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ポライトネスのフェイスと距離感について

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Brown & Levinson(ブラウン&レビンソン:B&Lとも)に拠って確立されたポライトネスは、他者の自己決定権、他者評価の欲求などを侵害しないように行う言語的な配慮のこと。

「円滑な人間関係を確立・維持するための言語行動」と定義されるので、まぁそのなんだ、初めから相手の話聞く気がないくせに話しかけてくるような奴は、この視点ではてんでダメということになるな。

フェイスとは、「顔」「面子(メンツ)」とも訳される。ポジティブとネガティブの二種類があり、対話する両者のこの2つを「維持すること」が、人が円滑なコミュニケーションを目指す上での無意識的な指針になる。

親近欲求。個人から承認された望ましい自己像を維持することへの欲求。承認欲求という解釈でいい。好かれたい、褒められたい、仲間だと認められたい。

それこそメンツやプライドと言ったような客観的・社会的な自分像の維持。

不可侵欲求。個人の領域を維持し行動の自由を保つことへの欲求。

他者に邪魔されたくない、立ち入られたくない欲求。

フェイス侵害行為

他者のフェイスを侵害する行為。あるいは自由を妨げる行為。
他者の意見の批判・否定、侮辱などがわかり易い例。

ただ、単純にフェイス侵害=悪いとは限らない。ぶっちゃけてしまえば話しかけただけで侵害といえば侵害である。もちろん相手のフェイスにもよる。

例えば仲良くしようと遊びに誘ったら断られた、というのは誘った側はポジティブフェイスが侵害される。誘われた側はネガティブフェイスが侵害された。

まぁそうやって距離感知って、その上で距離縮めていってが人間関係だろう。

人によっては積極的な「言うだけならタダ」みたいなノリで誘われたりするのが苦痛だと訴える人もいる。「断れない人」達。

この場合は相手のポジティブフェイスを侵害しないために自分のネガティブフェイスが侵害されている。これは感情労働そのものだし、フェアではない。

後は社交辞令でその気もないのに遊びに行く予定を立てるというめんどくさい連中もそうか。架空の話で自分はポジティブフェイスを満たし、相手はネガティブフェイスを侵害されるか、それを守るために抵抗しなければならない。どっちにせよ疲れるわけだ。

……まぁ単純に、仲良くないくせに馴れ馴れしいとも言う。

ポジティブフェイスは交流によって満たされる。自己愛や承認欲求と同じ属性を持つ。ネガティブフェイスを守るだけなら引きこもってればいいが、大抵はそのうち交流に飢える。

ヤマアラシのジレンマそのものだろう。近いと痛い。遠いと寒い。あとおもっくそ体当りしてくる奴もいる、と。棘付きの。

FTA (Face Threatening Act)

行動のフェイス侵害度の計算式として以下が在る。

Wx=D(S, H)+P(S, H)+Rx

Wx=ある行為xが相手のフェイスを脅かす度合い、D(S, H)=話し手と聞き手との社会的距離、P(S, H)=聞き手と話し手の相対的権力、Rx=ある行為xの、特定の文化における押し付けがましさの程度の絶対的な順位付け

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%8D%E3%82%B9

はいめんどくさい。

SとHはそれぞれ発話者と受話者のこと。

Wxは自分のやろうとしていることの、相手のフェイスに対する侵害度。Weight。

D(S,H)は社会的な距離となっているが、これはアドラーの提唱した「3つのライフタスク」が参考になるだろう。

  • 仕事のタスク:永続しない人間関係
  • 交友のタスク:永続するが、運命を共にしない
  • 愛のタスク:永続し、運命を共にする

まぁ単純に、職場の上司に貯金はいくら在るのかとか聞かれたら不快だとか。同じこと家族に聞かれても不快かもしれないが、その度合は違う。Distance。

P(S,H)は相対的権力。どっちが上か下か。同じ職場の人間でも、上司に呼び捨てにされるのと、部下に呼び捨てにされることは、同じでは無い。Power。

Rxは、その行為がその文化において、相手にかける負荷度。「文化的にどう捉えられるか」という感じ。「常識的に考えて」と言い換えても良いかもしれない。Rank。

ちょっと思ったんだが、これをその行動(Wx)を相手に対して「やってもいい」と思う判断に人が無自覚に使っていると仮定すると、

  • 自分は好かれていると思い込んでるとDを常に満たす
  • 自分が偉いと思い込んでるとPを常に満たす
  • 自分が正しいと思っているならRxを常に満たす、というか無条件でクリアになる

