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心の理論の仕組みについて

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・理論説、シミュレーション説がある。

ただ、心の理論について誤信念課題、つまりサリー・アン課題やスマーティ課題などの「心の理論の課題」しか知らないと混乱するかもしれない。

 

今回は心の理論の問題を「我々はなぜ人の気持ちを直感的にわかる(推測する)ことができるのか」に置き換えてくれれば早い。

 

・私達は相手がどう動くか、なに考えてるか、まぁなんかある程度は分かるわけだ。

だがこの機能はブラックボックスであり、なぜ分かるのか、どんなメカニズムなのかははっきりしていない。

 

心の理論たる概念は、そのような能力の存在を示唆してはいるが、メカニズムについては仮説がいくつかあるだけの状態。

 

 

」が考えられるまで

 

・経緯や歴史として。

 

 

・プリマックとウッドラフが、チンパンジーが他者や人間の行動が「動機」に基づくものであることを理解できる、との発表をした。

 

何人かの哲学者はこれに対し、「他者の心が理解できるというのなら、他者が『誤った信念』に基づいた行動を取ることがあることも理解できる必要がある」と指摘した(言ったのダニエル・デネットらしい)。

 

改めて心の理論の課題を見てみればわかることだろう。

登場人物は事前の自分の記憶をもとに「間違える」。

これを回答者が予期するのが正解になっている(まぁこれを間違えるって言っていいのかどうか)。

自分がしまった場所と違う場所に他人が物を移動させる、とかね。

 

そんなわけで心の理論の課題は「」と呼ぶ。

 

 

・通常4歳児以上ではこの発達が見られるが、知っての通り自閉症児などではこの発達が遅れる(正答する自閉症児もいる)。

 

この点から自閉症児は知能の遅れで説明されるべきではなく、「心の理論の欠如」によって説明されるべきだ、という意見も出てきた。当事者にとってどっちがマシに思えるのかはわからんな。遅れと欠如でね。

 

 

・その後議論が重ねられ、今では有力な仮説として2つある。理論説と、シミュレート説。この辺りで現在に至る。

 

・このシステムの正体は、経験に基づく学習とその活用だ、というのが模範解答だった。これが心の理論の「理論説」。

 

 

 理論説

 

・人間は「他者に当てはまる一般的な知識や理論を持っており、これに基づき他者理解を行おうとする」とする仮説。

 

これは個人個人での独自開発なわけで、当然無理やり当てはめたり、一般的(笑)だったりすることもあるだろうし、そういう奴らが現実に結構いることの説明にもなる。一種の「認知」としていいかもしれない。

 

「自己理解と他者理解は独立している」という立場。

 

・理由として実際に大体はパターン化(法則的な一般化)できるよね、ってのがある。

 

心の理論と言っても実際の所は、他人の言動の考察に必要な「措定物」、ようは仮定としてのものだよね、という考えもある。

 

 

・この場合推測される「他者の意図」もまた自分がこうだったから、以前こういうことがあったから、という経験に基づいたものになる。

 

こうして見ると実際にそのような考えの人間はいるな。他人と意見が違う時によくバグってるけど。

 

 

・なんにせよ「理論」という言葉のイメージとは裏腹に、経験に基づいたものである。

 

 

 シミュレーション説

 

・他者を理解しようとする時、「自分を相手の立場において模倣する」とする仮説。

 

 

・個人間で認知メカニズム、意思決定メカニズムはそれほど変わらないため、他者の視点や所持している情報を元にシミュレートして結果を得るとする説。

 

例えば、プレゼントを送るなら相手が喜びそうなものを考えるだろう。少なくとも目的としてはそうだ。賄賂でも誕生日でも、そこは変わらない。

 

この時の判断材料は相手の好みや、何か困っているなら(状況)その解決手段など、相手の視点、相手の頭の中にある情報(問題、目的)などが必要になる。これを元に、シミュレートしているからプレゼントも見当がつく。

 

これが「北海道に行ってきたから木彫りの熊とクマカレーな!」とかだとまぁ、北海道土産としてはいいかも知れんが、相手の事考えてるかと言うと一切考えてはいないな。なんの話だっけ。まぁもらったら白黒に着色してクマをパンダにしてやんよ。

 

プログラムっぽく言えばシミュレートモジュールは「変数を持つ」。変数ってか引数?

