5秒ルール・2分ルールを使うべきかどうかの状況判断力について:注意点、あるいは準備

2分ルールをやってしばらく経っても「前より忙しくなった」と思うようなら、多分やらなくて良いことやってる。やらなくて良いことをやるたびに、2分失うことになる。それまでやっていたことを中断し、再開することによるリスクも発生する。

主に、何かやってる最中に別の用事思いつくことに対して。
2分ルールでは、2分で済むならすぐにやるとする。
それで効率がいいときもあるし、悪い時もある。その判断をどうするか。

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思い切りが良すぎて怖い

5秒ルール、2分ルールはなんというか「怖けりゃ目を瞑ってやれ」と言わんばかりな勢い的要素がどうしてもある。実際5秒ルールの方は明確に頭の「非常ブレーキ」が働く前に動いてしまえ、という方針だ。

実害のリスクとしては、「やらなくていいことをやる」ことに依る状況の悪化、時間の無駄遣い。そして人は何かしら常にやってることが多く、中断・再開のコストとリスクもある。

まぁ要するに、「考え込まずにやれ」VS「よく考えてからやれ」になってる。
折衷案として、「手早くやる必要の有無を判別できればいい」とする。


判断への自信を培う

着手への懸念は不明瞭さとともに、判断への自信のなさ由来のものがある。

不明瞭性

タスクに

手順の曖昧さ。断言できるが、「よくわからなくてもできる」ことは結構多い。ここで言う分かる分からないは言語的な説明ができるかどうかに近い。経験上問題ないとわかっていても、都度不安にかられるようなことは有る。

状況に

「何か忘れていないか」という漠然とした不安を含める。これが有ると身が入らない。「何か」があった時に即時対応するために、集中「しない」ようになる。

先行きに

「これをやったらどうなるか」の不明瞭性。バタフライ効果とか風が吹けば桶屋が儲かる的な。
「なにもない」という時にも躊躇することになるので、案外頻繁に邪魔している。

殆どの場合これは思考ではなく、感情の想起、つまりは「不安」を直接思い浮かべている状態だろう。こういった、まず感情があり、次にその理由を探すという動きをすることが有る。

判断と決断の違い

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判断:計算の属性。客観性が有る。対応的。答えを出す。
決断:主観的な決定。自主性が有る。能動的。道を選ぶ。
なので、判断はついたが決断はできない、というのはある。対立関係とは言えない。両方大事だ。

5秒ルール、2分ルールはここで言う所の決断に属する。「それをやる」というのは回答ではなく決定となる。逆を言えば「正しい道を選ぶ」という点に於いてほぼ機能しない。

この上で、私達が基本的に不明瞭なものに手を付けたくないのは、よろしいかよろしくないかがよくわからんからであって、決断力の不足が理由ではないのではなかろうかと思う。

ティム・フェリスの「恐怖を明確にする」、クラインの死亡前死因分析など都合の悪いことを真剣に考えることで一種の「安心感」が得られるのも、それが理由だろう。「不明瞭さ」が晴れたから。

クラインの「死亡前死因分析」
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同時にちょっと考えれば分かるようなことも、ただやるかやらないかを問うだけならば非常ブレーキが掛かってもおかしくはない。この時は2つのルールは有効に働く。

GTDの再利用

本来2分ルールはGTDという個人の生産性を目的としたシステムの一部だった。平たく言えば手帳の使い方。
「2分で済むならやれ」となるまでに、いくつかの過程がある。

2分ルール単品で捉えるとその部分はスッポ抜けるため、要点だけでも抑えておいたほうが安心だろう。

一見クッソめんどくさいが、慣れればかなりいい感じとなる。流れだけ採用するのもアリかもしれない。

把握

まず気になっているものは全て書き出し、可視化する。

解説している所によってなんか違いが有るが、知ってる限り一番めんどくさいので2~3時間ブレインダンプ(頭の中を全部書き出す)するとかだったぞ。

「気になることはここにある」という場所を、このようにしてまず作成する。
人によってはメールの受信箱や書類受けもその類のものだとしている。

見極め

「把握」により集めたデータの管理。改めて見て不要だったら削除。

ここで「行動が必要かどうか」を問う。

行動が不要なものはファイリングなどを行う。

行動が必要なものは、「次に取るべき行動」を明確にする。

行動が複数あるものは「プロジェクト」として、別に管理する。

行動が一つで、「それが2分かからずできるならすぐに実行する」となる。ここでようやくだ。

なお、以降も整理、更新、選択と工程は続く。
更新は前回のECRSのように、定期的な最適化。

選別の必要性

でまぁ、人によってはtodoリストにメモ書きがあったりとかもするわけで。本当、性格出るし個人差ある。

そこまでじゃなくとも、「次に取るべき行動」を明確化していない、ぼんやりとしたタスクがあることは多いだろう。これも将来的にゾンビ化しやすい。一見それをやるだけだが、実質「何をするかから考えるタスク」という状態なので、見てもやる気は湧かないことが考えられる。

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ともかく本来は、GTDでは本来、一度「気になること」をプールする段階が有る。その後で整理するが、ここで「具体的に何をやるか」も明確にしている。

何よりも、見極めの段階で要不要を問うている。削除するかしないか。2分ルールだけだとこれがないから「2分でできるからやった」となる。

これで2分は無駄にする。30回やったら1時間無駄にする。しかも連続じゃない、思いついたタイミングで、それまでやっていたことを犠牲にしてだ。「気にしていたこと自体が間違い」ということは有るが、その間違いをそのまま行動に移すことになる。

ついでに言うと、記憶力じゃない自分の頭で考えるタイプの問題に対しての、賢い人間とそうでない人間の違いは、答えを見つける早さではなく、「間違いに気づく早さ」が大きい、なんて話を最近見たな。


逆に2分ルールが有効となるのが、家事や日々の習慣などの飽き飽きした、めんどくさいものに対してが多い。いわゆる「やる気の問題」的な、5秒ルールと同じようなものが対象。
毎日やっていて、リスクも何もないようなものに対して。

以前述べたとおりにこれらに対して2分ルールなどをやっていれば、労力ではなく「時間」でタスクを測るようになり、「先延ばしにするくらいだったら動く」ようにはなれる。
先延ばしの対価をストレスとして払うくらいなら、2分の労力を払う、と。

逆を言えばそういった日常の範囲内なら判断できるが、そうでないなら半端にうかつに手をつけた結果裏目に出る、ということもあり得る。

特にネット方面では便利になった分、時間はかからなくなった。重要なことでも。判断基準ができるできないだけでは、やはり危険だろう。
スマホでタップするだけで課金も購入も契約もできる世の中ぞ。


2分ルールの採用は「今やる必要の有無」だけで判断し、そうじゃないならGTD本来の流れで処理したほうがよろしいかと思われる。

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