先延ばしの害には何があるか

  • 次も先延ばししたくなるよ
  • 全部先延ばししたくなるよ
  • 健康に悪いよ

先延ばし→失敗→先延ばしという悪循環がある

・負の連鎖や慢性化、つまり先延ばしが「先のばし癖」になることについて。強化され繰り返される。

・元から先延ばししたい物事には、不安感を持っていたり、不明瞭さを感じていたりと、苦手意識を感じている状態が多い。

これは楽観的な考えで先延ばすタイプにも同じことが言える。チョロいと思うのと先延ばすのと関係ないからだ。それなのに先延ばす理由はまぁ、やりたくないからだね。

先延ばしの心理状態には3パターンあるが、最初から最後までずっと不安感があるパターンや、最初は先延ばして気楽になるが後で涙目になるパターンがある。1

・先延ばしをすると時間の余裕はなくなる。このため「時間をかけてしっかり考える(熟考戦略)」ことをしなくなる傾向が確認されている。当然失敗も増える。クオリティは殆どの場合犠牲になると指摘されている。

これが癖として身についた場合、時間があっても考えなくなる。つまり衝動的な対応が増える。また失敗が増える。

・失敗経験は当然、苦手意識を強くする。また失敗した、また失敗した、同じことで同じように失敗した、とか思ってて得意になるわけないだろう。

結果、もっと先延ばししたくなる

先延ばしをすると失敗しやすくなり、失敗すると先延ばししやすくなる
・先延ばしをするとミスが増える。いざ行動を起こしても、焦燥感や罪悪感のせいで視野が狭くなり、物忘れも増え、よく確認しない、と三拍子揃った結果ミスが増える。・一方で先延ばしをする動機が「課題への不安感」であることも多く、失敗...

全部先延ばしするようになる

・先延ばしの対象となるものの範囲について。範囲が拡大する。

・先延ばし単体と、先延ばし癖とは分けて考えられている。問題なのは先延ばし癖(先延ばし傾向)の方で、特に理由がなくてもとりあえず先延ばすような状態。

先延ばしの傾向は低い自尊心、不安を始めとした否定的感情と強く関連している。先延ばしの負の連鎖によってこれらがさらに強化されれば、なんでもかんでも不安、とにかく自信がない、自分は全部だめだ、となる余地はある。

・生活の多岐にわたって問題が生じるとの指摘がされている。2

「自分の成績は良くないと思う」などの項目から構成される「学業のつまずき感」が高いと、「大学に行きたくない」と思う不登校傾向や(心理面)、特に理由もなく講義を欠席する(行動面)などの不登校の傾向となって現れる。

これは仕事でも同じことが言えるだろう。出社拒否症もまた、「自分で理由がわからない」というケースは多い。そのような漠然とした不安感や回避欲求。

・ぶっちゃけて先延ばし傾向と「抑うつ」とに正の相関があるため、先延ばし常習者は普通にうつ状態に近い。先延ばしというよりも、全てにおいて気力が湧かないとかそんな心情かもしれない。

心身ともに健康に悪い

・心理状態と身体の状態への影響について。寿命が縮む。

・カナダ・ビショップス大学の調査では、高血圧または心疾患の人を182人、健康体の人を564人集めて性格テストをした所、心臓が悪い人ほど先延ばし傾向があると出た
具体的には「この仕事は明日やろう」と思うことが多い、みたいな質問に○をつける確率が高かったと。

これは統計の段階なので、具体的にどのような関連が見られるかは不明。ただし心疾患は生活習慣由来のことが多いため、日常的に身体によろしいことを先延ばし、その分身体に良くないことをやっていることは考えられる。


・同じく心疾患繋がりで、タイプA性格がある。それ以外の性格と比べると心疾患の病気になるリスクが二倍くらいある。

先延ばしのイメージとは逆で、

  • せっかち
  • 短気
  • 精力的
  • 目標達成に意欲がある

とまぁ暑苦しい感じなのだが、心臓が痛む理由がリラックス能力が低くて興奮状態なことが多いからだそうな。根本的に行動理由が「敵意」とか言われてる。

またタイプAは常に時間不安を抱えているとされる。時間が流れることに対しての恐怖。このためにせっかち。

特定の病気になりやすい性格の分類 タイプA B C D
フリードマンとローゼンマンによる性格分類 ・アメリカの医師、心臓専門医のメイヤー・フリードマンとその同僚のローゼンマンにより定義された性格分類。 それまでも特定の性格が虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)になりやすい傾向にあるとされてい...

