ロストワン/ロストチャイルド/ロンリーについて:アダルトチルドレン

ロストワンの性格・特徴

・lost one = いない子、迷子。ロストチャイルドともされる。アダルトチルドレンの内、目立たないことでトラブルを避けるという行動選択を選んだタイプ。

・居なくなっても気づかれないような物静かさ、存在感の無さ。居ても居なくても変わらない立ち位置になる。これは本人がそう望んだ場合、そう思い込んでいる場合、そう扱われている場合がある。

「手がかからないいい子」。人は彼/彼女を問題を起こさない子と認識するか、目に入らない。「安心して放っておける子」。

・基本的に「目立ちたくない」と思っている。迷惑をかけまいとしている場合もある。このため我慢強い傾向。これらを「しなければならない」と思っていることも多い。

・他者の視線や評価がストレスになる。これを気にするため、自然体の自分を見失いがちになる。
目立ちたくない、注目を浴びたくない。波風を立てないように振る舞う。恐れてすらいる。

・空気が読める。気は利く方。アダルトチルドレン全般に言えるが、空気を読む/理解する能力が異常発達している事が多い。「家庭」という社会の中で、「親」という他人の顔色を伺う必要があったからだが。

このため周囲に気を配れるし、気遣いも出きる。ただ、ロストワンの場合は目立ちたくないため積極性はない。

ロストワンの原因

・「人と関わりたくない」「何もしないほうがマシ」と思った果て。あるいは傷つきたくない、自由になりたいなどの気持ちから。または「人」に対しての諦め。

無関心/比較/ネグレクト

・家族と関わることを避け、自分の心が傷つくことを免れようとしているとされる。逆を言えば「家族は自分の心を傷つける」との認識を持っている。

・シンプルな理由として、親がネグレクトなどの放置状態であり、「気づかれない/相手にされないことが常だから、その状態が自然体となった」というタイプもある。

逆に気づかれる/相手にされることに違和感、居心地の悪さを感じることもある。

・兄弟姉妹が虐待を受けているとロストワンになりやすい、との話もある。要は「親に目をつけられたくない」から「いないふり」をするということ。

虐待の定義も色々有るが、例えば親が頻繁に子供を「からかう」と、子供はイジメの加害者になりやすいという話がある。これらは感情のコントロール不全の状態になるためとされている。
同時に被害者にもなりやすい。このような「いじめっ子はいじめられやすい」という話は他にも色々有るが割愛。

このように、親からしてみれば「些細なこと」のつもりかもしれないが、子供にとっては多大な影響を与えることは多い。まぁからかうのが些細なことだと思ってる時点で問題有ると思うが。単に親にデリカシーがないだけで、子供は苦労する余地がある。

 

・同時にこれにより、親が兄弟姉妹の「比較」をすることはよろしくないと考えることができる。片方を称賛し、相対的にもう片方に恥や疎外感を感じさせてコントロールしようという目論見だから。

実際に兄弟姉妹で育て方に差があることもロストワンの原因の一つとされる。自分以外が可愛がられ、自分は雑に扱われるなど。ここから「必要とされていない」「期待されていない」と感じ、愛情を求めることを諦める。

これはそのまま「他者に理解される/受け入れられることを諦める」ことにつながっていく。

・自分がなにか主張することを一切認められなかった経験から、何をやっても無駄だと悟った瞬間にロストワンになるともされる。この経緯と結論は学習性無力感に近い。コミュニケーションに対しての学習性無力感。

学習性無力感とは
概要学習性無力感とは、その者が「行動してもどうせ無駄だ」と悟った状態を指す。このため課題や環境に自発的な働きかけをしなくなり、状況に耐えるしかないのでストレスを溜め込む。1967年、マーティン・セリグマンらが動物実験に基づいて提唱した。...

過干渉が何を奪うか

・現代では放置の逆に、過干渉に対して「放っておいてもらいたい」と思ったり、「心の自由がない」ことから自立心が芽生えたケースもあるとされる。

例えば子供が困ることがないようにと「先回り」、「悩む前にアドバイス」など、自分の人生の主導権を奪い続られることへの危機感というものはある。

・子供に限らず、人が自発的に行動したことに後から「それができたらご褒美を上げる」と言うとやる気が無くなる現象がある(アンダーマイニング効果)。一部の研究ではやる気の現象はなく、一時的にはパフォーマンスが上昇したのだが、次からご褒美がないとやる気が出なくなるなどが見られている。どちらにせよ自発性が死ぬ。