つまり「相手の情報」を入力してやる必要がある。情報が正確であり、多ければ精度は上がる。それがなければ相手の視点(立ち位置など)や相手の目的(想像)のみのシミュレートになるだろう。

この場合の「答え」は一般論に近く、理論説と対して変わらない。

 

・厳密なシミュレートでは無いことに注意する必要がある、と言われることもある。

 

今回のシミュレーション説 = 心的シミュレートは、数値やら条件やらがそれほど厳密ではない、どちらかと言えば「相手になったつもりで考える」というような「つもり」や「フリ」でしかない。この点、こちらも能力に個人差がでることになる。

 

・ミラーニューロン仮説(自分と同様に他者にも反応する神経細胞。共感能力に関わる)は、この節を裏付ける強力な要素、とされている。

 

ミラーニューロンもまだ仮説段階なんだが、ミラーニューロンの定義どおりの動きを見せる神経細胞は観測されている。

 

正確には、神経細胞単位ではなく「ネットワーク」だと見られている。

 

 

・C.D.フリスらは心の理論の要素として、

 

生物と非生物を区別する能力

他者の視線を追うことによって注意を共有する能力

ゴール志向性の行動を再現する能力

自己と他者の行動を区別する能力

 

以上の4つを挙げている。(心の理論の課題)では特に自己と他者の行動を区別する能力が問われる。

 

改めて見れば誤信念課題の「誤答」は、たいてい「(答えを知っている)自分だったらこうする」という答えを言ってしまっているようにも取れる。登場人物の行動ではなく。

 

この内2つはミラーニューロンがなければ成立しないようにも見える。
ただ、同時に自他の区別のためには、他者視点と融合しないための心的モジュールも必要そうに見える。

共感能力だけでは「融合」するだろう。実際「高い共感能力(笑)」の持ち主が見事に扇動されたり洗脳されたりはよくある。

 

・誤信念課題で言えば、4歳をすぎる頃にこの「仮定の視点(仮想的な信念)」が発達するのではないか、との話。

 

この「仮定の視点」はそのままメタ認知能力(自身を客観視する能力)にも通じるだろう。「主観」以外の視点を持つということ。
逆にこれが一切なければ「自分のことしか頭にない奴」ということになる。性格以前に能力として。

 

・一見心理学的知識と相性はいい。精度が上がる。一見ね。
だが間違えた場合「説得力のある間違った答え」が出来上がってタチが悪い。

 

 

・理論説よりは頭を使う感じがするね。その分正常に働かなければいけないが。どのみち、どちらも感覚的、直感的ではある。

 

能力であり、技術じゃない。心臓が動く理屈知らなくても動いてるだろ。
裏を返せば問題があった場合まずデバッグできない。そもそも気づけない。「自分ではこれが普通」だから。
せいぜい他人と見比べて相対的に気づける程度か。

 

心の理論が「歪む」可能性については今の所見かけない。十分にありえると思うが。

 

 

・ちなみにこれで間違えた挙げ句それを受け入れられないと「普通はこうする」とかの言葉が口から出てくることになるだろう。
まぁ相手が異常すぎて受け入れられないとかもあるだろうが。

 

 

メモ

 

・これ、両方あるんじゃないか。

 

1人が2つを、ではなくて理論説的心の理論の奴と、シミュレート的心の理論の奴と。

 

また、ハイブリッドであることを否定する材料も特にない。
例えばシミュレーションで「よく出る答え」を理論として採用する、ということもあり得るのではないか。

 

なんかのプログラミング言語で一定の範囲の機能をまとめてよく使うモジュール化だかカプセル化だかってなかったっけか。そんな感じで。

 

また、シミュレーションのモデルも「自分の心の理論」を参照にしているとも取れる。

 

人間が自前で持つ、ヒューリスティックや処理流暢性などの簡略化機能を考えれば十分にあるんじゃないだろうか。

 

 

・どちらも真だとするのなら、利き手のように、どちらを自然にやるかくらいの個人差はあるだろう。

 

理論説の場合応用力がないし、初見の物事にかなり弱い。基本的にヒューリスティクスな判断(認知バイアスって言ったほうが早いか)の罠に落ちる要素が豊富にある。

 

シミュレート説の場合「汚染」される可能性が高い。メタとして自分の視点を保つ心的モジュールは必要になるか。

シミュレーション説においては,仮想的な信念や視覚的イメージなどを,我々が自由に形成できるということが前提とされている点が問題となる.

 

シミュレーション論者は,どのようなメカニズムによってこれが可能になっているのかを示さなければならない.

 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpssj1968/35/2/35_2_83/_pdf

 

イメージ力については前から思ってたんだけど、「想起」の応用じゃねーかな。実際脳はイメージと記憶の区別あまりついてないし。「同じもの」として扱ってるんだったら説明が付く。







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