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「独り言」について

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・健常な人間でも独り言はすることがある。
いい独り言、悪い独り言、気にしなくていい独り言、独り言を防ぐ方法。

 

独り言の種類

・明確な区別はされていないが、独り言を発生させる環境/原因によって良し悪しが決まる面が大きい。

 

正常な独り言

・独り言は基本、不気味と捉えられる。だがこちらなら一定の理解は得られるだろう。

 

1人の時の独り言

・基本この点が守られているならあまり気にしてくていい。逆に人前でも構わず口から漏れるなら危険。

 

一人暮らしで増える独り言

・よく言われることである。
これは寂しさを紛らわせるためだとされる。自分の声を聞くことに依って不安を緩和するのが目的。

 

考えを整理するため

・正常の範疇だとされる。

自分が思わず口にした言葉を聞いて閃く、という話も珍しくはない。

 

自身との対話/自身への言い聞かせ

・正常の範疇だとされる。

再確認(リマインド)や、肯定的な断言(アファメーション)など、テクニックとして用いられることもある。

また、ゲシュタルト心理学の対立分身対話法(トップドッグ・アンダードッグ)など、意図的に自身の役回りを分けて対話させる、架空の対話相手を作り説明・説得をするなど、治療的な方法で使われることもある。

 

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幼児の独り言

・幼児はそもそも内言と外言を区別する能力が未発達なため、自然なこと。6歳頃から発達し、8歳頃には自然と収まるとされる。
内言と外言については後述。

簡単に言えば、思考と発話の区別がついてないから、口から出てしまうという話。
ヴィゴツキーによれば、脳の発達に伴ってこの区別が付き、次第に収まる。

 

異常な独り言

・独り言に対するネガティブなイメージを想起させるもの。

 

周囲が聞いていることを期待した独り言

・たとえ正常な独り言でも、「普通は周りに人がいないところでやる」。

 

独り言は基本的に不気味だと他者には思われる。
「独り言」で検索するとサジェストに「独り言 気持ち悪い」と出るため、そう思うのはそこそこの数だと推測できる。

 

・人前で意図的に行うのなら、これは自己呈示であり、アピール目的のため、本質的には独り言とは言えないだろう。良いか悪いかは内容次第だろうか。

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自己呈示のうちの賞賛獲得欲求、拒否回避欲求、どちらもあり得る。

頭いいと思われたくてブツブツと考え事をするだとか、馬鹿だと思われたくなくて言い訳を独り言として喧伝するだとか。

まぁ欲求自体は自然ではあるが、今回は手段がよろしくないだろう。それを聞いた人は不快に思うことが多いため、悪循環になるかもしれない。

 

・他者に与える印象を積極的に操作しようとする「戦略的自己呈示」とも言える。分類は5つ。

 

取り入り…自分の好ましい特性をアピールすることで、好意を得たり、他者を納得させる。

自己宣伝…他者が自分を尊敬させるために、自分の能力を示す。

示範…自分が賞賛に値する道徳的美徳を持っている良い人間なのだと、他者を納得させる。

威嚇…自分が相手に害を及ぼすような危険な性質を持っているという恐怖を植え付けることによって他者を納得させる。

哀願…他者からの助けや利益を得るために、自分が貧しくて、援助に値するものだと他者を納得させる。

https://kagaku-jiten.com/social-psychology/individual/self-presentation.html

 

「狙ってやっているなら」という前提付きで、これらは該当するだろう。

 

妄想・幻聴・幻覚へのリアクションとしての独り言

・本人は頭の中のナニカへの「応答」のつもり。このため独り言をしているという自覚がないケースが多い。

他人から見ると突然怒る、誰かと話しているかのトーンで喋る、暴言、突然笑ったりする(空笑)などになる。

危険だとされる。統合失調症の可能性。

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汚言症

・トゥレット症候群(代表的なのはチック症)の症状の一つ。「音声チック」の一種。

名前通り、一般で堂々と口にするには憚られる乱暴な、卑猥な言葉を発する。これは不随意とされており、本人にもどうしようもないらしい。

数としてはレア。だがかなり目立つ。

 

その他の独り言

・ASD:自閉症スペクトラム(アスペルガーなど)は独り言が増えるとされる。彼/彼女たちは「考えながら喋る」傾向が高いそうだ。

これは後述する内言・外言に少し関係する。

 

独り言の内容次第

・こういうことを並べると、人に依っては「一切独り言をしてはならない」とか考え始める。普通はそこまで重いことでもない。

結果的に気が楽になったり、考えがまとまったりする内容なら構わないとされることも多い。

 

・反面、ネガティブな、自分で自分の気を滅入らせるような言葉はよろしくないとされる。

 

・頻度については、誰でもありそうな程度なら問題ない。テレビや漫画に思わずツッコミを入れてしまう程度なら。まぁおっさんになるとこの傾向が高いって話が俗にあるから年代にも依るかもしれない。

 

独り言をしたくない心理

・独り言がたとえ問題なかったとしても、どちらかと言えば独り言を「したくない」気持ちもあると思われる。

それは思わず口から出てしまい、それを自分の耳で聞き、その時始めて「自分が自分のコントロールを離れていた」ことを自覚するからだろう。

 

・人は自分がこうなることをかなり嫌う。どのくらい嫌いかと言うと、物事に没頭できない理由として、「自分のコントロールを手放したくないから無意識に抵抗している」という説があるくらい。

