不安・恐怖 感情

ストレス耐性、恐怖の抑制と扁桃体

投稿日:2019年4月19日 更新日:

 

必要な恐怖と過剰な恐怖

・恐怖は危険予測などのためにあり、必要ではある。なかったら「試しにやってみよう」で大体死ぬ。

冗談などではなく、命知らずな生物が過去にいたとして、言葉通りに命知らずに命を落として絶滅している。

今現在生きている全ての脳ある生物は、恐怖による危険予測で生き延びてきた個体である。自然淘汰の犠牲にならずに今現在生存しているのは「臆病さ」のおかげだ。

だから野生動物は警戒心が高い。人間にしても警戒心が高い。そうじゃなかったら絶滅している。

・一方、過剰な恐怖・不安によりそれを避けるためやるべきことをやらない・できない、足がすくむ、やれるにしても異常なストレスを感じ毎回疲れる。

また、恐怖を感じるべきではない程度、頻度の物事に対して感じてしまう恐怖などもある。「過剰な危険予測」の形が多い。これにより日常生活に支障が出る。

・例えば加害恐怖の一つとして「自分は駅のホームに行ったら人を突き飛ばしてしまうのではないか」という症状がある。この結果、駅に行けないか、著しく緊張することになる。
これは強迫症の一種で、何度も「自分はそんなことをしないのだ」という確認行為に走るともされる。

或いはもっと身近な例では、外出時にガスの元栓や鍵を何度も何度も確認するという強迫症もある。これにしても火災や空き巣への「恐怖」だ。加えて確認自体は別に悪いことではない。
「過剰な恐怖心」とはこの様な動機を元に何度も何度も確認することだ。遅刻したり出かけられない程に何度も何度も。

これらは確認しても「安心」ができないか、速攻でまた不安になるかのどちらかだ。確認時の安心感に対しての依存的な執着も示唆されているので、大体は後者だろう。

・大抵の場合はこれら恐怖のマイナス面に頭を悩まされる。「頻繁、または過剰な恐怖」はなぜ起きるか、どうしたら良いか。

・また、再度言っておくが、恐怖は必要なものである。命知らずと勇敢は違うだろう。

恐怖には限度がある

ラットに何の反応も誘発しない音を提示した後に、恐怖体験として弱い電気ショックを与える訓練を行うと、ラットは音によって電気ショックの到来を予測することを学習し、音に対してすくみ反応[2]という恐怖反応を示すようになります。

この「恐怖条件づけ」では、恐怖反応の強さは訓練を繰り返すたびに増加しますが、十分に行うとそれ以上訓練しても増加しないことが知られています。

これは「恐怖学習の漸近(ぜんきん)現象」として、魚類、ラット、ヒトといった多くの生物種で認められる普遍的な現象です。

http://www.riken.jp/pr/press/2016/20161115_1/

・恐怖反応は本来なら「頭打ち」になるということ。ただ、恐怖反応の話であって、頭の中でも同じかわからんが。

ともかくこれにより、何らかの恐怖値の限界を定める要素があるかもしれない、とされた。

強迫症や不安障害などは対象に対しての「過剰な恐怖学習」の状態だとされる。

恐怖と扁桃体

・扁桃体は情動反応を起こす。感情と行動を繋げている役目がある。このため怒りで我を忘れるなどのダニエル・ゴールマンが言う所の「扁桃体ハイジャック(瞬間的かつ過剰な情動反応)」などが起こる余地がある。

扁桃体は脳の原始的な部分であり、脳の理性的な比較的新しい部分を抑制する。
例えばムカついてたり不安だったりでやるべきことが手に付かない、などが該当する。

扁桃体が活発な状態とはFIGHT OR FLIGHT、緊急事態の対応モードだろう。やたらとこうなってはいけないのは分かる。

・扁桃体を始めとした脳の側頭葉は恐怖に関わっていることが示唆されている。

1888年に行われたもので、(扁桃体を含む) 側頭葉を損傷させたアカゲザルが社会的、情動的な障害を顕著に受けたという研究が存在する[15]。

ハインリヒ・クリューヴァー (Heinrich Klüver) とポール・ビューシー (Paul Bucy) は後にこの観察された事実を拡張し、側頭葉前方の大きな損傷が、様々な対象に対する過剰反応、情動の低下 (hypoemotionality)、恐怖の喪失、異常性欲、口唇傾向 (hyperorality : 不適切な対象を口に運ぼうとする状態) などを含む目立った変化を引き起こすことを示した。

また、あるサルは見慣れた物体を認知することが出来なくなり、生物、無生物に対して無差別に近づくようになったり、実験者への恐怖を示さなくなるなどの現象を示した。

このような行動障害は、後に彼らにちなんでクリューヴァー・ビューシー症候群 (Kluver-Bucy syndrome) と名付けられた[16]。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%89%81%E6%A1%83%E4%BD%93#%E6%89%81%E6%A1%83%E4%BD%93%E3%81%AE%E6%B4%BB%E5%8B%95%E3%81%AE%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%BF%83%E7%90%86%E5%AD%A6%E7%9A%84%E9%96%A2%E9%80%A3

・社会性にも関わっている。大抵の人間が社会に対して一定の「恐怖心」によって自己を律しているのは、何ら不思議ではない。

例えば「人目を気にする」ことは言葉としてみればちょっと情けないかも知れないが、社会的に「絶対に必要」な要素だろう。
なんか以前、全裸でゴミ出し行って捕まった公務員がいたが、そういうのが日常になったらやばいだろう。

