内向型か外向型かで「やる気が出る報酬」が違う

・ただし、一般のイメージの内向・外向ではない。

 

内向・外向について1

・一般で言われる内向/外向は積極的か消極的かなどの意味になっている。
このページの内向/外向型は脳のタイプを指し、選好の話である。

 

・発達心理学者のジェローム・ケーガンはある研究をした。
生後4ヶ月の赤ん坊の時点で、外的刺激(音や振動など)にどのような反応を示すか個人差を見た。
結果、過敏に反応して泣くなどした赤ん坊は成長後に内向型に、動じない子供は外向型になると突き止めた。

比率としては過敏が2割、動じないのが4割、どちらでもないのが4割だったという。

どちらでもないグループもそれなりにどちらかに偏る。だから内向型、外向型と言っても強弱があるし、半分近くの人間は反対側にも一定の理解を示すことができるだろう。

さて、生後4ヶ月の時点で既にこの特徴が出ているということは、メンタリティではないだろうね。HSPのような、生来持っている外的刺激への反応度の話だと思われる。

HSPはここでの言い方でなら「極端な内向型」なのかもしれない。過敏な反応を示したのが5人に1人。HSPも5人に1人と言われている。偶然かな。

 

・脳的に内向と外向の違いはある。外向型は脳の覚醒度が内向型より低く、これを一定の水準に。このため刺激を求める傾向があるとされる。端的に言えば気分を高揚させたい。

反対に内向型は覚醒度が高く、これを適度に。結果、静かなものを好む傾向が出てくる。端的に言えばリラックスしたい。

 

・一人でいられないのはだいたい外向型で、一人の時間がないと消耗する一方なのはだいたい内向型だ。
かと言って各々に限度もあるし、内向型でも何かしら閃きや感動をした場合には気を許した友人とシェアしたいという欲求も生まれる。ユングの言ったとおり、内向型にも外向性が、外向型にも内向性があるということ。

他にも外向型は短期記憶、内向型は長期記憶に優れるなどの特徴がある。

 

・もちろん後天的に内向/外向的振る舞いが身についたりなどの例もあるかも知れない。ただ、今回は自分の脳が、どのような報酬に反応するかだ。だから実際の振る舞いではなく、脳が内向外向どちらかのほうが影響が大きいだろう。

最も重要なのはであり、ここが正反対なこと。
外向型は落ち着いた場では消耗し、内向型は賑やかな場では消耗する。

同様に、も、内向/外向で分かれる。

 

外向型のモチベーション

・外的な報酬、つまり金、名誉、地位、肩書、賞賛、評判などが報酬となる。

外発的達成動機と呼ばれる。要は「やる理由」として、外的なものがある。ただし即物的とは限らず、人に褒めてもらいたい、認めてもらいたいなども含まれている。

・悪く言えば即物的だが、だからこそ自分でもモチベーション管理をしやすいのかも知れない。

 

 

内向型のモチベーション

・内的な報酬、つまり興味、関心、好奇心、楽しさ、面白さなどが報酬となる。

内発的達成動機と呼ばれる。見ての通り感情が報酬となっている。このため、手段や過程にもこだわるだろう。棚ぼたのラッキーではおそらく満足できない。

 

・環境的な報酬には鈍感だとされる。これらがモチベーションとなることは少ない。

 

・外向型にとっての報酬が「迷惑なもの」となる。やりたくてやってる奴の前に報酬ぶら下げても「邪魔」だろう。

また、アンダーマイニング効果と言って、自発的な動機で動いている人間に外的な報酬をちらつかせるとやる気がごっそり減る現象がある。

一方エンハンシング効果という、逆のケースもある。褒められたらやる気出すって感じの。この2つはそのまま内向型と外向型の違いに見えなくもない。

単純に褒めるのが上手いとかヘボいとかもあるだろうし、素人が判断つくとも思えんが。

 

・内向型のモチベーションは自発的、自己目的的なものに見える。
となると、外発的達成動機のほとんどが、むしろやる気を削ぐ存在となるかもしれない。

 

内向・外向について2

・興味深いのは、今回の話は刺激の強さとは無関係である点。報酬の質が根本的に違う。
外向型はある意味「ニブイ」。赤ん坊の頃に動じないのは肝が座っているからではなくニブイからだ。

だがそれだけの話しなのだとしたら、外向型が反応する報酬は内向型もとっくに反応してなければおかしい。内向型は相対的に過敏なのだから。

反応する報酬が内的、外的に分かれているのは、脳を根拠とした生後の経験由来の価値観だろう。

だとするなら、あまり型にはめようとはせず、自分が何に対してやる気を出すのか自分を観察したほうが早いかも知れない。個人的な経験が影響を与える余地がある。

正直な所、内向型の達成動機は自己目的的/自発的な自尊心由来のもので、外向型の達成動機は自己愛的(他者評価的)と私には見えている。まぁどっちもゼロだと困るし、多すぎても困るものだ。

 

・シンプルかつ再現性の高い外発的達成動機の方が何ぞ良さげなのだが、内向型の成功者のほうが多いと言われている。

アインシュタイン、ニュートン、ダーウィン、ウォーレン・バフェットからビル・ゲイツまで、内向型だとされる成功者は多い。ビッグファイブでの内向性は、専門的な職業の場合はあったほうがいいとされている。

 

ビッグファイブに代表される特性型の性格分析では、内向と外向は同じ1つのパラメータとして扱われる。大体左が内向で右が外向。

まぁ、100%の内向型とか、100%の外向型という結果になることはめったに無いだろう。7:3で内向とか、6:4で外向とか、そういう結果の方が多い。
つまり、一人の人間に両方ある。逆を言えば片方の達成動機を一切受け付けない、というケースは少ないと思われる。

気分の問題で変わるかも知れないし、環境の影響も受けているかも知れない。どちらでも良いときもあるかも知れないし、どちらでもダメなときもあるかも知れない。

今回の話は内向/外向型が何にモチベーションを感じるか、というよりも、モチベーションには外的達成動機と内的達成動機の2種類があるという捉え方のほうがいいかも知れない。

 

 

参照:

https://gigazine.net/news/20181027-introvert-happiness/
https://biz-journal.jp/2017/11/post_21190.html

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