フラッシュバルブ記憶とは
・個人的に重要な出来事や、世界的な重大事件についての異様に鮮明な記憶とされる。「写真のフラッシュを焚いたときのように」との意味でフラッシュバルブ記憶。後述するが、正確とは限らない。
フラッシュバルブ(Flashbulb )自体は日本では閃光電球のこと。ストロボ以前に使用されていた物らしい。
そのタイミングでの他の記憶
・1899年、コールグローブが「リンカーンが暗殺されたと聞いた時に自分が何をしていたか」を179人に聞いた所、127人はどこで、何をしていたか詳細に報告できたという記録がある。
同様に1963年のケネディ暗殺ニュースを聞いた当時、どこで何をやっていたのかも詳細に出きる者たちが多かったという。
これらは、内容ではなくニュースを知ったタイミング=自分が感情的に大きなショックを受けた際にその時の全体の記憶が焼き付くとも考えられる。
・大きな地震があった時、自分の当時の様子をはっきりと答えられた男性がいた。彼の記憶では時計の針は6時だった。
だが後に、その地震は、実際には午後2時だったと判明した。
現状では、他の記憶と同様に衰退や干渉を受けやすいものだとされている。
別のフラッシュバルブ記憶
・以上の2つが大体のフラッシュバルブ記憶についてだが、別の説明をしているところもある。
フラッシュバルブ記憶は一種の幻覚であり、突然過去の記憶が思い出される「侵入性の記憶」とされている。
ここでの侵入とは、意識に対しての割り込みや乗っ取り、注意のひったくりと言われるような状態だろう。
PTSD患者が体験するものであり、時に非常にリアルに感じられるとされている。「幻覚」呼ばわりはこのリアルさのせいだろう。
・「侵入性の記憶」という概念は興味深いが、多分「侵入思考」の内に入るだろう。
侵入思考は望まない不随意的な思考、イメージ。強迫的であり、不安にさせ、動揺させ、不快感を与えるもの。内容は性的、攻撃的、冒涜的であるとされる。
精神障害などと関連付けられてはいるが、多くの人々が経験するものであるともされる。そもそも各種精神障害も割と発症率高い。
「健全な大学生」を対象にしたスタンリー・ラックマンのアンケート調査では、全員がこれを経験したことがあると答えたそうだ。ただし、通常は侵入思考は取り下げることができる「一瞬の煩さ程度」とされている。
・ただし、フラッシュバルブ記憶は正確かどうかは置いといて少なくとも「記憶」である。「思考・イメージ」ではない。ただ、何かを考える時に過去の経験を「材料」にしても不思議はないとも思う。
エリザベス・ロフタスの実験では、被験者の家族の証言による実際の記録3つに、「ショッピングモールで迷子になった」という偽の記録を織り交ぜた。
結果、4分の1の被験者にショッピングモールで迷子になった記憶を「埋め込む」ことに成功したという。
本物に織り交ぜたのが有効だったと考察できる。「実際の過去」にアクセスしている状態で新たな記憶を植え付けた。
フラッシュバックとフラッシュバルブ記憶
・鮮明さがフラッシュバックに似ているが、トラウマ的なものとは限らない点、不随意に思い出されるわけではない点などは違う。ほぼ当人のコントロール下にある点は特に。
・それよりもフラッシュバルブ記憶がなぜ鮮明なのかが重要だろう。
原因として(重大ニュースの場合)話題に上ることが多いこと、報道によって定期的に補強されることが挙げられている。
ただ、前述の通り正確ではないこともある。記憶は思い出している時に「柔らかく」なり、編集を受け付けるとの説もある。以上から考えれば、定期的な想起により記憶の鮮やかさは保たれるが、精度の信頼性は下がっていくのではないだろうか。
・これらと並べて(俗に言われる)トラウマやフラッシュバックを見てみれば、反芻や突発的に思い出されることによって「強化・補強」されていることは想像に難くない。
また、比較的中立であるフラッシュバルブ記憶でも歪むことがありえる。
頻繁に繰り返され、確認方法は「誰かの主観」でしかない個人的体験であるトラウマ・フラッシュバックは尚更に省略・誇張されている可能性はある。
・もちろんこれは、本当のことを言っている者が、痛くもない腹を探られることにもなる。
前述のロフタスの実験では、4分の3は偽の記憶を受け付けなかったし、そもそも彼女の財政的背景が「加害者側」であることにも注意は必要だろう。
参照
https://ja.wikipedia.org/wiki/フラッシュバルブ記憶
https://psychology-effect.com/記憶/フラッシュバルブ記憶-flashbulb-memory/
https://ch.nicovideo.jp/rinsho-shinri/blomaga/ar472624