「恥」は恐怖に連なる。で、それのおかげで表面上はまともさを維持できるというわけだ。しかし社会規定型完璧主義や過敏型の自己愛のように「恥」への恐怖が強すぎるとそれはそれで支障が出る。つまりは程度の問題。

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・また、ストレス耐性の個人差はそのまま扁桃体の感受性と関連があるともされる。つまり「どこから恐怖・驚異として捉えるか」の基準に直接作用している。

加えてうつ病と不安感は扁桃体が興奮状態であるとされている。

 

国際共同研究チームはこの現象をもとに、恐怖体験の事前予測による過剰な恐怖学習の抑制について調べました。

その結果、ラットが一度恐怖を体験し、恐怖の到来を事前に予測できるようになると、

「扁桃体中心核[3]→
中脳水道周囲灰白質[4]→
吻側(ふんそく)延髄腹内側部[5]」回路

という一連の脳領域が活性化し、さらなる恐怖記憶の形成を防ぐ働きをすることを発見しました。

また、光遺伝学[6]を使ってこの回路の働きを不活性化すると、あらかじめ予測された恐怖刺激によって起こる、恐怖記憶形成の中枢である扁桃体外側核[7]の活性化が増加することが分かりました。

さらに、この回路を抑制すると、ラットの恐怖記憶が通常の漸近値を超えたレベルまで増加することも分かりました。

http://www.riken.jp/pr/press/2016/20161115_1/

 

雑に要約して簡単にしてしまおう。

1:脳に「恐怖抑制回路」がある。これは過剰な恐怖学習を防いでおり、恐怖記憶が限度を超えないようストッパーの働きをする。
2:恐怖抑制回路が抑制された状態だと扁桃体が活発になる。
3:2の影響か、恐怖記憶が通常を超えたレベルに強くなる。

・過剰な恐怖がある状態から見て、恐怖が適切に働くには恐怖抑制回路の活発化と、扁桃体外側核の抑制の2つが考えられる。

また、元から扁桃体外側核が恐怖記憶形成の中枢であることもポイントか。
「予測された恐怖によって起こる」という上記の言い方から、記憶を思い出して「頭に描く」ことの話だろう。
つまり要約2は「恐怖記憶を鮮明に(過大に?)思い出しやすくなる」こととなる。

要約3は端的に言えば「トラウマになる」とかそういうことのようだ。電気ショックを受けた時に人工的に扁桃体外側核を刺激すると、それだけで過剰な恐怖学習が引き起こされたと書かれている。

・参照先の一番下の図4。どうもこれを見ると恐怖予測は新たな恐怖記憶を作成することを防いでいるようだ。
恐怖記憶は基本、予測できなかったことに対しての学習であるのかも知れない。

扁桃体の抑制

・直接には扁桃体が活発過ぎるのが問題となる。

・面白いことに、扁桃体が損傷した場合は上記ラットのような「条件付け」の獲得と発現の両方に支障をきたすそうだ。

裏を返せば人間の条件付け的な症状、つまり反射的にやってしまう、わかっていてもやってしまう、どうしてもやってしまうようなことは扁桃体が活発になっている可能性がある。

調べてみると、境界性パーソナリティ障害は、感情制御に対して左扁桃体の活発化が確認されている。また、彼/彼女達のいくらかは中立の感情のない表情を見て「恐怖の表情を浮かべている」ように見えるそうだ。

重症な社会不安障害であるほど扁桃体の反応が大きく、これは抗うつ病の服用で正常化するとされる。

ただ、双極性障害では扁桃体と海馬は小さくなっているらしい。

・ともかく、不安や恐怖を頻繁に/過剰に感じるのなら、扁桃体の過活動は考えられるだろう。

数を数える

・数を数えると、前述の「扁桃体ハイジャック」により抑制されている理性的部分が活発になる。

寝る

・睡眠不足で扁桃体が刺激される。

マインドフルネス

・基本的に脳を沈静化する作用はある。

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カフェイン、アルコールを取らない

・扁桃体が刺激される。

・カフェイン、アルコール共に大量摂取はパニック障害の原因ともされている。他にも覚醒作用を持つものは該当する。

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・カフェインの効果は遺伝的な要素もあるため、自分に影響が大きいか小さいかは気にしたほうが良いだろう。

セロトニン

扁桃体が暴走しないように抑制系神経がうまく活動しています。この神経群はセロトニンを神経間の伝達物質として使っているので、セロトニンが枯渇してくると、どうしてもこの抑制系の神経活動は低下することになります。
であるのであれば、脳内のセロトニン濃度を日頃から高めておく必要があるわけで、 その手助けの一つとしてEPA、DHA が有効ということです。
http://www.sunpre.co.jp/healthy_topics/lecture16.html

魚を食え、ってことになるかな。

ちなみに脳へ繋がる血管には関門が有り、腸からのセロトニンはこれを通過できない。このためセロトニンのサプリを直接摂取しても脳には届かない。腸の蠕動亢進作用があるから便秘は治るかもしれないが。

サプリで補うことを考えるのなら、セロトニンの材料となるトリプトファンを摂取することが現実的だろう。

他には太陽光、リズム運動、規則的な生活、楽しい時間を過ごすなど。これらは目新しさはないが、その分盲点となりやすいことだ。

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