これは他人を見る目にも言える。他人が独り言を言っているのを見た時の不気味さや警戒心に近い感情に。

 

・端的に言ってしまえば独り言を言ってると「正気か怪しいヤベーヤツ」に見える。煮詰まってるだとか、今にも暴れだしそうだとか。

ただ、こういった評価はブツブツと長い独り言を言ってる者に対してに限るようにも見えるが。

自分がやったら自分がそう思われると予測できるわけで、そういった意味で「社会的」に独り言は望ましくない、という面もある。

これを前提にすると、自重するつもりがないのなら、異質に映るだろう。その自覚がないか、必要性を感じない人間かに。

 

独り言と内言と外言

・心に思う言葉を内言、口にする言葉を外言と区別することがあるが、どちらも言葉であることには変わらない。

思考ツールとして言葉を使う限り、勝手に漏れてしまう、ということはあり得るのだろう。

 

・内言は頭の中で思う言葉。思考のための道具。

高速言語や圧縮言語に近い形で人は思考をする。述語中心で、圧縮や省略が多い。この時の単語同士のつながりは、文章としては弱い。

このため本人の中で筋は通っているのだが、仮にそのまま口に出した場合は他人には割と支離滅裂になる。

わかっている、知っている、伝えたいことがある、でも「うまく言えない/伝わらない」というのも、内言は外言とは言語形態が違うからなのが大きいだろう。

 

・外言はそのまま、人が口にする言葉。こちらは他者との間で交渉のツールとして使用される。

当然、道理をある程度は弁えていなくてはならないだろう。じゃなきゃ門前払いだ。

「内言が外言としてそのまま口から出る」のはこの点をまずクリアできない。

タイミングとしては文脈がない、空気を読んでいない。

思考の途中でこぼれているのだから、要領を得ないし、オチもない。

発するつもりがなかったのだから、目的すらない。

加えて視点が自分中心であるから、他人に向かって口にするには自分勝手すぎる内容かもしれない。

端的に言えば周りの人はとてもリアクションに困る。不安を感じるか、苛立つかだろう。

こういったことが「こぼれてしまう」なら、まぁ当然問題だ。

 

・内言と外言の発達について興味深い点がある。

ピアジェによれば幼児にはまず内言があり、後に外言が発達する。
要はまず「考える」ことができるようになり、後に「話す」ことができるようになる。

大体の人間が、これに対して賛成するだろう。

ヴィゴツキーはこれと逆の主張をした。というか、真っ向から批判したとされる。
つまり、先に「話す」ことができるようになり、次に黙って頭の中で「考える」ことができるようになると。これらの区別はその後で発達する。

これを肯定するような話がある。

幼児のひとりごとは5、6歳のころに最も多く見られ、内言が形成される8歳くらいでほとんど見られなくなる[5]。

内言の形成過程では、出現する語の省略や構文の単純化といった発話内容の変化も同時に進行する。

https://ja.wikipedia.org/wiki/独り言

 

これが真だとするならば、

「外言の方が原始的・本能的」

「内言は後から発達する」

となる。

人間の赤ん坊だって泣かなかったら命に関わるだろうし、「考える」よりも「表す」ことが先で不思議はない。

 

・外言を内言に「改良」していると考えることが出きる。発達に依って思考/感情を溢れさせずに「内側で済ませる」ことができるようになるとも取れる。

一部発達障害は「感情の閾値が低い」とされているが、関係あるかもしれない。どの道、独り言一つで判断できるものではないが。独り言は主症状にはならないのだし。

 

・自閉症は内面化された言語活動(口に出さないで済ます)や内言語機能(音声や文字を伴わない言語活動)が乏しいとされる。結果「喋りながら考える」ことが増えるという。これが「自閉症に独り言が多い理由」とされる。

ただ、発達障害がない人でもキャパオーバーになったら「喋りながら考えたほうが楽」ってことにもなるだろう。

悩みを「書き出して」、「整理する」と割と解決しやすいという話も多い。
人に相談してるうちに自分で解決法を閃いた、なんて話もね。

その時の「問題」が内言にとってキャパオーバー(つまり頭の中だけで処理するには大きすぎる)なら、話すなり書くなりしたほうがいいのだろう。

これだと、普段から独り言が多いようなら、元からキャパシティが少ないか、他の何かでいっぱいいっぱいかとも考えられるのだが。

 

独り言を抑えるには

・独り言をしないようにするためにはどうしたらいいか。

「気をつける」というのは最も単純で、無理のある方法だ。油断したら漏れてるわけで、つまりは元から「気をつけてない時」の話なのだから。

単純な話、丸一日「気をつけ続ける」のは不可能だ。集中力は数十分しか持たない。あとこういうのは感情労働の深層演技に近いからしっぺ返しが怖い。

 

[blogcard url=”https://embryo-nemo.com/297/”]

 

・独り言を抑えるには内言能力を鍛えることが良いとされる。言い方を変えれば頭のキャパシティ増やして思考や言葉が「漏れる」ことを遠ざける。

俗に言う「思考力」もこの内言能力を指すことがある。

このためには読書がいいとされる。ただし今回の場合は音読や速読は意味がない。

普通の読み方で行う読書中は内言語機能が働いている。ただ、SNSや漫画などでは短すぎて不足のようだ。

 

参照
https://news.mynavi.jp/article/20190410-soliloquy/
https://psychoterm.jp/basic/development/08.html

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