・面白いことに、先延ばし傾向が高い場合も慢性的な不安感や抑うつの状態になりやすい。

このような心理的ストレスがある時、コルチゾール(ストレス抑制ホルモン)が分泌されており、この状態が長期的に続くと心拍数が高く、動機が激しくなる。白血球の動きもコントロールできなくなるため、体内組織が炎症にさらされるリスクも高い。

・つまり、タイプAと一見反対なんだが、先延ばし傾向があってもタイプAと同じように心臓に悪い。

・ちなみにタイプAは行動を修正するのが治療となる。
タイプAかつ虚血性心疾患の者に、心臓の治療と並行してタイプA的な行動を修正する治療を行った場合、再発率が半減した

先延ばしも同じことが言えるのではないだろうか。


・予定がストレスなんて心理がある。予定があると落ち着かない。ずいぶん先の予定をずっと気にしてて、その間気分的に全く自由じゃない。それが友人と遊ぶ約束でもだ。

自由でいたいが責任感も強い真面目な性格が多い。

・実際に予定があると脳が勝手にリハーサルを始めたりするため、パフォーマンスが落ちる。

2時間後にミーティングがあると聞けば、消化する仕事量が22%減ったという研究もある。

また「予定」というのは「仕事」に近い。特定の時間、特定の行動や作業を意識させるためストレスになるとの説もある。

先延ばしもまた、特定の時間と特定の行動を強く意識させる。まだやってないからそりゃそうなんだが。

・予定がストレスなのと違って、先延ばしは「やろうと思えば今やれる」という点ではまだ主導権を握っていられる分マシなんだが、まぁお好きに。

予定があると落ち着かない/予定を立てるのが苦手な人
・予定が決まった瞬間にストレスになるタイプや、その期日が近づくに連れプレッシャーになるタイプもいる。一見、その予定が嫌なだけかと思える。しかし楽しみな予定でもストレスらしい。「人との約束」が対象の場合が多い。例えば遊ぶ約束をした前日に憂...

・日中が不完全燃焼で、自由と充実感を得ようと夜更かしすることをリベンジ夜更かしとか、報復性夜更かしとか呼ぶ。普通に健康に悪い。

これも「寝ることの先延ばし」「寝る決断ができない状態」と言われている。「自傷行為」とも。

・これまた先延ばしと同様に、寝るの遅れる→寝不足だから翌日不完全燃焼→リベンジ夜更かし、という負の連鎖があり得る。

もったいないから寝たくない心理:報復性夜ふかし リベンジ夜ふかし
・日中のストレスを夜ふかしで発散しようとする行為。・報復性夜ふかし、リベンジ夜ふかし、リベンジリラクゼーションとも。報復性夜ふかし/リベンジ夜ふかし・ を参照。いいネーミングだ。今日...

メモ

・まぁこれだけだと脅すだけになるから言っておくが、放っといて良い先延ばしとか計画的先延ばしとかもある。先延ばして上手くいってると思うならそのままでいいだろう。

ただし楽観的なパターンのように、余裕こいて先延ばして後で後悔することを繰り返すなら、ちょっとは気にしたほうが良いと思われる。

・またすぐに「先延ばしはいけない、すぐにやろう」ってのもちょっと考えもので。

断るべきことを断ったり、本当にこの方向でいいのかとか考えたり、そのような準備段階、計画段階をすっ飛ばすと、貧乏暇なしで過労死みたいなオチになりかねない。

・まともな行動はまともな理解や準備や計画性に基づく。ただ単に「とにかく動こう」では、それは衝動性であり、面白いことに衝動性が高いと先延ばしの傾向も高い。「先延ばし傾向があると熟考戦略を使わない」という話と関連する。

理屈としては、タスクに対してネガティブな感情が湧くと、衝動的に楽しそうなものに飛びつくからだとか。「勉強してると部屋掃除したくなるあの心理」の理由の一つだろう。

つまり「とにかく動こう」というテンションのまま、余計なことに一生懸命になる可能性がそこそこある。


・先延ばし関係のまとめ

先延ばしについて 目次
先延ばしの理解多くの大学生が先延ばし傾向がある75%がギリギリまでやらないタイプ効率性重視の方略の一種だとされるこの上で期限に間に合わない場合は、自己調整能力が必要とされるここでは期限に間に合えばとりあえずセーフ扱...
  1. もう一つは気分を切り替えて後でしっかり手を付ける。つまり「先延ばしなんだけど別にそのままでいいよ」ってタイプがいる
  2. 先延ばしのパターンと学業遂行および自己評価への志向性 
タイトルとURLをコピーしました