ているため、やべー車がいたら気付ける。理由があって普段は「1つに集中しない」状態を保っていることは知る必要がある。

そしてこの上で普段は「運転に集中している」という状態は保っているとも言える。つまりは「作業に集中する」ことは、飛んでくるボールをガン見するのとは違う。全体への没頭と、一点集中の違い。

 

どちらも無関係な情報のフィルタリングと無関係な思考のスルーという点は同じなのだが、「広さ」がぜんぜん違う。

日常でのフローを求める今回では、必要なのは広範囲で長続きする集中であり、一点集中して奇跡を起こすタイプではない。

 

・重要なことだが、充実感は没頭の最中ではなく、その後で感じることが多いものだ。タイミングは達成感と同じ。両方同時に、って場合もあるだろう。

フロー状態は禅で言う所の「定(平たく言えば雑念のない状態)」に似ており、その最中は全注意力が活動に向いている。このため充実してようがなんだろうが、そういったことに気づく「余裕」が殆どない。

 

メモ

・先程の論文だが、パズルゲーでは「ぼやけ感」が上がったという結果になっている。これは目がしょぼつくとか疲れるとかだ。
なんてことはない、ゲームやってて目が疲れたってだけの話ではあるのだが。

フローに限らず集中とは、ターゲット以外のものを脳がそれほどピックアップしない状態でもある。つまり心身の一部の機能の酷使による疲労(今回の目の疲れなど)に鈍くなる。当人的には気にならない。気にならないから対応しない。気づくまでは悪化する。

特にフローは集中の中でも比較的長時間に渡るものであり、この点は警戒が必要だろう。例えばドライアイや姿勢の悪さによる肩こりや腰痛など。適度な休憩も挟もうということで。

そうなると、25分タスク、5分休憩のポモドーロはかなり優秀だと改めて思う。まぁ、今回の話で言えば中断するよりも切りの良いところまでやったほうがいいので、25分を厳守という点は相性悪いのだが。

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ただしこれは、「作業」での話である。創造性が必要な場合、まとまった時間、邪魔が入らない空間などが必要という説も多い。

アイデアが必要なところ以外はタスクに落とし込んで「作業」として扱えば、適用範囲も広がるか。

 

アイデアが必要なものは、ユージン・シュワルツの33分33秒のルールが良いだろう。

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こっちも強制中断なのだけど。やっぱり今回の話としてはキリのいいところまでやったほうがいいかな。ノッて来たなら続けてもいいし。

 

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参照記事

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jergo/45spl/0/45spl_0_508/_pdf

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