ということになる。現実とは無関係に。満たすんだから行動に移りやすいね。ストーカーかパワハラかトロール。

当人的に「自分がこれをやってもOK」な行動になるんだから。そして距離感近すぎて嫌われる人ってのは、少なくともやらかしたその時はこの3つの要素のどれかが高い状態だったように見える。

まぁもちろん思い込みではなく、本当に好かれているとか、本当に正しいとかなら話は別だが。

ほとんどの問題は認識にあるのではないだろうか。計算そのものは正しいが、代入する値が間違っているような。といっても正しい自己認識とはなんぞやって話になるが。

・ストラテジー

FTAを元に考える「方針」。5段階の「力加減」。下へ行くほど弱い。

  1. あからさまに言う
  2. ポジティブ・=ポジティブフェイスへの配慮
  3. ネガティブ・=ネガティブフェイスへの配慮
  4. ほのめかし
  5. FTAを使わない

4は遠回りに、5はよくわからないな。「その行動をするのをやめておく」とかだろうか。

これらは「適切」であることが理想とされる。遠慮が過剰だと慇懃無礼。少ないともちろん無礼。

日本では1は少ないだろう。

注意点

英語圏発祥の概念であり、現状は日本語にそのまま当てはまるとは限らないとされている。特に文化的、習慣的なコミュニケーション上の「風習」でだいぶ変わってくる。ファーストネームで相手を呼ぶことの「重み」は、海外と国内とでだいぶ違うだろう。

ただ、2016/5/27のバラク・オバマの広島での演説が、ポライトネスを踏襲した振る舞いだったとする学術論文が在る。

この件はオーディエンスは日本人だったわけだし、これから考えれば少なくとも日本人に「通じる」可能性は高いだろう。

ストラテジーを見てわかったと思うが、本来のポライトネスは相手しか見てないフシがある。人心掌握にも使えるだろうが、盲信は自己犠牲に繋がる。

というかそこら辺どうでもよくて、私としては分析や考察に使えそうな器具でしかないんだが。少なくとも主要概念である「」は、自他の距離感を測る道具にそのまま使える。まぁわかるのは何か行動した後だけどな。

メモ

・経緯は正直知らないが、ポライトネスは元から人間が交流の上で行っていたことの整理・調節・利用を目指すもののように見える。私が魅力を感じたのは正直フェイスの部分だけだし。フェイスは目的と心理の部分だろう。

フェイスも内向的欲求、外交的欲求と言い換えることが可能だ。ユングで良かった……?

・俗に言う「距離感が近すぎる人」は、私が見た限りは自分のポジティブフェイスしか頭にない。それでうまく行っている誰か、あるいはそんな理想の人間関係を真似しようとして、相手のネガティブフェイスに気づかず踏み込み嫌われている印象。

・見方を変えれば、ポジ=自己愛を満たし、ネガ=自尊心を守るということを人は初めから念頭に入れて他人と対面するとも言える。

・会話に於いての「後味の悪さ」は、自分のポジを満たそうとして、相手のネガを侵した(あるいは発話者がそう感じた)ケースが大半だとも思う。

・誇大型の自己愛を始めとした、サディズムの傾向を持つ者が人間に行う行為は「ネガティブフェイスの侵害」そのものになる。それも意図的な。

こういうのが嫌われるのは、単純にレギュレーション違反なんだろう。侵害どころか侵略が目的なんだから。フェイスが各々の「暗黙化されたルール」だとしたら、それを守るどころか知る気もないということだから。

・逆にこれらを悪気なくやってしまうと見られるADHDだが、彼/彼女たちは(その一部かもしれないが)ロジカルな分野には強い様に見える。

ポライトネスのように形式化すればコミュニケーションに役立てる人もいると思う。一部は色々気を使いすぎて混乱→フリーズになりがちらしいから、その整理として。

・対人恐怖症はネガティブポライトネスが超広いってことになるだろうか。

 

■クレジット

http://nifongo.style.coocan.jp/glossh3.html

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%8D%E3%82%B9







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