これはその行動を自己満足、自己完結といった「自分のための行動」ではなく、他者との契約と義務、すなわち「労働と報酬」に貶めてしまう。加えて単純にできなかった場合、「得られるはずのものが得られなかった」とまず間違いなく感じる。よくよく考えるとマイナスが大きい。毎日顔を合わせる「親」がこれなら、悪気はなくても嫌気は差すだろう。

終わってから「見てたよ」とか言って勝手にご褒美上げたほうが、だいぶマシだと思われる。この上で、それができない「不要なのに見守ることができない親」は多分、多い。「参加」「介入」してしまう。見極めも難しい話では有るが。

アダルトチルドレン:ロンリー

・アダルトチルドレンのタイプとして「ロンリー」がその一つとされることがある。ロストワンよりも徹底している。一言で言えば「引きこもり」が近い。

・本質的には孤独。自分の殻に閉じこもり、他者を寄せ付けない。上部だけは人間関係を作るタイプと、一切の人間関係を拒絶するタイプがあるとされる。

・自己開示を拒否するため、深い人間関係を築けない。もちろんこれは相手を選ぶべきだが、仮に選んだ相手/仲良くなりたい相手がいたとしても、これができない。

・人間関係において自分が満たされること、理解されること、助けてもらえること、愛されること、認められること、全て初めから諦めることで自分の心を守ろうとしている。

・お望み通りに人間関係のトラブルはほぼ起きない。相手が居ないため。

ロストワンの問題

・ロストワンは別に誰にも迷惑をかけていないわけだが(ロストワン以外は迷惑になる余地がある)、その分自分が「自分の無さ」に苦しめられているように見える。結局、自分を「表す」には相手が必要になるため。

・人がそこら中にいる環境で孤独・孤立を感じるのは、本質的には「自分が心を開いていないから」だと言える。誰ともつながっていないから、その孤独感は真実でもある。

アダルトチルドレン全般に言えるが、「振る舞い」に全力な分、本質は表に出ない。他のタイプも別の「仮面」であるといえる。それが「キャラクター」としても見えるからロストワンほどには「自分がない」とはされないだけだ(ただし殆どは主体性の無さを自覚している)。これはキャラを演じることに必死な人間全てにも該当するが。

アダルトチルドレンのタイプは全て個性的と言えるが、実際の所は個性ではなく「強迫観念」とそこからくる「振る舞い」に終止する。

・ロストワンは表面上は大人しく、我慢強く、気が利き、無難な対応ができる。このため他者に「何を考えているかわからない」と警戒されることもある。無難すぎて。

上記特徴は「自分の意見がない」「自分を出さない」とも言えるからだ。加えて自分の意見がなくてもできることでもある。
言動が消極的かつ模範的過ぎる。「無難」という仮面に対して警戒される。内面がわからないか、或いは空っぽに見られる。要するに存在しない「真意」を勘ぐられやすい。これはスキゾイド(こちらは本気で他人を必要としない)などがその他に警戒される理由でも有るが。
或いはこれら模範的振る舞いは「こちらに興味がない」とも取られることがある。

だがロストワンはこの仮面がないと人と接することができないと思っている。

この点は内向型の傾向が強い人間にはほとんど当てはまる。皮肉なことにロストワンに「共感」できる余地がある人間は多い。

・この「仮面」は実際便利だろう。無難というのはいいことだ。問題は「それしかない」ことだ。

自己開示を怖くてやりたくないから無難に振る舞う。結果模範的な行動ばかりになる。自分からは話しかけない。「対応」として模範的。もうちょっと人間臭いリアクションが求められる場面でも。

結果つまらない人だ、何考えてるか分からない人だ、冷たい人だと興味が失われる。まぁここらへん過剰に他人に求めるおかしいのも居るんだが。

・自己開示、つまり自分のことを他者に知られるということは、ロストワンは極度に苦手意識がある。
平均的な人間の思う「信用してはいけない相手」に対しての警戒度を、平均的な人間に対して持っている。

自分の感情、思考、意思、意図は「隠さなくてはならないもの」という認知がそうさせる。それがある意味「正解」であった=それで傷つかずにいられた環境を生きてきたわけだから、結構根深い。

・この心理的防衛/警戒感は「文章」「会話」などコミュニケーションの属性が強い分野で出る。
反対にそれほどコミュニケーションを前提としていない部分では、あまり出ないとされている。

例えば何らかの創作など芸術方面の場合、彼/彼女達はそれまでと違い「雄弁な表現」ができるそうだ。絵画、演奏、パフォーマンスなど。

裏を返せば、雄弁な表現をするだけの「自分」があるわけだ。決して空っぽなわけではなく。

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