fragments 自己覚醒法

・所謂「自力で起きる方法」。あまり特別なことはしない。
最大のメリットとして、目覚めが良くなることが挙げられる。これと同じ原因で日中のパフォーマンスも上がる。

・「目覚め」は大別して2種類に分けられる。
お馴染みのアラームで起きるものは「強制覚醒」。
外的な刺激無しで起きるものを自発的覚醒と呼ぶ。

自発的覚醒はさらに2種類に分けられる。
一つは時間を決めずに自然に目が覚める自然覚醒。
もう一つが、決まった時間に自発的に起床する「自己覚醒」。用があるのはこれ。

この2つは自発的なのは同じだが、メカニズムは違うとされる。
逆を言えば「決まった時間に自力で起きる」時に働くメカニズムが、人にはあるということになる。

・自己覚醒は40年以上前から既に研究されている。

やり方はえらく単純で、寝る前に「何時に起きよう」と思うだけ。
人によってはこの時、力みすぎてしまう。結果、眠れないとか睡眠の質が落ちるなどがありえる。絶対に起きようとか、起きれなかったらどうしようとかは考えないほうが良い。

起きようとしても起きれない人は「そんなんで起きれるならとっくに起きてる」と反論しそうなものだが、実際のところ特に心身に異常がない上で「大事な日に寝過ごした」というのはめったに無いだろう。前日眠れないというのはやたらとありそうだが。その上で起きれるのも不思議じゃないか。

これらも意識したから起きられる/意識しすぎて眠れないという実例の一つと言える。

・毎朝目覚ましの鳴る一分前に起きる人ってのがいるが、無自覚に自己覚醒法をやっている可能性があると思う。目覚めも多分良いのだろう。

・この設定された起床時間の1時間前から副腎皮質刺激ホルモンが分泌される。通常も出るが、自己覚醒法の時の方が多い。

要は起きる前には「起きる準備」が開始され、それがいつもより整って自然と起きる。

裏を返せば強制覚醒は言葉通り体が「叩き起こされる」ため、準備不足または起きてからこの準備が始まる。イコール目覚めの悪さ。日中のパフォーマンスも相対的に落ちた状態だとされる。



・習得率について。この方法自体が新しいものでもないため割とデータはあるんだが、容易だと言える。
半分以上は初めからできる。一週間後には殆どができた。1週間では無理だったという人もいるにはいる。

実験の場合はカフェインやニコチンを控えるよう示唆される。日常的にこれらを常用している場合は成功率にマイナス補正はあるのだろう。

個人的な感想だが、論文ではこれで起きれるのは当然扱いされているように見える。変な時間にも起きれるかとか(割と起きれたらしい)昼寝でも使えるかとか、一歩進んだ研究が目につくことが多い。シフト制の仕事してる人にもいいかもしれない。

・メカニズムについて。
まず体内時計は2種類ある。

私達が普段使う「体内時計」という言葉は別名「概日ペースメーカー」と呼ばれているもの。これとは別に「インターバルタイマー」が人間にあるとされている。

前者は陽の光を浴びるだの食事をいつ取ったか風呂にいつ入ったかなどでリセットされたりズレたりするわけだが、後者はほとんどズレないらしい。

簡単に言うと、概日ペースメーカーは砂時計。インターバルタイマーは経過時間や間隔を計るストップウォッチ。

悲しいかな睡眠などのリズムは基本、砂時計の担当である。ただし、副腎皮質刺激ホルモンの分泌はストップウォッチの方と連動しているらしい。この2つがズレると悲惨なことになりそうだな。

・以上から少なくとも「起床のタイミング」を脳は自力で認知でき、その準備をしろという指示を出すことも可能であると言える。元々。

下手に力んだりしない限りは、自己覚醒法は入眠も睡眠の質も上がるという話もあるので、この常時起動しているはずのタイマーはそれほど脳のメモリを食わないのだろう。

・デメリットやリスクについて。
初心者や不自然な起床時間を指定した際に、主にプレッシャーのせいと見られているが中途覚醒、深い睡眠の減少などがある。

ただし習慣的に自己覚醒をしている場合は、不自然な時間指定でもこれらは見られない。

「起きれるかどうか不安で睡眠の質が落ちる」ということだろうか。不眠の原因も多くは心因性のものらしいし。

・反対にメリットについて。
睡眠慣性(起きたばかりはぼーっとするなど)が抑制される。要するに目覚めが良い。日中のクオリティも高い。本来、睡眠慣性は例え10時間眠っていてもあるとされている。

習慣的な自己覚醒者は居眠りが少ない。なお、起床後の爽快感と日中の眠気には関連があるとされる。

・実用の話だが、これができたところでアラームはセットしたほうがいいねそりゃ。アラームを「保険」として自己覚醒法で起きるつもりで寝る、というのが気楽なのでは。

目覚めを良くしたい場合、用があるのはインターバルタイマーによる起床前の副腎皮質ホルモンの分泌だ。

つまり、実は目覚ましで起きようが自力で起きようが、結果はどうでも良かったりする。成否は問わない。試みるだけでいい。

参照:
自己覚醒が日中の眠気に及ぼす影響
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy/83/1/83_1/_pdf

ヒトの時間認知
http://chronobiology.jp/backnumbers/JSC2004-2-001.pdf

すっきり目覚め、作業効率が上がる自己覚醒法
https://business.nikkei.com/atcl/skillup/15/111700008/030200022/?P=1

第19回 起きたい時間に目が覚める不思議なチカラ
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20150304/437921/?P=3

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